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2020年バリアフリー法改正の主な内容出る!
第9回「バリアフリー法及び関連施策のあり方に関する検討会」報告

2020年01月17日 バリアフリー

2020年1月16日に第9回「バリアフリー法及び関連施策のあり方に関する検討会」が開かれ、今国会で改正が予定されているバリアフリー法の改正内容が明らかになりました。

2018年改正で附帯決議に盛り込まれた項目が着実に取り組まれ、今回の法改正でかなり盛り込まれる方向です。下記、主なポイントを解説します。

1. 公立小中学校のバリアフリー整備義務化

障害者権利条約ではあらゆる年代でのインクルーシブ教育を求めています。これまでバリアフリー法では、一般の学校は特別特定建築に含まれていないためバリアフリー整備義務がありませんでした。

今回の法改正で公立小中学校にバリアフリー整備義務を課すという方向性が示されました。これは2018年改正の時からDPIが求めてきたことであり、ついに実現しました!素晴らしい改正ポイントです。

これをきっかけに、障害のある人もない人もともに学び育つことができるインクルーシブ教育の実現も進めてほしいと願っています。

2. バスタ新宿などの道路上のバスターミナルもバリアフリー整備義務化

バスタ新宿は道路上のバスターミナルのため、旅客施設としてのバリアフリー基準が適用されませんでした。そのためバリアフリー整備が不十分で、問題を指摘し、開業後に一部改修をするという状況でした。

今回の改正で道路上のバスターミナル(バス等の旅客の乗降のために道路施設)も法の対象とします。これも、良い改正ポイントです。

3. 空港アクセスバス・長距離バス・観光バスの基準適用除外の見直し(一部見直し)

空港アクセスバス・長距離バス・観光バスのバリアフリー車両は、現在も5%台と極めて遅れた状況です。この原因は、基準適用除外認定車両として、バリアフリー整備義務を課してこなかったためです。

今回の改正で、鉄道のない地方空港の路線を中心に一部見直しを検討するという方向が示されました。飛行機には乗れるけど、空港から市内へのアクセスがバスとタクシーしかなく、バスに乗れないと市内に行けないという空港が全国にたくさんあります。

DPIは2018年改正の時から、基準適用除外認定車両という仕組みを廃止し、新規購入車両はすべてバリアフリー化するように求めてきました。リフト付き車両やエレベーター車両はすでに国内メーカーが開発し、成田空港・羽田空港路線で走っています。

ただ、非常に高額という課題があります。地方のバス会社は90%以上が赤字経営で、高額なバリアフリー車両の購入は負担が大きい、助成制度を拡充してほしいという要請が日本バス協会からもありました。

今回はすべての車両をバリアフリー義務化するところまではいきませんが、バリアフリー法が施行されても20年間全く動かなかったこの分野が、ようやく動き出しました。

まずは比較的規模の大きな地方空港からスタートし、全体に広め、将来的には基準適用除外認定車両という仕組みを廃止するように働きかけを続けていきたいと思います。これも素晴らしい改正ポイントです。

4. タクシー、バス、鉄道事業者は、スロープ設置の習熟を義務化

昨年10月に全国一斉行動!UDタクシー乗車運動を実施し、車椅子ユーザーが27%も乗車拒否にあっていることが明らかになりました。

国交省自動車局は迅速に対応し、11月には2回目の通達を出し、事業者に改善を働きかけています。しかし、残念ながらその後もUDタクシーの乗車拒否が後を絶ちません。

車両の構造上の問題も遠因としてありますが、接遇の改善も不可欠です。今回の改正で公共交通事業者等に対し、ハード基準への適合維持義務が課されている旅客施設や車両について、適切な役務の提供を確保するためのソフト基準(スロープ板の適切な操作等)への適合を義務付けます。

これも、重要な改正ポイントです。

5. 交通結節点での事業者間の協議を努力義務化(協議に応じることは義務化)

鉄道と鉄道の乗り換え、鉄道からバスへの乗り換えなどの交通結節点で、車椅子ユーザーは大回りをしないといけない、エレベーターを何度も何度も乗り換えないといけないというところがありました。

DPIでは2018年改正の時からこの問題を指摘し、改善を求めてきました。今回の改正で、移動の連続性に配慮したスムーズな乗り換えを実現するために、公共交通事業者等や関係者との協議を努力義務化します。

さらに、協議を求められた際は、協議に応じることは義務化されます。これも重要な改正ポイントです。

上記の他にも、下記盛り込まれる方向です。

●ホテルとホテル内飲食店のバリアフリーの認定制度を創設する(バリアフリー情報公開)
●心のバリアフリーなどのソフト対策の取り組み強化
●トイレの利用マナー啓発キャンペーン等の取組強化
●車両の優先席、車いす使用者用駐車場などの適正な利用に関する規定を追加
●市町村が作成するマスタープランに「心のバリアフリー」に関する事項を追加
●バリアフリーの促進に関し国が地方公共団体に助言・指導(マスタープランを地域の実情を踏まえて作成できるように柔軟な運用の明確化を検討)
●小規模店舗のバリアフリー化について、自治体に委任条例の策定を促すとともに、関係省庁に対し、業界団体を通じた積極的な小規模店舗のバリアフリーの取組を要請

赤羽一嘉国土交通大臣は、東京2020オリンピック・パラリンピックのレガシーとして共生社会の実現をしなければならないと、繰り返し発言されています。

東京オリパラでバリアフリーが格段に進み、インクルーシブな社会(共生社会)に向けて大きく前進したと思えるような法改正にしてほしいと私たちも願っています。

国会で真剣な議論が展開され、素晴らしい法改正となるように国土交通省や国会に働きかけを続けたいと思います。

事務局長 佐藤 聡

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