11月29日(土)、11月30日(日)第14回DPI障害者政策討論集会 開催!いまこそ本気で進めよう!脱施設と強制入院の廃止~インクルーシブ社会の実現へ~
2025年09月24日 イベント地域生活権利擁護障害女性国際/海外活動障害者権利条約の完全実施
2019年から猛威を奮ってきた新型コロナウィルスは、いまだに完全に撲滅されてはいないものの、少しずつパンデミックス前の日常が戻ってきているようです。DPI障害者政策討論集会は、ここ数年、オンラインで開催してきましたが、今年は、久しぶりに対面で開催することになりました。
さて、新型コロナ禍は終息しつつあるものの、世界情勢に目を向ければ、依然として各地で争いと分断が続き、平和の実現が遠いことを痛感させられます。戦禍や社会的不安の中で、もっとも困難な状況に置かれるのは常に社会的に弱い立場にある人々であり、障害のある仲間たちです。私たちはその現実を決して見過ごさず、人間の尊厳を守るために連帯して行動し続けなければなりません。
国内に目を転じれば、国連障害者権利委員会による総括所見を受けて3年が経過しましたが、依然として障害者権利条約の完全実施には程遠い状況です。強制入院や長期入院の乱用によって、多くの精神障害のある人々が地域から隔離され続けています。宇都宮病院事件が示すように、誤診や医療保護入院の濫用は決して過去の問題ではなく、今なお人権侵害が繰り返されています。また、地域移行・脱施設の議論も進められていますが、住宅や介助制度の基盤整備が不十分なまま、多くの人々が家族や施設に依存せざるを得ない現実があります。
さらに近年、国際的に広がりを見せている「DEI(多様性・平等性・包摂性)」という理念は、障害者運動が長年掲げてきた主張と軌を一にするものです。しかし同時に、反インクルージョンの流れも顕在化しつつあります。障害女性が直面する複合差別の問題も含め、いま改めて社会に問わねばならない課題です
今回の政策討論集会では、こうした状況を踏まえ、初日の全体会で「地域移行・脱施設の実現」を取り上げ、海外事例や国内の実践から学び、地域生活基盤をどう強化すべきかを議論します。2日目には「宇都宮病院事件」を手がかりに、強制入院・長期入院の実態を当事者や弁護士から報告いただきます。また、「DEIを障害分野でどう生かすか」をテーマに国際・障害女性合同分科会を設け、インクルージョンの理念を社会全体にどう浸透させるかを深めていきます。
優生思想に基づく障害者差別を根絶し、地域で共に生きる社会を実現するために、私たちに課された使命は大きく、道のりは決して平坦ではありません。しかし、仲間と共に声を上げ続けることこそが、変革の力を生み出します。
志をともにする多くの障害当事者、支援者、研究者、そして本趣旨に賛同くださる皆さんと共に、歩みを進めるために、第14回政策討論集会へのご参加を心よりお願い申し上げます。
日時:11月29日(土)13時~17時30分、30日(日)10時~16時
会場:戸山サンライズ 2階 大研修室
(〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1)
参加費5,000円(資料代、当日現金支払いのみ)
近年の会場費や運営コストの高騰に伴い、やむを得ず参加費を引き上げることとなりました。ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。介助者で資料が必要ない方は無料です。
またそれでも運営が厳しいことから、今回から「寄付付き応援プラン」を始めさせていただきます <(_ _)>
- お申し込みの際に、参加費5,000円に加えて、任意で1,000円、3,000円、5,000円の寄付をお選びいただけます。ご寄付は任意です。
- 寄付金と参加費は、いずれも当日受付にて現金でお支払いください。オンライン寄付をご希望の方は、申し込みフォームでは参加費5,000円を選択し、別途こちらからお手続きをお願いいたします(備考欄に政策論へのご寄付とお書きください)。
- 当法人は現在「認定NPO法人」ではないため、寄付金控除の対象にはなりません。
寄付をいただいた方への特典は特にございませんが、皆さまの温かいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
2日目お弁当代(お茶付き):1,500円(希望者のみ)
お弁当受付締切日:11月13日(木)
※昼食のお持ち込みはできますが、ごみは各自でお持ち帰りいただく形になります。現在1階のレストランは閉まっておりますので、予めご了承ください。
お申込方法:下記ウェブフォームからお申し込みください。
上記オンラインフォームがご利用いただけない方は、こちらの申込フォーム(ワード)にご記入の上、メールでお送りください。
メールお送り先:kasayanagi★dpi-japan.org(★を@に変えてお送りください)
プログラム(敬称略)
11月29日(土)13時から17時30分
全体会「本気で進めよう!地域移行・脱施設~家族や入所施設に頼らない地域生活の実現に向けて~」
2022年に国連の障害者権利委員会から出された総括所見により、日本の緊急的課題として指摘された「脱施設への取り組み」を考える具体的取り組みとして今年度、厚生労働省において「障害者の地域生活支援も踏まえた障害者支援施設の在り方に係る検討会」が開催され、9月の中間報告を経て、とりまとめ案についての議論が進められています。
検討会の議論では地域移行を進めていくべきだ、という共通理解は広まっていっています。その一方で、地域移行の受け皿である地域基盤整備の脆弱さが大きな課題として残っています。例えば重度訪問介護の支給決定の問題や障害のある人が住める住宅の数がまだまだ少なく、居住支援の充実が求められていること等、地域移行を本気で進めていくために乗り越えるべき課題は数多くあります。
この全体会では、地域移行・脱施設に向けた国レベル、自治体レベルでの取り組みとして韓国やソウル市の事例報告や国内での取り組みとして、地域移行の実践事例について報告をしていただきます。パネルディスカッションでは「どうしたらできる?脱施設」をテーマに行政や支援者、当事者の立場から地域基盤整備の在り方について議論することを通じて、家族や入所施設に頼らない地域生活の実現に向けた具体的な方策について考えていきます。
■内容(登壇者調整中):
- 海外事例と国内事例の紹介
- パネルディスカッション「どうしたらできる?脱施設―充実させよう地域基盤整備―」
・行政報告
・自治体報告
・DPI報告(検討会の状況と今後の取り組み)
・支援者の立場から - 16:45~16:55 休憩
- 16:55~17:25 「電子図書館のアクセシビリティ対応ガイドライン2.0」報告:国立国会図書館
11月30日(日)10時から16時
権利擁護分科会、国際・障害女性部会合同分科会
10時~12時30分 権利擁護分科会「宇都宮病院事件を手がかりに強制入院と長期入院を問う」
健常と思われる状態であるにもかかわらず、拉致されるようにして宇都宮病院に移送され、誤診により、強制入院である『医療保護入院』をさせられるという事件が起こった。その後、退院することはできたものの、病院内での待遇や、服用させられた薬により後遺症が残り、営んでいた事業も廃業せざるを得ない状況に追い込まれた。
病院と医師らを訴えた民事裁判では、今年、医師らの不法行為が認められ、一部勝訴となったが、このような強制入院は珍しいものではない。「医療保護入院」等の強制入院の制度が乱用され、多くの精神障害者が長期入院を強いられている。
この分科会では、宇都宮病院事件の弁護士をお招きし、事件の経過をご報告いただくとともに、強制入院や長期入院を経験した当事者からもご報告いただき、日本の精神科病院の入院制度のあり方を問い直したい。
■登壇者
「宇都宮病院事件の経過について」
西前 啓子(弁護士)
「強制入院の実体験」
たにぐちまゆ(DPI日本会議常任委員)
「長期入院の実体験」
精神障害当事者
コメンテーター:柳原由以(弁護士)
12:30~13:30 休憩
13時30分~16時 国際・障害女性部会合同分科会「DEI(多様性・平等性・包摂性)は障害分野でどう生かされるか」
近年、国際的あるいは国内的な人権に関する議論の中で「DEI」という言葉を目にする機会が増えている。DEIは表題のとおり多様性・平等性・包摂性を意味するが、実はまさに私たち障害者の人権に関わる主要なテーマである。障害当事者にとっては決して目新しい理念ではないが、社会全体としては依然として理解が十分に進んでいない課題であることは否定できない。
本分科会では、国連障害者権利条約やSDGsにおいても中心的な理念とされるDEIを取り上げ、三人の発言者による問題提起を行う。
まず、中西由起子からはDEIの国際的および国内的現状について説明し、障害者権利条約とSDGs双方の視点から課題を提起する。続いて藤原久美子からは、DEIと障害女性が直面する課題解決との関連についての考察を行う。さらに、国際的な会計事務所・コンサルティング企業であるデロイト トーマツに勤務する奥平真砂子氏から、個々の「違い」を「強み」に変えるべく、包括的かつ戦略的にDEIを推進している同社の先進的実践や課題について紹介をいただく。
その後、海外で生活する当事者や研究者の立場からもパネルディスカッションに参加いただき、議論をさらに深めていく。
■第一部:報告
①中西 由起子(DPI日本会議副議長・アジア・ディルアビリティ インスティテート)
DEIとその国際的・国内的な現状について説明する。そもそも、CRPDの完全履行を目指し、人権モデルを主張している当事者団体にとって、DEIは当たり前の概念である。しかし、一般の人々の理解を広げるために、あえて英語の頭文字で「DEI」と表現している。さらに、近年一部で主張されている反インクルージョンの流れを食い止める意味もある。当然、「誰一人取り残さない」というSDGsの文脈においても同様である。
② 藤原 久美子(DPI日本会議常任委員・DPI女性障害者ネットワーク代表)
DEIと障害女性が直面する課題解決との関連について考察し、さらにSRHR(性と生殖に関する健康と権利)の理解推進や包括的性教育の展開とDEIの関係について報告する。
③ 奥平 真砂子(デロイト トーマツ グループ合同会社 HR Div. Diversity Abilities Planning Group ディレクター)
個々の「違い」を「強み」に変えることを目的に、包括的かつ戦略的にDEIを推進しているデロイト トーマツにおける先進的実践や課題を紹介する。
■第二部:パネルディスカッション「DEIを活かして障害女性の課題をメインストリームに!」
・ 登壇者 上記3名
・ Noah O Petashiさん(大橋グレース)※調整中
・ 研究者
・ 女性運動活動家
コーディネーター:平野みどり(DPI日本会議議長)
全体司会 村田 惠子(DPI日本会議常任委員・全国頸髄損傷者連絡会)
主催
特定非営利活動法人 DPI日本会議
後援・助成(予定)
日本労働組合総連合会、全日本自治団体労働組合、全日本水道労働組合、
東京都労働組合連合会、自治労東京都本部、自治労東京都庁職員労働組合、
全水道東京水道労働組合、東京交通労働組合、東京清掃労働組合、
日本放送労働組合、株式会社土屋、難民を助ける会(AAR Japan)
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