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【注目!】ユニバーサルデザイン2020評価会議 参加報告

2021年03月25日 バリアフリー

障害者シンボルマークと街並み

3月19日(金)、ユニバーサルデザイン2020評価会議(以下UD2020評価会議)が対面、オンラインの併用で開催され、佐藤事務局長が出席しました。

開催経緯

政府は東京2020オリンピック・パラリンピックを機に、日本全体をユニバーサル化するために、ユニバーサルデザイン2020行動計画を2017年に策定し、それに基づき障害者団体等を構成員としたUD2020評価会議を開催しています。昨年までに3回の会議を開催し、今回で4回目の開催となります。

議事次第

・UD2020 行動計画の一部改正について(報告)
・UD 2020 行動計画の施策の改善状況(主要項目)について
・UD 2020 行動計画の進捗(個別項目)について


UD2020 行動計画の一部改正について(報告)

本会議は2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会がコロナ禍により一年延期したことから、令和2年12月22日にユニバーサルデザイン 2020 関係閣僚会議(第4回)を持ち回りで開催し、UD2020 評価会議の設置期限を 1 年延長(2020 年→2021 年)するとの内容で「UD2020 行動計画」の一部改正を決定しました。

UD 2020 行動計画の施策の改善状況(主要項目)について

今回は下記の5つを主要項目として改善状況の報告がありました。特に注目の項目は新幹線のバリアフリー化と学校のバリアフリー化、単独乗降しやすい駅を路線図上でわかりやすく示したバリアフリーマップ等です。

1.共生社会ホストタウンのレガシー化

・共生社会実現に向けた取組を実施する共生社会ホストタウンは98件、その中でも他のモデルとなる先導的共生社会ホストタウンは15件に拡大。
・共生社会ホストタウンの取組が東京大会のレガシーになるよう、バリアフリー法に基づくマスタープラン・基本構想制度における心のバリアフリーの取組を強化するとともに、ハード対策に加え、心のバリアフリーの観点からのソフト対策を強化するため、昨年5月に法律を改正し、本年4月から全面施行。

2.心のバリアフリーの拡大・向上

・今年度から小学校、来年度から中学校で、新学習指導要領を踏まえた授業を全面実施。
・事業者による合理的配慮の提供の努力義務を義務と改める障害者差別解消法改正案を国会提出。
・バリアフリー対応や情報発信に積極的に取り組む観光施設を対象とした「観光施設における心のバリアフリー認定制度」を昨年12月から開始、今後速やかに認定予定。
・高齢者障害者等用便房(バリアフリートイレ)について、「多機能トイレ」、「多目的トイレ」等ではなく、機能分散を推進し、その効果が現れるような表記等による周知、広報啓発の充実等の取組方針をとりまとめ、適正な利用を推進。〔DX(デジタルトランスフォーメーション)への取組〕
・障害のある児童生徒一人一人に応じた音声文字変換システムや視線入力装置等の入出力支援装置の整備を支援。
・令和元年7月、民間事業者が障害者手帳アプリをリリースし、昨年6月にマイナポータルとのシステム間連携を開始。情報の信頼性が向上し、連携前と比べて導入事業者数が2倍以上(3月末で約1,000者)に拡大。
・昨年、電話リレーサービスを公共インフラ化する制度が創設。緊急通報への対応や24時間対応も可能となり、本年7月からサービス開始予定。

3.公共交通のバリアフリー化

・令和3年度からの5年間を目標期間とする次期バリアフリー整備目標を策定。これにより、地方部を含めたハード・ソフト両面でのバリアフリー化をより一層推進。
・山手線内を中心に単独乗降しやすい駅を路線図上でわかりやすく示したバリアフリーマップを昨年3月に公表。
・新幹線における車椅子用フリースペースの設置を本年7月から義務化(東海道新幹線では6名の
同時利用可能に)。
・本年2月、公共交通事業者向け「知的・発達障害者等に対する公共交通機関の利用体験実施マニュ
アル(案)」を策定、「公共交通事業者等に向けた接遇ガイドライン(認知症の人編)」を公表。

4.建築物のバリアフリー化

・本年3月、高齢者、障害者等の円滑な移動に配慮した建築設計標準を改正。小規模店舗内部において、入口の段差解消、扉幅の確保、可動席の設置等のバリアフリー整備を進めるための考え方等を追加。
・昨年5月、日本産業規格(JIS)を改定し、男女共用お手洗、介助用ベッド、授乳室(男女共用)など近年の社会情勢の変化を踏まえた9つのピクトグラムを追加。
・昨年12月、学校施設バリアフリー化推進指針を改訂するとともに、令和7年度末までの整備目標を設定。

5.新型コロナウイルス感染症対策に資する取組等

・東京大会における新型コロナウイルス感染症対策のため、国、東京都、大会組織委員会等からなるコロナ対策調整会議を設置し、日本パラリンピック委員会(JPC)も参画。
・昨年12月、同会議の中間整理において、パラアスリートの感染防止策をとりまとめるとともに、介助者等のスタッフ等による感染防止の支援の際のガイドラインを策定する等の対策を整理。
・オンラインによるパラアスリート派遣やメッセージ動画の配信等、新しい生活様式に対応したオリパラ教育を実施。
・共生社会ホストタウンでは、直接の交流が難しい中、オンラインを活用し、相手国・地域との交流を継続。
・テレワークの活用による障害者の就業機会拡大を図るため、「都市部と地方をつなぐ障害者テレワーク事例集」を作成。

当事者団体からの意見

DPI日本会議からはUD2020行動計画以下の項目について要望を伝えました。

・UD2020行動計画では心のバリアフリーを体現する3つのポイントを「社会モデルの理解」、「障害者の差別をしない」、「想像と共感」とまとめている。これは障害者権利条約の理念に通じる素晴らしい考えであり、今後心のバリアフリーという言葉を使う時はこの3つの言葉も一緒に伝えて欲しい。
・東京オリパラではIPCアクセシビリティガイドラインをもとにした東京2020アクセシビリティガイドラインによって世界の基準を取り入れることが出来た。これをぜひレガシー化して地方にも広めて欲しい。また、バリアフリー法の義務基準に入れて欲しい。
・新国立競技場は基本設計の段階から多様な障害当事者を交えたワークショップを行い、素晴らしい競技場を作ることが出来た。この仕組みを今後のビッグプロジェクトや象徴的なプロジェクトに取り入れて欲しい。
・今後、オリパラのレガシーを評価する「レガシー評価会議」を作って欲しい。

他の団体からは以下の意見が出ていました。(一部抜粋)

・地方課題があるため、各地で当事者が主体となり、格差を埋める取り組みをして欲しい。
・ICT活用にあたって支援の仕組みを作って欲しい。
・2020以降レガシー評価会議の設置を検討して欲しい。
・電話リレーサービス等、様々な場での情報バリアフリー、情報のアクセスが十分でないため進めて欲しい。
・コミュニケーションのバリアフリーについて。オリパラに手話通訳がつくことは大事であるため検討して欲しい。
・デジタル化が進んでも視覚障害者が使いこなせない。使いやすい工夫をして欲しい。
・心のバリアフリーは子供だけでなく大人にも教育をして欲しい。
・公共施設での合理的配慮はまだまだ不十分だと感じている。心のバリアフリーをさらに広めて欲しい。
・学校での授業に当事者が参加する等、精神障害への理解を広げて欲しい。
・精神障害者への公共交通運賃の割引について、JR、私鉄各社に直接働きかけができる場を設けて欲しい。
・様々な人が地域にいるのが当たり前の社会になるよう、文科省や関係省庁との連携をしながら取り組んで欲しい。
・バリアフリートイレは大型車いすでも利用できるよう大きめのベッドがあるトイレも整備して欲しい。
・パーキングパーミット制度は自治体によって内容がバラバラである。全国で統一して欲しい。
・コロナ禍でオンライン中心のサービスになり、無人化することで取り残される人がいないように気を付けて欲しい。
・UDタクシーは大型電動車いす、補助犬も一緒に乗れるように車両の開発を進めて欲しい。
・多機能トイレの分散化を地方にも広めて欲しい。
・補助犬の受け入れが進むよう取り組んで欲しい。

有識者からは以下のような意見が出ていました。(一部抜粋)

・ここ3、4年でバリアフリーがこれほど進んだ期間はなかったほど大胆に進んだ。レガシー、サスティナブル、インクルーシブという原則があるが、インクルーシブの考えが大事である。設計、調査段階から当事者参画をして進めて欲しい。
・公共交通は生存権というのを考慮して地方の整備を進めて欲しい。
・災害時、緊急時の対応を誰一人取り残さないSDGsのプランを具体的に考えて欲しい。
・PDCAサイクルの手法を発信していって欲しい。
・基本構想、マスタープランに取り組んでいる自治体がまだまだ少ない。さらに進めて欲しい。
・建築物のバリアフリー化について。義務化基準を2000㎡から引き下げて欲しい。
・心のバリアフリーはまだまだ正確に理解されてない。正しく理解させる教育を行って欲しい。
・オンライン教育では情報保障を当たり前と考えて実施して欲しい。
・テレワークでの障害者雇用、就労環境の整備を進めて欲しい。
・観光施設やホテルではバリアフリー設備を使う人と使わない人がはっきりと分かれている。共に楽しめるように工夫して欲しい。

以上の意見を受けて、石田国道通称総合政策局長は、今後もさらなる施策推進を図っていく必要があるとしてこの4月から組織改編をして皆様の意見を取り入れながら取り組んでいくとの事でした。

最後に平田議長より、「UD2020評価会議は長い間注目を集めて良い会議になったと思う。心のバリアフリーとユニバーサルな街づくりが着実に進捗していることに対する評価を聞けて良かった。その一方で情報のバリアフリー化、民間事業者による障害の社会モデルについての理解、地方部での当事者参画等の課題も聞くことが出来た。残された課題について関係省庁と連携しながら取り組んでいきたい。」とのコメントを頂きました。

傍聴した感想

今回の会議ではオリパラ終了後のレガシーについて複数の委員から同様の意見が出ていたことが印象的でした。世界基準での整備を地方にも広めることやレガシーについて調査、評価を行う「レガシー評価会議」の設置等、新たな取り組み提案が出てきました。今後は積み残し課題に加えてこれらの新たな取り組みにも注目していきたいと思います。

報告:バリアフリー部会 工藤登志子

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