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山本博司厚労副大臣に「ワクチンの優先接種及びPCR検査の定期検査化を求める要望書」を提出しました

2021年06月18日 地域生活要望・声明

6月17日(月)に厚労省を訪問し、山本博司副大臣に「在宅の重度障害者・児、在宅介護職員(ヘルパー)に対する新型コロナウィルス感染症ワクチンの優先接種及びPCR検査の定期検査化を求める要望書」を提出させていただきました。

要望書は、全国自立生活センター協議会(JIL)、認定NPO法人DPI日本会議、一般社団法人日本ALS協会、NPO法人ALS/MNDサポートセンターさくら会、
一般社団法人 日本在宅医療連合学会の5団体の連名で作成し、当日は山本奈緒子氏(JIL事務局長)、川口有美子氏(さくら会理事)、崔・今村(DPI日本会議)の4人で伺いました。

要望内容

1. 在宅障害児者・児ならびにヘルパーの早期ワクチン接種と優先順位
2. 介護事業所職員の集中的・定期的PCR検査の実施支援について
3. 介護事業所に対する感染防止策の周知徹底について

山本副大臣はワクチン接種担当の副大臣でもあり、真摯に耳を傾けてくださいました。またこのような場を調整いただいた公明党の障がい者福祉委員会の委員長三浦のぶひろ参院議員、事務局長の下野六太参院議員も同席され、一緒に要望や事例を聞いてくださいました。

これまでも優先順位について厚労省は、次のように示しています。

①医療従事者等
②高齢者
③高齢者以外で基礎疾患を有する者、高齢者施設等の従事者

しかし、すでに64歳以下の人や職域での接種も始まりつつあり、自治体間の格差、企業間格差が生じ始めているので、優先順位というより希望者への接種がより早く広くスムーズに行われるよう、様々な方法が認められるよう国として更なるバックアップをお願いしました。

さらに、先日成立した「医療的ケア児支援法」についても副大臣、三浦議員、下野議員と少し意見交換ができ、重度・軽度関係なくインクルーシブな教育環境ができるよう一緒に取り組んでいきましょうということで、この法律に関しても引き続き意見交換の機会をお願いしました。

家に帰って改めて検索すると「新型コロナワクチンQ&A」(外部リンク:厚労省)というサイトがありました。

なお、私ごとで恐縮ですが、この要望書を提出した帰りに、月一の定期診療のためにかかりつけのクリニックに行ったところ、ちょうどワクチン接種予約者にキャンセルが出たところだとのことで、その場でワクチン接種を受けられました。

厚労省は、「新型コロナワクチンの余剰が発生した場合の取り扱いについて」(PDF)

という通知を5月25日付で出していたので、接種券がまだ届いていなくても、予約者のキャンセルが出た場合など、医師の判断で対応できるようです。

報告:今村 登(DPI事務局次長)

以下、要望書全文になります。


2021年6月17日

厚生労働副大臣
山本 博司 様

全国自立生活センター協議会
認定NPO法人DPI日本会議
一般社団法人日本ALS協会
NPO法人ALS/MNDサポートセンター さくら会
一般社団法人 日本在宅医療連合学会

在宅の重度障害者・児、在宅介護職員(ヘルパー)に対する
新型コロナウィルス感染症ワクチンの
優先接種及びPCR検査の定期検査化を求める要望書

日頃より新型コロナウィルス感染症(以下:コロナ)の終息に向けご尽力いただきありがとうございます。

私たちは1日24時間など、常時介護を必要とする在宅の重度障害者・児の支援に携わっている全国的な団体の連名で、それぞれの加盟団体には実際に障害者総合支援法による重度訪問介護、居宅介護、介護保険の訪問介護などの介護サービスを提供している団体や支援組織が全国各地に100箇所以上存在します。

昨年から続くコロナ禍において、入所施設やグループホームなどでのクラスターが発生していますが、当連名団体の在宅の障害者・児への感染報告はなく、ヘルパーの感染事例報告が数件ありますが、他者への感染拡大はなく、なんとか介護サービスの提供を維持できてきました。

しかしこの度、当方の加盟団体ではありませんが、最重度の障害ともいえる難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の在宅障害者と同居の配偶者に感染者(PCR陽性者)が発生しました。感染経路はヘルパーです。

そのヘルパーはPCR検査で陽性判定でしたが、他に代われるヘルパーが見つからず、本人も症状がないことから、「マスクをしていれば大丈夫」との判断で介護サービスを継続してしまったそうです。救急搬送された被感染者がALS患者だったため、病院側は介護やコミュニケーション等の対応において大変苦慮していると聞いています。

また、配偶者のほうも軽度であった認知症が大幅に進んでしまい、医師の説明を理解できない等、対応が難しいと聞いています。常時介護を必要とする障害者の長年の要望により、2018年から障害支援区分6の重度訪問介護サービス利用者は、入院中の介護利用が可能になっておりますが、コロナ禍においてはそれも厳しい状況になっています。

また、これまでの濃厚接触者に該当するかどうかの判断は各保健所が総合的に判断するとされていますが、該当する目安として提示されている「必要な感染予防策(マスクなど)なしで15分以上接触があった人」という文言が「マスクをしていれば感染しないとの誤った拡大解釈がされている危険性もあります。

今回のケースの問題点として、ヘルパー及び事業者の誤った認識は確かにありますが、他方、重度障害者・児の在宅生活を支えるヘルパーの深刻な人材不足と、重度障害者・児に対応可能な医療機関の不足いう側面が根底にあります。

障害者特有のニーズに対応できるヘルパーが感染して、24時間数珠繋ぎのシフトに間が開いてしまうと、これらの人びとの地域生活は途端に継続できなくなってしまいますが、緊急対応できる病院や施設は大変少なく、ベッド数も限られているのです。

この二つの問題点の早期改善を図る施策は必要ですが、まずはこのコロナ禍を生き抜くために、次のことを要望いたします。

1. 在宅障害者・児ならびにヘルパーへの早期ワクチン接種と優先順位について

既にワクチン接種の優先順位として、①医療従事者、②高齢者、基礎疾患のある人、③高齢者・障害者の施設職員(在宅介護職員含む)の順であることが公表されていますが、具体的な対象者の判断(案内)は自治体に委ねられており、相当数の自治体間格差が生じる恐れがあります。国として優先順位の見直しと早期接種の方策を講じてください。

例えば「医療的ケアを含むヘルパーを利用している在宅の障害者・児」「常勤の介護者」、「医療的ケアを行う介護者」、の優先順位を医療従事者と同等とするなど

2. 介護事業所職員の集中的・定期的PCR検査の実施支援について

感染力の強い変異種の蔓延が懸念される中、医療的ケアなど常時介護を必要とする重度障害者・児の在宅介護サービスは自粛が許されません。感染の蔓延を未然に防ぐためには、疑わしいと本人や事業所が判断してもなかなか迅速にPCR検査を受けられないことが多いため、本人や事業所の負担で民間のPCR検査を受けて対応している現状があります。

こうした状況を鑑み、東京都では令和3年度より「高齢者・障害者支援施設等への集中的検査の実施」(87億円)として「重症化リスクの高い高齢者・障害者が利用する施設の職員等を対象として集中的、定期的にPCR検査を実施」という事業予算を組みました。

とりわけ「定期的」に行うことへの補助が出されることに意味があります。この東京都と同様な仕組みを自治体間格差が生じることなく全国的に可能となるよう、国としての支援策を講じてください。

3. 介護事業所に対する感染防止策の周知徹底について

蔓延し出したコロナの変異種に対しても、基本的にはマスクの着用、手指消毒、3密回避という対策に大きな変更はないと思いますが、PCR検査陽性で在宅療養となった障害者・児の介護に従事する際、「マスクの着用」、「手指消毒」、「3密回避」及び「部屋のゾーニング」、「PPEの着脱方法」等の周知徹底を図り、陽性判定が出た介護者が「マスクをしていれば介護を行っても大丈夫」という誤った認識が生じないよう、改めて国からも介護事業所に対し、感染防止策の周知徹底を求めます。

以上

▽要望書のPDF版はこちら


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