全ての人が希望と尊厳をもって
暮らせる社会へ

English FacebookTwitter

「障害者差別解消法」ってどんな法律?不当な差別的取り扱い、合理的配慮とは?問題点など解説します

2022年01月06日 権利擁護解説

障害者差別解消法徹底解説 と書かれたヘッダー

この記事はこういう疑問を持っている人に向けて書きました

  • 障害者差別解消法(以下、差別解消法)ってどんな法律かわからないから教えてほしい
  • 差別解消法は改正されてどう変わったの?
  • 差別を受けたときに、どのように差別解消法を使えばいいの?
  • 差別解消法ってどんな問題があるの?
  • DPIは差別解消法について、どのような取り組みを行っているの?

目次

  1. はじめに
  2. 差別解消法とはどんな法律?不当な差別的取り扱い、合理的配慮について
  3. 改正により何が変わったのか
  4. 差別を受けたときに、どのように差別解消法を使えばいいのか
  5. 差別解消法の問題点
  6. DPIのこれまでの主な取り組み
  7. まとめ
  8. 参考サイト

1.はじめに

2021年6月4日差別解消法が改正され、民間事業者の合理的配慮が義務化となり、3年以内に施行されることが決まりました。

しかし、差別解消法には、差別を受けてもどこに相談をしたらいいのかわからない、相談を各省庁の相談窓口にしても「うちではない、○○へ電話して下さい」とたらいまわしを受けて、結局相談が出来ないという事が起きています。

本記事では、差別解消法についての解説、改正により何が変わったのか、抱えている課題、これまで行ってきたDPIの取り組みについて解説します。

 

2.差別解消法とはどんな法律?

差別解消法は「障害による差別を解消し、誰もが分け隔てなく共生する社会を実現すること」を目的として2016年4月に施行された法律です。

「不当な差別的取り扱い」を禁止し、「合理的配慮の提供」を求めており、障害のある人もない人も共に暮らせる社会を目指しています。

 

■不当な差別的取り扱いの禁止とは

国、都道府県・市町村などの役所や、会社やお店などの事業者が、障害のある人に対して、正当な理由なく、障害を理由として差別することを禁止しています。

障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針 2(1)ア

  • 障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否する
  • 場所・時間帯などを制限する
  • 障害者でない者に対しては付さない条件を付する

【例】

バツ印を掲げている人

正当な理由というのは、障害を理由に拒否や場所・時間帯の制限などの行いが正しい目的があり、それ以外に方法がない場合に例外的に許されるもので、個別の事案ごとに判断されるものです。

抽象的に障害があるから危なそうだとか、何かあったら困るとか、というようなことは、正当な理由にはなりません。

 

■合理的配慮とは

国、都道府県・市町村などの役所や、会社やお店などの事業者に対して、障害のある人から社会の中にあるバリアについて何らかの対応を必要としていると意思を伝えられた時に、可能な限り対応(ルールや設備、施設などの変更や調整を行う)する事を求めています。

障害者権利条約第2条:

「合理的配慮」は、障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの。

【例】

丸印を掲げている人

■対象となる障害者は?

身体障害者手帳を持っている人だけではなく障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの、全てが対象です。

■対象となる事業者は?

会社やお店など、同じサービスなどを繰り返し継続する意思を持って行う人たちです。

ボランティア活動をするグループも事業者に入ります。

 

3.改正により何が変わったのか

■事業者による合理的配慮の提供が「努力義務」から「義務」に

これまで合理的配慮の義務付けは国や自治体のみでしたが、今回の改正によって、民間事業者も合理的配慮の配慮提供が義務となりました。

また国と地方自治体の連携協力の責務規程を新設し、障害を理由とする差別に関する相談に対応する人材を育成、確保する責務を明確化するなどしました。

改正案が施行されるのは公布の日(2021年6月4日)から起算して、3年以内となっており、まだ決まっておりません。私たちは1日でも早く施行されるように求めています。

 

4.差別を受けたときに、どのように差別解消法を使えばいいのか

落ち込む人

現在の差別解消法では、差別を受けたときにどこに相談をしていいか非常にわかりづらくなっています。また省庁の窓口へ相談をしても「うちではないので○○へかけてください」とたらいまわしにされて、結局解決しないということが起きています。

また、紛争解決の仕組み、人権救済制度もない為、差別を受けて相談をしても、解決せず泣き寝入りしている障害者が多いのが実情です。

 

5.差別解消法の問題点

差別解消法が抱える問題についてまとめました。

1.差別を受けてもどこに相談をしていいかわからない。相談をしても窓口をたらいまわしにされて、結局解決しない。

現在内閣府ホームページにある相談窓口のファイルを見ても、どこの省庁へ相談したらよいかわかりづらく、相談をする事さえ高いハードルがあります。

▽国の行政機関相談窓口(対応要領関係)(PDF形式:40KB)
▽事業分野相談窓口(対応指針関係)(PDF形式:267KB)

■相談したけど、結局解決しなかった事例

飲食店で入店拒否にあったため、まず農水省に相談すると「飲食店関連は厚労省へ」と言われ、厚労省の対応指針の窓口にかけた。ところが、「飲食所管の部局にかけて下さい」と言われた。飲食所管の部局にかけたところ、「ここではなく、生活衛生課に連絡を」と言われた。生活衛生課に電話をかけ相談をしたが、その後、2か月返事がなかった。もう一度、催促の電話をしたがその後連絡はこないままである。(2017 年、神奈川県)

■解決策

相談をしている女性

全ての相談をまず1つの窓口で受ける「ワンストップ相談窓口」の創設を求めています。

1つの窓口へ連絡すれば、担当する省庁へ繋ぎ、たらいまわしにあう事なく相談が受けられるというものです。これにより相談窓口を探す必要もなくなり、適切な相談を受けることが出来るようになります。

 

 

2.紛争解決の仕組みがない。

今は、差別解消法は紛争解決の仕組みがありません。(現在は、法律の実効性を確保するために各省庁などを主管する大臣が事業者に対して、報告徴収、助言、指導、勧告などの行政措置をとるという点にとどまっています)

差別された場合に、本人と事業者の間に立って、建設的対話を通じて、差別の解消を行う紛争解決の仕組みが必要です。

■実際に起きた事例

人工呼吸器ユーザーに対し、クラシックコンサートの主催者が参加を拒否した。主催者と話し合いを重ねたが解決に至らなかったため、担当省庁の相談窓口に連絡をした。ところが、「わが省は芸術を推進する立場なので」「両者を裁く立場にない」などと言われ、各部署へたらい回しをされた。ようやく担当者が決まったが、その後京都に異動したとのこと、内閣府HP に掲示の相談窓口ではなく当該担当者の異動先の番号にかけてくれと言われた。(2018 年、東京都)

 

3.各則が無い

街

現在の障害者差別解消法には、各則がありません。分野ごとに特徴的な「差別」や必要な「合理的配慮」があります。例えば、何年間も通う学校で必要になる合理的配慮と、一回のみ行くお店で必要になる合理的配慮は異なります。

その分野ごとに特徴的な「差別」や「合理的配慮」のイメージを明確にもってもらうために、各則を設けることが必要です。

 

4.差別の定義が不十分

障害者権利条約では、障害に基づく差別は、直接差別や関連差別、合理的配慮の不提供の他にも、間接差別、ハラスメント、交差差別/複合差別が含まれているとしています(障害者権利委員会一般的意見6)。

現在の差別解消法では、間接差別、関連差別、ハラスメント、複合差別が明確に入っていません。その結果、障害者差別が解消されないことがあります。条約に合わせてバージョンアップすることが必要です。

また「障害女性の複合差別」に関する文言を、法文に盛り込むことも目指しています。

 

5.法の対象の範囲が不十分

現在の差別解消法は、対象を障害者本人に限っていますが、障害者権利条約一般的意見6では『「障害に基づく」差別は、現在障害がある人、過去に障害があった人、将来障害を持つようになる素因がある人、障害があると推定される人に加えて、障害のある人の関係者に対して行われる可能性がある。後者は「関係者差別」として知られている』(パラ20)としています。

条約に合わせて、対象範囲を広げることが必要です。

 

6.DPIのこれまでの主な取り組み

2010年 内閣府障がい者制度改革推進会議に尾上浩二副議長が委員として参加。障害者差別禁止法の制定に向けて取り組む
2013年

 

障害者差別解消法の今国会成立を求める緊急アピール
障害者差別解消法が成立
2014年-2016年 障害当事者、家族などの関係者の声を差別解消法へ反映させる為、「障害者差別解消 NGO ガイドライン作成プロジェクト」開始。

3年間全国各地でのタウンミーティングを開催、500件の差別事例を収集。

事例分析中 成果報告会の様子

▽事例分析結果(PDF)
2014年度 2015年度 2016年度

▽差別解消法の各省庁(厚労省、内閣府、文科省、国交省、経産省)対応指針に対する提言提言案(PDF)

2014年 「障害者差別解消法の基本方針および第3次障害者基本計画について障害者欠格条項に関する要望書」を提出
2016年 障害者差別解消法施行、全国各地で祝賀パレード実施
パレード
2017年 障害者差別解消法施行後3年目の見直しを目指して「DPI差別解消法プロジェクトチーム」を立ち上げる
2019年 法施行後、差別の状況はどうなっているか、障害に基づく差別事例を収集・分析
2020年

 

 

障害者差別解消法改正に向けた集会を全国各地で開催
3月8日タウンミーティング㏌大阪開催
タウンミーティングin大阪

▽「障害者差別解消法改正のポイント」テキストを作成しました(PDF)「障害者差別解消法改正のポイント」テキスト
3月18日「ここを改正しよう!障害者差別解消法!」開催
登壇の様子
4月「DPI障害者差別解消ピアサポート」での相談受付開始
2021年 2月15日障害者差別解消法の改正についての要望を提出
第五期 内閣府障害者政策委員会に、事務局長の佐藤聡が参加
障害者差別解消法改正法案の審議に際し、参議院内閣委員会で佐藤聡事務局長が参考人発言を行う
佐藤聡事務局長が参考人発言を行う
オンラインミニ講座で、障害者差別改正案成立に向けてロビー活動呼びかけ
オンラインミニ講座

 

7.まとめ

差別解消法にはまだまだ多くの課題が残されています。差別を受けたとしても、相談する窓口がわからず、結局相談が出来ない。たらいまわしにされてしまう。紛争解決の仕組み、人権救済制度がないから、泣き寝入りしてしまう障害者が多いのが実情です。

差別解消法の目的は「障害による差別を解消し、誰もが分け隔てなく共生する社会を実現すること」です。しかし差別解消法制定の翌年から3年間、差別事例を集めた所、約500件もの差別事例が集まりました。まだまだ障害者に対する差別は根強く残っています。

私たちは、実効性のある差別解消法にするため、引き続き取り組みを継続していきます。

8.参考サイト

障害を理由とする差別の解消の推進に関する取り組み(外部リンク:内閣府)

・DPIの障害者権利条約に関する取り組み(活動紹介ページ)

・障害のある人の権利に関する条約 仮訳(外部リンク:ノーマネット)

・障害者の権利に関する条約(外部リンク:外務省)

以上


差別解消法に関する講演依頼はこちら

私たちの活動へご支援をお願いします

賛助会員募集中です!

LINEで送る
Pocket

現在位置:ホーム > 新着情報 > 「障害者差別解消法」ってどんな法律?不当な差別的取り扱い、合理的配慮とは?問題点など解説します

ページトップへ