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「生殖補助医療等及びこれにより出生した子の 親子関係に関する民法の特例に関する法律」成立に際しての声明

2020年12月04日 権利擁護要望・声明

 今国会で、「生殖補助医療等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律」が成立しました。この法律には重大な問題が含まれています。第3条・4項に「生殖補助医療により生まれる子については、心身ともに健やかに生まれ、かつ、育つことができるよう必要な配慮がなされるものとする」といった条文が入っているのです。

 障害者の存在を否定する優生思想的なこの条文を私たちは看過することはできません。11月30日(月)にこの件に関して当事者団体として要望書を提出しましたが、本日、衆議院本会議で成立してしまいました。これに際して、DPIは声明を出しましたので以下に掲載します。


2020年12月4日

「生殖補助医療等及びこれにより出生した子の
親子関係に関する民法の特例に関する法律」成立に際しての声明

特定非営利活動法人DPI(障害者インターナショナル)日本会議
議長 平野みどり

 DPI日本会議は、障害の有無によって分け隔てられることのない共生社会を実現するための取り組みを進める全国94の加盟団体からなる障害当事者団体である。
 本日、衆議院本会議で「生殖補助医療等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律」が賛成多数で可決成立した。
 この法案に、第3条・4項として「生殖補助医療により生まれる子については、心身ともに健やかに生まれ、かつ、育つことができるよう必要な配慮がなされるものとする」といった条文が入っていることを私たちが知ったのは、すでに参議院を通過し、衆議院に送られてきてからであった。
 法案を事前にチェックできなかったことは私たちの力不足ではあるが、それまで、この法案に「心身ともに健やかに生まれ」といった言葉が入ることの是非について障害者団体として意見を聴かれることは全くなかった。
 優生保護法がいかに多くの被害を生み出したか、日本の社会に優生思想を根づかせて今日に至るか、そうしたことを多少なりとも理解していたならば検討段階でこのような条文案が持ち上がってきた際に、障害者団体や優生保護法被害の問題に関わってきた研究者に意見を聴き、慎重に検討するのが当然であろう。だが、そうしたことはなされなかったのである。
 その後、私たちは、衆議院での慎重な取り扱いに一縷の望みを託し、11月30日付で第3条4項の削除を求める要望書を発表し、関係議員へ送付した。
 しかし、本日、衆議院本会議で可決し、「心身ともに健やかに生まれ」との条文は削除されることなく成立してしまった。
 現在、国会による優生保護法被害に関する調査が始まったばかりで検証の途上であるにも関わらず、障害者団体から続々と上がる反対・疑問の意見に耳を傾けることなく、拙速に成立したことに大きな憤りを感じざるを得ない。
 委員会審議の中で、「母子保健法等においても同様の規定がある」ことが、第3条4項の根拠として述べられていた。しかし、優生保護法とともに母子保健法が車の両輪のようになり、障害のある子の選別・出生予防の政策が展開されてきた歴史をふまえるならば、むしろ、この第3条・4項が優生政策の展開につながる危険性を内包していることを図らずも示したということではないか。
 国会がなすべきことは「他の法律に書いているから」といった通り一遍の説明で満足することではなく、優生保護法とともに既存の法制度がどのような役割を果たしたか調査・検証し、既存の法律に残されている優生政策に連なる諸規定の見直しを行なうことであろう。

 私たちは、附帯決議で示された「優生思想を排除」「障害者権利条約の要請に十分に合致するものであることを担保」」に基づいた運用が行われているか引き続き監視するともに、第3条4項を削除するよう早急な見直し、並びに既存の法制度中の優生政策に連なる諸規定の見直しを強く求めるものである。

 「第10条・生命に対する権利」「第17条・個人をそのままの状態で保護すること」をはじめとする障害者権利条約との整合性からも問題がある法律が通過したことから、立法府における障害者権利条約の実施状況のモニタリングの必要性があらためて明らかになった。現在、障害者政策委員会が担っている障害者権利条約実施監視の対象に、立法府・司法府は入っていない。私たちは、障害者政策委員会の機能強化もあわせて求めてゆく所存である。

以上


▽声明はこちらからダウンロードできます(ワード)

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