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「新型コロナウイルスとメディカルモデルの来復―グローバルな自立生活運動の呼びかけ」
(障害者権利条約 締約国会議サイドイベント報告)

2021年06月17日 国際協力/海外活動

winロゴ

6月14日(月)に、障害者権利条約締約国会議サイドイベント「新型コロナウイルスとメディカルモデルの来復―グローバルな自立生活運動の呼びかけ」が開催されました。

スピーチを行った京都の日本自立生活センター(DPI加盟団体)の大藪光俊さんが、参加報告を書いてくれましたのでご紹介します。


京都にある日本自立生活センター(JCIL)で当事者スタッフとして活動している大藪光俊です。

去る6月14日、国連ニューヨークで行われた障害者権利条約締約国会議のサイドイベントにて、日本のスピーカーとして登壇させていただきました。

脱施設に向けた運動の重要性

今回のサイドイベントは、WIN [World Independent Living Network] が主催したもので、アジア・北米・中米・ヨーロッパから活動家が集まり、各地の状況を報告しました。

▽当日の様子をyoutubeで観ることができます。

世界的にコロナ禍が広がり、施設入所を強いられている多くの障害者が集団感染で命を落としたり、十分なヘルスケアを受けられない障害者がたくさん生み出されてしまいました。

障害者を弱い存在と見なし、医療モデル的な障害の捉え方にこの世界が逆戻りしてしまう危険性が謳われています。コロナ禍から世界が立ち直りつつある今だからこそ、改めて障害者権利条約第19条の実現に向けて、世界規模で脱施設に向けた自立生活運動の推進の重要性が確認されました。

日本代表としてのスピーチ

私も日本代表として3分間のスピーチをさせていただいたのですが、自身が今中心的に関わっている「筋ジス病棟の未来を考えるプロジェクト」の取り組みについて紹介しました。

8名が写っているzoomの画面

日本全国で重度訪問介護による24時間介助保障が認められているのに、未だに筋ジス病棟には2000人もの人たちが収容されている。しかも、コロナ禍以降、誰も病院の中に立ち入ることができず、入所者の人たちは1年以上にわたって愛する家族や支援者にすら会えない状況に置かれています。

私自身はたまたま生まれた時から地域で暮らし続けてきましたが、筋ジス病棟に入ってそのまま一生を終えていた可能性も十二分にあります。だからこそ、みんなに地域に出て欲しい、そんな思いを伝えさせていただきました。

10名の参加者が写っているzoomの画面
当日は世界で活躍する障害者運動の活動家たちを前に、また自立生活運動を牽引するジュディ・ヒューマンを前にして相当緊張しましたが、私たちの活動を世界にアピールできたことは本当に嬉しく光栄でした。

また、各国で脱施設の取り組みの重要性が共有されているということを実感できて、これからも粘り強く、日本の脱施設化に向けて着実に運動を展開していきたい、そんな思いを新たにさせられたひと時でした。本当にありがとうございました!

以下、当日採択された声明文になります。


WIN 共同声明
June 14, 2021 at COSP 14 Side Event

 国連障害者権利条約の締約国会議サイドイベント開催の結果、World Independent Living Center Network – WIN (世界の IL センターネットワーク) は各国の政府、国際機関、市民団体等に向けて以下の呼びかけをする:

1. 権利条約第 19 条及び一般的意見 5 に沿った共通の自立生活の定義 ・ 理念を採用すること。

第 19 条及び一般的意見 5 によれば、 すべての障害者は地域で自由に自立生活をすることを選択する権利がある。自立生活は障害者が自身の生活をコントロールし、 自己選択をすることを可能にする。

2.コロナ禍において障害者の生活がどのような影響を受けたかを認識すること。

新型コロナウイルスは障害者の排除を悪化させ、既にあった不平等を深めた。それはリソースが非常に限られている途上国の農村地域では特に顕著である。
多くの国で政府による介助サービスに対する支援・財政援助が不足していたために、介助者たちは 「エッセンシャル ・ ワーカー(不可欠な仕事を担う働き手)」として扱われなかった。

このことは財政が厳しくなった、もしくは底をついてしまった自立生活に関わる団体と、これらの団体に毎日のサービスを頼っている利用者に対し、非常にネガティブな影響を与えた。

3.脱施設のための緊急計画を策定すること。

隔離という施設特有の構造的特徴とシステムにより、多くの障害者が入所施設で命を落とした。各国の政府が自粛・規制等を緩和していく中で提示している以下の解決策は、到底受け入れられるものではない。それは、自力で生活できない場合は施設入所すべきという提案である。

政府はこの間のパンデミック中に学んだ教訓に基づいて、地域移行計画を実現するため、非常に明確なスケジュール、独立した監視メカニズム、および十分な予算とともに、効果的な脱施設法制化および行動計画に緊急に投資する必要がある。政府はコロナからの復興を目的とした私的または公的資金が、いかなる種類の施設にも使われないようにする必要がある。

4.コロナからの復興プロセスを活用して、 既存の不平等と将来の自立生活の侵害に終止符を打つ。

「他人に行動や生活様式を制限されるということがどういうものか」 を世界中の人々が同時期に経験したことをチャンスと捉え、我々は脱施設と自己決定の声をあげていく。障害者のインクルージョンを生活のあらゆる面で主流化する上で、真のインクルージョンを奨励し、 政治的および社会的レベルでパラダイムシフトを支援するための意識向上キャンペーンが必要である。

さらに政府は、障害者とその組織が最初から最後まで有意義に関与しなければ復興プロセスは達成できない、ということを理解する必要がある。

5.今こそ世界的な自立生活運動の重要性を認識すること。

自立生活運動は、ピアサポートや介助サービスなどを通じて、障害者が施設ではなく、思い通りに生活するための実用的で包括的な解決策を提供する。私たちの運動は、すべての障害者のエンパワーメントと、すべての障害者の市民的、政治的、社会的、経済的権利の完全な行使を促進する。

6. 私たち、世界自立生活センターネットワーク (WIN) は、コロナからの復興に関与しなければならない。

私たちは障害者として、国籍、人種、宗教、性別、性的指向、年齢を超えた共通の価値観と課題を共有する。私たちはWIN として集まり、世界中の障害者を代表して、すべての人が自由を獲得するまで権利擁護運動をしていく。WIN の立場で、私たちは監視役となって、締約国が第 19 条および条約全体に基づく義務を遵守できるように、解決策を監視、報告、提案する。

WIN として、世界に自立生活運動を広めていくことを通じ、私たちは脱施設化のプロセスをリードし、支援していく。これにより障害者はピアサポートと自立生活センターの設立を通じて、自身の権利を確実に理解できるようになる。そして自立生活センターは、障害者の施設から地域移行への支援をする上で主要な役割を果たすことができる。

ぜひこのミッションに共に参加してください。 ありがとうございます。

▽当日採択された声明文(日本語)(PDF)   (ワード)

▽当日採択された声明文(English)(PDF)  (ワード)

▽ENIL(ヨーロッパのILセンターのネットワーク)による報告はこちら(English)

▽WINについてはこちら

新しく自立生活センターの世界のネットワークが出来ましたWorld Independent Living Center Network(WIN)の世界役員会議


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