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【ポイントまとめ】「入所施設と自立生活センターが連携した地域移行」DPI全国集会「地域生活分科会」報告・感想

2026年06月23日 イベント地域生活

DPI全国集会「地域生活分科会」について、報告を下林慶史(DPI常任委員/日本自立生活センター)が、感想を圓山里子さん(新潟青陵大学)が書いてくれましたので、ご紹介します!


こんなことが報告されました(ポイントまとめ)

(敬称略)

1.八木 郷太(CILいろは)

2.大津 真由美(社会福祉法人勇成会 ありすの杜:相談員)

3.山田達也(地域移行した当事者)

4.田中 恵美子(日本女子大学教授)

詳細は下記報告をご覧ください。


分科会開催の経緯

地域生活分科会のテーマは「入所施設と自立生活センターが連携した地域移行」でした。冒頭、部会長の今村から今回のテーマ設定の背景として、2022年の総括所見を受け、法改正をせずとも、報酬改定で変えていけることとして、施設入所者への意向確認の義務化と地域生活支援拠点の中に地域移行コーディネーターを配置する仕組みづくり等を求めてきたことが語られました。

分科会で議論されたこと

そして、入所施設と自立生活センターが連携した地域移行の先行事例として、CILいろは事務局長の八木郷太さんと入所施設の相談支援を担当されている「ありすの杜」の大津真由美さん、実際に入所施設から地域移行をされた山田達也さんから報告とクロストークをしていただき、コメンテーターを日本女子大学の田中恵美子さんに務めていただきました。

八木さん

まず、CILいろはの八木さんからは、施設から地域移行された事例を2つ紹介していただきました。CILいろは創設以来20年、地道な活動を展開され、地元行政(水戸市)やさまざまな団体とも連携されているそうです。

1つ目の事例として紹介していただいたのは、コロナ禍での施設からの地域移行支援の事例で、この方は、「地域移行したい」という意向は明確なものの施設長の強固な反対とコロナ禍により面会・外出制限があったことによって支援が思うように進められない状況だったそうです。そんな中でも電話でのピアサポートや相談支援を担当することで面会を果たすなどして、2年以上かけて自立されたとのことでした。

次に山田さんの事例について、山田さんは5年前に事故で受傷(頸損)して2年半入院され、その後の居場所として「ありすの杜」へ入所。「ありすの杜」の相談員である大津さんから連絡をもらい、支援に入られたとのことでした。山田さんの支援に入った時期はコロナ禍でもなく、また、施設からの反対もなかったので、外出やイベント参加、自立体験室利用など非常にスムーズな自立生活プログラムが展開できたとのことでした。

八木さん

八木さんに続いて報告していただいた「ありすの杜」の大津さんは、山田さんが待機登録を経て入所された際、初めてのサービス利用ということで計画相談を担当されたそうです。そのとき病院のワーカーは入所が決まって安堵していたけれど、山田さんご本人は「入所施設」がどういったところかわかっておられない様子だったとのことでした。

大津さんが、直感的に山田さんが本当に施設に入りたいのか疑問に思い、ご本人に本音を聞いたところ、本当は地域で暮らしたい旨が確認でき、ありすの杜としても「やりたいことはやった方がいい」という方針で「通過点」として入所施設を利用しながら準備することを提案されました。その際、地域移行前後のピアサポートの必要を感じたことから、以前よりつながりのあったCILいろはに支援を求めたそうです。

CILいろはのピアサポートを受ける中で、表情が柔らかくなったりお洒落に興味を持たれたりするなど、本来の山田さんを取り戻されていく姿を目の当たりにした大津さんは、自立生活センターと入所施設が連携して地域移行することの意義を痛感されたそうです。

大津さん

次に地域移行された山田さんご本人が登壇され、入院時から現在に至るまでの写真をもとに八木さんと対談形式で語っていただきました。言葉を交わしながら生活の様子を紹介される山田さんの表情はとてもにこやかで、「自立してから1番楽しかったことは何か?」と尋ねられたときに「今。今日ここに来られたことが1番楽しい」と言っておられたのがとても印象的でした。

お三方の報告の後、クロストークのコーディネーターの田中さんから今回の報告から学べること・活かせることがそれぞれ述べられました。

学べることの1つ目は、自立体験室などを活用し、徐々にその人の生活を組み立てていく「自立生活センターの役割」、2つ目は、反対の声が立っても本人の気持ちに寄り添う「権利擁護」の実践を挙げられ、地域生活に関する見立てや組織の変化を促す「相談員の役割」についても大きな学びがあると述べられていました。

そして、今後に活かせることについては、地域移行支援拠点の仕組みに自立生活センターがどう関わっていけるかという点を挙げ、そのためには自立生活センターの活動についてさらに広く周知していく必要があるのではないかと述べられました。

他にも大津さんからは「できるか・できないか」ではなく「どうしたいか」の本音を語ってもらう意向確認の重要性、八木さんからはロールモデルを知ってもらい、背中を押すピアサポートの本質的な役割についてコメントがありました。

今回の地域生活分科会では、これまで自立生活センターが粘り強く実践してきたピアサポ―トの重要性と真の意味で入所者の地域移行を支えるための入所施設と自立生活センターが連携した支援のあり方について考える大きなきっかけを得ることができたと感じています。

下林慶史(日本自立生活センター)

参加者感想

地域生活分科会では、水戸市における地域移行について、相談支援専門員、自立生活センター、そして自立生活を実現したご本人といった立場の異なる三者から報告がありました。今後の地域生活支援の目指すべき、しかも実現可能な姿が示され、障害福祉事業者と当事者団体との「連携」の実践がDPI全国集会で報告されるようになったのかと感慨深い内容でした。

「無理解な」入所施設から自立生活に時間がかかった事例等のこれまでの地道な活動の積み重ねに加え、自立生活センターも相談支援専門員も、それぞれが得意分野や「専門性」を発揮して「連携」したからこそ、山田さんの自立生活が実現し、髪をピンクにした山田さんがどんどん本来のお洒落な姿になっていることに結びついたのでしょう。

たとえば、山田さんの希望を確認するプロセスや、体験室利用の方法など、どのようなポイントで「連携」するとよいのか、今回の報告内容がこれからの地域生活支援のスタンダードになれば、各地での地域移行も進んでいくでしょう。

また、個人的には久々の戸山サンライズでの参加でした。オンライン開催は地方在住者にはありがたい面もありますが、対面開催の良さも改めて感じた全国集会でした。

圓山里子(新潟青陵大学)


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