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【報告】東京大学大学院教育学研究科×DPI日本会議 インクルーシブ教育協定を締結しました

2023年12月19日 インクルーシブ教育

調印式の様子

2023年8月31日(木)、DPI日本会議は東京大学大学院教育研究科と「特定非営利活動法人DPI日本会議と東京大学大学院教育学研究科とのフルインクルーシブ教育事業に関する協定書」を締結しました。

この協定書は、東京大学とDPI日本会議の密接な協力と連携による、フルインクルーシブ教育の実現に寄与することを目的に交わされたものです。

内容としては、以下の3点を掲げています。

  1. フルインクルーシブ教育の実現に資する調査研究
  2. 各種教育事業、市民向け啓発事業
  3. その他必要と認められる事項

具体的には、以下の4本柱で事業を展開する予定です。

  1. 脳性まひ者の当事者団体「青い芝の会」の運動など、日本的な共生思想の国際的発信
  2. 学生向けの教育カリキュラム開発
  3. 政策提言の強化
  4. 小・中学校向け研修カリキュラムの開発

トークセッションの様子
△トークセッションの様子

まず、1.脳性まひ者の当事者団体「青い芝の会」の運動など、日本的な共生思想の国際的発信についてですが、現在のインクルーシブ教育の概念では、学校教育において学力と生活の両方を追う(二兎を追う)ことが背景として挙げられます。

養護学校反対運動、青い芝運動や共生共学運動が訴えてきたことを今こそ見直し、「発達」というものを改めてとらえなおす必要があります。障害者権利条約3条や24条のいう「発達」とは何なのか、より成熟した議論が求められています。これを実行する事業として、公開研究会の開催等を考えています。

次に、2.学生向けの教育カリキュラム開発ですが、この背景には現行の制度では社会福祉・医療関係・教育などの大学で、(単位認定はされませんが)全学部学生が対象となる「介護体験等」カリキュラムでは、「社会福祉施設等」とは「入所施設」などを指し、多くの自立生活センターは含まれないという課題があります。(「小学校及び中学校の教諭の普通免許状授与に係る教育職員免許法の特例等に関する法律」(平成9年法律第90号))

これにより、学生から自立生活をしている障害者像、障害の社会モデル/人権モデルの学習・体験の機会を奪うこととなっている現状があります。

これを打破するために、事業としてDPI日本会議の岡部宏生常任委員が理事長を務めるNPO法人「境を越えて」の実践を参考にした、大学での単位認定制度の普及等や、自立生活をしている障害者(身体・知的・重症心身など)の介助体験、社会モデルの理解などのカリキュラムの開発をしていきます。

3.政策提言の強化ですが、これは国連障害者権利委員会から日本政府へ総括所見として多くの勧告が出されたことが背景にあります。事業内容としては、自治体との連携によるイベント開催、モデル事業への協力、文部科学省への働きかけ、フォーラム、国会、「国連障害者の権利条約推進議員連盟」との連携、国際的な動向や国内の良い実践の紹介などのための、イベントや学習会の開催を予定しています。

最後の4.小・中学校向け研修カリキュラムの開発と普及ですが、これは義務教育課程の学校の管理職を含む教員への研修はいうまでもなく必要である、という観点から掲げています。事業内容としては、東京大学がすでに大阪府吹田市との連携で作成したガイドブックを教職員とも様々な意見交換を行いながら、自治体でのモデル事業を行うことを想定しています。

インクルーシブ教育の実現のためには、壊すべき障壁や変革すべき問題が山積しています。ですが、千里の道も一歩より。DPI日本会議は草の根レベルの障害当事者運動団体として、この度、東京大学大学院教育研究科という力強いパートナーを得たことで、その歩みを確実に前進させていく所存です。今後の展開に、どうぞご期待ください。

報告:鷺原由佳(事務局員)(崔議長補佐の資料をもとに作成しました)


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