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【ポイントまとめました】「滝山病院は特別ではない~精神科医療を知ることからはじめよう」(DPI政策論「権利擁護分科会」報告・感想)

2023年12月27日 イベント権利擁護

12月3日(日)DPI政策論「権利擁護分科会」について、報告をたにぐちまゆ(DPI常任委員、大阪精神障害者連絡会 ぼちぼちクラブ)が、感想を畑 俊彦さん(障害者生活支援センター・てごーす)が書いてくれましたので、ご紹介します!


こんなことが報告されました(ポイントまとめ)

(敬称略)

1.細江昌憲(NPO法人トモニ代表)

2.天畠大輔(参議院議員)

3.吉田明彦(精神医療サバイバーズフロント関西)

4.原昌平(大阪精神医療人権センター)

詳細は下記報告をご覧ください。


分科会開催の経緯

開催の経緯として、昨年から今年にかけて、精神科医療・福祉界隈で大きな話題になった、滝山病院をはじめとする、精神科病院での虐待事件を取り上げなければならないという、共通した強い思いがありました。

これらの病院が、突出した、例外的な悪徳病院ではないのです。もちろん良質なわけでは決してありませんが、入院体験を持つ多くの精神障害者は、虐待の芽のような取り扱いが数多く行われていることを、体験的に知っています。

強制入院が容易に行われやすいのに対して退院が進まないこと、虐待、身体拘束等、日本の精神科医療には今もってなお、変革の必要な多くの問題があります。そこで、滝山病院事件や神出病院事件等に取り組む方々にご登壇いただき、政策実現のためにも、実態と課題を議論していただくこととしました。

分科会で報告・議論されたこと

細江昌憲さんからは、滝山病院に入院している方たちの支援をしている経緯と実態をお話しいただきました。

細江さん

80ある東京の病院の6割が東京都八王子市にあり、滝山病院はそのひとつです。そして、死亡退院率は6割、つまり入ったら出られないというデータが出ている…という壮絶な話でした。

ソーシャルワーカーもいないので、退院をさせる能力もなく、外来がないので外部の目が入らない上、面会室もないので面会のプライバシーも保てず、退院支援が難しいとのことでした。面会制限もあるので撤廃してほしい、違法な病院は即時に廃院にできる制度がほしい、と訴えられていました。

天畠大輔さんからは、参議院議員として、『滝山病院問題を考える市民と議員の連絡会議』についての報告をお話しいただきました。

天畠さん
△画面左から2番目が天畠さん

退院の支援について、主に話していただいたのですが、天畠さん自身、2年間施設に入所していたこともあり、精神科病院は無縁ではないと感じたそうです。

退院支援の遅れの原因として、行政の仕組みがないことと議会の監視が弱いことをあげ、その悪循環を断つための外部からの力として『連絡会議』があるということなのだそうですが、実際には退院はスピードアップしていないそうです。今後も取り組んでいくとして、『連絡会議』に賛同を求められていました。

吉田明彦さんからは、当事者として関わってきた、神出病院事件へ解決と被害者救済のための3年間あまりの取り組みをお話しいただきました。

吉田さん

やはり、滝山病院ほどではないにしても、死亡退院率が一時4割以上と高く、特に虐待は、性的なものも含めてひどいものであり、6人の看護師ら(裁かれた者のみ)が有罪となっています。

前理事長も病院から法に反する不当な利益を得て、私物化していました。そうした中で、事件後7団体が立ち上がり、要望を掲げて活動を始め、その後第三者委員会を設置させ、報告書を発表しています。今年になって外部の受け入れをはじめることになったということです。

原昌平さんからは、大阪精神医療人権センターでの実践から、現在の精神科医療を取り巻く現状等についてお話しいただきました。

原さん

日本が、世界では突出して病床が多いこと、長期間退院できない方が多いこと、長期入院は『人生被害』であること、という話でした。

少しずつ待遇がよくなっていくのでは、と思っていたのが、実際は悪化の一途を辿っているように思える、と話されていました。それに対して、大阪発の取り組みが、『入院者訪問支援制度』として制度化される、という報告も話されていました。各地に広げていくために、予算化していくことも必要、と話されていました。

退院を促すだけでは、またさらなる入院につながり、ベッドを減らすだけでは、今入院している人をスピーディに助けられません。バランスが大事で、両輪です。そこを心に留めて、また活動していきたい、そういう結論に至りました。

たにぐちまゆ(大阪精神障害者連絡会 ぼちぼちクラブ)

参加者感想

登壇者らの発表から、 閉鎖性が虐待事件を引き起こす重要な原因であることを改めて再認識しました。

滝山病院では病院の許可なしには外部の支援者が入院患者と面談することもできず、 また病院組織内にはPSW はおろか面談室さえ整備されていない状況でした。

入院患者はこのような状況でパワーレス状態になります。 神出病院において行政による指導期間中にも虐待事件が起き、 病院は自主的には一般に発表しなかったことは精神科医療病棟の閉鎖性を、病院組織だけの取り組みでは克服しがたいことを示す証しといえます。

法整備、 およびその法に基づいた行政制度の設計が不十分であることが、 希望者の地域移行を困難にする要因であると天畠氏は指摘しました。

原氏が紹介した入院者訪問支援事業の実施は政治への働きかけの成果であり、 精神科医療の閉鎖性を改善する取り組みの一つとして期待されます。

外部の目を取り入れ、 制度に反映することで、 虐待事件を防止する必要があると強く感じ、これからの取り組みに活かして行こうと思います。

畑 俊彦(障害者生活支援センター・てごーす)


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