2023年DPI差別事例&合理的配慮の好事例収集のまとめ
2023年07月11日 権利擁護
DPIは、2023年2月から3月にかけて、ホームページで差別事例と合理的配慮の好事例を募集しました。全国から297件の事例が集まり、これを分類し、5月から行われている中央省庁の対応要領・対応指針の改定に、事例に基づいた意見書を作成し、働きかけを行いました。事例を提供してくださった皆様に改めて御礼申し上げます。
集まった事例の概要と、DPIが作成した意見書(厚労省、子ども家庭庁、国交省、経産省、金融庁、農林水産省、総務省、文科省、法務省)を公表いたします。
対応要領・対応指針の改定はほとんどの省庁がほぼ終わり、今月から来月にかけてパブリックコメントが募集されています(「障害を理由とする差別の解消の推進に関する【対応要領】あるいは【対応指針】の改正案に対する意見の募集」というタイトルのものです)。ぜひ、みなさん多くの意見をお送りください。
■DPIで行った事例募集について
- 募集期間:2023年2月1日(水)~3月17日(金)
- 内容:2016年4月以降に差別を受けたと思う事例又は好事例
- 提出方法:オンラインフォーム、メール、FAX
- 事例の総数:298件(うち81件が好事例)
- 合理的配慮の不提供 63件
- 直接差別 44件
- 合理的配慮の提供事例(好事例) 30件
- 環境整備 23件
- ハラスメント 22件
- 関連差別 20件
- 施策で行うべき事例 16件
- 虐待 13件
- 法律には該当しないが差別 13件
- 間接差別 6件
- 環境整備の提供事例(好事例) 2件
- 非該当 18件
- 不明 3件
※1つのフォームに複数の事例が書かれているものもあるため、合計値は一致しない。
■分野別
学校51件、お店(物販・飲食・美容院)48件、職場27件、映画館・劇場・美術館等17件、病院16件、鉄道12件、バス11件、ホテル・宿泊施設7件、テーマパーク6件、保育園等9件、市町村6件、都道府県5件、賃貸5件、銀行5件、福祉施設5件、航空3件、ハローワーク3件、スポーツ施設3件、スポーツ観戦3件、タクシー2件、裁判所等2件、警察2件、特別支援学校1件、弁護士事務所1件、公証人1件、投票所1件、ヘルパー事業所1件、イベント1件、観光地1件、寺社仏閣1件、区民館1件、採用試験1件、その他10件
■意見書提出省庁
厚生労働省、子ども家庭庁、国土交通省、経産省、金融庁、農林水産省、総務省、文科省、法務省
2023年5月17日
障害者差別解消法対応要領・対応指針 各省共通DPI追加意見
DPI日本会議
このたびはヒアリングの機会を設けていただきありがとうございます。以下、3点、追加意見をお送りします。全省庁共通で盛り込んでいただけますようお願い申し上げます。
- 「障害者差別解消法の策定の経緯に対日審査の動き」に加筆
- 「不当な差別的取り扱いの正当な理由の判断の視点」を修正
- 「合理的配慮の過重な負担の考え方」の加筆
Ⅰ.障害者差別解消法の策定の経緯
【追加していただきたい文書】
令和4年8月に審査(建設的対話)が実施され、令和4年10月に「日本の第一回政府報告に対する総括所見」が国連障害者権利委員会から出された。この総括所見を尊重し、国内政策に反映する必要がある。
<理由>
|
Ⅱ.不当な差別的取り扱いの正当な理由の判断の視点
第2 不当な差別的取り扱い及び合理的配慮の基本的な考え方
1 不当な差別的取り扱い
(1)正当な理由の判断の視点
関係事業者は、個別の事案ごとに具体的な検討を行った上で正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を丁寧に説明するものとし、理解を得るよう努めなければならない。
<変更理由>
|
Ⅲ.「合理的配慮の過重な負担の考え方」の加筆
2 合理的配慮
(2) 過重な負担:の基本的な考え方
【追加をお願いしたい文章:国土交通省の対応指針参照】
「過重な負担」とは、主観的な判断に委ねられるのではなく、その主張が客観的な事実によって裏付けられ、第三者の立場から見ても納得を得られるような「客観性」が必要とされるものである。また、「過重な負担」を根拠に、合理的配慮の提供を求める法の趣旨が形骸化されるべきではなく、拡大解釈や具体的な検討もなく合理的配慮の提供を行わないといったことは適切ではない。
<理由>
|
2023年5月10日
厚労省 差別解消法対応指針に対するDPI意見
DPI日本会議
厚労省のガイドラインは、
- 福祉事業者向け (具体的対応例:25)
- 医療関係事業者向け (具体的対応例:3)
- 衛生事業者向け (具体的対応例:12)
- 社会保険労務士の業務を行う事業者向け(具体的対応例:5)
の4分野に分けて作成されている。
それぞれ障害者差別解消法の趣旨、経緯、障害者権利条約などの背景が明記されている他、障害種別ごとの特性に応じた対応といくつかの「具体的対応例(好事例)」が記載されていることが特徴的であり、概ねよく書かれていると評価している。
他方、どういった事が差別にあたるのかという具体的な差別事例の掲載がないため、差別に気づきにくいといった負の側面がある。
ついては、今回の法改正に伴うガイドラインのバージョンアップにおいて、次の項目の追加を求める。
1)差別の具体的事例
2)新設されたこども家庭庁のガイドラインに明記されている「合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例」に倣って、4分野のガイドラインにも同様の項目を追記することを求める。またこの際、相談窓口に電話リレーサービス制度の対応も必ず明記すること。
3)正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例の追記
〇実習を伴う講座において、実習に必要な作業の遂行上具体的な危険の発生が見込まれる障害特性のある障害者に対し、当該実習とは別の実習を設定する。(障害者本人の安全確保の観点)
→意見:障害者本人と建設的対話必要。主催者が危険と考えても、障害者本人は危険とは考えていない場合もある。「本人との建設的対話の上で」という文言を入れてほしい。
4)合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例の追記
→抽選申し込み。合理的配慮の提供義務に反しない事例に入っているが、合理的配慮の提供義務違反に該当する事例として「抽選申し込みとなっている講座への参加で、介助者や支援者が必要な障害者が当選した場合に、介助者や支援者の同行を認めない。」を加えてほしい。
5)対応要領・対応指針に次の項目を明記すること
- 職員の研修(環境整備)
- 情報保障
- 建設的対話 本人の意思の尊重
- 担当窓口 電話リレーサービス制度の対応
- 相談事例の公表、蓄積
また、一概に差別解消法の対象とはなり難いかもしれないが、本人の意向に反する異性介助を強いているケースも併せて事例を明記するので、ガイドライン改定の機に何らかの対策を求める。
Ⅰ.福祉事業者向けガイドライン
●DPIに寄せられた事例(2018年〜 現在まで) 【差別事例】
|
●2016年以後の意思に反した異性介助の代表的な事例 【異性介助の問題事例】
|
Ⅱ.医療関係事業者向けガイドライン
●DPIに寄せられた事例(2018年〜 現在まで) 【差別事例】
【環境整備の必要な事例】
【虐待に該当する事例】
【合理的配慮の好事例】
【新型コロナ感染症関連での事例】
|
●2016年以後の意思に反した異性介助の代表的な事例 【筋ジス病棟(旧国立療養所)】
【一般病院】
【好事例】
|
Ⅲ.衛生事業者向けガイドライン
●DPIに寄せられた事例(2018年〜 現在まで) 【差別事例】
【合理的配慮の不提供事例】
【虐待に当たる事例】
【環境整備が必要な事例】
【合理的配慮の好事例】
|
Ⅳ.社労士の業務を行う事業者向けガイドライン
今回、具体的事例の投稿は無かった。
Ⅴ.こども家庭庁関係
●DPIに寄せられた事例(2018年〜 現在まで) 【差別事例】
|
Ⅵ.その他(他法との関連事例)
1.障害者雇用促進法関連
職場、ハローワーク、採用試験など、障害者差別解消法の対象ではなく、障害者雇用促進法、あるいは労基法に該当する事例も多数寄せられた。これは現状の障害者雇用促進法での紛争解決の仕組みがうまく機能していないことの表れでもあると考える。障害者差別解消法のガイドライン改定の機に、雇用促進法の課題に関しても対策を講じることを求める。
●DPIに寄せられた事例(2018年〜 現在まで) 【差別事例】
【合理的配慮の不提供】
【虐待】
【コロナ禍による差別事例】
【合理的配慮の提供事例】
【法律には該当しないが差別と考えられる事例】
|
2.障害者総合支援法関連
市区町村が独自で定める障害福祉サービスの支給決定に関する規定(ガイドライン)等において、ローカルルールと称する独自の解釈により、障害者の社会参加、施設や家族からの地域移行の妨げとなる大きな社会的障壁となっているケースも多数生じている。
これは直接的には障害者差別解消法の対象とはならないかもしれないが、障害者基本法を受け、「社会的障壁の除去に資する」と基本理念に謳った総合支援法からしても大きな問題であり、国として適切な対策を講じる必要があると考える。ローカルルールは上乗せ横だしで国の制度を補うことに活用されるべきであり、社会的障壁となってはならない。
●DPIに寄せられた事例(2018年〜 現在まで) 【社会的障壁となり得るローカルルール】
|
2023年6月8日
厚労省 差別解消法対応指針の「衛生事業者向けガイドライン」
「医療関係事業者向けガイドライン」に対するDPI追加意見
DPI日本会議
1.衛生事業者向け
旅館・ホテルにおける深刻な差別事例、映画館での好事例、飲食店での差別的取り扱い事例がDPIに寄せられましたので、以下の通りご報告すると共に、衛生事業者向けガイドラインに対し追加で意見を提出致します。
<旅館・ホテル>
事例(発生時期:5〜6年前) ① 旅行代理店経由の宿泊拒否
② ホテル支配人変更後の宿泊拒否
|
- 事例を提供してくださった方からのコメント
上記2つの事例ははっきりと宿泊拒否があったものです。かつて、電車等の公共交通機関は事前届がないと盲導犬同伴の乗車はできませんでしたが、現在はそうした制限はなく当たり前に乗車できます。
宿泊施設や飲食店等、盲導犬同伴を理由に利用拒否されるかもしれないという不安から、事前に問い合わせして確認せざるを得ない現状は、かつての公共交通機関における事前届け出制と実質的に変わらないストレスとなっています。自由に旅行先の宿泊施設を選択できないという、差別的な扱いが解消されることを願っています。
<映画館>
介助者の費用免除:(好事例) 2023年4月1日に●●シネマで映画を観る際、介助者はみないということなので障害者一人で観ることになりました。ただ、ケガの後遺症で介助者がいないと一人でエレベーターに乗れないため、係員に介助者がいないと2階のシアタールームに行けないと相談したところ、シアタールームに入る時と帰る時に介助者が出入りしても構わないと言ってくれ、障害者本人のチケット代だけで映画を観ることができました。 <飲食店> 介助者の注文強要:(差別的取扱い) 車いすユーザーが洋食屋に行くと「介助者も何か注文してください。ジュース一杯でもいいので」と言われた。「私は介助者がいないと食事が出来ないから介助をつけています。健常者は一人で食事ができるからいいけれど、私の場合は介助者が不可欠です。介助者は食べに来たのではなくて私の介助にきているのだからそこは理解してください。とい言ったが、「そんなことを言われても、払ってもらわないといけない」と言われた。 【理由】 上肢等に障害がある障害者は、食事をするときには介助者がいないと食べられない人がいる。そのため、飲食店には介助者とともに入るが、介助者は食事介助をするために入っている。介助者も必ず注文しなければならないとなると、結果的に障害者だけが健常者に比べて多くの負担を強いられる。これは差別的な事例として追記してほしい。 |
- DPI追加意見
- 改正された旅館業法が、新たに障害や疾病を理由にした宿泊拒否につながらないようにするために、衛生事業者向けガイドラインにおいて対象業種ごとに、上記のような具体的な事例を明記すること。
先日成立した改正旅館業法の第五条三に「過重な負担「宿泊しようとする者が、営業者に対し、その実施に伴う負担が過重であつて他の宿泊者に対する宿泊に関するサービスの提供を著しく阻害するおそれのある要求として厚生労働省令で定めるものを繰り返したとき。」とあり、十分な差別禁止規定が乏しく、障害者への差別的取扱いを容認してしまうのではないかと危惧しています。上記の事例は、補助犬法で受入が義務づけられており、かつ、改正前の旅館業法では宿泊拒否はできないことになっている中で起きている点でもより深刻な差別事例です。 - 衛生事業者向けガイドラインは、業種ごとに設定することを求めます。
旅館・ホテルの対応指針は、現在は「衛生事業者向けガイドライン」として8つの法律の15業種を一括りにしたものとしてまとめられています。差別解消法の制定当時はまだ具体的事例の集積がなく、このとりまとめでスタートせざることはやむを得なかったかと思いますが、施行から6年を経て、民間事業者も合理的配慮の提供が義務化されるにあたり、今後更なる普及啓発、法令遵守が求められますので、業種ごとにガイドラインを作成することが必要と考えます。
※本指針の対象となる衛生事業一覧
|
2.医療関係事業者向け
先月起きたばかりの事例の報告がありましたので、追加でお知らせし、ガイドラインへの反映を求めます。
また、本件は、対応可能という回答をしている他の医療機関があるにもかかわらず、主治医がそうした調整、連携を模索することなく建設的対話にならなかったとのことです。
国立医療機構での事例例なので、国としても早急な対応を求めます。
医師による家族同居の強制、正当な理由説明の欠如(間接、関連差別、合理的配慮の不提供)
2023年5月23日(火)に●●市内にある疾患の専門病院で、地域移行を希望した際、主治医の面談で、意思決定ができる成人に対して家族同意を求めるため、地方に住む高齢の両親をわざわざ呼び付けた。そういった状況で話し合いをもった。 ▲▲市への移行を伝えたところ医師が激高し、入院している病院以外の医療を受けられないと決めつけ、▲▲市の医療を否定しました。また「誤嚥してしまったときすぐ対応できずに窒息し、低酸素脳症になっても診てくれるところありますか?」「▲▲に住みたいというなら両親の同居が条件。両親が▲▲に転居したという証明書を出してください」などという発言があった。 本人の希望を頭ごなしに否定し、何十年もここでの生活をせざるを得ないと思い込まされてしまったことも踏まえ、ここ以外の医療は使えないといった誤った情報を伝えたことは大きな問題だと思います。結果的に●●市内での移行しか認めないと一方的に言われ会議を終えました。 |
2023年5月8日
国交省 差別解消法対応指針に対するDPI意見ver.2
DPI日本会議
Ⅰ.不動産業関係
1.正当な理由がなく、不当な差別的取扱いにあたるもの
(1)新たに加えていただきたいもの
①宅建業者が、車いす使用者に対して「床が汚れる」等として敷金や保証金等を通常より多く求める。
【事例】本来は入居する時に1ヶ月払う。車椅子だから2ヶ月払えと言われたが交渉して1ヶ月になった。しかし、退去する時に、汚れていないのにお金は戻ってこなかった。
②障害を理由とする差別を別の理由にすり替えて、部屋貸しを拒否する。
【事例】車いす利用者が内覧を申し込んだ際に「先に契約者が決まったため案内できない」と断られた。しかしその後数日たっても該当物件は空室のまま掲載され続けていた。車いすであることを伏せて別名義で再度内覧申込すると「空室で案内可能」と返答が来た。事業者は車いすを理由に断ることが差別であると認識しており、虚偽の理由を作り、障害者への紹介を行っていない。
2.合理的配慮 提供することが望ましいもの
(1)新たに加えていただきたいもの
③物件の内覧前に障害者の希望に応じて事業者が物件のバリアフリーチェックを行い、写真や寸法等の情報の提供を行う。
【理由】写真があると具体的にイメージしやすく、寸法があれば自分が利用できるかどうか判断できる。非常に有効な情報。
【参考資料】 DPIに寄せられた事例(2018年〜 現在まで) 【差別事例】
|
Ⅱ.設計等業関係 特になし
Ⅲ.鉄道事業関係
1.正当な理由がなく、不当な差別的取扱いにあたるもの
(1)新たに加えていただきたいもの
④車椅子を理由に事前予約を求める。
⑤駅無人を理由に車椅子使用者の乗降を拒否する。
⑥理由を説明せずに、車椅子使用者の乗車を待たせる。
【事例】JR▲▲から環状線に乗って、■■から●●に行こうとしたら、理由の説明もなく30分から40分位待たせられた。たぶん、乗換えの(駅員配置の)関係かと思うが、理由の説明ぐらいしてほしかったし、■■までとか行けるところまで行けるようにしてほしかった。(2022年 大阪) |
⑦振替輸送を行う場合に、車椅子利用者を乗車できない。
【事例】人身事故のために地下鉄が、シティバスへの振替輸送が実施されたときのこと。バス停では長蛇の列で、直ぐに満員になる状況だった。目の前で何台もやり過ごしていった。しかし、待ち列が私の番になっても一向に乗せてくれる様子はなく、車椅子だから乗れなくて当然のごとく、健常者の客だけを乗せて去っていく。運転手に言っても、ご覧のとおりの満員ですのでごめんなさいと無視される。車椅子だから、置き去りにしていいなんてとんでもない。大人しく待っていても乗せてもらえないと判断し、管轄の営業所に電話し、車椅子も乗れるようにすべきだ、車椅子だから順番が来ても乗せないのはおかしいと抗議し、運転手へ連絡してもらうようにした。 そして、バスが到着すると、順番だから乗せるように、乗客に呼びかけて前の方に詰めるようにいってほしい、車椅子席周辺の乗客は一旦降りてもらって、車椅子が乗ってから乗車するようにしてほしいと、運転手に大声で訴えて、乗せてもらうことができた。 本人がここまでしんどい交渉をしなくても、乗せてほしかった。(2021年 大阪) |
2.正当な理由があるため不当な差別的取り扱いにあたらないもの
(1)対応指針から削除してほしいもの
⑧車いす等を使用して列車に乗車する場合、段差が存在し、係員が補助を行っても上下移動が困難等の理由により、利用可能駅・利用可能列車・利用可能時間等の必要最小限の利用条件を示す。
【理由】利用制限を許容する根拠となっているため、削除していただきたい。
⑨車いす等を使用して列車に乗車する場合、段差にスロープ板を渡す等乗降時の対応にかかる人員の手配や車いす座席の調整等で乗降に時間がかかる
【理由】 都市部では段差解消が進んできており、さらに推進していただきたい。この記述があると事業者が時間短縮の努力をしなくなるので削除していただきたい。
【事例】複数のチームで●●駅から▲▲駅へJRを利用したときに、●●駅で、「ここで待っていてください」と言われてずっと30分以上待たされた。障害者はひまだと思っているのか、待たせる時間の見通しも示してくれず、ほっとかれた感じがしていやだった。ところが、そんな対応はおかしいと文句を言ったらすぐに対応してくれた。やろうとしたらできるのになぜ、そんなに簡単に待たせるのかと思った。(ちなみに、何も言わずに最初に言って待っていた人より、文句を言った僕たちの方が早く着いて逆転した。これっておかしい。)(2022年 大阪) |
3.差別解消法には該当しないが、検討が必要なもの(施策で行うべき事例)
⑩他の路線への乗り換えで、改札の外の案内を断る。
【事例】私鉄■■線からJRへの乗り換えの手伝いを頼んだが■■線では改札口から出たらその先は案内しないと言われた。多駅でも■■からJRへの案内はしないと言われた。(2021年 東京都 視覚障害者) ➡DPIのコメント:改札内は誘導するが、改札を出た先は誘導しないと決めている事業者が多いように思う。長距離であれば過重な負担という判断になるかもしれないが、短い距離では何らかの取り組みが必要ではないか。駅間の乗り継ぎは事業者が責任を持って誘導するという協定(国の施策)をつくる等の取り組みが必要だと考える。 |
【参考資料】 DPIに寄せられた事例(2018年〜 現在まで) 【合理的配慮の好事例】
【差別事例】
|
Ⅳ.一般乗合旅客自動車運送業関係(バス)
1.正当な理由がなく、不当な差別的取扱いにあたるもの
(1)新たに加えていただきたいもの
⑪車椅子を理由に事前予約を求める。
⑫振替輸送を行うときは、車椅子も乗車できる車両や車椅子スペースを確保し、並び順通りに乗車できるようにする。
【事例】鉄道事故の振替輸送で路線バスに乗車することになったが、手配された路線バスが満員で車椅子が乗車できるスペースがなく、何台も見送った。バスの営業所に抗議の電話をしたが改善されなかった。(2021年 大阪府) |
2.正当な理由があるため不当な差別的取り扱いにあたらないもの
(1)削除して欲しいもの
⑬車いすがバスに設置されている固定装置に対応していないため、転倒等により車いす利用者や他の乗客が怪我をする恐れがある場合は、乗車を遠慮してもらう場合がある。
【理由】この記述を理由に、●●バスなどはハンドル型電動車いすの乗車拒否を続けています。改善させるために、削除が必要と考えます。
⑭車内が混雑していて車いすスペースが確保できない場合、車いす使用者に説明した上で、次の便への乗車をお願いする。
【理由】ここは注意書きが必要だと思います。2022年、■■市バスで車椅子使用者の乗車拒否がありました。朝の時間帯で、満席ではなかったが車椅子の席に他の乗客が座っており、運転手は「眠っているので移動してもらうのが申し訳なかった」という趣旨のことを言っております。この場合は満車ではないから拒否をしてはいけないと注意書きを入れていただきたい。
【事例】A駅からB海岸へ行く路線バスに乗る際、自分は先頭から5番目くらいに並んでいて後ろに10数人が並んでいたが、運転手は先に歩行者を全員乗せて、車内が満杯になったので、次のバスに乗ってくださいと言ってきた。自分の方が先に並んでいたと抗議すると、しぶしぶバスを歩道に近づけてくれたが、スロープは出さずに前側のドアから介助者が車いすを担いで乗るように言ってきた。スロープが必要と伝えて後方のドアから乗ったが、運転手は他の乗客に声掛けすることもなく、窓際の車いすスペースにたどり着けなかった。(2022年 神奈川) |
3.合理的配慮の提供 積極的に提供するべき
⑮運転手がバスの乗車時の手伝いを断る。
【事例】女性の車椅子利用者が高速バスを利用した際。ヘルパーも1名同行したが、ヘルパーだけでは私の乗降介助は大変だったので、男性運転手に「ちょっと手を貸していただけませんか」とお願いしたら「セクハラで訴えられたら困るのでそれはできない。」と言われ、手伝ってもらえなかった。(2019年 福島県) |
【参考資料】 DPIに寄せられた事例(2018年〜 現在まで) 【合理的配慮の好事例】
【差別事例】
|
Ⅴ.一般常用旅客自動車運送業関係(タクシー)
1.正当な理由がなく、不当な差別的取扱いにあたるもの
(1)新たに加えていただきたいもの
⑯車椅子を理由にタクシーの乗車を断る。
⑰UDタクシーのスロープが設置できる運転手がいないことを理由に、UDタクシーの配車予約を断る。
⑱UDタクシーの乗務員が、スロープ設置等の方法を知らないことを理由に乗車拒否する。
⑲UDタクシーの車両に、後付で備品等を設置し、これを理由に車椅子使用者の乗車を拒否する。
【理由】事業者がUDタクシー車両にアクリル板を室内に設置したり(コロナ対策)、助手席後ろにモニターを設置したり、料金トレイが動かせないように固定したりしたことによって座席席を動かせなくなり、車椅子で乗車できなくなっているものがある。本来車椅子でも乗れるUDタクシーなのに、車椅子利用を想定せずに備品を設置している。
【参考資料】DPIに寄せられた事例(2018年〜 現在まで) 【合理的配慮の好事例】
【差別事例】
|
Ⅵ.対外旅客定期航路事業関係(船舶)
1.正当な理由がなく、不当な差別的取扱いにあたるもの
(1)新たに加えていただきたいもの
⑳車椅子使用者に一律に介護者の同伴を求めること。
【理由】●●観光のHPには以下のような記載があり、削除が必要。
「客船は車椅子やお体の不自由な方も乗船いただけます。ただし、車椅子をご利用の場合は介護できる方が同行するなど、支障なくクルーズができることが条件になります」
2.合理的配慮 提供することが望ましいこと
(1)新たに加えていただきたいもの
㉑筆談ボード、簡易スロープ、指差しボードなどを配備する。
㉒(聴覚障害者向けに)音声でのアナウンスだけでなく、電光掲示板などを利用して文字でのアナウンスを行う。
Ⅶ.国内旅客船業関係(船舶)
1.正当な理由がなく、不当な差別的取扱いにあたるもの
(1)新たに加えていただきたいもの
㉓車椅子使用者に一律に介護者の同伴を求めること。(再掲)
「客船は車椅子やお体の不自由な方も乗船いただけます。ただし、車椅子をご利用の場合は介護できる方が同行するなど、支障なくクルーズができることが条件になります。(●●観光HP)」
㉔事前連絡を求める。
(●●海上観光船HP )
㉕電動車椅子での乗船を拒否する。
(●●海上観光船HP)
2.合理的配慮 提供することが望ましい
(1)新たに加えていただきたいもの
㉖筆談ボード、簡易スロープ、指差しボードなどを配備する。
㉗(聴覚障害者向けに)音声でのアナウンスだけでなく、電光掲示板などを利用して文字でのアナウンスを行う。
Ⅷ.航空輸送業関係
1.正当な理由がなく、不当な差別的取扱いにあたるもの
(1)新たに加えていただきたいもの
㉘「自力歩行が困難な方は、3歳未満の乳幼児との単独搭乗不可」という航空会社の内規を設けて障害のある母とその子どもの搭乗を拒否する。
【事例】親が危篤となり、0歳(11か月)の子どもと急遽帰省するため航空券をネット予約した。その後、本人(母)が車いすユーザーであり、かつ乳幼児連れのため、バッテリー情報等の事前の情報提供のためプライオリティセンターに電話でその旨を伝えた。その際、担当者から「自力歩行が困難な方は、3歳未満の乳幼児との単独搭乗不可」と言われた。電話口で抗議し、内部で確認するとして折り返しがあったが、上記の内規があり搭乗には付添人(同行者)が必要とのこと。当方が空港で再度交渉する旨を伝えると、「搭乗カウンターまで来ても、その場で身体状況を確認し、搭乗を断る場合がある」「安全上の理由で、非常口まで赤ちゃんを自力歩行で連れて行かなければならない」等の発言があった。親が危篤であり搭乗拒否のリスクはとれなかったため、予約をキャンセルし電車で帰省した。(2022年東京) ➡DPIとしてのコメント:自力歩行が出来ないことを理由に異なる取り扱いをするのは直接差別。事業者のルール(内規)が問題であり、改善が必要と考える。現在も障害者の単独搭乗は、隣の乗客に何かあったら手助けしてと(事業者が)頼んで乗れるようになっている。こういった対応も必要。 |
㉙正当な理由なく、障害者、車椅子使用者等の搭乗人数を制限する。
【理由】事業者によっては正当な理由なく、1機に搭乗できる車椅子使用者の人数を制限している。以下の●●航空は、機材の大きさに関係なく一律に2名としているが、正当な理由とは言えない。
●航空:「車椅子での移動のお手伝いを必要とするお客様のご予約は、各フライトにつき2名様までとさせていただいております」
㉚電動車いすのバッテリーチェックを理由に長時間待たせる。
【事例】●●空港から海外に旅行した時、●●から羽田空港への便に乗るため9時30分に●●空港の「お手伝いが必要なお客様用カウンター」に行き搭乗手続きを行うが、搭乗手続きを終えてカウンターを出たのは11時15分だった。国内線での移動にも関わらず、1時間45分も待たされた。搭乗者は全員で13名、その内、手動車いす使用者1名、簡易電動車いす(リチウムタイプバッテリー)使用者2名、通常タイプ電動車いす(鉛シールドバッテリー)2名という構成だった。便の予約にあたって、旅行業者を通じて電動車いすの情報などはあらかじめ■■航空に伝えていたが、後でわかったことだが■■の国際線のデスクから国内線への共有がされていなかった。(2022年 大阪) |
【参考】 基本方針
「電動車椅子の利用者に対して、通常よりも搭乗手続や保安検査に時間を要することから、十分な研修を受けたスタッフの配置や関係者間の情報共有により所要時間の短縮を図った上で必要最小限の時間を説明するとともに、搭乗に間に合う時間に空港に来てもらうよう依頼すること。(事業の目的・内容・機能の維持の観点)」 |
㉛職員がバッテリーチェックの知識をもっていない。
【事例】対応に当たったスタッフは「お手伝いが必要なお客様専用カウンター」にいるにもかかわらず、電動車いすに関する研修をほとんど受けていないか、きわめて不十分で、「マニュアル片手に恐る恐るチェックする」ような状態で対応したために、1時間45分も要することになった。
特に、責任者と思われるスタッフが生半可な知識で対応したからよけいに時間がかかった。彼女はリチウムバッテリーしか対応したことが無いようで、電動車いす使用者の内、2名は鉛のシールドバッテリーなのに、「交換バッテリーの持ち込みはあるか」とか、「バッテリーをパッキングするか」といった、的外れな質問ばかりして、よけいに時間を要することになった。あまりにも突拍子な質問なので、最初は意味が分からなかった。 リチウムバッテリーのことしか知らず、それを念頭にした質問であった。30kg以上はある鉛のバッテリーに予備バッテリーということは通常あり得ず、ましてや、それをパッキングして機内に持ち込むなどということは不可能である。スタッフの未熟さ故に時間を要することになっている状態であることは明らかである。 そして、そのレベルのスタッフが目視確認するためにバッテリーケースを開けようとして、さらに時間を要することになった。事前情報でも、当日カウンターでもバッテリーの写真を見せて、鉛のシールドタイプであることを説明しても、「スタッフの目視確認がルールで決まっているから」ということだった。はたして、リチウムバッテリーと鉛バッテリーの違いも分からない状態でどうやって確認ができるのか、そんな状態で目視確認をすることに意味があるのか大いに疑問である。 滞在先のシカゴ=オヘア空港やワシントン=ダレス空港できわめてスムーズな搭乗ができたことからも、日本ではスタッフの未熟さや「スタッフによる目視確認」というルールの有無が大きな障壁となっていることを痛感する。特に、シカゴ=オヘア空港では、4人ほどのスタッフチームが車いすを見て「リチウムバッテリーか?」「ドライバッテリーか?」と的確に質問をしてくるので、「Yes」と答えるだけで確認は終わった。書類の記入、タグの発行、写真撮影も含めて一人1、2分程度で終わる。あまりにもスムーズなので、理由を尋ねたところ「専門のトレーニングを受けているチームだ」ということだった。(2022年 大阪) |
㉜バッテリーチェック等の情報を共有していない。
【事例】シカゴから成田空港に戻り降りる際に、車いす使用者が飛行機から降りるのに1時間25分を要した。なぜ、これほど時間がかかったかを対応したスタッフに聞いたところ、「電動車いすのブレーキの解除の仕方が分からず手間取った」というので、「ワシントンで搭乗する際に、ブレーキを解除するレバーなどの写真を■■航空のスタッフが撮影していた。それは共有されていないのか」とたずねたところ、「自分たちは業務委託をされているスタッフで、自分たちには情報共有はされない」とのことだった。業務委託をする際に、情報共有の仕組みは設けていないのか疑問に思う。 |
㉝本人に確認せずに勝手に座席配置を変更する。
【事例】●●空港からシカゴに旅行した時のこと。羽田空港からシカゴの便の座席に関して、私たちに一言も相談することなく、勝手に座席を変更していたことが、羽田でのチェックインの時に分かった。あらかじめ一人ひとりの障害状態にあわせて窓側席や通路席に座れるように旅行業者から手配をしてもらっていたのに、大幅に変更されていた。 通路側と窓側が変わっていたり、介護者と隣り合わせだったのが離ればなれになっていたりといった有り様だった。そのため、羽田空港でのチェックイン時に再度座席指定のやり直しをせざるを得ず、ここでも無駄な時間を要することになった。いったい、なぜ、私たちの希望も聞くことなく、勝手に座席を変更したのか不明である。(2022年 大阪) |
㉞職員に車椅子の取り扱いの研修を行っていない。職員が車椅子取り扱いの知識を持っていない。
【事例】シカゴから成田空港に到着し降機する時に、職員は機内でのアイルチェアの操作も不慣れなようで、車いす乗客が複数いるのに適当な順番で乗せようとするため、前の座席の者のアイルチェアが通路をふさいでいる状態で後ろの座席の者を先にアイルチェアに移動させようとしたりしていた(そのことで、後ろの座席の者は長時間アイルチェアの上で待機せざるを得なくなる)。また、車いすの取り扱いも不慣れな様子で、簡易型電動車いすのコントロールレバーを接続するケーブルを無理に引っ張ろうとして切断しかけたり、といったことがあった(2022年 大阪) |
㉟預けた車椅子が飛行中に破損しても航空会社は一切責任を負わない旨の誓約書への署名をもとめ、搭乗の要件とする。
【理由】 航空会社によっては、このような条件を設けている会社があります。これは障害に関連した車椅子を理由に搭乗を拒否するもので、新たに改定された基本方針の以下のアンダーラインを引いた記述に反した取り扱いです。不当な差別的取扱いに当たる事例として明記していただきたい。
障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針 第2 2 不当な差別的取扱い
(1)不当な差別的取扱いの基本的な考え方 ア 法は、障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否する又は提供に当たって場所・時間帯などを制限する、障害者でない者に対しては付さない条件を付けることなどにより、障害者の権利利益を侵害することを禁止している。なお、車椅子、補助犬その他の支援機器等の利用や介助者の付添い等の社会的障壁を解消するための手段の利用等を理由として行われる不当な差別的取扱いも、障害を理由とする不当な差別的取扱いに該当する。 |
㊱シップサイドまで自分の車椅子で行くことを本人が希望したにも関わらず、空港の車椅子への乗り換えを強要する。(搭乗橋近くにエレベーターがあり、物理的に可能な場合)
【事例】シップサイドまで自分の車いすに乗り換えたいと伝えていても、きちんと理解しているスタッフが少なく、搭乗口で空港の手動車いすに乗り換え、搭乗口からシップサイドまでのたったの十数メートルを空港の手動車いすで行って、シップサイドでアイルチェアに乗り換えという無駄な手間になることが本当に多いです。 また、乗る時はシップサイドまで自分の車いすで行けたとしても、到着地ではシップサイドまで持ってきていないことがあります。添乗員たちも早く機体から降ろしたいからと、とりあえず空港の手動車いすに乗せようとしてきます。 昨年ジュネーブから帰国した際は、事前に伝えていたにも関わらず連絡を受けていないので無理と言われ、自分の車いすは荷物受取のベルトコンベアーのところに放置されていました。(■■航空)。成田空港だったので、搭乗橋にエレベーター等もあり、物理的に輸送が困難な状況ではないのに、運ぶのに時間がかかると言って取り合ってもらえませんでした。(2022年 東京) |
㊲車椅子を預かる場合に従価料金制度を適用する。
【事例】航空機を利用した際に預けていた車椅子が破損した。その時は航空会社が全額賠償してくれたが、今後は車椅子は従価料金制度を適用すると言われた。従価料金制度は航空運賃とは別に車椅子使用者だけが保険料を支払わなければならない。(2017年愛媛) |
㊳車椅子使用者に数日前までに書類の提出を求める。
【理由】事業者によっては、以下のように3-5日前までに書類の提出をするように利用条件を設けている。これは車椅子使用者のみ一律に異なる取り扱いであり、差別的取扱いと考える。こういった利用制限をなくすように記載が必要。
- ●航空:車いすご利用のお客様は、ご予約完了後~出発予定日の3日前までに「車いす確認フォーム」をコンタクトセンターへ送付してください。
- ●航空が運航するフライトをご利用のお客様で、電動移動補助機器(電動車椅子を含む)をお預けになる場合は搭乗の5営業日前までに、電動車椅子仕様確認書をEメールにてご提出ください。
㊴機内通路用車椅子を用意しない
【理由】機内用車椅子がないと、車椅子使用者はトイレにいくことができない。歩行困難者はトイレに行くためには、機内用に乗ってトイレまで連れて行ってもらう合理的配慮が必要。合理的配慮を的確に実施するためには機内用車椅子は不可欠であり、差別的取扱いに当たると明記していただきたい。
- ●航空が運航する▲▲型機については、通路用車椅子はご利用いただけません。化粧室をご利用の際は、お客様ご自身または同伴者が付き添って化粧室までご移動いただくか、もしくはカテーテルなどをご用意いただく必要があります。
㊵医師の診断書の提出や同意書の提出を求める。
【事例】筋ジストロフィーで呼吸器を利用しているが、航空会社からフライト2週間以内の医師の診断書の提出を求められた。呼吸器を使えば飛行機でも問題ないのに、なぜ毎回医師の診断書の提出を求められるのか。毎回、病院に行って医師に診断書を書いてもらうのは時間的にも経済的にも負担が大きい。(2019年 兵庫) |
2.正当な理由があるため不当な差別的取り扱いにあたらない
(1)削除や見直しが必要なこと
㊶コミュニケーションに係る合理的配慮の提供に十分に努めた上で、緊急時等の客室乗務員の安全に関する指示が理解できないおそれのある利用者に対して付き添いの方の同伴を求める。
【理由】知的障害者等の一律の排除につながるのではないか。
㊷特別なお手伝いが必要な場合に、緊急時を含め、十分なサービスを提供できるよう当日空港で状況の確認を含めた搭乗手続きに時間を要する。
㊸定時性確保のため、搭乗手続きや保安検査に時間がかかることが予想される利用者には早めに空港に来てもらう。
3.合理的配慮 提供することが望ましい
(1)新たに加えていただきたいもの
㊹乗り継ぎ便がある場合、移動に時間がかかる人が乗り継ぎ時間に間に合うように移動のサポートや案内を行う。
【理由】乗り継ぎの場合、確実に間に合うように合理的配慮の提供を求めたい。
【参考資料】 DPIに寄せられた事例(2018年〜 現在まで)
【差別事例】
|
4.今後議論を深めてほしいこと
㊺呼吸器利用者は、バッテリーの機内持ち込み数の制限があったり、呼吸器を置く場所として複数席の購入を求められたり、制限が多い。こういった問題に対しても改善が必要。
Ⅸ.旅行業関係
正当な理由がなく、不当な差別的取扱いにあたるもの
(1)新たに加えていただきたいもの
㊻団体ツアーへの申し込みを、障害を理由に個人ツアーに変更させる。
【事例】団体ツアーに申し込んだら、障害のために歩くのが遅いのを理由に個人ツアーにされた。しかも、ツアー料金は大幅に高くなった。 |
経済産業省 差別解消法対応要領・指針に対するDPI意見
DPI日本会議
貴省に置かれましては平素より障害者の権利の向上にご尽力いただき、感謝申し上げます。以下、障害者差別解消法対応要領・対応指針に対するDPI日本会議の意見を送らせていただきます。赤字の部分が削除、修正、追加文書案となります。よろしくお願い申し上げます。
【別紙に対する意見】
障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の例
2 不当な差別的取扱いの例
(1)正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例
【加筆・修正意見】
〇 障害の種類や程度、サービス提供の場面における本人や第三者の安全性などについて考慮することなく、漠然とした安全上の問題を理由に施設利用を拒否または制限すること。
●DPIに寄せられた事例 ①とあるテーマパークのアトラクションで車椅子は後の一番端しか座らせてくれない。遠くから見るだけで、水がかかることもなく何も面白くない。なんで、障害者だけ面白くない席に割り当てられないといけないのか納得できない。消防法の届け出のために席がきまっているといっているが、とても通路が広くて問題ないようにおもうのになぜ不利な扱いを一方的に受けないといけないのか。 ②とあるテーマパークのアトラクションに乗る時に、電動車いすを手動に切り替えるように強く求められて、しぶしぶ従ったが、従業員は車椅子の操作がなれているわけでなく、遅いし、危なっかしいし、なぜ、手動にすることを求めるのか意味がわからなかった。従業員が遅いせいで、他のお客さんもみんなを待たせることになって、とても肩身がせまかった。 |
コメント:①の事例について
車いすを理由に場所を限定している。消防法を理由にしているが、テーマパーク側が作成し、届け出ている席の配置の問題。
コメント:②の事例について
障害を理由に電動を手動に切り替えるように制限している。電動車いすで移動すると他のお客さんとぶつかって危ないからという漠然とした安全上の理由による制限と考えられる。
【追加意見】
◯本人に直接、意思確認をせずに支援者や同伴者のみに確認をすること
●DPIに寄せられた事例 ①(直接差別)チケット購入手続きのときに予約番号確認とか、すべてのやりとりで、介助者の顔しか見ない人がいて腹が立った。ヘルパーが本人と話してくださいと言って初めて会話してくれる。しゃべっているのに存在を否定されるのはとても辛い。 |
コメント:意思の受領の否定は直接差別に当たる。本事例のように本人が目の前にいるにもかかわらず、入店の手配や注文を介助者とやりとりする事例がよく見られる。
◯他のお客に迷惑がかかることなどを理由に入店を拒むこと。
●DPIに寄せられた事例 ①(関連差別)ガラガラの店内、「車いすで入店は大丈夫ですか?」と店員に尋ねたところ「店長に確認します」と一度扉を閉められました。数秒後「車椅子での入店は他のお客様の迷惑になるのでお断りします」と言われました。合理的配慮などの提案は一切ありませんでした。(2019年・香川県) ②(直接差別)ラテアートで有名なカフェに簡易電動車いすの友人と入ろうとすると。最初は満席と断られ、席が空くまで待ちますと伝えましたが、今度は店内が狭いから、テーブルの高さが車いすに合わないから、他のお客さんがいて危ないから、など様々な理由で店内にすら入れてくれませんでした。交渉中もこちらから諦めさせるような方向で話されて、こんなお店にお金を払いたくないと思って行くのをやめました。(2022年・東京都) |
コメント:漠然とした安全上の理由や他のお客の迷惑になるからなど、様々な理由をつけて入店を拒否されたり、入店に際して制限をされたりする事例が数多く寄せられている。入店拒否は差別であるということを明確に示してほしい。
2 正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例
【加筆・修正意見】
〇 実習を伴う講座において、実習に必要な作業の遂行上具体的な危険の発生が見込まれる障害特性のある障害者に対し、本人との建設的対話の上で当該実習とは別の実習を設定すること。(障害者本人の安全確保の観点)
意見:障害者本人との建設的対話が必要です。主催者が危険と考えていても、障害者本人は危険と考えていない場合もあるため、「本人との建設的対話の上で」という文言を入れてください。
3 合理的配慮の例
(3)ルール・慣行の柔軟な変更の例
【加筆・修正意見】
○ セルフサービスのガソリンスタンドにおいて、他のフルサービス方式のガソリンスタンドを紹介する等の対応を取った上でも要望があった場合には、やむを得ない場合として、法令遵守等の安全確保を前提として給油の補助を行うこと。
●DPIに寄せられた事例 ①セルフガソリンスタンドで今まで店員が給油を手伝っていた。ところが、店長が変わり手伝いの結果何かあれば責任が取れないと拒否されるようになった。差別解消法の合理的配慮のことや経産省の対応指針に合理的配慮の具体例として「セルフサービスのガソリンスタンドにおいて、要望があった場合には、安全に配慮しつつ給油に協力する。」と書かれていることを伝えても「それは努力義務だ。だからしなくていい」と言われてしまった。 |
コメント:民間事業者の合理的配慮の義務化を踏まえ、店員による給油の補助が合理的配慮として確実に提供されるような例示が必要。アメリカではセルフのガソリンスタンドも「車椅子ユーザーはここに電話したら店員が出てきて給油します」と張り紙で掲示されている。
4 合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例
【追加意見】
○ 抽選申し込みとなっているセミナーや講座への参加で、介助者や支援者が必要な障害者が当選した場合に、介助者や支援者の同行を認めない。
コメント:抽選に当選したにもかかわらず、介助者や支援者がいなければ参加できない障害者に対して、その介助者や支援者の同行を認めないということは明らかな合理的配慮義務違反であると考えられる。
金融庁 差別解消法対応要領・指針に対するDPI意見
DPI日本会議
貴庁に置かれましては平素より障害者の権利の向上にご尽力いただき、感謝申し上げます。以下、障害者差別解消法対応要領・対応指針に対するDPI日本会議の意見を送らせていただきます。赤字の部分が削除、修正、追加文書案となります。よろしくお願い申し上げます。
【別紙に対する意見】
障害を理由とする不当な差別的取扱い、合理的配慮等の例
4 合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例
【追加意見】
〇 抽選申し込みとなっている講座への参加で、介助者や支援者が必要な障害者が当選した場合に、介助者や支援者の同行を認めない。
コメント:抽選に当選したにもかかわらず、介助者や支援者がいなければ参加できない障害者に対して、その介助者や支援者の同行を認めないということは明らかな合理的配慮義務違反であると考えられる。
●DPIに寄せられた事例 ①(関連差別)電話リレーサービスでの手続きを断られた(2022年 東京都) ②(合理的配慮の不提供)「行員による(誘導した操作が疑われるため)ATM操作の介助はできません。同伴の介助者にお願いします。」と断られる。ヘルパーに残高や暗証番号を知られるより、たとえ不正があっても解決に導き責任を追及しやすいため、行員なら信頼できると判断して従前は介助をお願いしてきた。本人が同行して自分の意志で操作依頼しているのに、尊厳を疎かにされる対応に感じる。(2020年 愛知県) ③(間接差別(障害を理由としない条件で結果的に障害者を排除している)と合理的配慮の不提供の複合事例)以前は、ATMの操作を銀行員が代わりにしてくれていたが、ある日に銀行に行くと、できないと断られた。理由は、取扱いが変わって、他の人が暗証番号を押すことが禁止されたということで、窓口で、通帳と印鑑を使って手続きをするように言われた。キャッシュカードだったら、早いのに、店舗があいている時間に窓口で順番待ちをしなくてはならない。障害者の場合には合理的配慮として代わりに操作してほしい。(2021年 大阪府) ④(環境整備が必要な事例)久しぶりに郵便局でなく、●●銀行をつかいました。液晶が車椅子の視線からまったく見えなくなりました。(以前の液晶は見えていました) そういう液晶にするなら、ボタンなどもつけてほしいと思いました。(2021年 大阪府) |
コメント:電話リレーサービスの利用やATM操作の代行補助、書類記入時の代筆対応などすでに盛り込んでいただいていますが、現場レベルではまだまだ対応が進んでいない実態もありますので、引き続きの取り組みをお願い致します。
農林水産省 差別解消法対応要領・指針に対するDPI意見
DPI日本会議
貴省に置かれましては平素より障害者の権利の向上にご尽力いただき、感謝申し上げます。以下、障害者差別解消法対応要領・対応指針に対するDPI日本会議の意見を送らせていただきます。赤字の部分が削除、修正、追加文書案となります。よろしくお願い申し上げます。
【別紙に対する意見】
障害を理由とする不当な差別的取扱い、合理的配慮等の例
1 正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例
【追加意見】
○ 障害があることを理由に入店を拒否、制限すること。
●DPIに寄せられた事例 ①(直接差別)車椅子で明らかに入れるお店で(段差少しあり)、お客も少なく席も空いているのに、「これから客が増えるから無理」だと断られた。車椅子から降りようとしても入れてくれなかった。(2017年・東京都) ②(直接差別)ランチタイムに車いす利用者と店に入ろうとすると「車いすの人は13時くらいからになります」と言われた。「じゃ、いいです」って他の店に行きました。(2018年・大阪府) ③(直接差別)ラテアートで有名なカフェに簡易電動車いすの友人と入ろうとすると。最初は満席と断られ、席が空くまで待ちますと伝えましたが、今度は店内が狭いから、テーブルの高さが車いすに合わないから、他のお客さんがいて危ないから、など様々な理由で店内にすら入れてくれませんでした。交渉中もこちらから諦めさせるような方向で話されて、こんなお店にお金を払いたくないと思って行くのをやめました。(2022年・東京都) ④(関連差別)盲導犬利用者と数名で回転ずし店に食事に行ったとき、「うちは生ものを扱っているのでちょっと困る。」と来店を拒否された。(2019年・東京都) ⑤(間接差別)●●カフェに行ったときに、店が混んでいるからという理由で、「車いすから降りて普通のいすに乗り換えてください」といわれた。僕は、車椅子から降りると一人で座っていられないので、気持ちも落ち込んで諦めて帰った。(2022年・大阪府) |
コメント:漠然とした安全上の理由や他のお客の迷惑になるからなど、様々な理由をつけて入店を拒否されたり、入店に際して制限をされたりする事例が数多く寄せられている。入店拒否は差別であるということを明確に示してほしい。
その他参考事例
- (関連差別)電動車いす2台で介助者をそれぞれ同伴して、昼食を摂ろうとした。お店の様子を見ると、入れそうに思えたので、入店したいと声をかけると、「店一杯だから、車椅子は困る」といわれた。電動車いすで来ていた一人が、「普通の席に座り、電動車いすを店の外に出しておくようにする」といっても、店員は、「通路におかれては迷惑、ビルの掃除の人に怒られる」といいつづけた。店員の身振りや表情が「車椅子なんてありえない」と車椅子に対して強い拒絶感がこちらに伝わり、何を言ってもダメな感じだった。腹が立ったが諦めてかえった。(2022年・大阪府)
- (関連差別)ガラガラの店内、「車いすで入店は大丈夫ですか?」と店員に尋ねたところ「店長に確認します」と一度扉を閉められました。数秒後「車椅子での入店は他のお客様の迷惑になるのでお断りします」と言われました。合理的配慮などの提案は一切ありませんでした。(2019年・香川県)
- (間接差別)飲食店で、お店が狭くカウンターで固定椅子だった。車椅子から降りて本人だけ固定椅子に移って座ってくれるなら入れますと言われた。しかし、座ることは難しいので諦めた。(2016年・愛媛県)
【追加意見】
○ 障害者本人を無視して介助者や付き添いの人に、話しかけたり注文等を聞くこと。
●DPIに寄せられた事例 ①(複合事例)介助者と共に周辺を散策して歩き疲れノドが渇き、アイスコーヒーでも飲もうと思い、喫茶店を見つけた。少し狭そうだったので、介助者に先に店の中を見てもらい、「入れそうだったですよ」と聞き、店に入ろうとすると「車イスは無理です」と言われ、そこのスペースはいけますよと言ったが、「車イスは無理です」と話しかけている本人には話さず、介助者に話しかけ、介助者は本人と話してくださいと言っても聞いてもらえず、あげくの果て私の体を手で押し返され外に出され、入店拒否された。(2018年・滋賀県) |
コメント:意思の受領の否定は直接差別に当たる。本事例のように本人が目の前にいるにもかかわらず、入店の手配や注文を介助者とやりとりする事例がよく見られる。本事例においては、加えて車椅子であることを理由とする入店拒否をしており、直接差別のみならず、関連差別も行っている複合事例であると言える。
2 正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例
【加筆・修正意見】
〇 実習を伴う講座において、実習に必要な作業の遂行上具体的な危険の発生が見込まれる障害特性のある障害者に対し、本人との建設的対話の上で当該実習とは別の実習を設定すること。(障害者本人の安全確保の観点)
意見:障害者本人との建設的対話が必要。主催者が危険と考えていても、障害者本人は危険と考えていない場合もあるため、「本人との建設的対話の上で」という文言を入れてほしい。
3 合理的配慮に当たり得る配慮の例
(1)物理的環境への配慮の例
【追加意見】
○ いすやテーブルなど移動できるものを活用して、車いすの人が来ても入店できるように状況に応じて店内のレイアウトを変更できるようにする。
●DPIに寄せられた事例 ①(合理的配慮の好事例)電動車いす一人で入店。店内はカウンター席の固定椅子とソファー席しかなかったが、店内で食べたいと伝えたところ、車いすでもテーブルに近づけそうな場所を一緒に探してくれた。カウンターの角なら椅子と椅子の間隔が広くて車いすでも近づけると言ってくれて、醤油差しや箸立て等を届きやすい場所に移動させてくれた。また、他のお客さんが角の椅子に座らないように調整してくれた。(2023年・東京都) |
○ 店内に注文を受けたり、料理を運ぶなど、店員に変わる作業を行うロボット等を活用する場合には、あらゆる障害者の移動や意思表示の決定に影響がないように環境整備に配慮するようにする。
●DPIに寄せられた事例 ①外食にいったときに、料理を運ぶロボットをよけられなくて困った。車椅子は横によけれない。ロボットは後にバックしてくれない。車椅子からだとロボットの料理は手が届かなくてとれない。通路でロボットに遭遇すると身動きできない。ロボットを導入するときに車いすの客のことも考えてほしいと思った。(2022年・大阪府) |
コメント:店内の無人化が進む中で、障害者が取り残されないことが今後の課題となる。
4 合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例
【追加意見】
〇 抽選申し込みとなっている講座への参加で、介助者や支援者が必要な障害者が当選した場合に、介助者や支援者の同行を認めない。
コメント:抽選に当選したにもかかわらず、介助者や支援者がいなければ参加できない障害者に対して、その介助者や支援者の同行を認めないということは明らかな合理的配慮義務違反であると考えられる。
2023年5月10日
総務省 差別解消法対応要領および対応指針に対するDPI意見
DPI日本会議
①投票所において付添人による代筆を拒否する。対応要領(6ページ)
〇 行政手続を行うため、障害者本人に同行した者が代筆しようとした際に、必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ、障害者本人に対し障害の状況や本人の手続の意思等を確認すること(障害者本人の損害発生の防止の観点)に関連して
【事例】選挙に行ったら、立会人が自分の言語障害を理解してもらえず、自分が投票したかった人とは違う人を投票せざるを得なかった。(2022年 中国地方 脳性麻痺者) |
➡DPIコメント:選挙では、投票所の職員が代筆することになっており、障害特性に不慣れな者では、本人の意思をくみ取れない。盲ろう者は、触手話や指点字といったコミュニケーション方法を用いるが、このような介助方法について理解できる者は、投票所に配置されていないため、投票をあきらめているケースもある。障害者本人が自分の障害特性をよく理解した付添人に代筆を依頼した場合、認めていただきたい。
②電話リレーサービスの利用を拒否する。対応要領(2ページ)
第6条相談体制の手段に電話リレーサービスを追記いただきたい。
【事例】電話リレーサービスを使い問い合わせをした際に『第三者が介入しているから』と答えていただけなかった。(2023年 京都府 聴覚障害者) |
【参考資料】 DPIに寄せられた事例(2017年〜現在まで) 【差別事例】〇(合理的配慮の不提供)相談支援従事者研修受講に当たり、講座テキストを.txtの電子ファイルで希望したが、受け取ったファイルは、文字化け、文の抜け落ち等あり、不十分なものだった。「できる限りやってみますが、全て行えるか分かりません」という対応に同意してはいたが、余りにも不完全だった。(2022年 東京都 視覚障害者) 〇(直接差別)都道府県主催の障害者雇用定着の連絡会に精神障害者の参加を拒絶された。(2018年 東京都 精神障害者) 〇(間接差別)県営住宅に申し込んだ、重度の障害の方が、町内会等が出来ない方は、申し込むことが出来ないと言われた。(2023年 福島県 肢体障害 車いす使用者) 〇(関連差別)障害者手帳はないが、障害基礎年金を受給していて、運動すると突然具合が悪くなって助けが必要になることが多い。ある障害者用公共施設の利用を希望したが、手帳がないという理由で拒否された。利用規則には「その他」として知事が認める場合があると書かれていたので認めてほしいと言ったが、「その他」は精神病で手帳をもっていない場合を想定しているとして、認められなかった。(2022年 東京都 難病内部疾患) 〇(合理的配慮の不提供)区民プールをよく利用していたが、更衣室の備え付けのいすが、突然変わり、背もたれがなく、高さが合わないものとなり、使用出来なくなった。パイプ椅子でいいので提供してほしいと頼んだが、事故が起きる恐れがあるので提供できないと、とても頑なな態度で問答無用で断られた。後で調べると、高齢者が椅子の金具が腐食していたことが原因で転倒事故があったとのこと。一方的に拒否するのでなく、どうすれば、安全に全ての人が利用できるかについて、建設的対話をしてほしかった。(2017年 大阪府 肢体障害 車いす使用者) |
【参考資料】 DPIに寄せられた事例(2017年〜 現在まで) 【合理的配慮の好事例】〇自立支援協議会の会議の時に、考えがまとまらず言葉が出て来ない時に、「こういう事ですか?」とヒントを出してくれ、考えていることを話しやすかった。 会議中に疲れている様子を伺ってくれ椅子をすすめてくれた。(2018年 東京都 精神障害者) 〇多職種連携交流勉強会に出席したとき、案内チラシが画像pdfでスクリーンリーダーでは読めなかったため、同内容のメール本文への貼り付け送信をお願いし、送信して頂けた。当日共有された参加者名のリストも事前送付頂けた。(2021年 東京都 視覚障害者) |
Ⅰ.放送業関係
(1)正当な理由がなく、不当な差別的取扱いにあたるもの
あらたに加えていただきたいもの
①観客向けに、手話通訳者が会場に配置されているのに、映らない
【理由】
東京オリンピックでは、観客向けに、手話通訳者が会場に配置されているのに、映らず、聴覚障害者へ情報が届かなかった。誰もが情報を得られるように、手話通訳が配置されている場合、映像に組み込んでほしい。
(2)正当な理由があるため不当な差別的取り扱いにあたらない
無し
(3)合理的配慮の提供 積極的に提供するべき
①ニュース速報の内容について、副音声等により読み上げる。
【理由】
視覚障害者の場合、テレビを音声で聞いているが、ニュース速報は、知らせる音が鳴るだけで、内容がわからない。そのため、副音声等で読み上げるなど、情報格差が起きないようにしてほしい。
(4)合理的配慮 提供することが望ましい
Ⅱ.郵便業関係
(1)正当な理由がなく、不当な差別的取扱いにあたるもの
あらたに加えていただきたいもの
①窓口等で荷物を受け取るときの身分証明で、障害者手帳以外の身分証明書の提示を求める。
【理由】
障害者手帳は、写真付きの公的機関が発行するものであるにもかかわらず、窓口等で荷物を受け取るときの身分証明で、障害者手帳以外の健康保険証等の提示を求められる。障害者は、運転免許証を持っていない者も多く、身分証明に困ることがある。
②障害者本人が回答できるのにも関わらず、介助者に話しかける。
【理由】
障害者本人に関わることは、介助者に聞くのではなく、まず本人に聞くのが原則である。
(2)正当な理由があるため不当な差別的取り扱いにあたらない
無し
(3)合理的配慮の提供 積極的に提供するべき
- 荷物の受け取り時、サインが必要なものについて、書字ができない場合、代筆する。
- 不在票に視覚障害者が分かるように点字を入れる。
(4)合理的配慮 提供することが望ましい
- 子どもや車いす使用者でも使いやすいように、投函口が低いポストを設置する。
Ⅲ.通信業関係
(1)正当な理由がなく、不当な差別的取扱いにあたるもの
あらたに加えていただきたいもの
①契約等について、介助者(ヘルパー)の代筆を断る。
【理由】
ヘルパーには、守秘義務が課せられており、障害者が信頼する介助者である。障害者本人の確認の元、ヘルパーによる代筆を認めるべきである。
以下、差別事例
携帯会社での、契約変更の際に代筆がかたくなにダメと言われましたが、これは差別ですよと言った所、代替案としてショップの店員が代筆をしますよと言ってくれました。⇒建設的対話により解決 |
(2)正当な理由があるため不当な差別的取り扱いにあたらない
※過度な負担の判断は、障害者の遺失利益、理由の正当性、方策がそれしかなかったときに限られる。さらに、慎重な判断が必要になる。(これはすべの分野で共通の考え方)
(3)合理的配慮の提供 積極的に提供するべき
- 固定電話等の通信機器について、ボタンを大きくするなど、ユニバーサルデザイン化に取り組む。
- サブスクリプションの利用に際し、電話やFAX、e-mail、電話リレーサービス等の多様な手段を用いて問い合わせに対応する。
- 来店予約について、電話やFAX、e-mail、電話リレーサービス等の多様な手段を用いて問い合わせに対応する。
- SNS等の絵文字(スタンプ)を音声読み上げに対応する。
(4)合理的配慮 提供することが望ましい
文部科学省所管事業分野における障害を理由とする
差別の解消の推進に関する対応指針案に対するDPI意見
DPI日本会議
貴省に置かれましては平素より障害者の権利の向上にご尽力いただき、感謝申し上げます。以下、障害者差別解消法対応要領・対応指針に対するDPI日本会議の意見を送らせていただきます。赤字の部分が削除、修正、追加文書案となります。よろしくお願い申し上げます。
- 「正当な理由の判断」と「過重な負担の考え方」の加筆と修正
- 研修(当事者参加と障害の社会モデル/人権モデルに基づく研修)
- 相談体制と事例の蓄積
- 不当な差別的取り扱いの事例の追加
- 新設された「合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例」に相談窓口に電話リレーサービス制度の対応を行わないことを明記すること。
- 正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例の追記
〇実習を伴う講座において、実習に必要な作業の遂行上具体的な危険の発生が見込まれる障害 特性のある障害者に対し、当該実習とは別の実習を設定する。(障害者本人の安全確保の観点)
→意見:障害者本人と建設的対話必要。主催者が危険と考えても、障害者本人は危険とは考えていない場合もある。「本人との建設的対話の上で」という文言を入れてほしい。
5.合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例の追記
→抽選申し込み。合理的配慮の提供義務に反しない事例に入っているが、合理的配慮の提供義務違反に該当する事例として「抽選申し込みとなっている講座への参加で、介助者や支援者が必要な障害者が当選した場合に、介助者や支援者の同行を認めない。」を加えてほしい。
第1 趣旨
1 障害者差別解消法の策定の経緯及び経過
【追加していただきたい文書】
令和4年8月に審査(建設的対話)が実施され、令和4年10月に「日本の第一回政府報告に対する総括所見」が国連障害者権利委員会から出された。この総括所見を尊重し、国内政策に反映する必要がある。特に、インクルーシブ教育については、「早急な措置」を求められていることに留意すべきである。
<理由>
|
第2 不当な差別的取り扱い及び合理的配慮の基本的な考え方
1 不当な差別的取り扱い
(1)正当な理由の判断の視点
関係事業者は、個別の事案ごとに具体的な検討を行った上で正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を丁寧に説明するものとし、理解を得るよう努めなければならない。
<変更理由>
【事例】①障害を理由に場所・時間帯等の制限、条件付けに該当すると思われる事例 修学旅行の直前まで、学校側がどのように参加できるかなどの相談を保護者にしないままにした結果、自費でのヘルパー同行(2名)を参加の条件とされた。また日頃から、ほぼ全時間の授業を「通常の教室」ではなく、別の部屋で行っており、通常の教室でどうしたら過ごせるかなどの検討を行っていない。(2022年、近畿地方) ②場所・時間帯等の制限、合理的配慮の不提供における正当な理由の説明なしの事例 入学前から教育相談をうけ通常級判定。しかし担任の先生からは合う前から「支援級の方がいい」配慮をお願いしても「それは支援級で」と何度も言われ、発達検査の結果を持って支援級に相談したら「何を支援したらいいかわからないから別の検査を受けてから」検査をうけたら「来年度の移籍に間に合わない」とどこも支援や配慮をしてくれない(2022年、関東地方)。 |
2 合理的配慮
(1)合理的配慮の基本的な考え方
ウ 意思の表明に当たっては、具体的場面において、社会的障壁の除去に関する配慮を必要としている状況にあることを言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文字、筆談、実物の提示、身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達など、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を介するものを含む。)により伝えられる。
また、意思の表明には、障害者からの意思の表明のみでなく、知的障害や精神障害(発達障害を含む。)等により本人の意思の表明が困難な場合には、障害者の家族、介助者、法定代理人その他意思の表明に関わる支援者等、コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含む。
なお、意思の表明が困難な障害者が家族やコミュニケーションを支援する者を伴っておらず、本人の意思の表明もコミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も困難であることなどにより、意思の表明がない場合であっても、当該障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には、法の趣旨に鑑み、当該障害者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど、自主的な取組に努めなければならない。
また、本人が意思表明をできる場合であっても、子どもであることから自身に必要な配慮が分からない等、社会的障壁の除去に関する配慮を必要としている状況にあることを表明できない場合も当該障害者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど、自主的な取組が求められることに留意する。
<変更・加筆理由>
基本方針の改正により、「建設的対話」と「代替措置の選択も含めた対応」が求められている。「当該障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合」であれば基本方針改正の趣旨も踏まえ、改正が必要。
子どもであるため、自身の必要な配慮が分からない場合や、大人に配慮を求めることが苦手な場合がある。コミュニケーションを取ることが出来ても、子どもという特性から発信が困難ということにも留意する必要がある。 【事例】① 建設的対話が務められなかった事例 肢体不自由の生徒が、高校入学前はエレベーターが付くことを伝えられ、高校に入学したが、入学後、エレベーターはいつまでもつかないままだった。学校側にエレベーターをつけて欲しい旨を伝えるが「知り合いの大学の教授から要望ばかりする生徒が増えて困るという話を聞いたことがある」と、話し合いを拒否するような返答があり、最終的には転校せざるを得なくなった。(2020年、九州地方) |
エ 合理的配慮は、障害者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、介助者や日常生活・学習活動などの支援を行う支援員等の人的支援、情報アクセシビリティの向上等の環境の整備を基礎として、個々の障害者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置である。したがって、各場面における環境の整備の状況により、合理的配慮の内容は異なることとなる。また、障害の状態等が変化することもあるため、特に、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、提供する合理的配慮について、適宜、見直しを行うことが重要である。
なお、学校のバリアフリー化については、令和2年度の「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」の改正により、一層の推進が求められている。
<変更理由>
|
さらに、文部科学省所管事業分野のうち学校教育分野については、障害者との関係性が長期にわたるなど固有の特徴を有することから、また、スポーツ分野についてはスポーツ基本法(平成 23 年法律第 78 号)等を踏まえて、文化芸術分野については文化芸術振興基本法(平成 13 年法律第 148 号)、障害者による文化芸術活動の推進に関する法律(平成30年法律第47号)等を踏まえて、各分野の特に留意すべき点を別紙2のとおり示す。
<変更理由>
|
【追加をお願いしたい文書】
オ.教育においては合理的配慮の提供において、障害児童生徒と学校との関係が反復継続し、長期にわたることが求められることを踏まえ、適宜、必要な配慮の内容の見直しを行うこと、ならびに、計画的な環境整備につとめることが必要である。
(2)過重な負担:の基本的な考え方
【追加をお願いしたい文章:国土交通省の対応指針参照】
「過重な負担」とは、主観的な判断に委ねられるのではなく、その主張が客観的な事実によって裏付けられ、第三者の立場から見ても納得を得られるような「客観性」が必要とされるものである。また、「過重な負担」を根拠に、合理的配慮の提供を求める法の趣旨が形骸化されるべきではなく、拡大解釈や具体的な検討もなく合理的配慮の提供を行わないといったことは適切ではない。
- 事務・事業への影響の程度(事務・事業の目的・内容・機能を損なうか否か)
- 実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約)
- 費用・負担の程度
- 事務・事業規模
- 財政・財務状況
<理由>
【事例】① 個別の事案ごとに具体的場面や状況に応じた検討を行うことなく、一般的・抽象的な理由に基づいて過重な負担に当たると判断された事例 書字障害のある生徒の高校入試の際、当該障害を理由として解答を筆記して行うことは困難であるため合理的配慮を求めたところ、「今までタブレットやPCを活用して受験した生徒はおらず、対応の手順の整備もなされていない」ことを理由に合理的配慮の提供を拒まれた |
(3)合理的配慮の具体例
合理的配慮の具体例は別紙1のとおりである。
なお、2(1)イで示したとおり、合理的配慮は、具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであり、掲載した具体例については、
○ 前提として、2(2)で示した過重な負担が存在しないこと
○ 事業者に強制する性格のものではないこと
○ これらはあくまでも例示であり、記載されている具体例に限られるものではないこと
に留意する必要がある。関係事業者においては、これらの合理的配慮の具体例を含む本指針の内容を踏まえ、具体的場面や状況に応じて柔軟に対応することが期待される。
第3 関係事業者における相談及び紛争の防止等のための体制の整備
関係事業者においては、障害者、その家族その他の関係者からの相談等に的確に対応するため、既存の一般の利用者等からの相談窓口等の活用や窓口の開設により相談窓口を整備することが重要である。特に、相談対応を行う人材の専門性の向上、相談対応の質の向上のため、継続した研修等を実施、情報収集に努める必要がある。また、ホームページ等を活用し、相談窓口等に関する情報を周知することや、相談時の配慮として、対話のほか、電話、ファックス、電子メール、筆談、読み上げ、手話、点字、拡大文字、ルビ付与など、障害の特性に応じた多様なコミュニケーション手段や情報提供手段を用意して対応することが望ましい。なお、ホームページによる周知に際しては、視覚障害者、聴覚障害者等の情報アクセシビリティに配慮し、例えば、音声読み上げ機能に対応できるよう画像には説明文を付す、動画を掲載する場合に字幕、手話等を付すなどの配慮を行うことが望ましい。
また、実際の相談事例については、プライバシーに配慮しつつ順次蓄積し、以後の合理的配慮の提供等に活用することが望ましい。
さらに、文部科学省所管分野のうち学校教育分野については、障害者との関係性が長期にわたるなど固有の特徴を有することから、特に留意すべき点を別紙2のとおり示す。
<変更理由>
|
第4 関係事業者における研修・啓発
関係事業者は、障害者に対して適切に対応し、また、障害者及びその家族その他の関係者からの相談等に的確に対応するため、障害の「社会モデル/人権モデル」に基づく研修等を通じて、法の趣旨の普及を図るとともに、障害に関する理解の促進を図ることが重要である。普及すべき法の趣旨には、法第1条に規定する法の目的、すなわち、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指すことが含まれる点にも留意する。
特に学校教育分野においては、教職員の理解の在り方や指導の姿勢が幼児、児童、生徒及び学生(以下「児童生徒等」という。)に大きく影響することに十分留意し、女性、性的マイノリティ、児童生徒等の発達段階に応じた支援方法、外部からは気付きにくいこともある難病等をはじめとした病弱(身体虚弱を含む。)、発達障害、高次脳機能障害等の理解、児童生徒等の間で不当な差別的取扱いが行われている場合の適切な対応方法等も含め、研修・啓発を行うことが望ましい。また、スポーツ分野や文化芸術分野においても、指導者等関係者の理解の在り方や指導の姿勢がスポーツや文化芸術活動に参加する者等に大きく影響することに十分留意した研修・啓発を行うことが望ましい。
研修・啓発においては、文部科学省や同省が所管する独立行政法人等が提供する各種情報を活用することが効果的である(独立行政法人国立特別支援教育総合研究所が運営する「インクルーシブ教育システム構築支援データベース」や独立行政法人日本学生支援機構が作成する「大学等における障害のある学生への支援・配慮事例」、「教職員のための障害学生修学支援ガイド」等)。また、研修・啓発の内容によっては、医療、保健、福祉等の関係機関や障害者関係団体と連携して実施することも効果的である。
<変更理由>
・総括所見(パラ10(c)及びパラ52(d)において、関係事業者が「障害の人権モデル」についての認識を高め、条約に基づく障害者の権利を理解するための研修・能力開発プログラムの実施が求められている。これを踏まえ、障害の「社会モデル/人権モデル」に基づく研修・啓発の推進と改訂基本方針にあわせ、障害のある子ども、女性、性的マイノリティ等に対応する際の留意点を追加。 【事例】 ①女性、性的マイノリティに応じた対応が無かった事例 特別支援学校高等部で、女子生徒がトイレ介助を女性教員から受けている際、男性教員が女性教員に用事を伝えるためにドアを開けて話かけてきた。とてもびっくりし、嫌な思いをした。(2020年、関東地方) |
別紙1
不当な差別的取扱い、合理的配慮等の具体例
1 不当な差別的取扱いに当たり得る具体例
障害のみを理由として、以下の取扱いを行うこと。
【追加をお願いしたい事例】
〇通常学級への入学、転入を拒否すること。
<理由>
【事例】 ●障害のみを理由として、通常学級への入学、転入を拒否する事例中学校進学の時、「通うのはいいけど何も支援しない(おそらく合理的配慮をしないと捉えられるような内容)」と言われて、不信感が募り、特別支援学校に入学した。しかし、地域の中学校で学びたいという気持ちから、地域の中学校への転校を希望した。地域の中学校への転校を希望すると、教育委員会から「前例がない」「障害の状態が治ったわけでもないのに地域の学校に転校することはおかしい」ということを理由に挙げられ、転校はできないと言われた。(2015~17年、九州地方) |
○学校、社会教育施設、スポーツ施設、文化施設等において、窓口対応を拒否し、又は対応の順序を後回しにすること。
○資料の送付、パンフレットの提供、説明会やシンポジウムへの出席等を拒むこと。
○社会教育施設、スポーツ施設、文化施設等やそれらのサービスの利用をさせないこと。
○学校への入学の出願の受理、受験、入学、授業等の受講や研究指導、実習等校外教育活動、入寮、式典参加を拒むことや、これらを拒まない代わりとして正当な理由のない条件を付すこと。
○試験等において合理的配慮の提供を受けたことを理由に、当該試験等の結果を学習評価の対象から除外したり、評価において差を付けたりすること。
【追加をお願いしたい事例】① 映画館のスタッフが、チケット購入手続きのときに、予約番号確認などのすべてのやりとりにおいて、介助者の顔のみ見て本人を見ていなかった。(2022年、近畿地方) ② サッカー観戦のために、いつものようにインターネットにてチケットを手配しようとしたが、その目的の試合に限って車椅子席の販売欄が設定されていなかった。そのことについては、同サイトには何らの案内もなされておらず、また、コールセンターの人からも明解な回答を得られなかった。(2022年、近畿地方) ③ とある寺院に車椅子で行けるか尋ねたところ、危険であることを理由に断られた。それに対し、手動への切り替えができる旨を伝えると、今度はエレベーターが狭いためという新たな理由を持ちだして断ろうとしてきた。(2023年、近畿地方) ④ プールに一人で泳ぎに行ったところ、介助者同伴でくるよう言われ、また、プールサイドで利用する車椅子を他の客の邪魔にならないように隅に移動するように言われた。(2019年、近畿地方) ⑤ 2日間のライブを見に行った時、両日とも車いす席で見る予定で係の人が車いす席を案内してくれたが、チケット上の席の方が見やすい席だったので、チケット上の席で見られるか係の人に聞いたところ、1日目の係員は認めて移動させてくれた。しかし、2日目の係員(初日とは別の人)からは車いすスペースで見るよう言われ、前方の席が空いていたのでその席まで行こうとしたが、前には行かないよう言われた。(2019年、関東地方) |
2 不当な差別的取扱いに当たらない具体例
○学校、社会教育施設、スポーツ施設、文化施設等において、合理的配慮を提供等するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ、障害者である利用者に障害の状況等を確認すること。
○本人・保護者が希望して、障害のある幼児、児童及び生徒のため、通級による指導を実施する場合において、また特別支援学級及び特別支援学校において、特別の教育課程を編成すること。
<変更理由>
|
3 合理的配慮に当たり得る配慮の具体例
(1)物理的環境への配慮や人的支援の配慮の具体例
①主として物理的環境への配慮に関するもの
【追加をお願いしたい事例】
<理由> 好事例を多く掲載することで社会に広げていくことができるため。 ① 聴覚過敏がある子を連れてキャラクターショーに行った際、その特性を近くにいた係員に伝えたところ、その係員はすぐに上司に連絡して、その上司からは直接、配慮する旨を伝えてもらった。そのことで最後まで楽しむことができた。(2022年、中部地方) ② 観劇の際、字幕のない舞台に字幕を付けて欲しいと要望したところ、実際に字幕を付けてもらえた。また、劇団や劇場も、字幕対応を行うことをSNSで発信し、鑑賞サポートの認知が広がることに努めていた。(2022年、関東地方) ③ リアル会場での映画上映会と監督や関係者のトークセッションの企画において、映画には日本語字幕がついており、また、トークセッションには文字通訳とタブレットの貸し出しがあった。日本語作品の上映に字幕がついていること自体が少なくて、また、舞台挨拶やトークとなると、情報保障が何もないのが一般的なので、このような取り組みはとても重要。(2022年、近畿地方) ④ 観劇の際、主催者から、字幕が表示されるタブレットの貸し出しがされた。自分の座席のところに三脚を立ててタブレットを設置して、舞台をみながら字幕を読む方法で、役者のせりふや劇中の歌詞をすべて把握できた。劇場は薄暗かったが字幕を読める程度の輝度があり、隣の席からは見えないので周囲に気をつかうこともなかった。(2022年、関東地方) ⑤ イベントの列において、車椅子利用者が開演前に優先的に案内されていた。(2022年、大阪府/2023年、関東地方) ⑥ 車椅子利用者がオペラを見に行った最、席を選ばせてくれた。一般座席で見てもいいか聞いたところ、認められた。また、電話でチケットを予約した際には言語障害を聞き取ってくれた。(2021年、近畿地方) |
(2)ルール・慣行の柔軟な変更の具体例
【追加をお願いしたい事例】
〇柔軟な基準や方法を用いて評価を行うこと。 <理由> ・評価について、合理的配慮がなされない事例が多く寄せられている。障害者権利委員会一般的意見4においても「評価」における合理亭配慮の必要性を指摘しており、具体例として追加すべき。 【事例】 腕と足に障害があるから、体育は見学してくださいと言っておいて、見学だから通信簿を2にするのは、おかしい。見学した代わりにレポートを出せば、出席とみなすと言っていたのに、2はおかしい。まじめにやってない生徒でも、出席だけで3はもらっているのに、まじめにレポートを書いても、2より上はもらえない。障害者だから低くされている。(2023年、東北地方) |
4 合理的配慮の不提供による差別に当たり得る具体例
【追加をお願いしたい事例】
① 書字障害のある生徒の高校入試の際、当該障害を理由として解答を筆記して行うことは困難であるため合理的配慮を求めたところ、「今までタブレットやPCを活用して受験した生徒はおらず、対応の手順の整備もなされていない」ことを理由に拒むこと。(2021年、中部地方) ② ライブの鑑賞時に、車椅子を利用しているため前に人が立つと見えなくなる。そのため、50cm以上の高さのある台を用意するか最前列に車椅子席を配置するかして欲しいと要望すると、ほかの健常者との平等や安全第一を理由に断られることが多々ある。(2021年、近畿地方) ③ 聴覚障害のある知人が舞台を観る際に、字幕がないため台本貸し出しを求めたところ拒否された。(2022年、関東地方) ④ 聴覚障害のため、コンサートでのMCで出演者が話すことを聞くために手話通訳を導入するよう求めても、具体的な理由の説明もなくできないの回答のみで一方的に話を止められてしまう。肢体不自由者のための車椅子スペースは設けられているのに手話通訳の設置はないことに疑問を覚える。(2022年/2020年、関東地方) ⑤ 聴覚障害のため、コンサートに字幕や手話通訳派遣の観劇サポートに関する要求を出すも、手話通訳者は自分で手配するよう言われたり、字幕は歌詞についてのみであったりした。(2022年、近畿地方) ⑥ コンサートに行くにあたり、事前に、電動車いすであるため1階の車椅子席で見たいことを伝えていたところ、当日のスタッフに、車いす席は2階であることやエレベーターがないためスタッフが電動車いすを抱えて移動させる旨を言われた。それは危険であることや、いつも同会場では1階席で見ていることを伝えても対応は変わらず、ライブを見ることを断念せざるを得なかった。(2017年、中部地方) ⑦ 公営プールの更衣室の備え付けの椅子が、何の予告もなく利用しづらいものに変更された。そのために車椅子での移動もしづらくなり、ゾーンの確保と利用しやすい椅子の提供を依頼したが、事故が起きる恐れがあるので提供できないと、とても頑なな態度で問答無用で断られた。(2017年、近畿地方)
|
別紙2
分野別の留意点
学校教育分野
1 総論
権利条約のうち、教育分野について規定した第24条は、教育についての障害者の権利を認めることを明言し、「インクルーシブ教育システム」(inclusive education system、障害者を包容する教育制度)及び生涯学習の確保を締約国に求めている。
これらは、人間の多様性の尊重等の強化、障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みであり、障害のある者が一般的な教育制度から排除されないこと、自己の生活する地域において初等中等教育の機会が与えられること、個人に必要な合理的配慮が提供されること等が必要とされている。
(追加):さらに、令和4年9月に、障害者権利委員会から出された総括所見では、分離教育を終わらせることを目的とした教育政策・法律、インクルーシブ教育を国家として計画的に進めることや、障害のある児童がインクルーシブ教育を受ける権利があることを認識することが強く求められている。
障害者基本法においては、第4条第1項において「何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない」と、また、同条第2項において「社会的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現に存し、かつ、その実施に伴う負担が過重でないときは、それを怠ることによって前項の規定に違反することとならないよう、その実施について必要かつ合理的な配慮がされなければならない」とされている。さらに、国及び地方公共団体は、教育基本法(平成18年法律第120号)第4条第2項において「障害のある者が、その障害の状態に応じ、十分な教育を受けられるよう、教育上必要な支援を講じなければならない」とされているほか、障害者基本法第16条第1項において「障害者が、その年齢及び能力に応じ、かつ、その特性を踏まえた十分な教育が受けられるようにするため、可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒と共に教育を受けられるよう配慮しつつ、教育の内容及び方法の改善及び充実を図る等必要な施策を講じなければならない」とされている。
学校教育分野においては、これらの規定も踏まえて既に権利条約等への対応のための取組が進められており、合理的配慮等の考え方も、中央教育審議会初等中等教育分科会が平成24年7月に取りまとめた「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)」(以下「報告」という。)及び文部科学省高等教育局長決定により開催された「障がいのある学生の修学支援に関する検討会」が平成24年12月に取りまとめた「障がいのある学生の修学支援に関する検討会報告(第一次まとめ)」により示されている。
教育基本法第4条第2項による義務を負うのは国及び地方公共団体であるが、障害者基本法第4条及び同条を具体化する法の理念を踏まえ、学校教育を行う事業者においても、これらの有識者会議により示された考え方を参考とし、取組を一層推進することが必要である。また、専修学校及び各種学校を設置する事業者においては、後述する初等中等教育段階又は高等教育段階のうち相当する教育段階の留意点を参考として対応することが望ましい。
なお、有識者会議により示された考え方は、特別支援教育及び障害のある学生の修学支援の全体に関するものであり、現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明を受けて行う合理的配慮の提供にとどまらず、これらに基づく取組を推進することにより、当該意思の表明がない場合にも、適切と思われる配慮に関する建設的対話を働きかけるなどの自主的な取組も推進され、自ら意思を表明することが必ずしも容易ではない児童生徒等も差別を受けることのない環境の醸成につながることが期待される。
<加筆理由>
|
2 初等中等教育段階
(1)合理的配慮に関する留意点
障害のある幼児、児童及び生徒に対する合理的配慮の提供については、中央教育審議会初等中等教育分科会の報告に示された合理的配慮の考え方を踏まえて対応することが適当である。具体的には、主として以下の点に留意する。
ア 合理的配慮の合意形成に当たっては、権利条約第 24 条第1項にある、人間の多様性の尊重等の強化、障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするといった目的に合致するかどうかの観点から検討が行われることが重要である。
イ 合理的配慮は、一人一人の障害の状態や教育的ニーズ等に応じ、設置者・学校(学校教育法(昭和 22 年法律第 26 号)第1条に規定する学校(大学及び高等専門学校を除く。)をいう。以下同じ。)及び本人・保護者により、発達の段階を考慮しつつ合意形成を図った上で提供されることが望ましく、その内容を個別の教育支援計画に明記することが重要である。
ウ 合理的配慮の合意形成後も、幼児、児童及び生徒一人一人の発達の程度、適応の状況等を勘案しながら柔軟に見直しができることを共通理解とすることが重要である。
エ 合理的配慮は、障害者がその能力を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みであるインクルーシブ教育システムの理念に照らし、その障害のある幼児、児童及び生徒が十分な教育が受けられるために提供できているかという観点から評価することが重要である。例えば、個別の教育支援計画や個別の指導計画について、各学校において計画に基づき実行した結果を評価して定期的に見直すなど、PDCAサイクルを確立させていくことが重要である。
オ 進級や進学等の移行時においても途切れることのない一貫した支援を提供するため、個別の教育支援計画の引継ぎ、学校間や関係機関も含めた情報交換等により、合理的配慮の引継ぎを行うことが必要である。
(2)相談体制の整備に関する留意点
【追加をお願いしたい文書】
特別支援コーディネーターを含む関係事業者は、障害者権利条約が求めるインクルーシブ教育の権利に関する認識を深めるとともに、次の体制の整備を行い、組織として十分に機能することが重要である。
<理由>
「第3 関係事業者における相談及び紛争の防止等のための体制の整備」で前述のとおり、改正差別解消法においては、相談等の体制整備が重視されている。特に、初等中等教育段階においては、本人・保護者が通常学級への進学を希望していても入学を拒否される、特別支援学校/学級を勧められる事例が全国で散見され、訴訟等の紛争に発展した事例もある。インクルーシブ教育や障害者の権利に関係者のさらなる認識が必要であるため。 |
ア 特別支援教育コーディネーターの指名
各学校の校長は、各学校における特別支援教育の推進のため、主に、2(3)イに述べる校内委員会や校内研修の企画・運営、関係諸機関や関係する学校との連絡・調整、保護者からの相談窓口などの役割を担う教員を「特別支援教育コーディネーター」に指名し、校務分掌に明確に位置付ける。
また、校長は、特別支援教育コーディネーターが合理的配慮の合意形成、提供、評価、引継ぎ等の一連の過程において重要な役割を担うことに十分留意し、学校において組織的に機能するよう努める。
イ 特別支援教育に関する校内委員会の設置 外部資源の活用(障害者関係団体等との連携)
各学校においては、校長のリーダーシップの下、全校的な支援体制を確立し、障害のある又はその可能性があり特別な支援を必要としている幼児、児童及び生徒の実態把握や支援方策の検討等を行うため、校内に特別支援教育に関する校内委員会を設置する。
校内委員会は、校長、教頭、特別支援教育コーディネーター、教務主任、生徒指導主事、通級による指導担当教員、特別支援学級担当教員、養護教諭、対象の幼児、児童及び生徒の学級担任、学年主任、その他必要と認められる者などで構成する。
ア 校内体制の強化
学校においては、主として学級担任や特別支援教育コーディネーター等が、幼児、児童及び生徒・保護者等からの相談及び現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明を最初に受け付けることが想定される。各学校は、相談等を受けた学級担任等特別支援教育コーディネーター等と本人・保護者との対話による合意形成が困難である場合には、校内委員会を含む校内体制への接続が確実に行われるようにし、校長のリーダーシップの下、合意形成に向けた検討を組織的に行うことが必要である。
イ 外部資源の活用
このような校内体制を用いてもなお合意形成が難しい場合は、設置者である学校法人等が、障害者関係団体、法的知見を有する専門家等の助言を得るなどしつつ、法の趣旨に即して適切に対応することが必要である。
<変更理由>
【事例】①来年小学校へ入学するにあたり、学校に相談に行ったら、できるだけみんなと同じ教室で学びたいという希望を伝えているにもかかわらず、「週の半分の時間は、通常の学級ではなく、特別支援学級で行います」と伝えられた。(2022年、近畿地方) ②民間学童保育について、発達障害を持ち特別支援学級に所属している私の子どもが利用できるか問い合わせたところ、「うちは学習塾が運営しているので、特別支援学級の児童は受け入れていない」と利用を断られた。(2022年、関東地方) |
(3)研修・啓発に関する留意点
基本方針は、地域住民等に対する啓発活動として、「障害者差別が、本人のみならず、その家族等にも深い影響を及ぼすことを、国民一人ひとりが認識するとともに、法の趣旨について理解を深めることが不可欠であり、また、障害者からの働きかけによる建設的対話を通じた相互理解が促進されるよう、障害者も含め、広く周知・啓発を行うことが重要である」としている。
この周知・啓発において学校教育が果たす役割は大きく、例えば、障害者基本法第 16条第3項にも規定されている障害のある幼児、児童及び生徒と障害のない幼児、児童及び生徒の交流及び共同学習は、障害のない幼児、児童及び生徒が障害のある幼児、児童及び生徒と特別支援教育に対する正しい理解と認識を深めるための絶好の機会であり、同じ社会に生きる人間として、お互いを正しく理解し、共に助け合い、支え合って生きていくことの大切さを学ぶ場である。また、障害のある幼児、児童及び生徒の保護者、障害のない幼児、児童及び生徒の保護者ともに、このような学校教育に関わることにより、障害者に対する理解を深めていくことができる。
学校においては、学校教育が担う重要な役割を認識し、幼児、児童及び生徒の指導や保護者との連絡に携わる教職員一人一人が、研修等を通じて、法の趣旨を理解するとともに、障害に関する理解を深めることが重要である。
3 高等教育段階
(4)学生・教職員の理解促進・意識啓発を図るための配慮
障害のある学生からの様々な相談は、必ずしも担当部署に対して行われるとは限らず、障害のある学生の身近にいる学生や教職員に対して行われることも多いと考えられる。それらに適切に対応するためには、障害により日常生活や学習場面において様々な困難が生じることについて、周囲の学生や教職員が理解していることが望ましく、その理解促進・意識啓発を図ることが重要である。情報の共有に関しては、本人の尊厳が守られるべきであるため、共有方法・共有内容等については、本人と相談した上ですすめることに留意する。
【事例】
大学入学時、オリエンテーションの場面で障害のある学生のみが、自身の障害と特性について発言し、「よろしくお願いします」と言う場面があったが、300名程の前で話す必要はあったのか。内容よりも、彼らが話しづらそうにしていた姿が印象的だった。(2010年、関東地方) |
スポーツ・文化芸術分野
スポーツ分野については、スポーツ基本法第2条第5項において、「スポーツは、障害者が自主的かつ積極的にスポーツを行うことができるよう、障害の種類及び程度に応じ必要な配慮をしつつ推進されなければならない。」と規定されている。スポーツに関する施設及びサービス等を提供する事業者においては、障害の有無にかかわらず誰もが楽しく安全にスポーツに親しむことができる環境を整備し、障害者がスポーツに参加する機会の拡充を図るとの基本的な考え方を踏まえて対応することが適当である。
文化芸術分野について、文化芸術振興基本法の前文は、「我が国の文化芸術の振興を図るためには、文化芸術活動を行う者の自主性を尊重することを旨としつつ、文化芸術を国民の身近なものとし、それを尊重し大切にするよう包括的な施策を推進していくことが不可欠である」という基本理念があり、また「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律(平成30年法律第47号)では、基本理念の一つとして「文化芸術を創造し,享受することが人々の生まれながらの権利であることに鑑み,国民が障害の有無にかかわらず,文化芸術を鑑賞し,これに参加し,又はこれを創造することができるよう,障害者による文化芸術活動を幅広く促進すること。」との理念を掲げている。文化芸術分野の事業者においては、この理念に基づき、障害の有無にかかわらず、誰もが文化芸術活動に親しむことができるよう、適切に対応することが重要である。
具体的には、以下の点に留意する。
○ 合理的配慮は、一人一人の障害の状態や必要な支援、活動内容等に応じて決定されるものである。本人・保護者等とよく相談し、可能な限り合意形成を図った上で決定し、提供されることが望ましい。
○ 障害者が使用する用具等が施設の管理・維持に与える影響の程度については、具体的場面や状況により異なるものであるため、当該場面や状況に応じて、柔軟に対応することが重要である。
<変更理由>
旧対応方針では「文化芸術振興基本法」が引用されているが、平成30年に施行された上記法律の基本理念等(「国民が障害の有無にかかわらず、文化芸術を鑑賞し、これに参加し、又はこれを創造することができるよう」)を引用すべき。
|
法務省所管事業(公証人・司法書士・土地家屋調査士)分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針案に対するDPI意見
貴省に置かれましては平素より障害者の権利の向上にご尽力いただき、感謝申し上げます。以下、障害者差別解消法対応要領・対応指針に対するDPI日本会議の意見を送らせていただきます。赤字の部分が削除、修正、追加文書案となります。よろしくお願い申し上げます。
- 「正当な理由の判断」と「過重な負担の考え方」の加筆と修正
- 研修(当事者参加と障害の社会モデル/人権モデルに基づく研修)
- 相談体制と事例の蓄積
- 不当な差別的取り扱いの事例の追加
- 新設された「合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例」に相談窓口に電話リレーサービス制度の対応を行わないことを明記すること。
- 正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例の追記
〇実習を伴う講座において、実習に必要な作業の遂行上具体的な危険の発生が見込まれる障害 特性のある障害者に対し、当該実習とは別の実習を設定する。(障害者本人の安全確保の観点)
→意見:障害者本人と建設的対話必要。主催者が危険と考えても、障害者本人は危険とは考えていない場合もある。「本人との建設的対話の上で」という文言を入れてほしい。
5.合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例の追記
→抽選申し込み。合理的配慮の提供義務に反しない事例に入っているが、合理的配慮の提供義務違反に該当する事例として「抽選申し込みとなっている講座への参加で、介助者や支援者が必要な障害者が当選した場合に、介助者や支援者の同行を認めない。」を加えてほしい。
第1 趣旨
1 障害者差別解消法の制定の経緯
【追加をお願いしたい文書】
令和4年8月に審査(建設的対話)が実施され、令和4年10月に「日本の第一回政府報告に対する総括所見」が国連障害者権利委員会から出された。この総括所見を尊重し、国内政策に反映する必要がある。
第2 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方
1 不当な差別的取扱い
(2)正当な理由の判断の視点
関係事業者は、個別の事案ごとに具体的な検討を行った上で正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を丁寧に説明するものとし、理解を得るよう努めなければならない。
<変更理由>
|
2 合理的配慮
(1)合理的配慮の基本的な考え方
ウ 意思の表明に当たっては,具体的場面において,社会的障壁の除去に関する配慮を必要としている状況にあることを言語(手話を含む。)のほか,点字,拡大文字,筆談,実物の提示や身振りサイン等による合図,触覚による意思伝達など,障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を介するものを含む。)により伝えられる。
また,障害者からの意思表明のみでなく,知的障害や精神障害(発達障害を含む。)等により本人の意思表明が困難な場合には,障害者の家族,支援者・介助者,法定代理人等,コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含む。
なお,意思の表明が困難な障害者が,家族,支援者・介助者,法定代理人等を伴っていない場合など,意思の表明がない場合であっても,当該障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には,法の趣旨に鑑みれば,当該障害者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど,自主的な取組に努めなければならない。
(2)過重な負担の基本的な考え方
過重な負担については,事業者において,具体的な検討をせずに過重な負担を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく,個別の事案ごとに,以下の要素等を考慮し,具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。
【追加をお願いしたい文書:国交省対応指針を参考】
「過重な負担」とは、主観的な判断に委ねられるのではなく、その主張が客観的な事実によって裏付けられ、第三者の立場から見ても納得を得られるような「客観性」が必要とされるものである。また、「過重な負担」を根拠に、合理的配慮の提供を求める法の趣旨が形骸化されるべきではなく、拡大解釈や具体的な検討もなく合理的配慮の提供を行わないといったことは適切ではない。
<理由>
【個別の事案ごとに具体的場面や状況に応じた検討を行うことなく、一般的・抽象的な理由に基づいて過重な負担に当たると判断された事例(教育分野ですが、他分野でも多くの事例が寄せられており、各省共通のお願いにさせていただいています)】 書字障害のある生徒の高校入試の際、当該障害を理由として解答を筆記して行うことは困難であるため合理的配慮を求めたところ、「今までタブレットやPCを活用して受験した生徒はおらず、対応の手順の整備もなされていない」ことを理由に合理的配慮の提供を拒まれた |
(3)合理的配慮の具体例
第3 事業者における相談体制の整備
第4 事業者における研修・啓発
事業者は,障害者に対して適切に対応し,また,障害者及びその家族その他の関係者からの相談等に的確に対応するため,研修等を通じて,法の趣旨の普及を図るとともに,障害に関する理解の促進を図ることが重要である。権利条約の趣旨に基づいて社会モデル/人権モデルに基づいた研修を入れてほしい。特に司法書士の成年後見業務に必要。
第5 相談窓口
法務省民事局総務課公証係(公証人関係)
同局民事第二課司法書士土地家屋調査士係(司法書士・土地家屋調査士関係)
別紙
障害を理由とする不当な差別的取扱い、合理的配慮等の具体例
1 不当な差別的取扱いに当たり得る具体例
障害を理由として,以下の取扱いを行うこと。
〇実習を伴う講座において、実習に必要な作業の遂行上具体的な危険の発生が見込まれる障害特性のある障害者に対し、本人との建設対話の上で当該実習とは別の実習を設定する。(障害者本人の安全確保の観点)
<理由>
抽象的に「危険の恐れ」「安全の確保」という理由で、施設やサービス利用を拒否される事例が散見される。障害者本人と建設的対話必要。主催者が危険と考えても、障害者本人は危険とは考えていない場合もある。「本人との建設的対話の上で」という文言を入れるべき。 |
【追加をお願いしたい事例】
- 正当な理由なく、本人の意思又はその家族等の意思(障害のある方の意思を確認することが困難な場合に限る。)に反するサービスを行うこと(厚労省福祉サービス事業者向けガイドラインを参照)
<理由>
司法書士が成年後見制度上の後見人等になることが多い。成年後見制度については様々な議論があり、現在政府レベルでの見直しの議論も進んでいる。本人が望まないのに制度利用をさせることはサービス利用の制限にあたり、不当な差別的取り扱いとなる。制度の利用にあたっては本人の意思の確認ならびに意思決定支援を行ったうえで利用をすることが前提であり、これは厚労省のガイドラインと同趣旨の事例を入れるべきと考える。 |
- 事業者が管理する事務所に来所して身分証明書として療育手帳を提示した軽度な知的障害者が自筆証書遺言の作成を依頼した場合に、当該障害者の知的能力及び意思並びに作成を希望する遺言書の内容の確認をまったく行うことなく、単に療育手帳の交付を受けていることのみをもって当該依頼を拒絶すること。
<理由>
実際にDPIに寄せられた事例であり、参考となると考えるため |
【追加をお願いしたい項目】
4 合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例の追記
→抽選申し込み。合理的配慮の提供義務に反しない事例に入っているが、合理的配慮の提供義務違反に該当する事例として「抽選申し込みとなっている講座への参加で、介助者や支援者が必要な障害者が当選した場合に、介助者や支援者の同行を認めない。」を加えてほしい。
以上