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「筋ジス病棟からの地域移行者」として伝えたいこと
(withコロナ時代のオンライン地域移行支援制度モデル構築事業)

2021年08月24日 地域生活

「withコロナ時代のオンライン地域移行支援制度モデル構築事業(日本財団助成)」について、本事業の協力団体である日本自立生活センター(JCIL)から活動報告をいただきました!


みなさんこんにちは。「Withコロナ時代のオンライン地域移行支援制度モデル構築事業」京都実働部隊の日本自立生活センター(JCIL)です。

昨日の報告に引き続き、今回は地域移行された当事者の藤田さん(2020年10月宇多野病院退院)に改めて想いを伺いました。

地域の支援者・地域の医療者・病棟スタッフ・入院患者さん・患者さんの家族へ向けた藤田さんからのメッセージです。是非ご覧ください。

1.地域の支援者の皆さんへ

この14年ほど入院していて、地域移行の存在は知っていたものの、重度訪問介護サービスの存在は全く知りませんでした。そんな時に、JCILのメンバーによる訪問で、重度訪問介護を使った一人暮らしの話を聞きました。でも、本当に一人暮らしが可能なのか、複雑な気持ちもありました。

しかしメンバーの人たちの話を聞いていくうちに、一人暮らしに向けて積極的に進めようというメンバーの姿勢が、徐々に私自身一人暮らしをしたいという気持ちにさせてくれました。それが私にとって人生を変えてくれたきっかけになり、すごく有難かったです。

メンバーによる最初の訪問から退院までの全力のサポートのおかげで、無事に退院できて、一人暮らしを始められて、とても嬉しかったです。

退院してからは、他の事業所の支援者の人たちにも支えられて、色々ありながらも普通の生活を送れている事に、幸せと感謝でいっぱいです。これからも支援者の皆さんよろしくお願いします。

ヘルパー派遣に関わる全国の皆さんは、医療的ケアが24時間必要な重度の人であっても、もっと積極的に受け入れてほしいです。また、介助者が医療面でできることがまだまだ限られているので、制度を良くしてほしいと思います。

24時間重訪を使ってこうやって生活できることを、以前の自分がそうだったように全国には知らない人も多くいますし、支援者や事業所の皆さんも広めていってほしいです。
私自身も、これからは地域移行を考えている人たちの役に立てるように、何らかの形で協力していけたらなと思っています。

2.地域の医療関係者の皆さんへ

退院して、往診や訪問看護の皆さんが生活を快適に過ごせるようにサポートしてくださり、その姿勢や思いに温かさを感じています。

初めて一人暮らしをする私に、在宅での工夫やアイデアをもらえている事はとても大きく、そのおかげで生活がスムーズにできる様になってきました。忙しい時でも、何かあればいつでもすぐに様子をみに来てもらえるので、安心して任せられるところがあり助かっています。

いつも身体の様子をみるだけではなく、一つ一つ聞きながら丁寧に対応し、生活に関わる事を言えば何でもしてくださるので、感謝の気持ちでいっぱいです。

これからも色々あるかと思いますがよろしくお願いします。

全国の医療関係者の皆さんは、私たちのような呼吸器の人が地域で暮らせるということを、全国に広げていってほしいです。まだまだ知られていないことも多いので、どんどん伝えていってほしいと思います。

退院してすぐは、医療面で分からないことだらけで苦労する当事者が多いと思います。そういうことはみんな減らせていけたらと思います。具体的に、こういう場合はこう対処すればよいとか、緊急時の対応などです。

どれくらいのことまでやったら往診・訪看さんに連絡していいのか?すぐ連絡するべきなのか?様子見るのか?など、みんな悩んだことがあるのではないかと思います。医療関係者の皆さんには、その辺のことを患者にアドバイスいただけると安心できるということを知ってほしいです。

また、訪看さんと往診の先生との連携がうまくいっていると安心できます。地域移行をして間もないころは、特に医療面で分からないことだらけで、不安も多く自信もないので、医療者の方に言いづらいことも多々あります。そういった中でも医療者の皆さんがうまく連携して医療を行ってくださると、不安を減らして過ごせると思います。

3.筋ジス病棟スタッフの皆さんへ

このコロナ禍の状況で感染防止しながら気を付けて働いておられる皆さんは、精神的に一番大変だと思います。そんな中でも、皆さんが頑張って働いておられるおかげで、入院中の患者さんの生活が支えられてるんだと感謝しています。

私は、長期入院から宇多野病院の皆さんのご協力もあり、無事に退院して一人暮らしをすることができたので、心より感謝しています。一人暮らしをしてみて、入院中どれだけお世話になり安心した生活を送れていたのかと思うと、感謝しても感謝しきれないほどです。

病棟スタッフの皆さん、まだまだコロナ禍の状況が続き大変だと思いますが、早く状況が良くなって欲しいと祈っています。

地域移行に関して協力して欲しいことがあります。地域移行したいと思っている患者さんの希望を、もっと積極的に受け入れて欲しいです。私は、このコロナ禍の中でも、宇多野病院の皆さんの協力があり無事に退院できましたが、それ以前にヘルパーさんが研修を受けられなかったこともあり、退院してから各事業所の研修はとても忙しくて大変でした。

唯一、訪問看護の研修は受けられて良かったなと思いました。そんなことがあったので、病院でも研修を受けられる体制づくりを考えて欲しいです。

以下は全国の筋ジス病棟の皆さんにお伝えしたいことなのですが、吸引などの緊急性がある時にコールを押してもすぐに来てもらえなかったり、コールを消してしまって忘れられることがあると、患者としてはとても不安です。吸引などの緊急性のあることは、すぐに対応して欲しいです。

あと、コールを消す前に一声かけてもらえると全然違います。それより吸引などの緊急性があった時に、「順番に行くから」とか「分かってるから何度もコール押さんといて」などと強く言って後回しにするのは、直接命に関わることなのでどうかやめて欲しいと思います。このようなコール対応に関して、もっと改善できるところがあるのではないでしょうか。

あと、病院のシステムに関して思っていることがたくさんあります。それは、食事の事や外出の事や、病棟でのイベントの参加希望や、患者さんの要望をあまり聞いてくれなかったり、何も聞かずに勝手に決めたり判断したりしないで、もう少し患者の意見を聞いていただけるとありがたいです。

全国の病棟スタッフの皆さん、地域によってコロナ対策や医療状況は違うと思いますが、それぞれみんなできることからして、困った時や大変な時は、お互いに助け合って乗り越えてもらいたいです。入院患者さんの生活を支えることは、本当に大変なことだと思いますが、協力し合い状況が落ち着くまで一緒に頑張りましょう。

精神的につらくて耐えられない時は、我慢せずに人と話したり聞いてもらったりすることで、少しでも気持ちが楽になると思うので、そうしてみてはどうでしょうか。一人の当事者として、いつも応援しています。

4.長期療養中の入院患者さんへ

今も入院されている患者さんで地域移行をしたいと思っている人たちには、私と同じように退院して、悔いのない人生を送って欲しいなという気持ちがあります。

長期入院から退院することは勇気が必要な選択肢と思いますが、JCILのように全力でサポートしてくれる人たちもたくさんいるので、一度話を聞いたり、遠慮しないで相談してほしいです。

長期入院だけが全てではなく、地域で一人暮らしも可能なので、少しでもそういう気持ちがある人たちには是非退院して欲しいです。

Zoomで当事者が集まる交流会が開かれていたりもするので、ちょっとのぞいてみてはどうでしょうか?それによって、各地の筋ジス病棟の患者さんたちや、自立生活をしている筋ジス当事者とも、どんどん繋がる流れができたりして楽しいと思います。

5.長期療養中の入院患者さんのご家族へ

このコロナ禍の状況で患者さんとご家族と面会できない事は、本当に辛いと思います。普段会えていたのが会えない状況になったことは、精神的にも肉体的にもきついと思います。

私も、入院していた時のこういう気持ちは痛いほど分かります。普通だった生活が、コロナによって生活状況も大きく変わった中で面会できないことは、とても不安な気持ちになります。この状況が、早く無くなって欲しいと心から願っています。

こういう時だからこそ、色々な人に話を聞いてもらったりすることで少しでも気持ちが楽になると思うので、たくさん話をされてみてはどうでしょうか。

大変ですが、皆さんが元気に過ごせるように心から祈っています。お互いこの辛い状況を一緒に乗り越えましょう。

精神的につらくて耐えられない時は、各地域のCILなどに不安や悩みを相談したりして頼ってみるのも大事だと思います。

地域移行や自立生活に関して、少しでも関心を持たれているならば、実際に自立生活をされてる方や、知り合いや友人の話を聞いてみるのが一番だと思います。地域移行には、ご家族さんの理解と協力が必要になります。不安で心配されるのは当然だと思いますが、今は重度訪問介護という画期的な制度があります。重度訪問介護は、長時間の連続介助が想定された制度で、必要と認められれば24時間ヘルパーさんを使って在宅生活をできるサービスの事です。

自立生活は、ご家族の負担をなくせるのでいいと思います。私も 重度訪問介護を使って24時間快適な生活を送れているので、重度の方でも可能だと思いました。各地域のCILの相談以外にも私が言った方法もあります。一人の当事者としていつも応援しています。


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