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11月11日(火)「地域と施設のこれから」を考える—第40回『国際障害者年』連続シンポジウム開催報告(キリン福祉財団助成事業)

2025年12月08日 イベント地域生活

会場の様子
11月11日に京都市地域多文化交流ネットワークセンターおよびオンラインにて、第40回「国際障害者年」連続シンポジウムが開催されました。

今回は日本自立生活センター、京都市居宅介護等事業所連絡協議会、DPI日本会議の3団体の共催で行われ、「地域と施設のこれから〜障害者の暮らしと支援をめぐって〜」と題して、DPI日本会議がキリン福祉財団助成事業で開催しているタウンミーティングとしても広く参加を呼びかけました。

進行については3部構成になっており第1部では、国の「障害者の地域生活支援も踏まえた障害者支援施設の在り方に係る検討会」(以下、障害者支援施設の在り方検討会)委員で、知的障害者福祉協会の会長である樋口氏と同じく同検討委員会の委員であるDPI日本会議事務局次長の今村氏から報告をいただきました。

樋口さんと今村

樋口氏は、長年に渡り入所施設を運営されてこられたのですがその原動力としては、最初に勤められた大規模入所施設で、個人の生活が尊重されにくい体制に思うところがあり生活介護事業所とグループホームを運営されているとのことでした。

樋口氏は「私も地域移行には全く反対しない」としながらも、現状の中で今出来ることとしては、入所されている方の生活の質を向上させること、個人の尊厳を守ることが重要として強い思いを持ち、個室化や施設の小規模化に積極的に取り組んでおられる様子が伝わってきました。

樋口さんと今村

今村氏からは、障害者支援施設の在り方検討会が設置された理由について語られました。脱施設化・地域移行を進めるための情報整理や検討の場が必要とされ、そこには様々な立場の人がいながらも「最終的には、地域移行は進めるべき」という総論を確認するに至ったとのことでした。

第2部は、脱施設化や地域移行にむけた京都市の取り組みや京都にある入所施設職員の方々、親御さんの思いなどについて報告をしていただきました。

今村

冒頭、京都市独自で始められた一人暮らし体験事業についての紹介・報告がなされました。自立体験室は全国のCILで設置されていますが、公営は初の試みで今年の4月から開始されています。現在、市の自立体験室を利用されている方のサポートしている日本自立生活センターの大藪氏は、利用されている中で生じる壁について、施設入所や家族同居の状態で体験室利用をしようとした場合、介助サービスの時間数が足りず実費負担の可能性があることやご家族の気持ちの揺れがあることなどを指摘されていました。

また、地域生活支援コーディネーターの中川氏からは、現在10名の方が様々なパターンで自立体験室を利用されていること、ハード面(建物)・ソフト面(制度)の両面で改善の必要な事柄はあるが、様々なタイプの体験室が増え、広がっていくことが望ましいと述べられました。

加えて、入所施設職員の方々から、地域移行が叫ばれる中で減ることのない入所待機者や看取りの場としてみなされている入所施設の現状などについて率直な思いを語っていただきました。

登壇者1 登壇者2 登壇者3 登壇者4

第2部の最後は、お子さんが知的障害当事者で現在施設入所されている竹口氏からの報告でした。竹口氏としては現状では、セーフティネット的に一時入所できる場は必要と考えておられ、障害者の生活の場においては選択肢があることと、それを選べることが良いのではないかと語っておられました。

第3部は情報共有・対話の時間として、参加者の思いを語っていただく場、質疑応答の場となりました。その中には、「京都市の取り組みを知って、地域の取り組みを全国に広げていくことが重要だと感じた」「やっぱり自分は施設入所は嫌だ」など率直な声も聞かれ、「地域生活のための制度や社会資源を整えて工夫しなくては!」や「家族にもさまざまな選択肢が必要」といった意見がありました。

今回のシンポジウムは非常に注目度が高く、会場とオンラインを合わせて220名の方に参加していただくことができました。この人数は、「国際障害者年」連続シンポジウムとしては過去最多の参加人数だったのですが、そんな中でさまざまな方と対話し、京都の取り組みを発信できたことは非常に意義深かったと感じています。

会場の様子

文責:下林慶史(日本自立生活センター事務局長、DPI日本会議常任委員)


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