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【ポイントまとめ】「大きく変わる成年後見制度!制度や現場、何が変わるのか、課題は何かを整理する」DPI全国集会「権利擁護分科会」報告・感想

2026年06月24日 イベント権利擁護

DPI全国集会「権利擁護分科会」について、報告を崔栄繁(DPI議長補佐)が、感想を石田長武さん(AJU自立の家)が書いてくれましたので、ご紹介します!


こんなことが報告されました(ポイントまとめ)

(敬称略)

1.青木 佳史(弁護士/法制審議会民法(成年後見等関係)部会委員)

2.今井 友乃(全国権利擁護支援ネットワーク事務局長、知多地域権利擁護支援センター理事長)

3.蔡 抒帆(沖縄県自立生活センター・イルカ代表)

4.早坂 佳之(沖縄県自立生活センター・イルカ、特定行政書士、コスモス成年後見サポートセンター沖縄支部所属)

5.崔 栄繁(DPI日本会議議長補佐)

詳細は下記報告をご覧ください。


分科会の背景―成年後見制度の大改正

「大きく変わる成年後見制度!制度や現場、何が変わるのか、課題は何かを整理する」というテーマで、2026年度全国集会のラストを飾る分科会として、権利擁護分科会を開催しました。

これは、昨年の第40回全国集会の権利擁護分科会で成年後見制度の制度改正について取り上げましたが、それに続くものです。これは、これからもDPIとして成年後見制度の改正にきちんと取り組んでいくということです。

成年後見制度が大きく変わります。この報告が公開されたころには国会で民法の改正案(成年後見制度の改正案)が採択されているでしょう。従来の後見・保佐・補助という三類型をなくして、補助を中心とした制度に代わる今回の改正は、成年後見制度の前身の制度である禁治産制度からの歴史的な流れを見ても、とても大きな改正になります。

国連障害者権利委員会からは、成年後見制度のような一定の障害がある人たちの権利(行為能力=契約などの「法律行為」ができる能力)を制限する差別的な法律や制度を廃止すべき、という勧告を受けている重要な問題です。この分科会は、改正される成年後見制度の内容、期待と課題を共有する時間となりました。

登壇者の報告の内容

今回、ご登壇いただいた方は、去年に引き続き法制審議会民法(成年後見等関係)部会委員青木佳史弁護士、全国権利擁護支援ネットワーク事務局長、知多地域権利擁護支援センター理事長の今井友乃さん、そして、去年も報告していただいた沖縄自立生活センター・イルカの活動報告です。

今回は早坂佳之さんに加えて代表のツァイ・スーファン(蔡 抒帆)さん(まるこさん、と言ったほうがおなじみかも)、の4名、+崔で各登壇者の報告、そして、パネル・ディスカッションという順序で進めていきました。

権利擁護分科会1

■青木佳史さんのご報告の要旨

まず、青木さんから今回の制度の改正のポイントについてご説明いただきました。もともと難しい制度ですが、時間が大変限られている中でとても分かりやすくご説明してくださり、ほんとうに感謝でした。制度改正のポイントは、大きく言えば

これらはほんの一部ですが、これら以外にも事例など、大変充実した資料のご提供をいただきました。

■今井友乃さんのご報告

まず、全国権利擁護支援ネットワークとご自身が普段活動されている愛知県の知多地域権利擁護支援センターを紹介していただきました。知多のセンターの活動について、「誰もが地域で自分らしく暮らせるため」に、高齢者や障害者、生活困窮者などの生活・権利擁護支援を多職種連携で行なっている事例などご紹介していただきました。

現場では、虐待や金銭管理などの諸問題を成年後見制度で解決せざるを得ない現状がありますが、支援の本質は「本人の意思や尊厳の尊重」と「地域での孤立防止」であり、今後の民法改正により、成年後見制度は本人の同意・必要性を重視し、必要がなくなればやめることができるより柔軟な意思決定支援重視の制度へと変わることもあり、制度に頼り切るのではなく、地域住民の力を合わせて本人を主体とした身近な支援ができるまちづくりが大切である、という報告をしていただきました。

地域づくりの重要性を改めて思いました。また、今後も障害者の権利擁護活動で一層の連携を図っていきたいと思います。

■沖縄県自立生活センター・イルカからの報告

自立生活センターであるイルカは、DPIの加盟団体として、条例づくりや脱施設=地域移行、インクルーシブ教育などの活動を活発に行っている団体です

まずは、昨年にひき続き早坂佳之さんからご自身が行政書士として行っている後見活動(法人後見)についての報告がありました。イルカの法定後見制度の利用は、重度の精神や知的障害があっても施設ではなく地域生活のため、当事者主体の理念のもとチーム体制で支えていくことが目的である、日常の小さな選択のコストを分散して、大きな選択(地域生活)を育てる、支援という名の下で経験を奪う危険性、などを指摘しつつ、成年後見制度を利用して24時間の重度訪問介護の支給決定を獲得した事例の紹介をしてくださいました。こういう使われ方があるんだ。

次に、ツァイ・スーファン(まるこ)さんからは、成年後見制度を使わないで地域生活を支えているイルカの実践について、イルカを利用している3名の方の事例報告がありました。

制度に頼り切らない本人中心のチームで支える実践です。食事や健康面の日々の細かな支援を重ねて、金銭の管理の大変さ、大切さがとても伝わってくる報告でした。携帯アプリを利用しながら遠方の家族も本人の位置確認ができる工夫をしたり…。

金銭管理はその人その人に一番合っている形を手探りでいい意味で手間暇かけながら探り、やってみる、○万円使っちゃった、うー、うーん、でも、「ふー」って深呼吸しながら本人と話す、という話。笑い事ではないけれど、思わず微笑んでしまいました。本当にあるべき意思決定支援ってこういうことだよなあ、と思いながら。まるこさんたちは大変だけどね。

■パネル・ディスカッションとまとめ

権利擁護分科会2

パネル・ディスカッションは、あまり時間が取れなかったのですが、成年後見利用促進法に関連して、私の方から権利侵害の制度が大学の授業では権利擁護=成年後見制度で教えている、権利を侵害する制度なのに法律タイトルがなぜ利用促進なのかを今井さんにお聞きしたところ、「法律をよく読んでください、促進するのは権利擁護支援です」とのこと。なるほど、でした。

まとめです。繰り返しになりますが、DPIは、成年後見制度は基本的にはある重いとされる障害がある人や認知症のある人たちへの権利を侵害する制度であり、後見制度がなくても安心して暮らせる社会づくりを目標に活動しています。

青木さんや今井さんからも後見制度は権利を侵害する制度であるということや、ツァイさんからもイルカは後見制度の利用を進めていない、という発言もありました。運用次第ですが、今回の制度改革(法改正)で権利を侵害する度合いが減る可能性が出てきました。これは一歩前進ですが、しっかり運用をチェックしていく必要があります。

ツァイ(まるこ)さんの報告で、うーんと思いながら、「ぐっと深呼吸しながら」じっくりとその人と向き合って、という実践が、団体や個人の理念や思いだけでなく、人と接していく当然のこととして広がっていって制度もそれを支えていく、そして最終的には成年後見制度がいらない社会、そんな社会を皆さんと一緒に目ざしたいと思います。これは脱施設・脱病院=地域移行にもつながっていくことです。

改めて、ご登壇いただいた方々、ご参加くださった方々に感謝申し上げます。特に沖縄組は台風で2日も足止め食らってしまったそうで、本当に申し訳ない(苦笑)。新しい補助制度(成年後見制度)のチェックとさらなる制度や実践のバージョンアップに向けて皆さんと一緒に進みたいと思います。これからもよろしくお願いいたします。

崔 栄繁(DPI日本会議議長補佐)

参加者感想

今回の成年後見制度改正で「終身制」が廃止され、制度利用が柔軟になるからこそ、言葉だけで表現することが難しい当事者の「真の意思」をどう読み取るかが問われてくると感じました。

単に財産や手続きを管理する「代行決定」に頼るのではなく、日々の対話や表情、行動の積み重ねから本人のこだわりや好みを丁寧に推し量り、選択肢を提示し続ける姿勢が不可欠だと強く思いました。

権利の主体である当事者本人の声を社会へ届ける権利擁護の視点が今こそ求められていると思います。当事者の選択や尊厳を守るためには、本人の選択を真ん中に置いた伴走型の権利擁護の徹底が必要だと思います。自立生活の基本中の基本である自己選択・自己決定を決してないがしろにしないよう、常にその意識を持ち続ける決意を新たにしました。

石田長武(AJU自立の家)


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