障害のある人もない人も同じように暮らせる社会へ

本日のバリアフリー法改正の国会審議、提出した参考人資料

2020年03月31日 バリアフリー

本日のバリアフリー法改正の国会審議、参考人として意見陳述をした、尾上浩二(NPO法人ちゅうぶ代表理事、DPI日本会議副議長)が提出した資料を掲載します。

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▽尾上浩二の参考人資料(ワード,以下と同じ)


2020年3月31日

衆議院国土交通委員会 改正バリアフリー法案 参考人資料

NPO法人ちゅうぶ代表理事 尾上 浩二(おのうえ こうじ)

【自己紹介】

・子どもの時から脳性マヒの障害があり、養護学校(現・特別支援学校)、入所施設を経て、地域の中学校、高校に進み、1978年に大阪市立大学に入学。学生時代から40年以上に渡り、障害者運動に関わる。現在、日常的に電動車いすを利用して生活。

・大阪でのバリアフリー運動に当事者の立場から関わる。全国に先駆けて制定された大阪府福祉のまちづくり条例や大阪市ひとにやさしいまちづくり(1993年)を推進。2000年の旧・交通バリアフリー法制定時にも参考人として意見陳述。

【法案への評価】

1.「心のバリアフリー」と社会モデル・障害者差別解消

・今回の改正法案のキーワードである「心のバリアフリー」について、その意味を明確にすることが重要。

「思いやり」といった情緒的な解釈に流れることのないよう、ユニバーサルデザイン2020行動計画(2017年決定)で記された以下の3点に基づいて進めていくことが重要。

1.障害のある人への社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという「障害の社会モデル」を理解すること。

2.障害のある人(及びその家族)への差別(不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供)を行わないよう徹底すること。

3.自分とは異なる条件を持つ多様な他者とコミュニケーションを取る力を養い、すべての人が抱える困難や痛みを想像し共感する力を培うこと。

・本改正を受けて進められる、国の基本方針、自治体のマスタープラン、「心のバリアフリー特定事業」、各種研修などにおいては、「社会モデルの理解」「障害者差別を行わないよう徹底すること」を基本に進めて頂きたい。

2.学校のバリアフリーの義務づけ

・本改正で、小学校・中学校のバリアフリーが義務づけされることは高く評価。

小さな時から共に学び共生の体験をすることが「心のバリアフリー」の基本であり、学校のバリアフリー義務づけはインクルーシブ教育の基礎的環境整備として大きな意義がある。

また、避難所、投票所といった地域住民にとって重要な施設整備としての意義も大きい。

・ハートビル法(1994年)以来の四半世紀に渡る課題だったが、今回の改正をきっかけに着実にバリアフリー化が進むようにしてほしい。だが、少子化の時代において小中学校が新設されることはほとんどなく、既存物のため法律上は努力義務止まりになる。今回の改正の実効性をもたせるために、国・自治体ともに、数値目標の設定並びに実施計画の策定、十分な予算措置をお願いしたい。また、移動円滑化促進地区や基本構想重点地区での学校の積極的な位置づけを基本方針で示して頂きたい。

★大阪市の「人にやさしいまちづくり整備要綱」(1993年)では小中学校も含めて学校のエレベーターなどを整備基準とするとともに、1991年から計画的に整備してきた。その結果、2019年7月現在、大阪市立の小学校276校(289校中)、中学校127校(129校中)、合計418校中403校=4%にエレベーターが設置されている。

★兵庫県明石市のマスタープランでは、全市方針として学校のバリアフリー化を掲げるとともに、移動円滑化促進地区において、小学校は28校中14校、中学校は13校中6校が生活関連施設として位置付けられている。

・また、あわせて、高校、大学、私立学校等のバリアフリー化も推進するような施策を進めて頂きたい。

3.バリアフリー設備の適正な利用

・円滑な利用のための前提は表示・情報提供。例えば、地下街への連絡ビルにエレベーターがあっても表示がなければ分からず使えない。バリアフリー設備の表示・情報提供を徹底して頂きたい。

・また、「適正な利用」の具体的な内容については、社会的障壁の除去、利用者の利便性の向上という視点から当事者参画のもと決めていくことが重要。

4.ソフト基準適合義務の実効性確保とUDタクシー車両の改善を

・昨年10月の障害者団体の調査によるとUDタクシー利用の際に27%の車いす利用者が乗車拒否。バス、タクシー等での乗車拒否防止策として、着実に効果が上がるようにして頂きたい。

・対応に当たる職員への研修を義務づけるとともに、研修を受けられる仕組みを導入し、研修修了者数を事業者が毎年報告するようにして頂きたい。あわせて、スムーズに乗降できるようUDタクシー車両の改善と認定要領の見直しも進めて頂きたい。

5.用途別の規模設定・社会的障壁除去ための基準設定など、建物関係の抜本見直しを

・(小中学校のバリアフリー義務づけ以外の)小規模店舗、ホテル、共同住宅といった建物関係については課題が山積建物関係については、さらなる法改正などで抜本的な見直しがぜひとも必要

・本改正案で「ホテルや飲食店の認定と情報提供」が盛り込まれているが、そもそも利用できる店舗が限られていることに問題がある。
★例えば、先週、開設した「高齢者や障害のある方にもやさしい施設情報サイト・だれでも東京」で、車いす利用可能な飲食店は新宿で5店舗、お茶の水で2店舗しかヒットしない。

・特に、物販や飲食など日常的に利用する小規模店舗のバリアフリーは大きく取り残されたままであり、早急な対応が必要である。
例えば、入口の段差解消、扉幅の確保、車いすでも着席できる可動席といった項目だけでも基準化するなど、規模に応じた整備項目の設定での対応は可能ではないか。

また、2000㎡以上のテナントビルなどでは、ビル全体はバリアフリー化されていても、各店舗の中に段差が設けられたり、固定席のみで車いすで利用できかったりする場合がある。

・建物関係は、現行法では全ての用途で一律に2000㎡以上の規模面積のものを対象としている。用途によって規模が異なるのは当然であり、それぞれの分野で一定の割合をカバーするような用途別の規模設定が必要である。

・2018年の改正で、一条の二(基本理念)として「社会的障壁の除去と共生社会の実現」が創設された。そのことをふまえて、各用途の機能・サービスを利用する際の社会的障壁の除去に資するように、店舗内、ホテル居室内などその機能・サービスに着目した整備項目(含む情報バリアフリー)を設け基準化することが必要ではないか。

6.マスタープラン、基本構想、委任条例の促進に向けて自治体支援の強化を

・元々、地域からの取り組みが期待され、そのための重要な仕組みとして基本構想の仕組みが旧交通バリアフリー法に取り入れられ、2006年の改正では住民提案の仕組みも設けられた。しかし、過去10年間、基本構想の策定は低調なまま推移。2018年改正でマスタープラン制度が創設され今後の発展に期待するが、まだ大きなインパクトをもたらしていないのが現状。担当者によっては「基本構想があるから、マスタープランはいらない」「バリアフリー経路の設定などを考えると、マスタープラン促進地区も基本構想重点地区も同じようなもの」といった誤解も存在。
委任条例も、2006年以降14年を経た現在でも20自治体止まり

・マスタープラン・基本構想・委任条例の促進に向けた施策、自治体支援の強化が必要

7.より一層の取り組みが求められる課題

■本改正以降検討されるバリアフリー基本方針などにおいて、以下の項目について十分な検討と明確な目標を定めて頂きたい。

・空港バス、長距離バスなどのバリアフリー化(現在わずか17台)〜基準適用除外認定の解除

・ホームドアの設置促進、並びにホームと車両乗降口の段差・すき間の解消

・3000人未満の駅などのバリアフリー化

・無人駅問題対策、並びに無人駅におけるバリアフリー対策

■2018年改正で創設された評価会議のより一層の充実。とりわけ、地域分科会の開催を国並みに年複数回に

8.障害者権利条約の国連審査をふまえて、さらなる見直しを

・2014年に批准した障害者権利条約に関して、今後、国連審査が予定されている。今年から来年には国連・障害者権利委員会から勧告が出される予定。

・障害者権利条約との整合性という観点からも、さらなる法律の見直しをお願いしたい。

・5年後まで待つことなく、障害者権利委員会からの勧告を受けて早急な見直しをお願いしたい。

以上

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