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国立国会図書館を見学してきました!「みなサーチ」をはじめ障害者向けの様々な取り組みがありました

2025年09月05日 バリアフリー

説明をしてくれている杉田さん
△写真中央:説明をしてくれている杉田さん

2019年に読書バリアフリー法が成立し、国立国会図書館も障害者の読書環境の整備に積極的に取り組まれています。

DPIも何度かヒアリングを受けたのですが、その時の担当者の杉田正幸さん(視覚障害の当事者職員)にお願いして、9月2日にバリアフリー部会のメンバーで、国立国会図書館を見学させていただきました。障害者向けにどのようなサービスや取り組みをされているかお話を伺い、館内を見学させていただきました。

1. 国会図書館とは?

国会に属する唯一の国立の図書館です。国会議員の調査研究等に利用されるとともに、国内で出版された全ての出版物を収集しています。国会隣の東京本館と、上野の国際子ども図書館、京都の関西館の3つがあるそうです。今回訪問したのは東京本館ですが、本館と新館があり、新館には地下8階まで書庫がありました。

普通の図書館と違って、本の貸し出しは行っておらず、書庫にも入れません。パソコンで読みたい本を検索して申請し、カウンターで受け取って閲覧室で読むというスタイルです。研究目的で利用する方が多く、一般にはあまり馴染みはない図書館ですが、2019年に優生保護法の一時金支給法が出来た時に、衆議院と参議院の厚生労働委員長が国立国会図書館に調査を要請し、2023年に調査報告書ができました。そういう立法府の調査研究にも取り組む図書館なんですね。

2. 障害者向けのサービスや取り組み

(1) 館内の利用サポート

利用する時に支援が必要な障害者は、カウンターでお願いするとサポートする人がついてくれます。視覚障害の人等は手引きで目的地まで連れて行ってくれるそうですし、検索が難しい人には手伝ってくれるということでした。

(2) 障害者閲覧室

新館に視覚障害者等が本を読む時のために障害者閲覧室がありました。読み上げソフト等を使う人はこの障害者閲覧室を利用できます。予約したら確実に使えて、当日空いていたら利用できるということです。

広い個室で、DAISYの再生ソフト、スクリーンリーダー 、点字方式入力ソフトをインストールし、点字ディスプレイと接続した検索・閲覧用端末や、墨字資料の読み上げ等が可能な音声拡大読書器もありました。また、マイクロフィルムやマイクロフィッシュの閲覧も可能なデジタルマイクロリーダーも設置しています。自分のパソコンやスマートフォンを持ち込んで使用することもでき、電源やWi-Fiも利用できるそうです。視覚障害者だけでなく、一般の閲覧室の利用が難しい障害者の人は利用できるということでした。

(3) パソコンや閲覧室の机

館内にはいたるところに検索をするパソコンが机に設置されていて、たくさんの人が利用していたのですが、この机は手動車椅子だと利用しやすい高さでした。席と席の間も広めに配置されていたので、一般のパソコンや閲覧室の机は手動車椅子なら問題なく利用できます。さらに、車椅子利用者用の机もありました。こちらは広い机で机下の蹴り込みスペースも十分あり、利用しやすかったです。ただ、高さが動かせないものなので、電動車椅子では利用が難しいです。ここは課題ですね。

(4) みなサーチ

視覚障害やディスレクシア、上肢に障害があって紙をめくれないといった活字の図書を読むのが難しい人向けのサービスです。点字、DAISY、テキストデータ、大活字本、LLブック、電子書籍、バリアフリー映像資料などが検索できます。活字を読むのが難しい障害者の人は登録すると、テキストデータをダウンロードできるそうです(300万点以上資料あり)。所蔵資料のテキストデータ化に取り組んでいるそうです。

(5) その他のバリアフリー設備

・ 入館するには入り口で荷物をコインロッカーに入れます。車椅子用のコインロッカーもあり、車椅子が近寄れるようになっていてとても使いやすかったです。
・ エレベーターは全部ありますし、バリアフリートイレは本館の2階と新館の各階にあります。ユニバーサルベッドも配置されていました。

3. 意見交換

意見交換の様子
△写真:意見交換の様子

館内の視察の後はサービス運営課の障害者サービス検討班の方々も参加してくださり、意見交換を行いました。今後の課題も共有することができました。

今回の視察で、国会図書館は障害者向けにさまざまな取り組みをされているということがよくわかりました。誰もが図書を利用することができるように、みなサーチをはじめ素晴らしい取り組みをされています。バリアフリーは少し課題もありましたが、概ね利用しやすく整備されていました。

終了後にはさっそく私も含めて数名が利用登録カードを作成しましたので、今度はゆっくり行ってみたいと思います。素晴らしい機会をいただいた国立国会図書館の皆様に心から感謝申し上げます。

報告:佐藤 聡(事務局長)


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