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障害者雇用代行ビジネスの現状と課題についてインクルーシブ雇用議連勉強会が開催されました

2022年05月23日 雇用労働、所得保障

会議の様子

去る2022年5月17日に約1年ぶりとなるインクルーシブ雇用議連勉強会が衆議院第二会館で行われました。以下、岡本直樹常任委員より報告します。


冒頭、昨年の衆議院選挙を機に引退された穴見議員に代わり、新たに事務局長に就任された三ツ林裕巳衆議院議員が司会・進行をされました。次に役員改選が行われ同様に引退された会長の川崎議員に代わり元官房長官の加藤勝信衆議院議員を推薦、全会一致で就任されました。

新たに就任された加藤会長は、議連の目的や平成30年2月から川崎会長のもとで実施されてきた国会議員・当事者、市民組織の協議をねぎらい、厚労省でこれまで取り組んできた様々なPTや重度障害者就労支援特別事業、さらには再度検討会を設置し、引き続き議論されている現状に触れ、「厚労省の政策を我々も聞かせて頂きながら、引き続きそれぞれの皆さんからの声を政策にしっかり反映していくべく努力をしていきたい」と挨拶されました。

今回の勉強会では、昨今、話題となっている障害者雇用代行ビジネスの現状と課題を毎日新聞の山田記者、NHKの竹内解説委員のお二人からお話がありました。最初に山田記者から障害者雇用代行ビジネスの概要について説明され、その後、竹内解説委員・山田記者が交互に話されました。

竹内解説委員からは、ご自身の軽い発達障害をもつ息子(高校3年生)に重ね、就活に直面している親の心境を語られ、社会の中でどういう社会貢献や自己実現をしてほしいと願いながら、社会の中で働ける体制が確保され、親に何かあった時に安心できる環境を求めてしまうのは言うまでもないこと。

障害者雇用促進法における法の精神と合致しているのか、疑問があること。いろいろな能力があり、可能性があって働けるはずが、それを雇用率ということで企業が2.3%をめざすために「ここに置いておけばいい」という感覚で企業が使っているとすれば大いに問題があることを指摘しました。

山田記者からは、この手の話題で講演に呼ばれることが増えていること。2019年から取材しているが、このビジネスモデルは、震災以降に生まれ、当初記事にすることに迷っていたこと。いつしか自治体が推奨するなどをしてきたことで危機感を感じ、記事にしたとのことです。

この問題が分かってから時間が経っているが、何を目指すのか、さらにどう質を上げるのかという議論になっていないのが残念、などと語りました。

質疑応答では、ビジネスモデルが生まれた経緯や全国の状況等について問われ、震災後、2012~2013年頃に千葉県から始まったこと、企業数は、1000以上で万を超える方が働いているとの厚労省の回答に愕然としました。

市民側の藤井さんからは、工業先進国(G7、G20)などの事例について問われ、海外で同様のモデルは把握していないが、ドイツの状況や重度障害者は働けていない現状を紹介されました。

まとめとして、山田記者からビジネスに流れてるお金は、もっと何か障害者の人が一人ひとり、それぞれの能力にあった場所で働けるようにお金が流れていけばいいなと私も思います。

そうするためにはやはり、数ではなく、その質の部分とか、そもそもの障害者雇用が目指す大きなビジョン的なものをみんなで共有しなきゃいけないのではないかと問題提起しました。

小野寺課長からも発言があり、山田記者の発言に重ね、私たちも雇用率達成に向けて行政指導に注力していた部分があること。その中においては障害者の困難性があるが、雇って下さいというようなお願いに注視していた反省はあること。

我々、行政としても発信の仕方をしっかりと軌道修正しながら、質の向上に向けて、きちんと支援していきたいと決意表明されました。

最後に竹内解説委員から、「多分多くの人は、障害者のことを知らないと指摘。学校でインクルーシブ教育だと言っているのに、特別支援学校・学級があって、完全に障害者を分離しているような状況で、あなたたちは、障害者を知ってますか?、そこを知らずにいきなり雇用の現場でこの人に障害があるけど、強みがありますって言われても、誰も理解できないと思います。」というのが一番の課題だと思っています。

もっと小さい時からきちんと一緒に暮らし、過ごせる社会を作っていかないと、雇用までいくには、相当時間がかかると思いますと講演を締めくくりました。

議連の終わりに加藤会長より、本日の講演内容に触れ、引き続き、こうした議論を重ねて今後、我々の目指す障害者の皆さんの安定・安心就労・就労促進にこの目的を達成すべく議論を重ねさせて頂きたいと発言がありました。

次回は、利用企業のヒアリングを予定しているとのことなので、全国集会の分科会をさらに深める機会としたいです。

報告:岡本(DPI常任委員 雇用労働部会、CILふちゅう)


障害者雇用代行ビジネスについては、5月29日(日)15時15分から17時までのDPI全国集会「雇用労働分科会」でテーマとなっておりますので、こちらも是非ご参加ください。

【解説動画作成しました】5月28日(土)・29日(日)第37回DPI全国集会「ついに迫る!障害者権利委員会第1回日本との建設的対話」開催します


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