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改良型リフト付リムジンバスの試乗報告

2018年05月31日 バリアフリー

5月29日(火)、東京シティエアターミナル(以下T-CAT)にて行われた改良型リフト付リムジンバス試乗会にDPI日本会議事務局長の佐藤とバリアフリー部会の土屋、工藤の3人で参加してきました。

写真:改良型リフト付リムジンバスの外観

5月29日現在、リフト付リムジンバスはT-CAT~羽田空港国際線ターミナル間、バスタ新宿~羽田空港国際線ターミナル間の2路線のみで運行していましたが、6月4日より東京駅(T-CAT経由)~成田空港第1・第2ターミナル間でも改良型車両の運行が開始されます。これまでのリフト付リムジンバスと改良型車両の大きな違いは下記の通りです。

・昇降リフトの位置が従来よりも前方に移動。
これにより、バゲッジルームが従来の2室から2室半確保できるようになりました。リフトがバゲッジルームをまるまる1室潰していたものが、半室のみに改善されました

写真:貨物室の様子。

写真:リフトを操作中の様子。

・昇降リフトの動作がやや高速化。
これにより、車いす使用者の乗降にかかる時間が短縮されました。実際に試乗した感じでは危険を感じない速さで安心できました。

写真:昇降リフトで乗り込む様子。

・車内の車いすスペース(1台分)は初めから椅子席を設けないフリースペースになった。
従来型は椅子席を2列分スライドさせてフリースペースを作っていたため乗車準備に時間を要していましたが、フリースペースになったことで乗降にかかる時間が短縮されました。また、乗車中の圧迫感もありませんでした。通常席は従来型の42席から38席になりましたが、運行本数の増加によってカバーできるとの事です。

写真:車いすスペースの様子。前後左右4点をベルトで床に固定し、身体にシートベルトを装着する。

・あらゆる乗降場に対応した日本製リフト。
従来型(アメリカ製)はリフト全面が着地していないと昇降できませんでしたが、性能向上によりリフトが部分的に着地した状態でも昇降可能となりました。これにより傾斜や凹凸のある場所からの乗降が可能となり、乗り入れ可能な範囲が広がりました。

実際に乗車した感想は、まず乗降準備が従来型に比べてスムーズになったと感じました。従来型は乗り込んで走り出すまでに15分前後かかっていましたが、改良型は5分もかからずに準備が完了していました。車いす席は6輪の電動車いすでも余裕があり、リクライニングを完全に倒すことも出来ました。走行中は振動が少なく、身体への負担も少なく感じました。また、車窓がとても広く窓枠はサイトラインを考慮した高さになっていたため外の景色を楽しみながら移動できたのが嬉しかったです。

東京空港交通株式会社の増井社長からは改良型バスの概要説明に加え、今後の課題として、より多くの車いす使用者に利用してもらえるよう積極的にPRしていくこと、路線拡大のために乗降場の整備を進めること、運行本数を増やして利便性をより高めることを挙げられていました。また、昨年12月から運行しているバスタ新宿~羽田空港国際線ターミナル間のリフト付リムジンバスの車いす席利用者数は今現在で7名、2016年から運行しているT-CAT~羽田空港国際線ターミナル間では十数名程度との事でした。今後全国各地で普及していくために、より多くの車いす使用者に利用してもらいたいとの事でした。

関東運輸局の北村課長からは先日可決されたバリアフリー法改正に触れ、「社会的障壁の除去」、「共生社会の実現」の基本理念に基づき分け隔てのないインクルーシブな社会を実現できるよう、バリアフリーへの取り組みの重要性をお話しされていました。

2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて都心部ではますますバリアフリー化が進んでいますが、都心部に続いて地方部でも整備が進むよう、DPI日本会議バリアフリー部会として今後も取り組んでいきたいと思います。


写真:後列左から東京空港交通株式会社の伊藤さん、増井社長、田村さん、関東運輸局の北村さん。前列左からDPI日本会議バリアフリー部会の工藤、佐藤事務局長、土屋。

▽改良型リフトバス試乗会の配布資料はこちらからダウンロードできます(PDF)

(DPIバリアフリー部会 工藤登志子)

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