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【報告第二弾!】Road to K-POP♪♪♪
韓国のバリアフリー法政策編!

2019年09月03日 バリアフリー国際協力/海外活動

8月11日(土)~14日(水)までDPI韓国から、日本、中国、韓国の障害当事者交流プログラム「Road to K-pop」(助成:Lotte Duty Free財団)へご招待頂き、韓国のソウルへ行ってきました!

今回は報告第2弾「韓国のバリアフリー法政策編」です!
▽報告第一弾「DPIメンバーが韓国ソウルへ行ってきました!」はこちら

3日目の午前中に行われたカンファレンスでは、国連障害者権利条約やSDGs、インチョン戦略に関しての各国代表からの発表の他、韓国のアクセシビリティに関する政策についての講義もお聞きしました。

韓国経済環境建築研究所ユニバーサルデザイン&福祉部門の主任研究員であるYOONG HO BAEさんによる講義では、主に観光旅行の際のアクセシビリティについてお聞き出来ました。

まず、韓国内でのアクセシブルに関する法律と政策は下記の5つがあります。

「障害者・高齢者及び妊産婦等の便宜増進保障に関する法律」は建物のアクセシビリティに関する法律で、公園、レストラン、映画館、博物館、動物園、ホテル等に適用されています。

建物の種類 アクセシブルな設備
公園 入り口、道路、トイレ、点字ブロック、視覚障害者のためのガイドシステム、チケット売り場、自動販売機、障害者のための駐車場
レストラン 道路、障害者のための駐車場、正面入り口及び正面ドア
映画館 道路、障害者のための駐車場、正面入り口及び正面ドア、経路、階段及びエレベーター、トイレ、点字ブロック、視覚障害者や聴覚障害者のためのガイドシステム、座席、チケット売り場、緊急警報システム
博物館
動物園
道路、障害者のための駐車場、正面入り口及び正面ドア、経路、階段及びエレベーター、トイレ、点字ブロック、座席、チケット売り場
ホテル 道路、障害者のための駐車場、正面入り口及び正面ドア、経路、階段及びエレベーター、トイレ、点字ブロック、アクセシブルルーム

レストランは2007年以降に新築された施設で床面積300㎡以上の場合が対象となり、ホテルは1998年以降に新築され総客室数30室以上の場合に全体の1%以上をアクセシブルルームにしなければならないとの事でした。

日本のバリアフリー法では、レストラン(新築、増築、改築)は床面積2,000㎡以上(各自治体の条例で上乗せあり)、ホテル(新築、増築、改築)は床面積2,000㎡以上、総客室数50室以上の場合に全体の1%以上をバリアフリールームにしなければならないと定められていますが、韓国と比べても弱い基準であることがわかりました。

また、韓国も日本と同様に小規模店舗のバリアフリー化、格安ホテルのバリアフリールームを増やすこと等の課題が残っているとの事でした。

●韓国の低床バスについて

現在、韓国内の低床バス普及率は韓国全体で約20%、ソウル市内で約30%だそうです。

低床バスは通常のバスよりも3倍のコストがかかってしまうことから普及がなかなか進まないのだそうですが、行政が予算の範囲内で財政支援をすることで普及を目指しているとの事でした。

今回のツアーでは残念ながら低床バスに乗る機会はなかったのですが、私たちの移動に使った貸し切りの観光バスには昇降リフトがついており、車いすのままで4、5台乗れました。

●韓国の特別輸送サービス

韓国では、移動が不自由な人々の交通利便性の促進に関する法律(Act on Promotion of the Transportation Convenience of Mobility Disadvantaged Persons)によって、移動に不利な立場の人への特別輸送サービスを導入しなければならないと義務付けられています。

その一つとして、車いすのままでも乗れる車両での移送サービスがあります。

この移送サービスは一般タクシーよりも低額でアクセシビリティも確保されているため、移動に困難な障害者の外出を支えています。事前に申請を出せば外国人でも使えるそうですが、3日前までに予約をしなければならないとの事で、急な外出予定が入った際に使えない等の課題が残っています。

●観光地での差別禁止

観光地のバリアフリー化は近年韓国が最も力を入れて取り組んでいる政策の一つです。

障害者差別禁止と救済法(Anti-Discrimination Against and Remedies for Persons with Disabilities Act)の24条2では、①国家および地方政府ならびに観光事業者は、ツアーおよび旅行への参加に関して、第4.1(i)、4.1(ii)および4.4条で定義されている障害者の行為を強制してはならない。②州、地方自治体および観光事業者は、障害者が観光活動に参加するための正当な配慮を提供するものとする。③州および地方政府は、障害者が観光活動に積極的に参加できるようにするための措置を講じるべきである。と定められています。

日本と同様に韓国でも歴史的な建物には段差が多いそうですが、段差解消スロープや車いす用昇降リフトの設置等を行っている様子を紹介して頂きました。

慶州にある天馬塚の入り口 慶州にある天馬塚の全体

慶州にある天馬塚

テグ市にある近代文化体験館。段差解消スロープが設置されている 近代文化体験館の一角。車いす用昇降リフトがついている

テグ市にある近代文化体験館 (画像提供:YOONG HO BAEさん)

現在YOONG HO BAEさんは厚生省や国土交通省と共に地方政府の観光地を調査しバリアフリー認定を承認する活動を行っているそうです。

バリアフリー認定を受けた観光地は文化・スポーツ・観光省のウェブサイトで紹介され、一般の方々がバリアフリーな観光地の情報を得られやすくなります。また、今後はアプリを使ってトイレやスロープ等のバリアフリー情報も提供できるよう、システムを開発中との事でした。

今後の課題として、バリアフリー認定を行う際には専門家と当事者が一緒に調査して承認する流れになって来てはいるが、さらに多くの障害種別の当事者が関われるようになると良いと話していました。

今回の講義では韓国の政策で進んでいる点や日本と共通の課題点も多く知ることが出来ました。

今後もお互いに情報共有をしながら、両国のバリアフリー政策が良い方向へと進んでいけるように協力していきたいと思いました。

工藤登志子(DPIバリアフリー部会・STEPえどがわ)

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