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ニュース 優生裁判で初の原告勝訴:優生手術被害者の訴えを認め、大阪高裁が国に賠償命令

2022年02月22日 権利擁護

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旧優生保護法(1948~1996年)に基づき、強制的に不妊・中絶手術を行われた被害者が国に対して起こしている裁判(全国で原告25人)では、これまで既に一審判決が出ているところでは、いずれも原告の請求は棄却されていました。今回、2022年2月22日、大阪高等裁判所(二審)が国に対して原告(被害者1名、被害者と配偶者1組)に賠償を命じる判決を出しました。

二年前の大阪地方裁判所(一審)では、不法行為があった後に賠償を請求できる20年の「除斥期間」は裁判が起こされた時点では過ぎているとして請求を棄却していました。国の損害賠償責任を認める判決は今回が初めてとなりました。

大阪高裁の判決は、原告の主張について、以下の判断を延べました。
「旧優生保護法(中略)の立法目的は、専ら優生上の見地から不良の子孫の出生を防止するというもの(同法1条)であるが、これは特定の障害ないし疾患を有する者を一律に「不良」であると断定するものであり、それ自体非人道的かつ差別的であって、個人の尊重という日本国憲法の基本理念に照らし是認できないものといわざるを得ない。本件各規定は、このように立法目的の合理性を書いている上、手段の合理性をも欠いており、特定の障害者等を有する者に対して優生手術を受けることを強制するもので、子を産み育てるか否かについて意思決定をする自由及び意思に反して身体への侵襲を受けない自由を明らかに侵害するとともに、特定の障害等を有する者に対して、合理的な根拠のない差別的取り扱いをするものであるから、公共の福祉による制約として正当化できるものではなく、明らかに憲法13条、14条1項に反して違憲である」。

また「除斥期間」の適用に関しては、正義・公平の観点から例外的に適用しないことを決定しました。
判決は、「不法行為の時期」は優生保護法の一部を改正する法律施行日の前日である平成8(1996)年9月25日とし、原告両名とも20年の「除斥期間」は過ぎていることを確認した上で、「控訴人らが長期にわたり本件訴訟を提起できなかったのは、自己の受けた不妊手術が旧優生保護法に基づくものであることを知らされず、平成30年まで、国家賠償を求める手段があることを認識していなかったためであるが、更にいえば、優生手術の対象となった障害者に対する社会的な差別・偏見やこれを危惧する家族の意識・心理の下、控訴人らが、訴訟提起の前提となる情報や相談機会へのアクセスが著しく困難な環境にあったことによるものといえる」と述べました。

二審(高裁)判決は今回の大阪が初めてでした。次は、2022年3月11日、東京控訴審の判決が14:00から101号法廷で出される予定です。ぜひ傍聴や応援の呼びかけをお願いします。

関連ニュース「旧優生保護法の不妊手術で国に賠償命令 全国で初めて 大阪高裁」(NHK)

▽優生保護法被害弁護団(外部リンク)「各地の弁護団の声明・原告のコメント等」


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