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第3回「ともに生きる社会」を考える 神奈川集会2018が開催されました。

2018年08月15日 イベント地域生活権利擁護

会場の様子

第3回「ともに生きる社会」を考える神奈川集会2018実行委員会主催による同集会が2018年7月28日、神奈川県社会福祉会館で開催されました。

当日は「『優生保護法に私たちはどう向き合うのか?―謝罪・補償・調査検証を!』東京・駒場集会」も同日開催で、台風の影響も不安視されていた中、全国各地から200名の方々にお集まりいただき、中身の濃い集会にすることができました。ご参加された皆様方、誠にありがとうございました。

当日は、津久井やまゆり園事件で亡くなられた障害のある19名の仲間の追悼から集会がはじまりました。
RKB毎日放送東京報道部長で知的障害/自閉症の子供の父でもある神戸さんが制作されたドキュメンタリー、「うちの子~自閉症という障害を持って~」が上映され、その後の講演ではやまゆり園事件の本質を見極めるために加害者である植松容疑者と面会を続ける中で感じた印象などを率直に語っていただきました。

また、アメリカから昨年の第2回神奈川集会にもメッセージを寄せていただいたNot Dead Yet USA代表のダイアン・コールマンさんからのビデオメッセージも流されました。
後半のパネルディスカッションでは、「『ともに生きる社会』をみんなで考える」をテーマにCILくにたち援助為センターの篠原さん、ケアサポート紬代表の仲井さんに神戸さん、コーディネーターとしてDPI日本会議事務局次長の今村が登壇して活発な意見交換がされました。

会場の様子
このディスカッションの中で、津久井やまゆり園事件の被害者の保護者からの指定発言があり、これまで新聞などでは報じられてこなかった施設の中での様子について話されました。外には楽しそうに散歩している姿しか出てきていない、施設はみんなおだやかに暮らしているというが、施設の行動記録を取り寄せてみたら実際には半日の外出機会が週2日だけ。そのほかに1時間のドライブもあったがそれも外で車から一切下りないもの。職員は2、3名で入所者がパニックを起こせば他の入所者は放っておかれる。土日はどこにも出られず、気力も体力も興味もなくなり、そこにいるだけの状態だったとして、植松容疑者の「施設ではみんな死んだようにしてる」発言の通りになっている、そしてその状態を50年続けている人もいるという実態が報告されました。

ディスカッションの最後には、ともに生きる社会を実現するために必要なこととして「人の命よりも法律やお金が優先される今の社会の構図を変えていくこと」や「『ともに』という内実を作って見せていくことが大事」といった意見が出されました。

最後に「ともに生きる社会を考える」神川集会2018アピール文が読み上げられ、参加者・賛同者一同により採択され集会は終了しました。

8月1日に、このアピール文を神奈川県へ提出をしました。
▽【神奈川】「やまゆり園事件」から2年 障害者団体など県にアピール文(東京新聞Web)

以下、集会アピール文


「ともに生きる社会を考える」神奈川集会2018アピール
~だれもがその人らしく暮らすことのできる地域社会の実現にむけて~

 「障害者なんていなくなればいい」「障害者は不幸を産み出すことしかできない」という考え方をいだいた元職員により、障害のある人19名の命がうばわれ、27名が傷つけられた津久井やまゆり園事件から二年がたちました。
この二年間、私たちは犠牲となった人たちの思いを忘れることなく、「障害がある人もない人もともに生きる社会の実現」をしなければならないと考えてきました。

元職員は、なぜこのような事件を起こしたのでしょうか。この人は特別な考え方を持った人だったのでしょうか。
津久井やまゆり園の事件は、「生きる価値のある人」と「生きる価値のない人」をわけて、「生きる価値のない人」は生きている意味がないという考え方(優生思想)によっておこなわれたものです。
事件を起こした元職員の考え方は、特別な人が考えたことではすまされません。「生きる価値のある人」と「生きる価値のない人」をわける考え方は、私たちの社会の中にも、私たち一人一人の心の中にもあるからです。
かつて日本には優生保護法という法律がありました。これは、国が障害のある人を「劣っている人」とし、「劣っている人が生まれないようにする」ことを決めた法律です。その法律によって、障害のある人たちは子供ができないように強引に手術(優生手術)を受けさせられた歴史がありました。
最近、この優生手術を強制的に、あるいは知らないうちに受けさせられた人たちが声をあげ、たたかいはじめています。
これまで優生手術を認めてきた社会のあり方をあいまいにせず、その考え方とどのように向き合い、克服しようとするのかが私たちに問われています。

また、日本は国連の「障害者権利条約」を守ることを約束している国です。「障害者権利条約」というのは、障害のある人たちの権利を守ることについて国連で決めている国際条約です。その人が望めば、自立し、社会に参加する権利があることを示しているものです。
障害者権利条約を守り、「ともに生きる社会」を実現するためには、どのような障害があっても、その人が望む暮らし方を選べるようにしなければなりません。そのための具体的な方法が積み重ねられ、地域での生活を実現するための支援が進められることが大切です。
入所施設については、計画的に規模を小さくし、地域での生活を支えるために必要な支援をおこなうところでなければならないと考えます。

神奈川県が「ともに生きる社会かながわ憲章」にかかげている「だれもがその人らしく暮らすことのできる地域社会」を具体的に実現していくことは、優生思想と向き合うきびしい取り組みです。
きびしくても「ともに生きる社会の実現」に向けての地道な取り組みを積み重ねていくことが、私たちの進むべき道だと考えます。
私たちは、ここに集まるすべての関係者、この集会に賛同した多くの人たちとともに、どんなにきびしい道のりでも「障害のある人もない人もともに生きる」神奈川県をつくる努力をすることを誓います。

平成30年7月28日
「ともに生きる社会を考える」神奈川集会2018参加者・賛同者一同

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