全ての人が希望と尊厳をもって
暮らせる社会へ

English FacebookTwitter

【ポイントまとめました】「ついに迫る!障害者権利委員会第1回日本との建設的対話」(DPI全国集会「全体会」報告・感想)

2022年06月20日 イベント障害者権利条約の完全実施

5月28日(土)29日(日)「第37回DPI日本会議全国集会」をオンライン開催しました。
全国から約330名の方にご参加いただきました!ありがとうございました!

今日から全体会と各分科会の報告と参加された方からの感想をお届けします。

今回はDPI全国集会「全体会」について、報告を佐藤聡(DPI事務局長)が、感想を福嶋哲平さん(自立生活センターてくてく)が書いてくれましたので、ご紹介します!


こんなことが報告されました(ポイントまとめ)

(敬称略)

1.尾上浩二(DPI日本会議副議長)

2.富山未来仁(外務省総合外交政策局人権人道課長)

3.石川准(内閣府障害者政策委員会委員長)

4.崔栄繁(DPI日本会議議長補佐)

詳細は下記報告をご覧ください。


第一部 障害者差別解消法基本方針改定の状況

講師:尾上浩二(DPI日本会議副議長)

昨年、障害者差別解消法が改正され、現在、内閣府政策委員会で基本方針の議論が始まっています。課題は、①施行日は「3年以内」とあるが、一日も早い実施が必要。2013年の制定から10年近くになり周知の時間としては十分。②国・地方自治体の連携協力については、ワンストップ専門相談窓口の設置がポイント。③差別解消のための支援措置強化については、国・地方での相談人材の育成・確保、事例収集の体制が求められる。④差別の定義、障害女性の複合差別解消等は、基本方針改正等に最大限反映させなければならない。

尾上さんと佐藤さん

第64回政策委員会では、議論となったことは「家族等関係者差別」でした。例えば、障害を理由に引っ越しを強いられるなど、家族など関係者に対しても不利益が生じているといったことに対してどう考えるかということで、障害者と家族の立場の違いといったことや、法律の対象範囲との関係などが議論になりました。少なくとも事例として基本方針に記載する必要があるのではないでしょうか。

もう一つは不当な差別的取り扱いです。間接差別等を巡っては、「活字印刷物対応可能な者に限る」といった様々な事例が挙げられましたが、経済界からは法律上の定義が変わっていないのだから基本方針の変更はすべきではないといった意見が出されました。

2021年度には内閣府が調査研究事業「相談体制の整備、事例の収集・共有等」を実施し、自治体調査やヒアリングをふまえて報告書を作成しました。主な内容は、地方公共団体に、どこに相談にいけばいいか明示的窓口が必要なこと。3年前の内閣府の調査結果によると、相談件数のカウントは、無しの自治体が46%。不明と年9件以下の自治体をあわせると96%。果たして障害者差別解消法が機能しているのか。

一方、年100件以上(全体で見ると0.6%)といった自治体もあり、大きな格差がある。これを解消するために、自治体には障害者差別を明示した窓口が必要。さらに、内閣府に「司令塔としての役割」も求めており、国におけるワンストップ相談窓口も必要。担当省庁につながり、担当者が適切に対応すれば、大きな効果を発揮しています。

担当省庁が分かりにくかったり複数の省庁にまたがったりのため、どこに相談したらよいか分からない「迷子問題」への対応が差別解消法の仕組み上不可欠です。障害者差別解消の効果を発揮するためには、担当省庁につなげていくためのワンストップ窓口を内閣府に設置することが求められます。

今後スケジュールは、年内に政策委員会の意見を取りまとめ、2022年年度中に基本方針の針の政府案を作成〜パブリックコメント等の手続を経て閣議決定する予定です。

第二部 国連障害者権利委員会 第一回対日審査に向けて

対日審査に向けた日本政府の取組
講師:富山未来仁(外務省総合外交政策局人権人道課長)

富山さん

2014年に日本は障害者権利条約を批准し、2016年に初めて報告書を提出しました。今年8月に第1回目の審査を受ける予定です。審査は障害者権利委員会が行います。その国から提出された報告書の内容を確認し、委員会から事前質問を作成し、それに基づき対面審査をします。そして、総括所見という勧告が出され、それに基づき日本政府が取り組みを進める、そういうキャッチボールが建設的対話の趣旨です。事前質問への回答は8月審査に向け、最終調整をし、近く提出予定です(その後提出済)。

審査は通常、3時間の対話が2日間行われます。委員からまとめて質問が出され、日本政府代表団がまとめて回答を行います。条約第33条に基づく、国内実施状況の監視の過程に関与する役割を担う機関として、障害者政策委員会も招待され、発言します。市民社会団体等は、オブザーバーとして出席・傍聴が可能です。

今回の特徴は、新型コロナのために、政府報告が提出されてから、審査までの時間が長くなっていること。コロナ禍で審査そのものが行われず、その後、オンライン審査、ようやく対面審査の再開となりました。この間に日本政府の取り組みが進んでいるところがあり、それを説明する機会にもなります。8月審査に向けて取り組みをしているところで、また皆さま方とも、この審査、その先とプロセスを踏まえてご協力、対話を進めたいです。

 

「障害者の権利に関する条約の実施状況に係る障害者政策委員会の見解」について
講師:石川准(内閣府障害者政策委員会委員長)

崔さんと石川さん

内閣府障害者政策委員会は障害者権利条約の国内監視機能となっています。8月の対日審査には、政府代表団も障害者団体等もジュネーブに行って、建設的対話に臨みます。市民社会(障害者団体やNGO)は権利委員会に向けて、市民社会のブリーフィングという政府の報告とは別に、市民社会としての権利条約の実施状況を述べる機会があり、これはとても重要です。政策委員会からも建設的対話に政府代表団の一員として石川氏が出席することになりました。

政策委員会が独立した監視枠組みとして、初回報告以降の顕著な進展、顕著な懸念事項(施策が暗礁に乗り上げており、権利条約が求めることと異なる方向へ向かっているもの)を整理してまとめました。日本の障害者施策の課題を、権利委員が読んですぐに理解できるように明確に述べています。

12条については、成年後見制度はあくまでも最終手段として用いられるのがギリギリの制度であるべきところ、日本はそうなっていません。法的行為能力の行使を支援すること、法的行為能力の行使につながる日常的な意思決定支援を厚くしていくことで、障害者が経済的な損失を被らないようにすることが本筋であり、成年後見制度を肥大化して、法的行為能力を制限することで、財産や経済的利益を守るという成年後見という考え方自体を縮小すべきと明確に述べています。

14条では、緊急手段、最終手段でない非自発的な身体拘束、薬などによる拘束も含めてなくすための施策が急務であると述べています。24条は、インクルーシブな教育環境における合理的配慮や、個別的な支援を充実させていくことが必要だと述べています。33条は、人権救済のための国内機関、パリ原則に基づいた、構造的な独立性を確保した国内機関が存在していないという問題を指摘しています。

対日審査に向けて政策委員会が独立した監視役割を発揮することは、日本の障害者権利条約の実施の重要な点であり、政策を主管する場に考えの異なる立場をはっきりと明示することこそが、日本の権利条約の実施と履行を誠実に行っていることの証明となります。それを政府・各省に説明し、理解を求めて政策委員会報告をまとめることができました。こういうまとめはこれまで例がありませんでした。今回だけでなく、今後も定期審査が行われるので、その時々の政策委員会として、精一杯の監視役割の報告をしてほしいと期待しています。

今回の対日審査において、文字通り建設的対話が成立することを切に期待しています。権利委員としての経験で、建設的対話が成立する国とあまり成立しない国がありました。

建設的対話を通して、政府の考え方をきちんと説明して、権利委員会の考え方と政府の考え方が、どこがどのように、なぜ違うのかなどを説明し、実施上の課題についても真摯に認めてこれから解決していきたいと述べる国もあります。一方で、歴史的経緯を延々と語って、自国の制度の成り立ちとかどのようなものかを説明するのに、貴重な建設的対話の時間を費やしている国もありました。

費用や時間をかけて、政府の障害者施策を担当している重要な役割を担う人がたくさんいるのに、建設的対話が成立しないことは、本当にもったいないことだと思います。建設的対話は民主主義の成熟の試金石です。

総括所見が出されたら、現在、障害者政策委員会で第5次障害者基本計画の策定作業をやっているところなので、活かせるものは、ぜひ活かしていきたいです。差別解消法の基本方針についてもまだ、若干の修正があるかもしれません。

中長期的に言うと、政策委員会が指摘した12条の成年後見、法的行為能力を制限せずに、個々の障害者の利益を守っていきます。法的行為能力を奪わず、利益を守るための制度改革や、医療保護入院や身体拘束について、現在検討会議もしていますが、なかなか前進しようとしては出来ずといった状態が続いているように感じます。

インクルーシブ教育についても、もっと根本的なところから議論を積み上げて、原則はインクルーシブ教育として、どういう時に特別支援教育が意味を持つかを合意形成していくプロセスを再度やらないといけません。

33条の監視枠組みについては、政策委員会は、機能的にはなんとか独立した監視枠組みとしての役割を果たしてきた自負もありますが、構造的に担保された独立性や、権限、裁量権ではなく、一審議会にすぎません。これをどうするかが今後の重要課題です。国内人権機関の不在は、他の人権条約体からも勧告が出ており、人権外交を進める上でも、日本にとって大きなハンディになっています。

 

JDFの取り組みとパラレルレポートの主なポイント
講師:崔栄繁(DPI日本会議議長補佐)

JDFは日本障害フォーラムの略称で、全国組織の13団体で構成されています。DPIはJDFの発足当時から権利条約を中心に関わってきました。条約策定過程の2002年から2006年までは、JDFから国連障害者権利条約特別委員会に延べ200人を派遣しました。

また、2009年までに20回以上政府と意見交換もしてきました。2014年の条約批准後の取組みは5つあります。①権利委員会への傍聴団の派遣、②2つのパラレルレポートの提出、③重要課題の内部学習会、④日本政府との意見交換、⑤3つめのリポートとして事前質問事項政府回答へのJDFの意見の取りまとめ。

JDFは13団体あるので、いろんな考え方、実践、歴史をもつ団体があり、パラレルレポートの作成は丁寧に意見交換を行ってきました。1つ目のパラレルレポートは2019年7月に権利委員会に提出。2つ目は2021年3月に提出しています。2つのパラレルレポートの主な課題のポイントを紹介します。

1条から4条は、社会モデル/人権モデルに基づいて、こういった制度政策を作ってくださいという内容で、優生思想に基づく犯罪をなくすための取組み、手話言語の認定、それを保障する法制度を作る、欠格条項の廃止等。6条の障害女性については、複合差別についても法律に規定すべき。12条は民法の改正による成年後見制度の廃止や民事訴訟法の改正をすべき。意思決定の転換するために、厚生労働省が作成したガイドラインを改正すべき。法的能力の行使のために障害者に支援を提供する制度に転換すべき。

14条では非自発的入院や行動制限の廃止に向けた法律の見直し。非自発的入院や行動制限(身体拘束)の廃止と廃止に向けた具体的な計画の策定。15条では医療観察法の廃止の検討をすべき。除斥期間を撤廃すべき。16条は障害者虐待防止法を見直す。医療機関や教育機関、官公庁への通報、対象にすべき。障害女性や障害のある子どもへの性犯罪の防止。

19条は、障害者権利委員会が脱施設のためのガイドラインの案を作成し、6月末まで意見募集をしていた。日本でも地域移行が進んでいないとして、JDFとしても力を入れている条項。地域で暮らす権利や地域移行に関する法律の不在が問題であり、地域で暮らす権利を明記すべき、予算配分すべき、障害者基本法の改正、総合支援法の改正、地域移行を進めるために地域基盤の整備のための方策を法律で定めてと言っています。

全ての精神障害者が地域移行できるよう、予算配分して、精神科病棟を削減し、実効性ある戦略を立ててほしい。世界の5分の1の精神科のベッド数が日本にある状況は変わっていません。

もうひとつ大きいのは24条のインクルーシブ教育です。これは、様々な法改正が必要であり、障害者基本法、学校教育法、同施行令などを改正すべきです。全ての学校、学級で合理的配慮提供ができるようにすること。教員の配置基準の改正、一般の教職課程の履修科目に障害者権利条約など障害者の権利のことも含めるべきとしています。

33条については、石川さんが報告されましたが、政策委員会が良い意見を取りまとめたことは、日本のこれまでの国際人権のいろいろな枠組みからいうと、かなり画期的なことです。障害の分野が他の分野を引っ張っているなと実感しています。

ただし、独立した人権救済機関がまだないのは、非常に問題です。立法府、議会や政府、司法から独立した人権機関の創設と監視体制を作るべきです。政策委員会についても独立性を高め、機能を強化すべき、委員の多様性を確保すべきだと意見では述べています。

参加者感想

今回の全国集会の全体会にオンラインで参加しての第一の感想は、障害者権利条約と障害者差別解消法は障害当事者である自分にとって直接関係している大変重要な法規であるにもかかわらず、それらが国内に広がり人々の意識に浸透していくことをどこか他人任せにしてしまっているという無責任な自分の態度を感じずにはいられなかった、ということです。

もちろん、いまの自分には国会や障害者権利委員会に直接意見する機会はありませんが、だからといってDPI日本会議をはじめとする障害者団体のみなさんにすべてを任せておいていいはずがありません。今回の全体会での講義の内容を踏まえ、障害者権利委員会の第1回日本との建設的対話の内容などを自分なりに吟味して自分ができることを模索して「我が事」として捉えて活動していきたいとあらためて思いました。

そして、現在、自分が一番興味を持っているのは、差別解消法において差別の定義をどのように拡張していけるのかということと、日本での複合差別の現状に権利委員会がどのような勧告をするのか、ということなので、そこに注目していきたいです。

福嶋哲平(自立生活センターてくてく)


私たちの活動へご支援をお願いします

賛助会員募集中です!

LINEで送る
Pocket

現在位置:ホーム > 新着情報 > 【ポイントまとめました】「ついに迫る!障害者権利委員会第1回日本との建設的対話」(DPI全国集会「全体会」報告・感想)

ページトップへ