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8月3日(月)第2回「新幹線実証実験」報告

2020年08月05日 バリアフリー

8月3日(月)に2回目の新幹線実証実験を行いました。新型コロナウィルス感染防止策として、三密を避けるために参加者を2回に分けて行ったものです。前回は4席レイアウトでしたが、今回はJR東海様のご協力で6席レイアウトの検証を行いました。

6席レイアウト提案の理由

 DPIでは6席レイアウトを提案したのですが、なぜこの案なのかという理由からご説明します。

●なぜ、6席なのか?

 鉄道車両に車椅子用席を何席設けるかという基準は、国際的なものでは IPCアクセシビリティ・ガイドでは1編成に2席、EUの基準では全長300mを超えるものは4席、というものがあります。

ヨーロッパの高速鉄道は概ね4席なのですが、フランスのTGV(EURO DUPLEX)は総席数1018席、ドイツのICE1は830席、イギリスのユーロスターe320は900席と、概ね千席以下です。一方、東海道新幹線は1323席ありますので、1.3~1.6倍席数が多いのです。

 スタジアムの車椅子用席数は、IPCアクセシビリティ・ガイドやアメリカのADAの基準では、総席数の0.5%というものがありますので、これを目安に提案しました。東海道新幹線は6.7席となりますので、多目的室(1席)と合わせてもう6席必要です。

●なぜ、11号車に車椅子用席を集中させるのか

 DPIでは、障害者権利条約の「他の者との平等」を基本理念として考えております。障害のない人が自由席、指定席、グリーン車と選べるので、障害者も同じように選べるように車椅子用席を分散することがベストと考えています。その場合は、車椅子用席を設ける自由席とグリーン車には、乗降ドアのドア幅を広げる、車椅子が利用できる大きなトイレを設けることも併せて必要となります。

 しかし、東海道新幹線は本年7月から新型新幹線N700Sが導入されており、いまから車両設計を変更することは現実的には困難です。そのため、今回は乗降ドアが広く、多機能トイレがある11号車に車椅子用席を集めるという案を提案しました。N700Sの次の世代の車両から、ぜひとも分散して設けてほしいとお願いしております。

●なぜ、A席B席を残すのか

 車椅子のまま乗車+介助者という組み合わせであれば、車両左のA席だけ設けて、あとは座席を取り外すほうがスペースを広く取れます。しかし、現在の新幹線を利用する車椅子ユーザーの半数が座席に移乗しているということがわかりました。座席に移乗する方は、同伴者と隣り合って座りたいという希望が高かったので、A席B席を残すことを提案しました。

●なぜ、右側に席を設けないのか

車椅子のまま乗車する人も、窓際で車窓の景色を楽しめるようにしたためです。

●多目的室はこれまで通り使えるのか?

 東海道新幹線では11号車にある多目的室は、ここが必要という障害者もいますので、これまで通り使えるように要請しております。

 上記の考え方を踏まえて、多様な車椅子ユーザーが利用できるように、11号車に6席レイアウトを提案しました。縦方向に車椅子用席を3つ並べることによって、前後の長さに余裕ができ、ストレッチャー型などの奥行きの長い車椅子も乗車できるようになります。

 なお、1スペースの広さは、右側は1300mm×750mm、左側は1200mm×750mmです。左側が少し狭いのは、下記f席に車椅子があっても、デッキへの通路幅が確保されるように前寄りに配置しているためです。全体のスペースは左右同じです。

実証実験

 多様な車椅子ユーザーが利用できるように2回の実証実験には、いろんな車椅子タイプの方にご参加いただきました。手動車椅子、簡易電動車椅子、ハンドル型電動車椅子、呼吸器ユーザーの車椅子(奥行きが長い)、4輪型電動車椅子(イマセン)、6輪型電動車椅子(クイッキー)、ストレッチャー型車椅子です。

 今回は手動車椅子2、簡易電動車椅子1、呼吸器ユーザーの車椅子1、4輪型電動車椅子(イマセン)1、6輪型電動車椅子(クイッキー)1、ストレッチャー型車椅子1の合計7台で、いろんな組み合わせでの配置をテストしました。

6席分が確保された車両内の様子 座席と車いす用スペース(6席分)の様子

写真:これが6席レイアウトです。非常に広いです。夢のような景色でした。

車両内の写真中央に呼吸器ユーザーの車椅子が写っている

写真:今回の実証実験には、赤羽国土交通大臣、公明党国交部会の岡本三成部会長(衆院議員)、バリアフリー施策推進プロジェクトチームの山本博司座長(参院議員)、石川博崇事務局長(参院議員)も同席されました。
写真中央の車椅子は、呼吸器ユーザーの車椅子です。全長1500mmくらいありましたが、縦に2席分を利用することによって十分乗車できます。さらに、ストレッチャー型(全長1900mm)もテストしましたが、十分乗車できました。

6席に全部車椅子が乗車した状態でも、お弁当販売などのワゴンは通過できている様子

写真:6席に全部車椅子が乗車した状態で、お弁当販売などのワゴン(幅360mm)が通路を通れるかテスト。通路幅が十分確保されており、スムーズに通れました。

赤羽国土交通大臣と意見交換

写真:赤羽大臣と使い勝手について意見交換

電動車いす(全長1200mm)+ストレッチャー型車椅子(全長1900mm)が縦列に並んでいる様子

写真:電動車いす(全長1200mm)+ストレッチャー型車椅子(全長1900mm)

車椅子6台が車いすスペースに乗車している様子

写真:車椅子6台乗車

車いすユーザーが左右にいる状態でもワゴン車はスムーズに通れます。

写真:ワゴン車もスムーズに通れます。

 今回は、赤羽大臣もいらっしゃって、実証実験の様子を見てくださいました。記者会見では、東海道新幹線は車椅子用席は6席という方向性を示されました。8月末に取りまとめを行うということです。多目的室(1席)と合わせて7席設けることができれば、総席数の0.5%を超え、世界最高水準となります。

 席数とともに、予約・発券の仕組みをwebも含めて簡易・迅速にできるように改善をお願いしております。こちらとセットで改善できれば、いつでも簡単に車椅子用席を利用でき、車椅子ユーザーがグループでも一緒に乗れる新幹線が誕生します。JR東海様にはぜひともこの方向で実現していただきたいと願っています。 次は8月末(?)の取りまとめの発表をご注目ください。

佐藤 聡(事務局長)

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