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国から子どもをつくってはいけないと言われた人たち−優生保護法の歴史と罪(発行:優生保護法被害者兵庫弁護団・優生保護法による被害者とともに歩む兵庫の会)

2021年03月11日 書籍紹介

太陽に反射するシャボン玉

 1970年代から、障害者運動は優生思想と闘い、優生保護法改悪反対運動などに取り組んできました。そして、2018年に始まった優生保護法裁判に対して、原告の勝利を願い、DPIとしても加盟団体とともに傍聴行動等に取り組んできました。

 現在、仙台地裁、東京地裁、大阪地裁、札幌地裁で判決が下されましたが、原告敗訴の判決が続いています。私も、大阪地裁での判決を傍聴しましたが、その時のくやしさは忘れられません。

 「旧優生保護法の規定は非人道的で差別的、憲法・第13条、並びに14条1に違反しており、立法行為自身が違憲」とまで断じながら、「除斥期間」を盾にして、原告の請求は棄却されたのです。だまされて本人達の知りえない状況で手術がなされたのに…、除斥期間に当たる1970〜80年代は優生保護法が存在し家族や関係者も含めて社会のすみずみに優生思想が根を下ろしていた状況だったのに…、どうやって訴え得たというのかと、判決を聴きながら次々に疑問が沸きました。

 そして、「その人らしい人生を奪う」という重大な人権被害に対して除斥期間を適用し、この問題への国の責任を放免するならば、いったい何のための司法なのかとの怒りを禁じ得ませんでした。こうした流れを逆転させていくために、支援の輪をさらに広げていくことが必要です。

 そうした中、この裁判で何が問われているのか、そのことを克明に記した書籍が発刊されました。
『国から子どもをつくってはいけないと言われた人たち−優生保護法の歴史と罪』(優生保護法被害者兵庫弁護団・優生保護法による被害者とともに歩む兵庫の会 発行)です。

 兵庫訴訟の原告5人の陳述書と、JDF副代表の藤井克徳さんの証言、敬和学園大学教授の藤野豊さんの意見書などが掲載されています。

 原告の皆さんの陳述書は、いずれも優生手術を強いられるに至った状況が記されるとともに、人生の中で受けてきた差別体験が切々と記されており、読んでいて胸が張り裂けそうになります。日常的に加えられる差別の根底に「障害者はあってはならないもの」とする優生思想があること、そのような社会をつくる基本となった優生保護法の罪深さが、より一層明らかになります。

 藤井さんは証言で、優生保護法のおかした罪を明らかにするとともに、その検証・総括がなされず今日までに至っていることが相模原障害者殺傷事件や障害者雇用偽装問題、ALS殺人事件、精神障害者の社会的入院、出生前診断による中絶などにつながっており、「優生保護法は終息したが、優生保護法問題は終息してない」と指摘しています。

 藤野さんの意見書では、日本の優生思想への流入から戦前の国民優生法、さらに戦後の優生保護法の成立と暴走までの一連の歴史が詳細に明らかにされています。その上で、「この訴訟は日本国憲法に規定された基本的人権を奪われてきたひとびとの人権を回復させる、まさに人権裁判である」と、この裁判の歴史的意義が強調されています。

 兵庫弁護団団長の藤原精吾弁護士は、本書で次のように述べています。

 「裁判では優生保護法の歴史を直視し、現在まで続く障害者差別の社会構造が作られた過程を明らかにし、そのもたらしている制度的人権侵害を裁く判決を出すべきだと考えます」

 こうした要請に応える判決が得られるように、そして、現在に連なる障害者差別を無くしていくために、本書が一人でも多くの方に読まれることを期待します。

 最後に、勝訴判決を勝ち取る道半ばで逝去された原告の方々に哀悼の意を表して、本書の紹介とします。

(DPI日本会議副議長 尾上 浩二)


★申し込み、お問い合わせは「優生保護法による被害者とともに歩む兵庫の会」事務局まで。
メール : hyogoayumukai@gmail.com、電話: 078-341-9544、ファックス: 078-341-9545
▽優生保護法による被害者とともに歩む兵庫の会

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