【報告】2025年5月26日「障害者の地域生活支援も踏まえた障害者支援施設の在り方に係る検討会」第1回会合開催――脱施設・地域移行を加速できるか注目の検討会、ぜひ傍聴を
2025年06月24日 地域生活
2025年5月26日(月)に「障害者の地域生活支援も踏まえた障害者支援施設の在り方に係る検討会」の第1回会合が開催されました。
本検討会は、令和6年度報酬改定において、障害者支援施設の在り方について今後の検討課題とされたことがきっかけとなり、設置された検討会です。
この検討会では、障害者権利条約および脱施設化ガイドライン、ならびに第7期障害福祉計画の成果目標を踏まえ、障害者支援施設が果たすべき役割や機能の在り方を改めて整理し、今後の障害福祉政策の方向性を議論することが目的とされています。
この日の検討会では、各委員からの意見発表が中心となり、地域移行の促進、意思決定支援、居住支援機能の整備、重度・重複障害者に対する支援の在り方など多岐にわたる論点が提示されました。出された主な意見のポイントは以下のとおりです。
まず、施設入所を前提としない地域生活支援の拡充が求められるという意見が複数の委員から出されました。施設での生活が本人の希望に基づかない形で継続される状況を打破し、選択肢としての地域生活を実現可能とするための制度設計や支援体制の整備が必要とされました。特に青年期からの段階的な移行支援の重要性が指摘されました。
また、意思決定支援については、本人の自己決定を可能とする支援体制の強化や、入所施設におけるアセスメント過程での体験的取り組みの導入が提案されました。さらに、施設のハード面(個室化・小規模化)だけでなく、地域との接続機能、相談支援の強化、専門性の地域への還元を重視する意見が出されました。
一方で、施設の役割として緊急対応機能や医療的ケアを必要とする重度障害者の受け皿としての機能の維持を評価する意見もありました。高齢化した障害者や医療的ケアが必要な者にとって、施設は不可欠な社会資源であるとの認識のもと、地域との連携を前提とした施設機能の再構築を求める意見などもありました。
DPIからは事務局次長の今村が委員として出席し、今回厚労省から示された論点について、意見を述べました。
まず、検討会の出発点として、国連障害者権利条約に基づく2022年の総括所見および脱施設化ガイドラインの実現を明確に掲げることが必要であるとして、検討会の議論の方向性について提起しました。
そのうえで、示された論点に対して、以下4点の意見を述べました。
- 個室化やユニットケアなど施設整備の推進は、地域移行の遅れを生む危険性がある。施設整備よりも予算の地域移行への再配分、地域生活支援基盤の構築に軸足を移すべきである。
- 重度障害者の地域移行には、家族介護依存からの脱却と長期的な伴走支援が不可欠であり、幼少期からの段階的支援、ピアサポートの活用、地域移行専任の支援人材の配置などが必要である。
- 「親なき後」問題を解決するためには、新規入所ではなく地域生活の継続を支える制度設計が求められる。その手段として、意向確認マニュアルの活用が有効である。
- 人材不足を背景に、報酬制度の簡素化(訪問系サービスの再編、加算の内包化等)により事務負担の軽減を図るべきである。
この第1回の検討会で出された意見を踏まえて、論点を整理し、次回の検討会ではさらに議論を深めていく予定となっています。
■次回検討会の日程
次回の検討会は6月25日(水)17:30~19:30の予定となっています。
詳細は以下の厚労省のWEBページをご参照ください。
▽第2回「障害者の地域生活支援も踏まえた障害者支援施設の在り方に係る検討会」を 開催します(開催案内)(外部リンク:厚生労働省)
当日の検討会の様子はYouTube(厚労省のチャンネル)で配信される予定です。
この検討会は、脱施設・地域移行に向けた動きを加速されることができるかどうか、という極めて重要な課題に関する検討会になりますので、ぜひみなさんも傍聴して検討会の様子をチェックしていただけたらと思います。
報告:白井誠一朗(事務局次長)
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