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【ポイントまとめました】「法定雇用率達成代行ビジネスの現状から障害者雇用の意義と課題を考える」(DPI全国集会「雇用労働分科会」報告・感想)

2022年06月23日 イベント雇用労働、所得保障

DPI全国集会「雇用労働分科会」について、報告を岡本直樹(DPI常任委員、CILふちゅう)が、感想を匿名希望の方が書いてくれましたので、ご紹介します!


こんなことが報告されました(ポイントまとめ)

(敬称略)

1.松井 亮輔(法政大学名誉教授)

2.藤尾 健二(NPO法人ワークス未来千葉、千葉障害者就業支援キャリアセンター長)

3.安藤 信哉(公益社団法人全国脊髄損傷者連合会事務局長、株式会社障碍社 代表取締役)

詳細は下記報告をご覧ください。


分科会開催の経緯

障害者の雇用・労働に関わる施策は、福祉施策(障害者総合支援法)での就労継続支援A型・B型継続雇用と、雇用施策(障害者雇用促進法)での一般就労として企業に障害者雇用を義務付ける法定雇用率制度(特例子会社を含む)が大きな柱となっています。

昨今、企業が名目上の法定雇用率を達成するために当該企業とは分離・隔離した場で行われる「障害者雇用」が広がりつつあります。

本分科会は、このような「(仮称)法定雇用率達成代行ビジネス」について、現状を学び、障害者雇用施策に関する課題を確認し、今後の施策への働きかけを検討することを目的として企画されました。

分科会で議論したこと

「障害者雇用の現状と課題」と題して、まずは法政大学名誉教授の松井氏より、障害者雇用実態調査に触れ、日本の障害者雇用の実態と問題点、障害者権利条約第27条労働及び雇用の一般的意見にも雇用率ビジネスが抵触するといった指摘がありました。

松井さん

次に、「障害者雇用率ビジネスの実態と問題点」と題し、全国就業支援ネットワークの藤尾氏からは2010年6月頃から千葉県市原市に障害者雇用のコンサルティングを目的とした企業向け貸農園によるS社の取り組み等に特化した概要について話され、雇用率ビジネスについてアンケート結果をもとに問題点などを的確に指摘されました。

藤尾さん

続いて公益社団法人全国脊髄損傷者連合会・事務局長の安藤氏より、ご自身のこれまでの取り組みと思想からご自身の会社を起業に至った経緯などを話された。また現在、障害者就労事業等にも力を入れていることから事業者としての意見を聞くことができました。実際に藤尾さんの紹介されたS社を見学された際の感想が印象的でした。

安藤さん

後半の討論では、雇用率の上昇と合わせ雇用の質をどう維持していくべきか、それぞれの考えをお話下さいました。また障害者が働きやすい環境は、障害者だけではなく、女性や様々な困難な状況にある人たちの視点で変えていくことができるのではないかという問いについては、共感してもらうことができました。Q&Aでは、障害者雇用率ビジネスへの賛否はありました。また松井先生に向け海外の動向についても質問がありました。

DPI日本会議では、障害者基本法の目的である「障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念に則り、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現すること(抜粋)」を意識し、そして障害当事者団体として、障害の有無や程度に関わりなく共に学び、共に育ち、共に働き、共に暮らす、共生社会の実現を国と共に目指しています。

今回取り上げた障害者雇用率ビジネスは、誰もが職業を通して社会参加できる共生社会の実現に反する雇用形態であると感じています。

今後に向けて

DPIでは、障害者雇用促進法の改正に尽力し、2019年5月7日、衆議院厚生労働委員会の参考人質疑で部会長の西村が発言し、多くが附帯決議に盛り込まれました。今後の課題は、障害者雇用の対象範囲の見直しといった附帯決議の項目の実現に向け取り組みを強化していきたいと考えます。

今回の問題も含め、法定雇用率をめぐる様々な課題に目を向け、今後も引き続き、DPIとしては取り組んでいくことが必要だと考えています。引き続き、同じ志をもつ皆さんや厚生労働省の皆さんと共に、この課題解決に向けて取り組んでいきたいと考えます。

参加者感想

日本の現状についての課題を整理された松井さんの話、障害者雇用促進のための雇用率制度を利用した「雇用率代行ビジネス」の実態を紹介された藤尾さんの話、そのビジネスを始めたS社に実際に訪問された安藤さんの話、それぞれとても勉強になりました。もしこれが教育の場であれば、学校に籍だけ置いていて、一度もそこに通学しないで、別の場所で教育を受けるようなものでしょうか。

オンライン集会ということで、チャット欄で参加者からの感想がその場で読めましたが、企業と働く本人がお互いに良いと思って契約しているものに対して何が言えるのかという趣旨の書き込みには考え込みました。せっかく分科会なので、オンライン上で少人数のグループに自動で分けて、参加者が自由に意見交換をするなどしてもよいのではないかと思います。

難しいテーマで、いただいた資料を読んでまた考えていきたいと思っています。また一般就労している様々な障害のある人の体験をもっと聞けたらと希望します。

(匿名希望)


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