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【尊厳生】DPI日本会議 総括所見の分析と行動計画⑧

2023年04月14日 尊厳生障害者権利条約の完全実施

生命力にあふれた手

DPIでは、昨年9月に国連障害者権利委員会から日本政府に出された総括所見を分析し、今後改正が必要な法制度についてまとめた「DPI日本会議総括所見の分析と行動計画」を策定しました。

今回は尊厳生に関する「第10条 生命に対する権利」の①総括所見と②懸念・勧告で指摘していること(課題の抽出)、DPIとしての評価(コメント)、③DPIの行動計画になります。

次回の建設的対話は2028年を予定しています。それまでに、総括所見で指摘された課題を1つでも多く改善できるように、取り組んで行きたいと思います。

クリックすると各条文に移動します

是非ご覧ください。


【第10条 生命に対する権利】
総括所見(外務省仮訳)

23.委員会は、以下に起因する障害者の死亡事例に関する報告について懸念する。

  1. 緩和ケアを含む医療(治療)を開始しないこと又は継続することに関し、障害者の意思及び選好の考慮の欠如を含む、障害者の生命に対する権利の保障の欠如。
  2. 機能障害に基づく非自発的入院事例における身体的拘束及び化学的拘束。
  3. 委員会はまた、精神科病院における死亡に関し、統計の欠如及び独立した調査の欠如を懸念する。

24.委員会は、障害者団体及び独立した監視の仕組みを持つ団体と協議の上、以下を締約国に勧告する。

  1. 緩和ケアを含む治療に関し、障害者の生命に対する権利を明示的に認識し、障害者による意思及び選好の表明を含むそれぞれの保障及びそのために必要な支援を確保すること。
  2. 機能障害を理由とする障害者のいかなる形態の非自発的入院及び治療を防止し、地域社会に根ざしたサービスにおいて、障害者に対する必要な支援を確保すること。
  3. 精神科病院における死亡事例の原因及び経緯に関して徹底的かつ独立した調査を実施すること。

1.懸念・勧告で指摘していること(課題の抽出)、DPIとしての評価(コメント)

(1)懸念

  1. 緩和ケアにおける医療処置の非開始/継続に関する、障害者の意思及び希望が考慮されるよう、障害者の生きる権利を保障する。(23a)
  2. 強制入院での身体拘束および強制服薬。(23b)
  3. 精神科病院での死亡の原因や状況についての統計や独立した調査が行われていない。(23c)

(2)勧告

  1. 障害者の生きる権利を明確に認識し、セーフガードを確保する(本人の意思や好みの表明を含む)。(24a)
  2. 治療に関して、本人の意思と希望の表明、及びそのために必要な支援を確保する(緩和ケアを含む)。(24a)
  3. 障害を理由とする強制的な入院・治療を防止し、地域サービスで必要な支援を確保する。(24b)
  4. 精神科病院での死亡事例に関する独立した調査の実施。(24c)

(3)DPIとしての評価

  1. 生きる権利について明記されたことは評価できる
  2. 障害を理由とする強制的な入院・治療を防止と書いてあるため19条の勧告にも類似の記述があるが、そこよりは弱い内容となっているため、委員会としての判断に迷いがあると感じる。
  3. 独立機関のない日本には、独立機関の設置が急がれるが、現状では政策委員会が担うことになるため、どうしても実現可能性は低くなると感じる。

2.法律・制度・施策の改善ポイント

(1)患者の権利保障に向けた取り組み

  1. 障害者の生きる権利を明確に認識し、セーフガードを確保する(本人の意思や選好の表明を含む)。(24a)
  2. 治療に関して、本人の意思と希望の表明、及びそのために必要な支援を確保する(緩和ケアを含む)。(24a)緩和ケアは、よりよい生を目指して行われる医療・ケアであり、楽に死ぬことを目的とするものではないことを明示する。
  3. 緩和ケアにおける医療処置の非開始/継続に関する医師の免責を盛り込んだ法律(尊厳死・安楽死の容認にかかわる法律)は成立させない。(24a)
  4. 緩和ケアにおける医療処置の非開始/継続に関し、障害者の意思及び希望の確認についての医療ガイドラインに、障害者の生きる権利を保障する視点から見直しを行う。(24a)

(2)精神保健福祉法等の改正

  1. 障害を理由とする強制的な入院・治療を防止し、地域サービスで必要な支援を確保する。(24b)
  2. 心神喪失者等医療観察法の暫定的な廃絶(24b)
  3. 代替的精神科医療導入の検討(24b)

(3)精神科病院での死亡事例に関する独立調査の実施

  1. 内閣府障害者政策委員会での検討(24c)
  2. 厚生労働省社会保障審議会他委員会での検討(24c)
  3. 独立調査機関に障害当事者の代表(男・女・他・子ども・都市・地方など多様性を考慮した参加)が参画保障されること(24c)
    例)障害者権利委員の選考基準が参考になるのではないか。

総括所見を受けての行動計画

(1)短期 2022‐24年

  1. 尊厳死・安楽死法制化の動きに懸念・注視し、法制化を阻止する。(24a)
  2. 障害者基本法改正試案のバージョンアップ
  3. 障害者基本法の改正
  4. 障害者虐待防止法の改正(24c)
  5. 医療法改正の議論開始、合わせて患者の権利法制定に向けた取り組みを始める(24a)
  6. 独立調査機関に障害当事者の代表(男・女・他・子ども・都市・地方など多様性を考慮した参加)が参画保障されること(24c)

(2)中期 2025-27年

  1. 尊厳死・安楽死法制化の動きに懸念・注視し、法制化を阻止する。(24a)
  2. 障害者虐待及びメンタルヘルスと依存症に関する政府調査を設立(24c)
  3. 障害者差別解消法の改正(24a、24b)
  4. 精神保健福祉法の改正(24b)
  5. 医療法の改正(24a)
  6. 緩和ケアにおける医療処置の不開始/継続に関し、障害者の意思及び希望の確認についての医療ガイドラインに、障害者の生きる権利を保障する視点から見直しを行う(24a)
  7. 患者の権利法の制定にむけた取り組みを推進する(24a)

(3)長期 2028‐30年

  1. 尊厳死・安楽死法制化の動きに懸念・注視し、法制化を阻止する。(24a)
  2. 司法、立法での差別禁止法の策定
  3. 患者の権利法が施行される(24a)

以上


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