障害のある人もない人も同じように暮らせる社会へ

津久井やまゆり園等における虐待が色濃く疑われる事案への対応に関する要望書を提出しました

2020年07月07日 地域生活権利擁護要望・声明

 DPI日本会議、全国手をつなぐ育成会連合会、全国地域生活支援ネットワーク、「ともに生きる社会」を考える神奈川集会・実行委員会の4団体による一連の神奈川県への要請行動に引き続き、検証委員会の中間報告やこの間の報道で津久井やまゆり園や県立の中井やまゆり園で明らかとなった障害者虐待が色濃く疑われる事象について、適切な対応を求める要望書を7月3日、神奈川県に提出しました。

 この日は全国手をつなぐ育成会連合、DPI日本会議の2団体が参加し、育成会からは又村さん、神奈川手をつなぐ育成会会長の植松さん、副会長で新しく設置される障害者支援施設における利用者目線の支援推進検討部会(以下、検討部会)の委員でもある野口さん、DPIからは崔、白井など6名が同席しました。

神奈川県からは障害福祉課の佐藤課長、障害サービス課の高橋課長など5名にご対応いただきました。

 検討部会については、検証委員会の3名の委員の他に当事者、家族、学識経験者など合計10名を選任予定であること、検討部会の中で引き続き検証作業を進める方針であること等が示されました。

 一方で検討部会では新たに設ける指定管理要件のとりまとめと検証作業をどのようなスケジュール感で進めていくのかなどの詳細については、検討中であるという回答でした。

これを受け、やまゆり園等の検証作業に際しては「旧検証委員会の3名の意見をしっかり反映してほしい」、検討部会への当事者本人の参加の在り方について、「ただ当事者をいれればいいということではなく、しっかりと意見を言えるように環境整備や合理的配慮など工夫してほしい」など、検討部会の進め方に関してあらためてこちらの意見を伝えました。

県側からは「いただいた意見すべてを取り入れることは難しいかもしれないが、できる限り反映していきたい」という前向きなコメントがありました。

 このほか、DPIからは障害者虐待をなくしていくためにも、「国の政策に反映できるような地域移行の取り組みを神奈川県が率先して進めてほしい」、といった意見や神奈川の育成会のメンバーから川崎市の就学裁判の件についても触れながら「小さい頃から一緒に育たなければ理解など無い」、「子どもの頃からの共生が必要でインクルーシブ教育を進めてほしい」といった意見を伝え、県としても知事のコメントを踏まえた見解が示されました。

 詳細は今後決まっていくとされた検討部会の動向とともに、神奈川県発と言われるような新しい障害福祉のあり方として具体的な地域移行に向けた取り組みや教育も含めたインクルーシブな神奈川県に向けた取り組みについても注視していきたいと思います。

報告:白井(事務局次長)


令和2年(2020年)7月3日

神奈川県知事
黒岩 祐治 様

(一社)全国手をつなぐ育成会連合会
会 長  久 保 厚 子

(認定NPO法人)DPI(障害者インターナショナル)日本会議
議長 平野みどり

(NPO法人)全国地域生活支援ネットワーク
代表理事 大原 裕介

「ともに生きる社会」を考える神奈川集会・実行委員会
委員長 鈴木 治郎

津久井やまゆり園等における虐待が色濃く疑われる事案への対応について

 神奈川県におかれましては、日ごろから障害児・者福祉の向上につきましてご尽力を賜り、厚くお礼申し上げます。

 今般、貴県の第三者機関である「津久井やまゆり園利用者支援検証委員会」(以下、検証委員会)の「中間報告」が公表されました。その中では、常時施錠が長期間にわたって行われていたり、不適切な解釈によって身体拘束がなされていたりといった、障害者虐待が色濃く疑われる事象が指摘されており、新聞報道によれば、かながわ共同会理事長もその一部を認める発言をしています。

 また、6月30日付けの神奈川県報道発表によると、津久井やまゆり園だけでなく県立直営の中井やまゆり園でも障害者虐待事案が発生しています。
 障害者支援施設やグループホームにおいて重要なことは、障害児・者が安心して暮らせるよう、適切な支援に基づき虐待や差別がない関わりが確保されている点に尽きます。生活の場において、とりわけ障害者虐待が許されないことは論を待ちません。今回の検証委員会中間報告や中井やまゆり園における障害者虐待事案の発生などを踏まえ、神奈川県へ以下2点を改めて強く要望いたします。

1 障害者虐待防止法に基づく適切な改善指導の実施

 障害者虐待防止法(以下「虐待防止法」という。)に基づく虐待通報や認定には、いわゆる時効という概念はありません。つまり、仮にそれが10年前の事象だとしても、それが明らかになった以上は虐待通報から始まる事実認定と改善指導、さらには改善結果の公表といった、虐待防止法に基づく一連の措置が取られるべきです。虐待が疑われる事象が明らかになったにも関わらずそれ以上の措置がなされないというのでは、虐待防止法の趣旨を踏まえても明白に不適切です。

 また、障害者福祉施設従事者等による障害者虐待の通報先は市町村であり、神奈川県は虐待防止法の一義的な受付窓口ではありませんが、社会福祉法や障害者総合支援法による行政指導は十分に可能です。そもそも、津久井やまゆり園は神奈川県立の施設なのですから、まずは設置者として事象について調査すべき立場なのではないでしょうか。加えて、中井やまゆり園における障害者虐待事案では、県から援護主体の市町村へ虐待通報をしていますので、同様の対応は津久井やまゆり園でもなされなければなりません。

 いずれにせよ、検証委員会中間報告において障害者虐待が色濃く疑われる事象が判明した以上、適切な改善指導の実施と、改善状況の公開が不可欠であると考えます。神奈川県には、施設設置者として事象について調査し、虐待の事実があれば虐待防止法に基づく措置を取るよう、強く求めます。

 特に、最近の新聞報道等によれば、津久井やまゆり園以外の県立障害者支援施設も含めた検討委員会を発足させるとのことですが、その場合であっても、今般の中井やまゆり園における障害者虐待事案と同じく、障害者虐待が疑われる事象が確認された場合には速やかに適切な対応を取っていただきますよう、お願い申し上げます。

2 法人からの積極的な情報公開

 津久井やまゆり園においては、殺傷事件後に国が示す「障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン」に基づき、入所している一人ひとりの意思決定支援を目指し、本人が希望する暮らしぶりを確認する取組みが着手されており、その検証・評価も含めて社会的な共有が重要です。また、2019年度からは入所している人が家族や職員以外の「お友達」をつくるプロジェクトが立ち上がっており、大学生を中心としたボランティアが、入所している人との交流を深めるという素晴らしい取組みも進められています。

 ところが、こうした前向きな実践でさえも、かながわ共同会や津久井やまゆり園のホームページには掲載されていません。もちろん、検証委員会中間報告で指摘された、障害者虐待が色濃く疑われる事象への対応も見当たらず、代わりに事件の裁判に関する記録や黒岩知事発言に対する法人の見解がトップページに掲載されています。それらが不要な情報とは考えませんが、他方でそれ以上に必要な開示情報もあると考えます。

 情報公開の取扱いは、組織のガバナンスに直結する事項です。津久井やまゆり園の施設設置者として、また施設指定管理の主体者として、神奈川県には津久井やまゆり園における取組みの「見える化」を強く求めます。

以 上

(一社)全国手をつなぐ育成会連合会 東京事務所 担当:又村(またむら)
〒160-0023
東京都新宿区西新宿7-17-6 第三和幸ビル2F-C
電 話:03-5358-9274
FAX:03-5358-9275
メール:info@zen-iku.jp

(認定NPO法人)DPI日本会議
〒101-0054 東京都千代田区神田錦町3-11-8武蔵野ビル5階
電 話:03-5282-3730
FAX:03-5282-0017

(NPO法人)全国地域生活支援ネットワーク
〒061-0231 北海道石狩郡当別町六軒町70-18
電 話:0133-22-2896

「ともに生きる社会」を考える神奈川集会・実行委員会
〒231‐0052 神奈川県横浜市中区英町3-4
自立生活センター自立の魂~略して じりたま!~内
電話・FAX:045―341-3698

▽要望書全文(ワード)はこちら

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