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国連人権高等弁務官との会合で、JDFとして障害分野の人権課題を報告しました

2026年07月10日 権利擁護国際/海外活動障害者権利条約の完全実施

会議の様子

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)には、韓国にソウル事務所があります。

5月15日に、日本での人権の状況を調査するために、同事務所からターク高等弁務官ほかスタッフの皆さんが来日しました。15日午後には外務省など国の機関への調査があるということで、その前に、人権市民団体にヒアリングをしたいということでした。

ソウル事務所から、崔栄繁DPI議長補佐に障害分野の話も聞きたいと連絡が入り、DPIが加盟するJDFとして、急遽、平野みどりが現状を報告させていただくことになりました。JDF政策委員の赤松英知さんと長瀬修さんにも同席いただきました。

ターク氏

障害分野のほかには、性的マイノリティーの団体、在日外国人への差別解消に取り組む団体などが発言しました。報告を聞き、ターク高等弁務官からは、「日本の人権状況は想像以上に深刻だ。日本にこそ人権高等弁務官事務所を置きたいが、なにせ国連は今、非常に予算が削減されて厳しい。今後も皆さんと連携して取り組みたい」と発言がありました。

国連人権高等弁務官との会合での私の発言を掲載します。

報告:平野みどり(議長)


2026年5月15日

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)

ターク高等弁務官、

ご参加の皆様(日本の人権団体)、

DPI日本会議議長の平野みどりと申します。DPIは日本障害者フォーラム(JDF)のメンバーですので、本日はJDFを代表して発言いたします。本日はこのような機会をいただき、誠にありがとうございます。

戦争、武力紛争、人道危機によって多くの地域で人権が深刻に脅かされている中、OHCHRの活動に深い敬意と感謝の意を表します。このような状況下で、障害者は保護、支援、意思決定から除外されるなど、特に深刻な人権リスクに直面しています。

JDFは、日本の障害者団体の全国ネットワークであり、障害種別や組織の背景を超えて活動し、障害者の権利を実現するために取り組んでいます。JDFにとって、障害者権利条約(CRPD)は極めて重要な条約です。JDFはCRPD制定プロセスに積極的に関与し、日本の批准、国内実施、パラレルレポート作成、国家審査プロセスへの参加、総括所見のフォローアップに引き続き取り組んでいます。

ところで、国連の資金不足について高等弁務官も述べておられましたが、障害者権利委員会の委員であるろう者の田門浩さんが会議に参加するにあたっては手話通訳が必要ですが、権利委員会は、3月の会議に手話通訳費用を手当てせずに開会しようとしていました。これは非常に深刻な状況です。(解説と補足:3月の会議に向けては、JDFが寄付やカンパを募るなどして、手話通訳者同行を支援しましたが、8月の会議では国連の予算で手話通訳者2名がつくことになりました)

CRPDは、障害者に対する差別や偏見と闘い、それを排除するための国際人権条約です。2022年の総括所見で、委員会は「日本社会における優生学的かつ能力主義的な考え方」に言及しました。旧優生保護法は、差別や偏見を深く根付かせてしまった最も深刻で恐ろしい制度です。総括所見では日本に対し、補償制度を見直し、適切な救済と謝罪を確保し、強制不妊手術、子宮摘出手術、強制的中絶を禁止し、すべての医療および外科治療に対する自由かつ十分な同意を保証することを強く求めました。

その2年後の2024年の最高裁判決は、総括所見に沿った重要な一歩でしたが、被害を受けた皆さんが、自分たちの被害を認められ、補償を受けられるまでに、いかに長い年月を要したかということも示しています。最高裁判決を受け、JDFのメンバーは、被害者、弁護団、障害者団体など市民社会と協力し、政府と対話してきました。JDFのメンバーは、政府が制定した補償法に基づく検証活動にも関与しています。謝罪、補償、記録の保存、教育、再発防止はすべて国際人権基準の観点から追求されなければなりません。

この私たちの経験は、日本において、より強力な国内人権機関が必要であることを示しています。数十年にわたり、深刻な人権侵害事例が起こっているにも拘わらず、効果的な救済へのアクセスは遅れてきました。日本には独立した国内人権機関もなく、CRPDの選択議定書を批准していませんし、他の重要な人権条約においても、個別通報制度を受け入れていません。

これらは障害者だけの問題ではありません。独立した国内人権機関は、監視、是正、市民社会との対話等、障害者を含むすべての人々の権利保護の基盤を創ることを意味します。JDFは、CRPDの国内実施、人権侵害への効果的な救済、日本の人権保護システムの強化について、OHCHRとの建設的な対話と協力を今後とも継続させていただきたいと考えています。

最後に、私たちはCRPD委員会が強く求める「インクルーシブ教育」へと日本が舵を切るようにと国および地方自治体に働きかけてきましたが、子どもたちが障害の有無に拘わらず、共に学び育つインクルーシブな教育環境は実現していません。子どもたちは障害の有無に拘わらず、将来、インクルーシブ社会の中核メンバーとなることを期待されているのですから、インクルーシブ教育の遅れは、子どもたちにとっての深刻な人権問題であると言えるのではないでしょうか。

以上、ご清聴ありがとうございました。


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