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障害者権利委員会へ「脱施設化ガイドライン案への意見」を提出しました

2022年07月07日 地域生活要望・声明障害者権利条約の完全実施

国連

DPIは2022年5月末に公表された脱施設化ガイドライン案(正式名称は「緊急時を含む脱施設化に関するガイドライン(案)」)に対して、JILとともに「国連に脱施設の声を届ける連絡会」として意見をまとめ、障害者権利委員会に提出しました。

▽公表された脱施設化ガイドライン案(英語、ワード)

▽United Nationsホームぺージ(外部リンク)

この脱施設化ガイドライン案は、コロナ禍で「障害者のさらなる孤立、疎外、施設収容につながる人権侵害の報告」が多く寄せられたことを背景として、2020年夏から脱施設化ワーキンググループを設置して策定されたものです。

DPIとJILは、2021年5月に地域別コンサルテーションとして開催された、アジア・太平洋地域のコンサルテーションにも「国連に脱施設の声を届ける連絡会」として参加し、意見提起を行っていました。

今後、今回のガイドライン案への意見等を踏まえて今年中には正式なガイドラインとして採択される見込みです。

日本における脱施設・地域移行の推進に向けて、8月にジュネーブで行われる日本政府の初回条約審査と合わせて、本ガイドライン策定の動きについても要注目です。


脱施設化ガイドラインドラフトへの意見

国連に脱施設の声を届ける連絡会

<構成団体>
・NPO法人DPI日本会議
・全国自立生活センター協議会(JIL)
※加盟団体数(2022年7月4日現在)
DPI:93団体、JIL:116団体

Ⅰ.本ガイドラインの目的及びプロセス

パラグラフ1、「努力を支援する」とあるが、義務化できないのか。

<提案>
障害者が自立して生活し、地域社会に参加する権利の実施における締約国の責任を支援するため、条約締約国、市民社会組織、その他の利害関係者に指針を提供しています。

<理由>
締約国に課せられる「義務的責任」ということを明確にするため。

Ⅱ.施設収容を終了させる義務

パラグラフ10、「危機は、障害者の強制的な医療化、強制的な治療、または司法化を決して正当化してはならない。」とあるが、国際人権機関がない国のための対策を示して欲しい。

V. 法的・政策的枠組みを可能にする

b. 法的枠組みおよびリソース

v. ワークフォース分析
パラグラフ64、「彼らは、障害者、または障害児に関してはその家族の指示の下でのみサービスを提供すべきである。」とあるが、ヤングケアラーの問題につながらないような配慮が必要。

c. 脱施設化戦略および行動計画
パラグラフ65.
<提案>
締約国の責務としてパーソナルアシスタンス等をはじめとする地域における支援者の人材確保のための戦略及び必要な予算をたてること。

<理由>
日本では各ジャンルともエッセンシャルワーカーが不足しているが、パーソナルアシスタントは他の職に比べて収入が低いことが人材不足の要因となっているため、人材確保戦略に現行のパーソナルアシスタントの処遇改善策を含めることが必要である。

VI. 包括的なコミュニティ支援サービス、システム、ネットワーク

a. サポートシステム/ネットワーク

パラグラフ69、「障害者が家族または地域社会による支援を希望しない場合、その者は他の選択肢を利用できるようにすべきである。」とあるが、具体的に何を利用すべきなのか。

パラグラフ72、「これには、レスパイト(休息)サービスの開発が含まれるが、これらは、たとえ短期間であっても、障害のある子どもや大人を施設に入れることを意味するものであってはならない。」とあるが、このドラフト全体が、障害者の家族依存を強調していて、19条で示していることと矛盾しているので、改めて整理が必要。

b. サポートサービス

パラグラフ73、「医療専門家は関与すべきではない」とあるが、具体的に「自立生活センターを含むピアサポート、セルフアドボカシー、支援の輪、その他の支援ネットワーク」を例示してはどうか。

VII. 他の人と同等に主要なサービスを利用できること

a. 施設退去の準備

パラグラフ92.
<提案>
現行の施設職員に対し、施設ではなく地域生活を支える人材としての再教育プログラムを計画的に実施すること。さらに再教育プログラムを受けた職員の勤務場所や役割の転換策を盛り込むこと。

<理由>
現在、施設職員として生計を立てている労働者が脱施設化を進める上での阻害要因になりうるため、脱施設により職が奪われることなく、パーソナルアシスタント等、地域移行によりあらたな職に就けるような支援策を同時に実施していくことが脱施設化の推進に有効と考えられる。

▽脱施設化ガイドラインドラフトへの意見(ワード)

▽Written submission for the draft guideline on deinstitutionalization_Coalition for the Promotion of De-institutionalization in Japan(英語版、ワード)


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