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【地域生活】DPI日本会議 総括所見の分析と行動計画①

2023年04月04日 地域生活障害者権利条約の完全実施

計画

DPIでは、昨年9月に国連障害者権利委員会から日本政府に出された総括所見を分析し、今後改正が必要な法制度についてまとめた「DPI日本会議総括所見の分析と行動計画」を策定しました。

DPIでは8つの部会がありますので、地域生活、バリアフリー、権利擁護、インクルーシブ教育、雇用・労働・所得保障、障害女性、国際協力、尊厳性、その他というようにテーマ別に分けてまとめております。いずれも、勧告内容、法律・制度・施策の改善ポイント、短期・中期・長期(一部)の行動計画というようにまとめています。

かなり長くなりますので、本日から活動分野ごとに公開していきます。

今回は障害者の地域生活に関する「第19条 自立した生活及び地域社会への包容」「第20条 個人の移動を容易にすること」の①総括所見と②懸念・勧告で指摘していること(課題の抽出)、DPIとしての評価(コメント)、③DPIの行動計画になります。

次回の建設的対話は2028年を予定しています。それまでに、総括所見で指摘された課題を1つでも多く改善できるように、取り組んで行きたいと思います。

クリックすると各条文に移動します

是非ご覧ください。


【第19条 自立した生活及び地域社会への包容】
総括所見(外務省仮訳)

41.委員会は、以下を懸念をもって注目する。

  1. 知的障害者、精神障害者、障害のある高齢者、身体障害者及びより多くの支援を必要とする障害者、特に地域社会の外にある施設で生活する障害者、並びに、家族及び地域生活を奪う様々な種類の施設における、障害のある児童の中で、特に、知的障害、精神障害もしくは感覚障害のある児童及び児童福祉法を通じた、より多くの支援を必要とする児童の施設入所の永続。
  2. 公的及び民間の精神科病院における精神障害者及び認知症を有する者の施設入所の推進。特に、精神障害者の期限の定めのない入院の継続。
  3. 保護者の下で、実家で生活している者、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律の下でグループホームのような特定の施設形態に置かれる者も含め、障害者が居住地及びどこで誰と生活するかを選択する機会が限定的であること。
  4. 居住施設や精神科病院にいる障害者の脱施設化及び他の者との平等を基礎とし、障害者の地域社会での自立した生活のための、自律と完全な社会的包容の権利の認識不足を含む国家戦略及び法的枠組みの欠如。
  5. 利用しやすく負担しやすい費用の住居、在宅サービス、個別の支援【パーソナルアシスタンス】及び地域社会におけるサービスを利用する機会を含む、障害者が地域社会で自立した生活を送るための支援の整備が不十分であること。
  6. 障害の医学モデルに基づく地域社会における支援及びサービスの供与に関する評価形態。

42.自立した生活及び地域社会への包容に関する一般的意見第5号(2017年)及び脱施設化に関する指針(2022年)に関連して、委員会は締約国に以下を要請する。

  1. 障害者を居住施設に入居させるための予算の割当を、他の者との平等を基礎として、障害者が地域社会で自立して生活するための整備や支援に再配分することにより、障害のある児童を含む障害者の施設入所を終わらせるために迅速な措置をとること。
  2. 地域社会における精神保健支援とともにあらゆる期限の定めのない入院を終わらせるため、精神科病院に入院している精神障害者の全ての事例を見直し、事情を知らされた上での同意を確保し、自立した生活を促進すること。
  3. 障害者が居住地及びどこで誰と地域社会において生活するかを選択する機会を確保し、グループホームを含む特定の生活施設で生活する義務を負わず、障害者が自分の生活について選択及び管理することを可能にすること。
  4. 障害者の自律と完全な社会包容の権利の承認、及び都道府県がその実施を確保する義務を含め、障害者の施設から他の者との平等を基礎とした地域社会での自立した生活への効果的な移行を目的として、障害者団体と協議しつつ、期限のある基準、人的・技術的資源及び財源を伴う法的枠組み及び国家戦略に着手すること。
  5. 独立し、利用しやすく負担しやすい費用の、いかなる集合住宅の種類にも含まれない住居、個別の支援【パーソナルアシスタンス】、利用者主導の予算及び地域社会におけるサービスを利用する機会を含む、障害者の地域社会で自立して生活するための支援の整備を強化すること。
  6. 障害者にとっての社会における障壁の評価及び障害者の社会参加及び包容のための支援の評価を含む、障害の人権モデルに基づいた、地域社会における支援及びサービス提供を確保するため、既存の評価形態を見直すこと。

1.懸念・勧告で指摘していること(課題の抽出)、DPIとしての評価(コメント)

(1)懸念

  1. 入所施設への収容が続いていて、障害のある人・子どもの自立生活の機会が奪われている。(41a)
  2. 精神障害者、認知症患者の入院が増加しており、特に退院期限のない入院が継続している。(41b)
  3. 親元やGHでの生活のように障害者本人がどこで誰と暮らしたいかを選択する権利がきちんと保障されていない。(41c)
  4. 脱施設・脱病院のための国レベルでの計画および法的枠組みがない。(41d)
  5. 障害者の地域自立生活のための社会資源が不十分。(41e)
  6. 障害支援区分認定をはじめとする障害福祉サービスの支給決定の仕組みが医学モデル。(41f)

(2)勧告

  1. 施設収容を廃止するために入所施設から地域での自立生活に予算配分を振り向ける(42a)
  2. 精神科病院に入院中のおける「すべての障害者のケース」を見直すこと、無期限の入院をやめること、インフォームド・コンセントの確保と地域移行(42b)
  3. 親元やGHから一人暮らし等の自立生活への移行(42c)
  4. 障害者団体参画のもと、地域移行のための期限付きの目標設定、立法措置や国家戦略の策定、および都道府県への実施義務付け(42d)
  5. 障害者の地域自立生活のための住宅の確保、パーソナルアシスタンスの利用のしやすさ(42e)
  6. 障害者支援区分認定をはじめとする障害福祉サービスの支給決定の仕組みを人権モデルにする。(42f)

(3)DPIとしての評価


【第20条 個人の移動を容易にすること】
総括所見(外務省仮訳)

43.委員会は、以下を懸念する。

  1. 法的な制限が、地域生活支援サービスを、通勤や通学、又はより長い期間を目的に利用することを許容しないこと。
  2. 特に大都市以外の地域に居住する障害者は、質の高い移動補助具、支援機器、支援技術及び人又は動物による支援及び仲介する者の利用する機会が不十分であること。

44.委員会は、締約国に以下を勧告する。

  1. 全ての地域における障害者の移動が制限されないことを確保するために、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律の下での制限を排除すること。
  2. 地域での修理の促進、政府や税による補助金の提供、税金や関税の免除等を含め、必要な移動補助具、支援機器、支援技術が全ての障害者にとって負担しやすいことを確保するための努力を強化すること。

1.懸念・勧告で指摘していること(課題の抽出)

(1)懸念

  1. 通勤、通学に訪問系サービス(重度訪問、行動援護、同行援護)が利用できない(43a)
  2. 移動支援では支給量が足りず、長時間利用が困難(43a)
  3. 特に地方において質の高い車いすや義足等の入手が困難(43b)

(2)勧告

  1. 障害者総合支援法の告示による外出制限を撤廃(44a)
  2. 移動支援の地域間格差を是正する(44a)
  3. 質の高い補装具が安く入手できるように(44b)

(3)DPIとしての評価

通勤通学に対する利用制限を撤廃することが盛り込まれたことが良かった。また地方間格差の是正に繋げられる。

2.法律・制度・施策の改善ポイント

(1)障害者基本法の改正

  1. 第14条(医療、介護等)のタイトルを条約に合わせて「地域生活」または「地域生活支援」に変更する。(42e、42f)
  2. 第14条(医療、介護等)の「可能な限り」を削除。(42a、42e、42f)
  3. 第14条(医療、介護等)に「地域生活を可能とする支援」を追記する。(42a、42e、42f)
  4. 第20条(住宅の確保)に誰とどこで暮らすかの選択や居住支援について現行条文に追記する。(42a、42c、42e、42f)

(2)障害者総合支援法の改正、運用の改善

  1. 障害支援区分の抜本的な見直し(42f)
  2. 告示523号の重度訪問介護などの外出の制限の削除(42f、44a)
  3. 重度訪問介護の利用対象者拡大(42f、44a)
  4. 「重度」という名称の見直し検討
  5. 移動支援を市町村事業から個別給付に戻す(44a)
  6. 車いす等の補装具の支給ガイドラインの見直し(44b)
  7. 公費負担上限の見直し
  8. 修理、メンテナンスにかかる事業者の出張費の公費負担
  9. エンジニア、シーティングの専門家の育成
  10. シーティングの義務付け

(3)脱施設、地域移行を進めるための立法措置(脱施設化法の制定)

・脱施設、地域移行を着実に推し進めるための期限を定めた計画立案、財源上の措置などを含む法律の制定(42a、42d、42e)

総括所見を受けての短期、中期行動計画

(1)短期2022-24年

  1. 政策委員会で障害者基本法改正に向けた検討、改正
  2. 当事者参画による脱施設化の検討会など、改正障害者総合支援法等の附帯決議に沿った検討会の設置(42a、42d、42e)
  3. 地域移行コーディネーター研修カリキュラムの作成
  4. 補装具の支給ガイドライン見直しに向け、当事者と車いす業者等が入った検討会の立ち上げ(44b)
  5. 大学修学支援事業、就労支援特別事業の実態調査(44a)
  6. 移動支援の市町村要綱の実態調査(44a)

(2)中期 2025-27年

  1. 総合支援法の障害の範囲、支援区分認定及び障害福祉サービスの支給決定の見直し(骨格提言を踏まえて)
  2. 告示523号の見直し(42f、44a)
  3. 地域移行コーディネーター養成研修の実施
  4. 脱施設、地域移行を進めるため、目標期限、住宅確保策を含む地域基盤整備等の立法措置(42a、42d、42e)

以上


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