全ての人が希望と尊厳をもって
暮らせる社会へ

English FacebookTwitter

【速報】優生裁判熊本地裁、原告勝訴の判決が出ました!

2023年01月24日 権利擁護障害女性

青空に映える紅梅

旧優生保護法(1948-1996年)下で強制不妊手術や人工妊娠中絶の強要の被害にあった人と家族が全国各地で優生裁判を行っています。地方裁判所(1審)判決はで初の原告勝訴判決が熊本県で出ました。

原告の渡辺数美(わたなべかずみ)さん・川中ミキさん(仮名)に対し、2023年1月23日(月)、熊本地裁判決は「優生保護法の優生条項の違憲性は明らかである」とし、国に賠償責任を認めました。

被告(国)は、本件について除斥期間(法律上の権利が消滅する期間)が適用されるとの主張を行いましたが、判決は「このような大規模かつ長期にわたる憲法違反の人権侵害よりも法的安定性(法律関係の速やかな確定)を例外なく優先させなければならない理由は見いだし難い」として、除斥期間の適用を制限し、国に賠償を命じました。

全国の優生裁判ではこの後、3月末までにいくつかの地裁及び高裁判決が続いて出される見込みです。最初の大きな一歩となりました。

現地の熊本では支援者が1月14日(土)に集会を行い、判決を前に裁判への支援と傍聴を呼びかけました。熊本からの平野みどりDPI日本会議議長の報告をお読みください。


熊本地裁の“当たり前だけど画期的判断”
~「除斥期間の適用による請求権消滅は認めない!」~

優生保護法被害者とともに歩むくまもとの会 平野みどり

2023年1月23日、熊本地方裁判所は、旧優生保護法被害者である原告の訴えに対し、「(旧優生保護法は)差別的な思想に基づくもので非人道的であり、憲法に違反する」と指摘し、国に賠償を命じる判決を言い渡しました。

原告の渡邊數美さんの提訴から5年。渡邊さんにとって苦しく不安な日々だったことでしょう。それ以上に、子ども時代から高齢となられた今に至るまでの長い年月に経験された苦渋、心痛、屈辱感、絶望などは想像を絶するものですが、それらが、今日の熊本地裁の中辻雄一朗裁判長の心のこもった、そして画期的な判決によって、幾ばくかは癒されたのではないでしょうか。

熊本地裁101号法廷は、傍聴者で埋め尽くされていました。14時、裁判長は主文を読み上げる前に、「手話通訳者を介して判決を理解する方もおられますから、ゆっくりとわかりやすく主文の骨子から読み上げます」と説明。

裁判長は一区切りを終えると、それを手話通訳者が手話で伝え終えるのを確認しながら、次の発言を始めていたと、徳田弁護士はその丁寧な対応を確認しておられました。私は恥ずかしながら気づきませんでした。

そして、民事裁判では極めて珍しいそうなのですが、裁判長はまず主文の骨子から始めました。その内容たるや、これまで弁護団や原告や意見陳述者が長きに亙って主張してきた内容を真摯に追うかのような、原告の主張を踏襲した画期的な判決でした。

違憲性については、既に各地裁や高裁でも認められてきましたが、私たちの前の大きな壁は国が主張する除斥期間でした。ところが、中辻裁判長は、除斥期間の規定を適用することによりもたらされる結果が著しく正義・公平の理念に反するなど特段の事情が認められる場合、そもそも除斥期間は適用されないと判断したのです。

このくだりを聞きながら、傍聴席からはすすり泣く声が聞こえてきました。私もハンカチ、いやマスクに涙が染みていきました。

渡邊さんと匿名の女性原告では、手術を受けた時期が子ども時代と成人してからという違いなどもあり、賠償額には差異がありましたが、判決後お二人はそれぞれ判決に満足しておられました。(女性は体調不良により、法廷に来られず、判決後、文書で感想を寄せられました)

さあ、これからです。熊本地裁の判決を、各地の地裁判決や高裁判決に適用してもらえるよう、希望を持って取り組みましょう。そして、国に「除斥期間戦術」を諦めさせ、上告断念を強く訴え、早期解決を実現させましょう。

万が一、国が上告しても、私たち熊本の有志は原告お二人を支えながら、福岡地裁これから始まる大分地裁の原告や支援者の皆さんと連携して、九州から勝利の風を吹かせていきたいと思います。


▽関連記事

【報告】優生裁判熊本地裁結審、2023年1月23日(月)に判決が出されます

2022年12月19日(月)全国一斉旧優生保護法相談会(ホットライン)ご案内(主催:日本弁護士連合会他)と今年の優生裁判支援の動き(振り返り)


私たちの活動へご支援をお願いします

賛助会員募集中です!

LINEで送る
Pocket

現在位置:ホーム > 新着情報 > 【速報】優生裁判熊本地裁、原告勝訴の判決が出ました!

ページトップへ