障害のある人もない人も同じように暮らせる社会へ

知っているようで知らなかった!「電話リレーサービス」についての勉強会を行いました

2020年11月06日 バリアフリー

 NPO法人インフォメーションギャップバスター理事長でDPI日本会議の特別常任理事に就任された伊藤 芳浩氏を講師に「電話リレーサービス」についての勉強会が行われました。

 電話リレーサービスとは、聞こえない人と聞こえる人を通訳オペレーターが「手話」や「文字」を通訳することにより、電話で即時双方向につなぐサービスです。

 2020年6月3日に「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法」が可決され、2021年度より公共インフラとしてのサービス提供が開始されることが決まりました。

 伊藤さんは制度化されるまでの道のりと現状、そして今後の課題についてお話ししてくださいました。

電話リレーサービスは誰のためのサービスか?

制度化までの道のりと現状、今後の課題

 これまで聴覚障害者は、離れている人と連絡を取り合う場合、主にメールやFAXを使用してきましたが、それだけだとタイムラグがあり、緊急の要件には使えなかったそうです。例えば、クレジットカードをなくしてしまい、急いで利用停止したくても自分ではできなかったわけです。他にも、

などを自立して行うことが出来ず、その都度、家族や友人に手伝ってもらわなければいけませんでした。

 伊藤さんがこの電話リレーサービスの普及活動をされてきたのは、そうして友達に通訳を頼みすぎて関係が崩れてしまったり、連絡手段が電話という理由で諦めたりすることがたくさんあったからだそうです。誰もが公平に自立して電話をできることが、自分たちにとっても社会にとっても大切なことだと考えたのがきっかけになられたとのことでした。

連絡先が電話だけで諦めることがたくさんあった

 障害者差別解消法の合理的配慮という観点からも電話リレーサービスは絶対必要ですし、スムーズに法制化してきたのかと思っていましたが、現⾏の電話関連の法律やシステムが⾳声中⼼であったため、なかなか進められなかったそうです。また、聴覚障害者からも「メールがあるじゃないか」と自己抑制の声もあり難航したとのことでした。どの障害でも「社会に迷惑をかけない」という発想が生まれるのは、これまでの日本が障害を、障害者を隠してきたことが背景にあるような気がします。

 電話リレーサービスは、世界では25ヶ国以上で、既に公的サービス化しているのに、日本では未だ公的サービスになっていません。正式なサービスになってないのはG7で日本だけだそうです。それを受け日本財団が2013年9⽉から制度化を⽬標とし、必要な経費・課題を把握するためのモデルプロジェクトを行ってきました。利用者アンケートでは95%の人が「日本財団の電話リレーサービスを使ってよかった」という結果が出ているそうです。

 また、伊藤さんが理事長を務めるNPO法⼈インフォメーションギャップバスターでは、電話リレーサービス普及活動として主に2つの活動をされてきました。ひとつは理解を広めるためのセミナー・講演の実施。もうひとつは正式サービス化するための署名・要望活動です。

 これまで電話リレーサービスの制度化を求める声は、厚労省と総務省の間をたらいまわしにされてきたそうです。そこで伊藤さん達はChange.orgなども使いながら8,096名の署名を集めて総務省へ提出し、さらには14回にわたるロビーイング活動を行い、必要性を訴えられてきました。そして2018年11月の参議院予算委員会で、安倍前⾸相が「電話リレーサービスは公共インフラである」と明⾔したことで一気に公的化へ向けて加速したそうです。粘り強い運動が実を結んできた過程を聴けて胸がとても熱くなりました。

署名運動や大量の要望書

 そしてついに2020年6月「電話リレーサービス法」が成⽴しました。しかし、法律ができただけでは現在の「⾳声中⼼社会」の⾒えない壁が壊れるわけではなく、今後運用していく上で大きな問題が残されています。まず立ちはだかるのは、電話による「本人確認」です。

 家族か本人の声じゃないと受け付けられないという事業者がほとんどで、電話リレーサービスの説明をしても、結局窓口に来るように言われてしまうこともあるそうです。特に銀行・クレジット会社・保険会社といった、お金に関わる企業は受け付けてもらえないことが多く、電話利用が困難な人にとっての最大の障壁となっています。

 企業が、電話リレーサービス経由で本⼈確認を拒否する理由として、「代替⼿段(郵送など時間がかかる⽅法)を用意しているから」ということがあります。しかし、負担がかかる⼿続きを⼀⽅的に強いるのは差別につながることを伝えなくてはいけません。

 他にも「内規で本⼈確認⽅法を定めているので簡単に変えることが出来ない」というところもあるということでしたが、法律では本⼈確認の⽅法までには⾔及していません。「本人確認の方法は現場の裁量で決める」となっているので、これらを変えていくよう働きかけていく必要があります。

電話を使うのが困難な人 11.5% 電話を使うのが困難な人に連絡したい人も含めると100% つまり、電話リレーサービスはすべての人のためにあります

 この問題は、電話リレーサービスの認知度が低いことが原因のひとつと思われますが、知らないのは社会や事業者だけではないようです。なんと当事者への普及率が0.1%だそうなのです。この事実には驚きました。利用者が増えないことにはサービスは良くなっていきません。

今後取り組んでいく課題・質疑応答

 まずはこの2点に取り組まれるということでした。

 その後質疑応答の時間になりましたが、重要なことをたくさん話されていたので一部ご紹介します。

①ビデオリレー【 CA [ Communication Assistant ] (通訳者) によって手話の発話と音声発話の間をリレー】

②文字リレー【 CA によって文字と音声発話の間をリレー 】

③字幕表示機能付の電話機によるリレー【 発話に支障のないろう者・難聴者のために、CA が音声を文字に変換 】

④音声リレー【 耳は聴こえるが発話が困難な人のためのリレーサービス 】

総務省は手話か文字しか考えていないが、聴覚障害者の中には中途障害も多く、発声が可能な場合もある。音声での通訳も認めてほしい。他にも、日本語にしか対応していないらしく、他の言語に対応していないのも問題。

感想

 お話も資料も非常に分かりやすかったです。

 障害者差別解消法がありますし、今回の電話リレーサービスは当たり前の合理的配慮ぐらいに思っていました。しかし、制度化してもまだ二重の壁があるというお話を聞いて、法制化と同時にどう運用していくかまで法の中で定めないと広がりにくいということが分かりました。

 今回のお話は、僕自身初めて知る事が多くとても勉強になりましたが、同時に誰もが暮らしやすいと掲げて活動しているのに仲間の事を知らなかったことは反省すべき点です。今後の残された課題についても、僕達も一緒に運動していく事が大事だと強く感じさせられました。

CIL星空 井谷重人

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