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バリアフリー法改正法の成立に対するDPI日本会議声明

2018年05月18日 要望・声明バリアフリー

2018年5月18日

バリアフリー法改正法の成立に対するDPI日本会議声明
インクルーシブ社会実現のために全国のバリアフリー整備のさらなる推進を!

特定非営利活動法人DPI(障害者インターナショナル)日本会議
議長 平野みどり

 私たちDPI(障害者インターナショナル)日本会議は全国97の障害当事者団体から構成され、障害の種別を越えて障害のある人もない人も共に生きるインクルーシブな社会(共生社会)の実現に向けて運動を行っている。

5月18日に参議院本会議にて「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部を改正する法律案 (以下、改正法)」が全会一致で可決成立した。障害者権利条約批准後はじめての改正で、東京2020オリンピック・パラリンピックを控え、障害の有無によって分け隔てられることなく、すべての人が共に生きるインクルーシブな社会の実現が求められている。国会審議では与野党の議員が現在の日本のバリアフリー整備の課題を真摯に受け止め、改善に向けて熱心に議論してくださった。その内容の多くは、私たち障害者の声を反映するものであった。今回の改正に関して国会議員のみなさんをはじめ関係者各位へお礼を申し上げたい。

改正法の成立を期に、地方を含めた日本全国のバリアフリー化が推進されるように、DPI日本会議として意見を表明する。

新たに1条の2に基本理念が設けられ「社会的障壁の除去」「共生社会の実現」が盛り込まれたこと、第4条及び52条の2に障害当事者を構成員とした評価会議が新設されたことは大きな前進だと評価したい。日本にはこれまで評価システムがなかったが、バリアフリー整備を的確に推し進めるためには、障害者が評価し、施工や施策に反映させる仕組みが不可欠である。さらに、設計段階からの当事者の意見反映も重要である。新国立競技場ユニバーサルデザインワークショップでは、基本設計から継続して多様な障害者の意見を反映させる取り組みが実践されている。

国会審議では、多くの議員から評価会議は障害の多様性に配慮するようにという意見が出され、石井国土交通大臣は「様々な障害特性に応じたご意見を適切に反映できるように例えば分科会を設置するなど会議の運営を含め適切に対応していきたい」と答弁した。

政府においては、評価会議は障害の多様性に配慮し、構成員の半数以上を障害者としていただきたい。さらに、実効力のある会議とするために、開催頻度は年に数回に留まることなく、積極的な会議運営をお願いしたい。

障害者差別解消法第5条では「行政機関等及び事業者は、社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮を的確に行うため、自ら設置する施設の構造の改善及び設備の整備、関係職員に対する研修その他の必要な環境の整備に努めなければならない」とし、環境整備を求めている。石井大臣は参議院本会議において「バリアフリー法は、障害者について障害者差別解消法が求める必要な環境の整備を公共交通機関等における移動等の円滑化を図ることにより具現化するものである。今回バリアフリー法に基本理念の規定を設け、社会的障壁の除去に資することを旨として、事業者等がバリアフリーの取り組みを進めるべきことを明文化する。これにより、バリアフリー法と障害者差別解消法との連携が従来よりも一層明確になる」と答弁した。

政府、地方公共団体及び事業者においては、障害者への差別をなくすために、障害者差別解消法が求めている環境整備を、バリアフリー法に基づいて的確に推進していただきたい。

残念ながら改正法案では、地方のバリアフリー施策は不確かなものしかなく、建物関係の改善策もほとんど無かった。

2000年の交通バリアフリー法から公共交通機関のバリアフリー化は都市部では進んだが、地方は遅れている。たとえば、乗降客3,000人以上の駅でバリアフリー整備されている駅は87%だが、3,000未満の駅では20.8%しかない。国会審議ではほとんどの議員が地方のバリアフリー整備の遅れを指摘し、改善の取り組みを求めた。

建物関係のバリアフリー化は1990年代からほとんど進展がない。床面積2,000㎡以上の特別特定建築物しかバリアフリーの基準適合義務がなく、小規模店舗のバリアフリー整備が進まない。バリアフリー化されて入店できる店舗は何%あるのか実態を把握し、入店可能なお店を50%以上にするというように目標を定め、そのために床面積何㎡以上を義務付ける、という捕捉率を踏まえた施策が必要である。その際、事業主の負担を抑えて整備を進めるために、新築時にバリアフリー整備を義務付けることが必要だ。障害者権利条約一般的意見2で述べているように、新築時であればバリアフリー整備をしても負担はほとんど増えない。

学校のバリアフリー整備も必要である。地域の公共施設である一般の学校には基準適合義務がない。多くの学校は災害時には避難所となるが、阪神大震災、東日本大震災、熊本地震と避難所の学校に行ったが、車いすで入れなかったという事例が報告されている。大雨被害で3階以上に避難する事例もあり、体育館だけではなく、学校全体のバリアフリー整備が必要である。

政府においては、引き続きこれらの重要課題の改善に取り組んでいただきたい。

 

衆議院の付帯決議は14項目、参議院の付帯決議は13項目である。いずれも重要な課題であり、次の法改正に向けて、政府には真摯な取り組みを求めたい。

【主な付帯決議】

社会的障壁の除去のために合理的な配慮を的確に行えるよう必要な環境の整備を進める、移動の連続性の確保、2000㎡未満の店舗や共同住宅のバリアフリー化基準適合義務を条例により課すことが可能(委任条例)、小規模店舗のバリアフリー化の実態把握、体育館だけでなく校舎も含めた学校施設のバリアフリー化、ホテルのバリアフリー客室基準の見直し、バリアフリー化された空港アクセスバスの導入・普及、競技会場の車いす用席の確保とサイトラインの確保、駅のホームドアの設置推進、全国的なバリアフリー水準の底上げ、音響式信号の設置促進、車いす単独乗降が可能となるようにプラットホームと車両の隙間と段差解消の数値基準の明確化、車椅子利用者の公共交通機関の予約の利便性向上、新幹線等の車いすのまま乗車できるフリースペースの設置促進、市町村による移動円滑化促進方針及び基本構想の作成促進のための支援措置の充実、施策の評価は様々な特性に応じた意見を反映させる、公共交通機関における障害者等の利用の実態調査を実施し利用の実質が担保されるよう関係事業者等に適切な指導を行うこと等。

 改正法で実現できなかった「地方でのバリアフリー化」「小規模店舗・学校等のバリアフリー化」を改善していくために、全国各地での3つの取組みを呼びかけたい。

マスタープラン(24条)

改正法では、新たに市町村がバリアフリー方針を定めるマスタープラン制度(移動等円滑化促進方針)が創設された。作成は努力義務だが、障害者が市町村に対して作成を提案することができる(25条の5。作成において市町村は、高齢者、障害者等の意見を反映させるために必要な措置を講ずる、協議会には障害者を構成員とするとしている。ぜひとも、市町村に対し作成を提案し、協議会に入り積極的な意見提起をお願いしたい。

②基本構想の策定・定期評価・見直し(25条の2)

これまで基本構想を策定した地方公共団体は20%程度と低調だったが、今回の改正で基本構想の策定・定期評価・見直しも努力義務化された。こちらにも積極的に働きかけ、地域から先進的な取り組みを実現していただきたい。

③委任条例の策定(14条の3)

地方公共団体は、バリアフリー法に上乗せ・横出しした条例を策定できる(委任条例)。福祉のまちづくり条例はすべての都道府県で策定されているが、これが委任条例になっているものは14都府県6市区しかない。委任条例では義務基準となるので、建物の床面積を引き下げて義務化することが出来る。大阪府は以前から積極的に引き下げて成果を上げている。ぜひとも、全国で委任条例化を進めて頂きたい。

全国各地で上記3本柱に取り組み、地域から改正法を超える先進的な取り組みを進めていただきたい。その取り組みが今回実現できなかった課題を次の法改正に盛り込み、日本全国のバリアフリー化を推進して行けるのだ。

改正法は社会的障壁の除去と評価会議という前進があるとともに、次への課題も多く残されている。地方でのバリアフリー化、小規模店舗・学校等のバリアフリー化等国会審議で明らかになった課題は付帯決議として盛り込んでいただいた。これらの課題について、政府においては次の法改正で必ず改善できるように引き続き真摯な取り組みを求めたい。

DPI日本会議は、インクルーシブ社会を実現するために、全国の仲間とともに引き続き取り組んでいく決意をあらためて明らかにするものである。


▽声明はこちらからダウンロードできます(ワード)

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