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海外滞在中の重度訪問介護利用について事務連絡が出ることになりました!

2024年09月30日 地域生活要望・声明国際協力/海外活動

塩崎政務官と記念撮影
DPIの加盟団体であるCILいろはで活動している八木郷太さんのアメリカ滞在中のヘルパー利用について、日本にいる時と同様に重度訪問介護の利用継続が認められましたが、当該自治体である水戸市がこの決断をできた背景には、先日の報告記事でも触れていたように、厚生労働省による助言がありました。

▽2024年07月24日の報告記事

【全国初!】海外研修期間中も重度訪問介護の継続利用が認められました!

所得税法上では海外滞在期間が1年未満の場合は引き続き日本の居住者として扱われるという規定があり、この考え方をもとに1年未満であれば転居届は必要なく、海外滞在中でも障害福祉サービスの利用は可能だという見解を示した厚労省に感謝の意を伝えるために、塩崎彰久政務官との面会の機会をいただきました。

塩崎政務官は「制度が障害のある方の挑戦の足かせになってはいけない」と八木さんの挑戦の後押しをする決定をした水戸市の姿勢を評価されるとともに、八木さんが重度訪問介護を利用できるかわからない状況で英語の勉強を重ね、ダスキン研修に応募した挑戦心にも感銘を受けられ、アメリカ研修ではどんなことしたいのかなど、関心をもってお話を聞いてくださいました。

塩崎政務官と八木さんが話すところ

また、DPIからは今回の水戸市の決定を一自治体の特別な事例で終わらせることなく、全国どの自治体でも同様の判断がされるよう全国の自治体へ周知するための事務連絡を出していただくよう要望いたしました。

塩崎政務官からは要望の趣旨を踏まえて、今回の水戸市の決定を特別なケースで終わらせないために厚労省から正式な事務連絡を出す旨の回答をいただきました。

これまで、海外滞在中に日本の障害福祉サービスの利用ができる保証がないために、海外研修などをあきらめざるを得なかった人たちがたくさんいる中で、厚労省が事務連絡を出すということは、後に続く人たちへの大きな後押しにつながる画期的なできごとです。

今後出される事務連絡を活用し、全国どこでも常時介助を必要とする重度障害者が海外研修などに挑戦できるよう、各地の加盟団体とともに取り組んでいきたいと思います。

報告:白井誠一朗(事務局次長)


2024年9月13日

厚生労働大臣政務官
塩崎 彰久 様

告示523号の外出に関する、新たな事務連絡等の発出のお願い

特定非営利活動法人DPI日本会議
議長  平野 みどり

日頃より障害者福祉施策の向上にご尽力賜り、誠にありがとうございます。

DPIの加盟団体でもあるCILいろはで活動している八木郷太氏(頸髄損傷による四肢麻痺で、常時介助を必要とする重度障害者)は、今年度ダスキン愛の輪基金による研修に応募し、約1年間アメリカでの研修を受けることになりました。本基金による障害者の海外研修は40年以上の実績がありますが、彼ほどの重度障害者の応募は初めてのことです。八木氏は、このアメリカ滞在中のヘルパー利用について、日本にいる時と同様に重度訪問介護サービス(以下:重度訪問)の利用を継続できないかと、地元の自治体である水戸市と話し合いを重ねてきましたが、この度、水戸市から継続利用を認める判断が下されました。

担当された水戸市障害福祉課の大平課長補佐によると、海外滞在中の重度訪問の継続利用について、障害者総合支援法の建て付け上、最終的な支給決定権は市町村にあるとはいえ、確固たる根拠が必要ということで、県や国にも問い合わせてみたり、他の自治体に類似の前例がないか探したりもしたが見つからず、一旦は「居住実態がない」という解釈で支給決定自体ができないとの判断が示されました。

しかし、八木氏ご本人の粘り強い交渉とDPIから国への働きかけも相まって、厚労省から居住実態の解釈について「所得税法上では海外滞在期間が1年未満の場合は転居届提出の必要はなく、引き続き日本の居住者として扱われることから、1年未満の滞在であれば居住実態がないとは言えない(支給決定しても問題はない)」という助言が出されました。これに依拠にして、水戸市は、「八木氏の海外研修期間中の重度訪問の継続利用を認める」という決定を出されました。これは常時介助を必要とする重度障害者の長期海外研修、留学などに大きな扉を開く大変画期的な判断で、制度による社会的障壁の除去に資するこの上ない好事例となりました。水戸市の判断の後押しをいただきましたことに対し、全国団体としても改めて感謝申し上げます。

重度訪問や同行援護、行動援護の外出に関わる規定は、平成29年度までは告示523号の「通勤、営業活動等の経済活動に係る外出、通年かつ長期にわたる外出及び社会通念上適当でない外出を除き、原則として1日の範囲内で用務を終えるものに限る。」とされておりましたが、平成30年度に太文字下線字部分が削除されたことで、旅行など宿泊を伴う外出での利用が明確に認められることとなりました。しかし未だに国外での利用を認めない自治体も存在します。厚労省も問い合わせがあれば「行き先によって介助の必要性が無くなる訳ではない。国として海外旅行等での利用を禁じてはいない」旨の見解は伝えてくださっていますが、全自治体に周知徹底されているとは言えない実態があります。

以上のような点から、今回の八木氏に対する水戸市の決定を特別なものとせず、全国どの自治体に住んでいても当たり前な判断となるよう、厚労省から告示523号の外出に関して、下記のような事務連絡等を発出していただけますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

  1. 宿泊を伴う外出は、行き先に国内外を問わないこと。
  2. 所得税法上では海外滞在期間が1年未満の場合は転居届提出の必要はなく、引き続き日本の居住者として扱われることから、1年未満の海外滞在においては、重度訪問介護、同行援護、行動援護の利用は可能であること。
  3. 自治体による独自ルール(ローカルルール)による「横だし上乗せ」は構わないが、「社会通念上適当でない外出」の判断を過剰に解釈する事なく、基本的に障害のない人が行えていることは障害があり介助を必要な人も行えることとし、社会参加の妨げになるような制度による社会的障壁の除去に資するよう、支給決定や運用において過剰な制限を設けないこと。

以上

▽告示523号の外出に関する、新たな事務連絡等の発出のお願い(ワード)


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