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「今月はここに注目!!」各分野での注目すべき検討会・パブリックコメント・裁判・イベント・動きなどまとめてお届け!(2025年9月号)

2025年09月01日 イベント地域生活バリアフリー権利擁護雇用労働、所得保障障害女性国際/海外活動

今月はここに注目!現在の国の動き、障害者運動に何が起きようとしているのか、情勢を追いかけるためにもってこいの「ここに注目!2025年9月号」をお届けします。

今月の注目すべき検討会・パブリックコメント・裁判・イベント・動きなど各分野でまとめてお届けします。

これを読めば一目瞭然!

凡例:◎=大注目! 〇=注目! △=よかったら見て

クリックすると各分野に移動します


地域生活

◎大注目!
障害者の地域生活支援も踏まえた障害者支援施設の在り方に係る検討会

<ワンポイント解説>

8月20日(水)に第3回「障害者の地域生活支援も踏まえた障害者支援施設の在り方に係る検討会」が開催されました。次回の開催予定日はまだ決まっていませんが、9月には中間とりまとめとなるスケジュールが示されています。

脱施設化、地域移行の促進に向けたとても重要な検討会ですので、検討会資料などぜひご参照ください。

以下のリンク先に検討会のページがありますので、過去の資料や今後の開催案内など確認する場合はこちらのページをチェックしてみてください。

▽障害者の地域生活支援も踏まえた障害者支援施設の在り方に係る検討会(外部リンク:厚生労働省)


◎大注目!
9/17(水)強度行動障害のある人の地域移行を考えるシンポジウム 〜家族介護、入所施設に頼らない地域づくり〜

<イベント詳細>

すでにこのHPでもご案内していますが、9月17日(水)14時から衆議院第一議員会館の大会議室にて強度行動障害のある人の地域移行をテーマにしたシンポジウムを開催いたします。

このシンポジウムでは、家族や施設、支援者が連携しながら「誰もが安心して暮らせる地域づくり」を実現された好事例を紹介するとともに、現在行われている障害者支援施設の在り方検討会の動向も踏まえながら今後の政策提案につなげていけるような機会にしたいと思いますので、ぜひご参加ください。

■日時:9月17日(水)14:00~16:30
■場所:衆議院第一議員会館 大会議室

(〒100-8981 東京都千代田区永田町2丁目2-1)

■開催方法:対面
■参加費:無料
■情報保障:PC要約筆記、手話通訳、点字資料、点字データ、テキストデータ

▽お申し込み方法:下記ウェブフォームからお願いします

お申込みフォーム

※ウェブフォームからお申し込みが難しい方は、

  1. お名前(ふりがな)
  2. 電話番号
  3. メールアドレス
  4. 所属団体(あれば)
  5. 情報保障(PC要約筆記・手話通訳、点字資料、点字データ、テキストデータ)
  6. 車いす使用の有無
  7. 介助者の人数

以上をDPI事務局笠柳(kasayanagi★dpi-japan.org(★→@に変更してください))までご連絡ください。

■プログラム(予定)

14:00 開会 主催者・来賓挨拶
14:10 事例報告①家族からの地域移行の取り組み:CILリアライズ
14:40 事例報告②入所施設からの地域移行の取り組み:(社福)清心会
15:10 休憩
15:20 パネルディスカッション

(パネラー)
佐々木 桃子(一般社団法人 全国手をつなぐ育成会連合会 会長)
岡部 浩之(社会福祉法人 清心会 理事長)
今村 登(特定非営利活動法人 DPI日本会議 事務局次長)
コーディネーター 田中 恵美子 日本女子大学教授

16:00 質疑応答
16:25 閉会挨拶
16:30 終了

◇主催:DPI日本会議、全国自立生活センター協議会(JIL)
◇助成:(公財)キリン福祉財団

▽チラシ(PDF)

▽チラシ(ルビ版PDF)

▽チラシ(ワードテキスト版)

▽DPIのホームページでの告知記事

9/17(水)強度行動障害のある人の地域移行を考えるシンポジウム 〜家族介護、入所施設に頼らない地域づくり〜

バリアフリー

◎大注目!
日程未定!第14回移動等円滑化評価会議

<ワンポイント解説>

2018年のバリアフリー法改正から半年に1回開かれている当事者が評価する会議です。この間に国交省で取り組まれた政策や各地の移動等円滑化評価会議地域分科会の報告があるものと思われます。


○注目!
電子図書館のアクセシビリティ対応ガイドライン2.0

<ワンポイント解説>

平成28年に「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(読書バリアフリー法)」が成立し、近年少しずつですが「読書バリアフリー」という言葉も一般的に聞かれるようになってきました。

「読書バリアフリー」とは、障害の有無に関わらず全ての人が読書(文字・活字文化)の機会を得られるように配慮された読書環境を指し、例えば点字本、電子書籍、デジタル録音図書等があります。

紙媒体の視覚情報を得ることが困難な視覚障害者、ページをめくったり読書の姿勢を維持したりすることが困難な肢体不自由者、文字の読み書きに困難があるディスレクシアの方等、様々なタイプの障害者はこれまで読書というものが縁遠いものと感じていましたが、読書バリアフリーの環境があればみんなと同じように読書を楽しむことができます。

DPI日本会議でも読書バリアフリーを広く普及させるため、様々な取り組みに参加しています。

以下はDPIバリアフリー部会が参加している「図書館におけるアクセシブルな電子書籍サービスに関する検討会」において議論され、令和5年に公開されたガイドラインです。

今後はガイドラインをより多くの図書館等に普及、理解促進させていくことが課題となっています。ぜひ、周りの人や関係機関へ周知のご協力をお願いいたします。

以下、国立国会図書館からの案内文です。

<電子図書館のアクセシビリティ対応ガイドライン2.0>

令和7年5月12日に「電子図書館のアクセシビリティ対応ガイドライン2.0」が公開されました。紙の本を読むことに困難を抱える人達が情報を得るための手段として、電子書籍の有用性が注目されてきました。

しかし、具体的にどのような機能を持っていればよいかなど、基準が明確ではないという課題がありました。そこで、DPI日本会議など障害者やその支援者、出版・図書館に関係する団体、学術有識者が検討し、視覚障害者等(”等”には肢体不自由者なども含まれます。)が図書館を経由して電子書籍を利用するために求められる適切な基準を整理して、本ガイドラインを作成しました。

このような経緯から、本ガイドラインは障害者やその支援者、図書館職員、電子図書館開発事業者といった立場の違う人どうしが話し合う際に共通の土台として利用できる性質を持っています。

ガイドライン2.0は、令和5年に公開されたガイドライン1.0を、読書に困難を抱える人の多様なニーズに対応することを目的として更新したものです。ガイドライン2.0は国立国会図書館のホームページ上で公開されており、以下のURLからアクセスできます。

▽電子図書館のアクセシビリティ対応ガイドライン2.0(外部リンク:国立国会図書館)

権利擁護

◎大注目!
カスタマーハラスメント対策法 指針の策定

<ワンポイント解説>

6月にカスタマーハラスメント対策法が成立しました。2026年の12月までに施行される予定ですが、今秋には指針が策定される見込みです。

障害者が合理的配慮の提供を求めることはカスハラ行為に当たらないと指針に明記されるように、DPIでは働きかけを続けております。指針は労政審で審議されるものと思われますので、予定が決まったらお知らせいたします。

教育

◎大注目!
第22回 障害児を普通学校へ・全国連絡会 全国交流集会 in埼玉~出会えないのはなぜ?

<イベント詳細>

2年に1度の全国交流集会(DPI後援)です。今年は埼玉県で行われます。

1日目の全体会は、地元埼玉県の当事者、野島久美子さんをはじめ埼玉・東京のメンバーによるシンポジウム「出会えないのはなぜ」。1日目夕方と2日目午前が分科会(最後にまとめ全体会)となります。

■とき:2025年11月22日(土)・23日(日)

22日(土)13:00~全体会、16:00~分科会、18:30~懇親会
23日(日)9:00~分科会、11:15~全体会

■ところ:岩槻駅東口コミュニティセンター(〒339-0057 埼玉県さいたま市岩槻区本町3丁目1−1 WATSU西館)

■参加費:2日間3,000円、1日のみ 2,000円(ズーム参加同額)、懇親会4,000円(先着80名)

■申し込み締切:9月30日(火)

▽以下のウェブフォームからお申し込みください。
お申込みフォーム

◇お問い合わせ:donokomo1987☆yahoo.co.jp(☆→@)、ファックス 048‐942‐7543 (タケサコ)

2年に1度の全国交流集会(DPI後援)です。今年は埼玉で行われます。分科会は、

  1. 「まずは保育園、幼稚園、学校で会いましょう」、
  2. 「みんなが居られる学校とは」、
  3. 「「合理的配慮」を問い直す」、
  4. 「共に学ぶ と、共に働く の間を考える」

国際

◎大注目!
TICAD(アフリカ開発会議)の横浜宣言に初めて障害が含まれました

<ワンポイント解説>

アフリカ49か国が参加し、8月20日(水)~22日(金)に横浜で開催された第9回アフリカ開発会議(TICAD 9)は、最終日に横浜宣言「革新的解決の共創、アフリカと共に」を採択しました。これは、日本の今後のアフリカとの国際協力の方向性を示す宣言文です。

▽TICAD9横浜宣言 「革新的解決の共創、アフリカと共に」(外部リンク:外務省)(PDF)

その3.2.1において「TICADは、若者、女性及び障がい者のエンパワーメントに特に焦点を当てつつ、質の高い人間中心の保健、教育及び基本的な社会サービスへのアクセスを拡大するための取組を推進する。」と書かれています。

宣言に「障害者」という文言が初めて入り、外務省への働きかけが実を結びました。

若者・女性の人材育成がTICAD9の中心課題に据えられた昨年から、DPI日本会議が「障害者などの脆弱なグループが開発協力から取り残されることのないように」とTICAD-NGO連絡グループを通じて働きかけてきた成果です。

また、外務省が招待する市民社会代表の一人に、私たちが推薦するDPIアフリカ代表世界評議員コミヴィ・アヤソウが選ばれました。

視覚障害者ガイドの同行がなかなか認められず最後まで来日が危ぶまれましたが、外務省がアヤソウさんとガイド二人を招待するという合理的配慮の提供も、成果の一つです。


◎大注目!
障害者権利委員会は、国連の資金不足にかかわらず精力的に活動しています

<ワンポイント解説>

通常予算の約22%を担う最大の拠出国であったアメリカの支援の大幅縮小を受けて、国連の活動自体縮小を余儀なくされ、日本から委員として参加している田門浩弁護士の手話言語通訳経費にも影響を及ぼしています。

そのような状況下でも、8月11日(月)〜 26日(火)に開催された第33会期において、特記したい活動があります。

1)戦争の影響を受けたパレスチナ被占領地域における障害者の状況の審査

審査は会期中の今年8月13日(水)~14日(木)に開催され、書面での意見の提出および現地での対面または事前収録されたビデオメッセージによるブリーフィングへの参加が障害者団体、市民社会組織、国家人権機関、独立監視機関、その他の関係者に求められました。

2)朝鮮民主主義人民共和国初回報告の審査

2018年に提出され過去2回の会期で審査対象となっていましたが、延期されていました。事前質問事項では、

■第6条ジェンダーと障害の交差性に関して

・障害女性が「犠牲的に」退役障害軍人と結婚していることに対する慣行的圧力
・障害女性団体の中央委員会への参加状況

■第19条の地域生活と脱施設化に関して

・孤児や避難民の障害児の施設収容廃止の取り組み
・地方レベルでの国家戦略の実施状況と予算配分
・精神障害者への地域支援サービスの可用性

■第12条法的能力と意思決定支援に関して

・後見制度の廃止と支援付き意思決定への移行
・財産権
・金融アクセス
・女性の権利に関する平等の保障

■第24条の教育に関して

・特別教育からインクルーシブ教育への移行
・障害児の9年制教育から12年制への拡張
・大学進学率・分野別データ・障害種別・性別の統計

■第14〜16条拘禁・虐待・拷問に関して

・障害者が政治犯収容所(kwanliso)に収容されている実態
・拘禁中の暴力、強制治療、身体拘束
・女性・子どもへの影響

などがありました。

代表団8人のうち、障害に関連する朝鮮障害者保護連盟中央委員会委員長と職員、保健省職員が委員の質問に答えたと思われます。総括所見はまだ読めませんが、どの分野に焦点が当たっているのか興味深いです。


〇注目!
9月23日は国際手話(言語)デーです

<ワンポイント解説>

1951年にWFD(世界ろう連盟)が設立された記念日である9月23日を、聴覚障害者の人権を完全に実現する上で手話の重要性の認識を高めるために、国連総会は国際手話デー(IDSL) と宣言しました。

毎年、国際手話デーは聴覚障害者コミュニティのコミュニケーション手段としての手話の重要性と、より包括的でアクセスしやすい世界を確保する上での手話の役割を思い出させる役割を果たします。

ちなみに、9月22日(月)〜28日(日)の国際ろう者週間では、2025年は「手話の権利なくして人権はない」をテーマとしています。

障害女性

<ワンポイント解説>

障害者権利条約委員会は、条約が締約国で完全に実施されるよう締約国ごとの定期的な審査を実施しています。日本は2022年に建設的対話が行われ、同年9月に総括所見が出されました。

それとは別に、締約国すべてに出される文書として、例えば一般的意見(解説書のようなもの)とガイドラインがあります。

今回、障害女性と少女に関するガイドライン策定にあたり、委員会から意見を求められています。ガイドラインは一般的意見より政策や措置の実施に影響があると考えられます。

◎大注目!
障害のある女性と少女に対する複合的で交差的な差別への取り組みに関するガイドライン草案

(下記は、国連サイトの英文を翻訳したIMADR(反差別国際運動)の訳を参考に、DPIでまとめたものです)

障害のある女性と少女への複合的で交差的な形態の差別の対処に関するガイドライン草案に対して、書面の提出を呼びかける

障害者権利委員会
締め切り 2025年9月15日

■目的

締約国やその他の義務者を、障害のある女性と少女に対する複合的で交差的な形態の差別に対処するなかで生じる実施上のギャップに対処し、好事例のデータを収集できるように指導すること

■背景

2009 年の設置以来、障害者権利委員会は条約締約国から提出された 150 以上の報告書を検討してきました。そのなかで、委員会は、第5 条(平等および無差別)、第6 条(障害のある女性)および第16 条(搾取、暴力および虐待からの自由)の国内実施において、以下のギャップを特定しました:

  • 障害のある女性と少女に対する複合的で交差的な形態の差別の概念についての理解と認識が限定的である。
  • 無差別に関する法律および政策の枠組みにおいて、障害のある女性と少女に対する複合的で交差的な形態の差別が十分に認識されていない。
  • 細分化されたデータは定期的かつ体系的に収集されていないため、複合的で交差的な形態の差別に対処するための行動指向的な政策や戦略に影響を与える可能性が制限されている。
  • 女性に対する複合的で交差的な形態の差別が特定された事例が少なく、救済メカニズムの利用可能性が限られているため、加害者の不処罰が広範である。
  • ジェンダーに基づく暴力および障害に基づく暴力は差別の形態であるという理解が限定的である。

■目的

委員会は、法律、政策、実施における障害のある女性と少女に対する複合的で交差的な形態の差別に対処するためのガイドラインの策定を決定した。その目的は、締約国やその他の義務者を、障害のある女性と少女に対する複合的で交差的な形態の差別に対処するなかで生じる実施上のギャップに対処し、好事例のデータを収集できるように指導することである。

■主要な質問と求められるインプット/コメントの種類

委員会は、関係するすべてのステークホルダーに対し、ガイドラインの内容について書面による意見の提供を呼びかけます。以下のトピックの中から1つあるいはそれ以上のトピックに関して書面による意見を提出してください。

  1. あなたの国で施行されている反差別法および/または反差別の政策の枠組みは、障害を認め、合理的配慮の拒否を障害者に対する禁止された差別として認めていますか?
  2. あなたの国で施行されている反差別法および/または反差別の政策の枠組みは、障害とその他の要因(例えば性別、ジェンダー、民族、移民の地位、出身、社会経済的地位、宗教的信念)を理由に、障害のある女性に影響を及ぼしている複合的で交差的な形態の差別を認めていますか?
  3. あなたの国の当局は、障害と、性別、ジェンダー、民族、移民の地位、出身、社会経済的地位、宗教的信念などの他の要因との交差性を反映するデータを収集していますか?
  4. 障害のある女性と少女のなかで、どの集団が、複合的で交差的な差別の最大のリスクに直面していますか?例えば、
    ・農村部または遠隔地に住む障害のある女性と少女
    ・民族的または人種的マイノリティに属する障害のある女性と少女
    ・先住民族に属する障害のある女性と少女
    ・移民、庇護希望者、または難民の障害のある女性と少女
    ・高齢の障害のある女性
    ・障害のある少女
    ・知的または心理社会的障害のある女性と少女
    ・施設で生活する障害のある女性と少女
  5. 障害のある女性と少女が直面する主な交差性のリスクと差別の形態は何ですか?障害のある女性と少女に対する暴力と差別は、2つ以上の個人の特徴が原因であると考えますか、それともこれらの特徴により特色づけられていると考えますか?以下、該当するものを指定してください。例えば、
    ・障害のある女性で先住民族であること
    ・障害のある女性でアルビニズムをもち生活していること
    ・障害のある女性で高齢であること
    ・障害のある女性で、子どもあるいはティーンエイジャーであること
    ・障害のある女性で、移民や庇護希望者、あるいは国際保護や亡命を求めている
    ・LGBTIQ+のコミュニティのメンバー
    ・多様な性的指向や性自認をもつ人であること。
  6. 複合的で交差的な形態の差別にさらされている障害のある女性や少女が、権利へのアクセスや享有においてより排除されている生活の領域について挙げてください。例えば、住宅、司法へのアクセス、雇用、政治参加など
  7. 複合的で交差的な形態の差別に直面している障害のある女性と少女が利用できる救済を示してください。また、それらの救済は利用しやすく、利用可能で、効果的ですか?
  8. 障害のある女性と少女に対する複合的で交差的な形態の差別に対処する積極的な取り組み、計画、プログラム、戦略、または法律について、例示してください。

■その他の事項

  • いただいた意見は、ウェブサイトに公開され、作業部会がガイドラインの策定のために使用します。
  • 意見は電子メールで次のアドレスに2025年9月15日までに送信してください。メールアドレス jorge.araya@un.org
  • 3500ワード/10ページまで
  • ファイル形式は、WORDあるいはPDF
  • 言語:英語、フランス語、スペイン語

▽【原文の掲載ページ】Guidelines on addressing multiple and intersecting forms of discrimination against women and girls with disabilities in law, policy and practice.(外部リンク:国際連合人権高等弁務官事務所)(英語)

雇用労働・所得保障

◎大注目!
生活保護基準引下げ訴訟の最高裁判断とその後の展開

<ワンポイント解説>

2013年から生活保護の支給額が大幅に引き下げられたことを違法として、全国で約1,000人が訴訟を起こしました。

これまでの高裁判決では、12件中原告勝訴7件、敗訴が5件と判断が分かれていました。そして、今年6月27日(金)に最高裁判所は「引き下げは違法」とする判決を言い渡し、国の敗訴が確定しました。

生活保護の見直しは専門家会議で検討され、厚生労働大臣がその報告を踏まえて基準を改定することが「通例」と言われていました。しかし、この時の見直しは事前の専門家による検討や検証、判断の具体的な過程も明らかにされていませんでした。

最高裁は「物価の変動は、生活保護の基準を見直す指標の一つだが、それだけでは消費実態を把握するものとして限界があり、専門知識に基づいた十分な説明が必要だ。しかし専門家の審議の検討が行われていないなど、専門的な知識に基づくとは認められない。デフレ調整の判断過程と手続きには誤りがあった」「専門家の意見を聞かないなら、厚労省の中で専門的で技術的な検討が十分行われるべきなのに、その形跡はない。独自の物価指数を使ったことについても、生活保護世帯に関係の少ない電気製品の価格の影響が強く表れており問題がある」として、国の主張を退け生活保護の引き下げを違法とする判決を言い渡しました。

憲法第25条では「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」としています。生活保護はこの理念に基づく国民の権利として保障されている制度です。

また、生活保護基準の引下げは、障害者や高齢者の福祉・医療の負担軽減策の縮小、最低賃金、就学援助など国民生活に直結した様々な制度とも連動している現状から、生活保護世帯のみではなく社会全体の問題でもあります。

国の敗訴が確定したことで、約200万人とされる当時の受給者への国の対応が今後の焦点ですが、8月13日(水)に設置された「最高裁判決への対応に関する専門委員会」は、構成する委員の状況に対し、関係団体から強い批判が出ています。

この訴訟や生活保護の問題はDPIの加盟団体や多くの障害者への影響もあることからも、DPIとしても注視するとともに、必要な活動が求められています。


〇注目!
6月に告知したイベントの報告がアップされました

<ワンポイント解説>

7月1日(火)「ビジネスと人権」に関する行動計画(NAP)の改定をテーマにした勉強会が開かれました。

DPI日本会議からは伊藤芳浩特別常任委員がリレートークに登壇し、「評価の仕組みには行政だけでなく、当事者の声をしっかり反映させることが大切」と発言しました。

今回の勉強会では、次期NAPに向けた評価指標づくりをめぐって活発な議論が行われ、障害当事者の視点をどう位置づけていくかが大きなテーマとなりました。

▽【フォローアップ】マルチステークホルダーによるNAP評価指標勉強会(外部リンク:一般財団法人CSOネットワーク)

優生保護法と優生思想

<ワンポイント解説>

定期協議の下に設置された3つの作業部会のうち、先行して開始されている「被害者の被害回復」第一作業部会の第5回が、9月1日(月)13時から開催されます。
「人権教育・啓発」第二作業部会、「偏見差別の根絶」第三作業部会も近々開始される見込みです。
また「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者等に対する補償金等の支給等に関する法律」(補償法)三十三条で、

国は、特定疾病等を理由として優生手術等又は人工妊娠中絶を受けることを強いられるような事態を二度と繰り返すことのないよう、特定の疾病や障害を有する者に対する優生上の見地からの偏見と差別を根絶し、全ての国民が疾病や障害の有無によって分け隔てられることなく相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資する観点から、旧優生保護法に基づく優生手術等及び旧優生保護法に基づく人工妊娠中絶等に関する調査その他の措置を講ずるとともに、当該措置の成果を踏まえ、当該事態が生じた原因及び当該事態の再発防止のために講ずべき措置についての検証及び検討を行うものとする。

以上のように明記された「検証」についても、第1回会議が10月1日(水)にスタートし、三年間かけて調査・検証されることとなります。
動向は随時報告していきますので、今後もご注目ください!

今月は下記の企画をお伝えしますので、お近くの方はぜひご参加ください。

◎大注目!
【展示会】花咲か北さんとファンキー西さん 優生保護法とたたかって(9.3(水)~9.22(月))

<沈黙を破る声 声を奪われた人生の、その「声」から始まる展示>

1943年、仙台。北三郎さんは幼くして母を亡くし、祖父母に育てられました。中学生となった彼は家庭や地域との軋轢から児童福祉施設に送られ、14歳の春「悪いところを取るだけだよ。」意味も告げられぬまま受けたのは子どもをつくれなくなる不妊手術でした。

北さんは施設に落ちていた桜の花びらを真似てお花紙で立体作品を作ってきました。女房にきれいだわねと褒められました。女房はいろんな人に配ってくれました。展覧会で飾ってもらうのが夢でした。

1946年、大阪。西スミ子さんは生後まもなくはしかによる高熱がきっかけで脳性麻痺と診断されます。13歳で初潮を迎えた頃、生理の処理が自分ではできず、入所していた施設の職員から非難の言葉を浴び「生理が来なくなる手術をしたほうがいいのかもしれない。」と、14歳の時に子宮の摘出手術を受けました。

初恋の先生が迎えに来てくれて、母も一緒に来た。嫌な感じがした。今思えば、子宮を取られた顔を私は見られたくなかったのかもしれない。何となくそう思った。

2024年最高裁は、旧優生保護法の違憲性と国の賠償責任を認めました。本展示では、北三郎さんのお花紙で作った立体作品、西スミ子さんの自立生活への道のりを写真と資料で紹介します。お誘い合わせの上、どうぞお気軽におこしください。お待ちしています。

■期間:2025年9月3日(水)~9月22日(月)11時~19時(日曜17時)

(休廊日 9月9日(火)・14日(日)・16日(火))

■会場:青猫書房ギャラリー(〒115-0045 東京都北区赤羽2丁目28−8 Timber House 1F)


■イベント開催日:

参加費無料・予約不要。小さいお子様もお気軽にご参加ください。大人の方はワンドリンクのご注文をお願いします。

*イベント開催日は、手話通訳があります。

◇主催:優生保護法被害東京弁護団 優生連東京

◇問い合わせ先:弁護士 関哉直人 電話:03-6403-1411 sekiya☆nekonet.ne.jp(☆→@)

▽優生連のホームページにイベントの詳細が掲載されています

▽DPIホームページでもご案内しています

【9月3日(水)~9月22日(月)開催】東京優生イベント:展覧会「花咲か北さんとファンキー西さん 優生保護法とたたかって」(主催:優生保護法被害東京弁護団 優生連東京)

以上


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