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駅アナウンスによって障害女性が痴漢・ストーカー被害にあっています! 国交省から鉄道事業者に改善を求める事務連絡が出されました。

2021年08月25日 バリアフリー障害女性

駅のホーム

一部の鉄道事業者は、障害者が電車に乗降する時、駅員等がマイクで「お客様ご案内中です。乗車完了」というようなアナウンスをしています。「◯◯号車ご乗車。降車駅⚫⚫」と言う事業者もあります。

このアナウンスによって障害者が乗車していることが他の乗客に伝わり、障害のある女性が痴漢やストーカー被害にあっていることがわかりました。

DPIバリアフリー部会のメンバーが障害女性への聞き取りをしたところ、「降車駅で待ち伏せされて家までつけられた」「下着の色を聞かれたり、卑猥なことを繰り返された」「違うところに連れて行かれた」等の被害の実態が明らかになりました。

■障害女性のストーカー被害の事例(鉄道アナウンス)
(2021年6月DPI日本会議調査)

障害種別 被害内容
車いす使用者 電車が動き出して間もなく男性が寄ってきて「品川でしょ?送ろうか?」何度も言われて、ずっと声を掛けられていた。やめてくださいと言っているのに周囲の人は誰も助けてくれなかった。
視覚障害者 車両ドアのところの外側を向いて立っていたら、後方から「いたいた!手伝ってあげるよ」と言いながら後方に回り、ぴったり迫りもぞもぞされ、荒い息をされた。離れようとしたが、ぴったりくっつかれて動けない。次の駅でドアが開いたときに、とりあえず車両からでた。希望駅ではなかったので歩行に慣れていなくすごく困ったが降りるしかなかった。その場にいて次に来た電車に乗るしかなかった。
車いす使用者 最終電車に乗り、ドアが閉まりそうになった時にサラリーマン風の男性が飛び乗ってきた。私に向き合い「遅いから送ってあげようと思ってさっ。○○駅なら知っているから」と。酒臭く酔っていて怖かった。無視をし続け、下車駅でスロープ介助の係員に訴えたが「交番に行ってください」と言われただけで、どの客かの一言もなかった。その後恐怖が続き睡眠障害になり、とりあえず引っ越しをした。
視覚障害者 地下鉄で車両内ドアのところに立っていたら「一緒に行きましょうか?」と言われ、断るのも失礼と思いそのまま行先を言って頼んだが、違うところに連れて行かれた雰囲気がしてきて、行き止まりのところだと気づいた。とりあえず慌てて行ける方に走って逃げた。
視覚障害者 始発の車両内のドアのところに立っていたら、酒臭い男に声をかけられた。「障害者は前か後ろにしか乗らないから話し相手が欲しい時はすぐわかるよ。見えないってどう?怖い?」等、3駅ずっとしつこくされていた。一番後ろに乗せられたので、車掌がいるだろうと思ってガラスを叩いて助けを求めたが、気が付いてくれなかった。もういう嫌だ。
車いす使用者 東京に出てきて初めての終電。ほとんどの乗客が酒臭かったのでアナウンスしないでくださいと頼んだのに、それでは乗せられないと断れたので仕方なく乗りたくない一番後ろに乗せられた。べろんべろんに酔った男性が飛び乗ってきて、「居た!手伝ってあげようと思って走ってきたよ。○○駅でしょ?」と言いながら可哀そうにと繰り返し足をさすられた。「やめてください」といっても離れてくれず、私も逃げられず、大きな声をだしても周囲の人は聞こえないふりしているように感じた。とても辛く忘れたくても忘れられず今でも夢を見る。この話に触れるのはこれが最後にして前に進みたい。
車いす使用者 夜遅くなり周囲が男性ばかりだったので、アナウンスをしないでくださいと頼んだがダメだと言われ、乗った号数まで言われた。ドア付近にいたら「ここだ!」とスーツ姿の男性が乗ってきた。ぴったり後方にくっついてきて、下着の色を聞かれたり、卑猥なことを繰り返された。怖くて声もでず降りた駅で係員にアナウンスのせいだと泣きながら訴えたが、「警察に行ってください」といわれるだけで、大丈夫ですか?の一言もなかった。その時からずっと心療内科にかかっている。もう電車は怖いからアナウンスがなくならない限り電車は乗れない。だから社会参加はできない。
車いす使用者 アナウンスで行先まで言われたときに、一緒のドアから乗った男性に「こんな時間に障害者がなんで新宿なんか行くんだよ」と言われた。
車いす使用者 発車後に別の車両から来た会社員の男性に「○○駅は良く知っているよ,送っていこうか?」と何回もしつこくされた。あの恐怖は今も忘れられない。
10 車いす使用者 ホームに来た係員に、乗り換え駅と下車駅を大声で確認されたので、周りに聞こえないように言ってくださいと頼んでいたら、近くの会社員に「乗せてもらっているのに偉そうなこと言うな!」と怒られた。
11 車いす使用者 自宅に見知らぬ男がよくいるけど知っているか?と近所の人に聞かれて確認したら、電車内で時折見かける男性で、後を付けられていると知った。その後、何度も自宅周辺にいるので警察に相談し被害届けを提出した。夜中に窓ガラスに大きな石を部屋に投げ込まれた。警察に通報したら警察に相談した嫌がらせではないかと言われた。警察や近所の人が助けてくれ捕まった。今でも遅くの帰宅にならよう気を使い生活している。
12 車いす使用者 発車後に近くにいた男性から「俺も○○駅だよ。一緒に降りようよ」と、何度も声を掛けられた。酒臭いわけでもなく真面目な男性に思えたから余計に怖かった。スロープを持ってきた係員に助けを求めたが既にいなくなっており、また来るかもしれないから改札まで送ってくださいと頼んだのに、今はいないから大丈夫ではないですか?と改札まで付き添ってくれることもしてくれなかった。
13 車いす使用者 他3件 上記よりひどい被害のため記載しない希望

DPIでは7月に国土交通省に改善を求める要望書を提出し、①鉄道事業者に被害の実態を伝える場を設けてほしい、②各事業者に駅アナウンスを中止し、他の方法で安全確認をするように改めてほしいとことを求めました。

これを受けて国土交通省は7月16日に「車椅子使用者等の乗降時の駅アナウンスによる情報伝達について」という事務連絡を出し、鉄道事業者に駅アナウンスによらない方法での情報伝達を検討すること、後日、各社の検討状況について報告を求めるとしました。

8月18日には国交省が全国60以上の鉄道事業者を集め(オンライン)、被害の実態を直接お話する場を設けてくださいました。

駅アナウンスは乗務員に安全確認を伝達するために行っていますが、アナウンスによらない方法で安全確認をしている事業者も多数あります。アナウンスは主に関東地区の鉄道事業者で行われており、東海、関西、九州などの事業者では殆ど行われていないようです。

8月末現在では、まだ駅アナウンスは続いておりますので、今後、各事業者で中止されるか注視していきたいと思います。

ぜひとも、各事業者におかれては、被害の実態を認識して頂き、駅アナウンスを一刻も早く中止し、他の方法に切り替えていただけますよう、強くお願いいたします。

▽8月25日にNHKでも報道されました。こちらからご覧ください。

報告:佐藤聡(事務局長)


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