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「小山田圭吾氏の報道」に関するDPI日本会議声明

2021年07月20日 権利擁護要望・声明インクルーシブ教育

2021年7月20日

小山田圭吾氏の報道に関するDPI日本会議声明

インクルーシブ社会の実現のためにインクルーシブ教育の充実を!

特定非営利活動法人DPI(障害者インターナショナル)日本会議
議長 平野みどり

私たちDPI(障害者インターナショナル)日本会議は全国93の障害当事者団体から構成され、障害の種別を越えて障害のある人もない人も共に生きるインクルーシブな社会(共生社会)の実現に向けて運動を行っている。

7月14日に小山田圭吾氏が、東京オリンピック・パラリンピック開会式に作曲担当として参加することが発表され、その後、小山田氏が1994年1月に発行された雑誌のインタビューで長年にわたって同級生をいじめていたと語っていたことが報道された。

この問題については、すでに小山田氏が7月16日に謝罪文を発表し、事実を認め、クラスメイトやご家族へ直接謝罪をしたいとし、さらにその後辞任している。

そのため、DPIとしては小山田氏へさらなる謝罪を求めるものではないが、一連の報道に関してDPIとして考えを表明しておきたい。

1. いじめ・虐待は許されるものではない

誰に対してもいじめや虐待は許されるものではない。小山田氏が行った行為は、人間の存在を否定し、尊厳を著しく傷つけるものである。いかなる状況でも、障害者を含め誰に対しても、いじめや虐待、差別は許されるものではない。

さらに言えば、氏が行ったと述べているいじめや虐待行為にきちんと対応せずに目をつぶってきた学校現場や社会の姿勢が障害者差別や優生思想を助長させ、2016年7月に起きた相模原障害者殺傷事件を生み出すことにつながったと考える。

2. 東京2020オリンピック・パラリンピック大会の作曲担当の留任は大会理念に反している

小山田氏のインタビュー記事の内容は、障害を持つクラスメイトの尊厳を著しく傷つけるものであり、東京2020大会のコンセプトである「多様性と調和」には全く相容れないものである。小山田氏は作曲担当を依頼され、引き受けると決めた段階で過去の自らの振る舞いを省みて、クラスメイトや家族に謝罪し、大会組織委員会にも申し出るべきであった。

それがなされずに今回報道されてから謝罪文を出したことで、本人も謝罪しているから留任させるという組織委員会の姿勢は問題があったと考える

3. インクルーシブ社会はインクルーシブ教育から

小山田氏が当該行為を行った学校が当時から障害のある子どもを受け入れてきた学校であるとされている。この問題を機会として、インクルーシブ教育とはどういうものであるのかを考える契機にすべきである。

障害者権利条約はあらゆる年代でのインクルーシブ教育を求めている。日本ではいくつかの学校で実践が進められているが、残念ながら現状では歴史的につくられてきた分離を基本とする教育から脱却できていない。

小山田氏のようにいじめや虐待、差別行為を行って、その深刻な問題に気づかないということは、彼個人の問題だけではなく、日本の教育システム全体に問題がある。同じ場で共に学び育つことがインクルーシブ教育に不可欠である。

そこで重要なことは、障害は多様であり、障害児一人ひとりの状況に応じて合理的配慮の提供が必要だということだ。単に同じ場を提供するだけではインクルーシブ教育とは言えない。教材の工夫などの合理的配慮がなければ、障害児は平等に学ぶことは出来ない。インクルーシブ教育には、合理的な配慮の提供は不可欠であり、さらに学校全体の文化、方針及び実践を変革することが求められる。

また、障害のない生徒には、差別とはなにか、なぜ差別をしてはいけないのかを、繰り返し学ぶ機会を提供しなければならない。その時、有効なことは、障害者が受けた差別を障害者から聞くことである。

障害のない人は障害を理由とした差別された体験がないために、差別と言われても理解することが難しい。しかし、障害者から実際に受けた差別体験を聞くことによって、同じ視点で考えられるようになる。

ぜひとも、国や教育委員会は現在の特別支援教育の課題を検討し、障害者権利条約が求める真のインクルーシブ教育に転換していただきたい。学校のアクセシビリティを整え、合理的な配慮を提供した上で、同じ場で共に学び育つ。

それこそが、真のインクルーシブ社会に不可欠な教育システムであり、我が国に欠けている大きな課題である。

以上

▽声明文(Word)のダウンロードはこちら


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