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【DPI連続フォーラム第1回】「障害者とリプロを考える-母体保護法で優生思想はなくなったのか-」開催報告

2021年09月13日 イベント障害女性

村田と藤原
8月22日(日)DPI連続フォーラム第1回目となる「障害者とリプロを考える-母体保護法で優生思想はなくなったのか-」をオンライン開催しました。

当日は全国から約70名の方にご参加いただきました。講演後に参加者の方とグループワークを通して意見交換することもでき、大変有意義な集会とすることが出来ました。

今回の集会開催に当たり、ご支援くださった皆様へ、改めて御礼申し上げます。
下記集会報告になります、是非ご覧ください。

開催の経緯

母体保護法の抱える課題や母体保護法に垣間見える優生思想を女性だけが抱える問題ではなく、男性にもかかわる問題として捉えて、母体保護法になって優生条項は削除されました。

しかし、母体保護という名の下に、果たして障害者の性と生殖が守られていると言えるのかは分かりません。今、進められようとしている不妊治療政策、出生前検査や着床前検査など生殖医療の発展は、障害者のリプロにどのような影響を与えるか、母体保護法を背景とする状況から見える障害者のリプロと人権について考え、共有することをめざして開催しました。

報告

①「母体保護法と背景にある刑法堕胎罪という問題について」(大橋由香子さん)

大橋さん

大橋由香子さんから、国の政策としてできた優生保護法から母体保護法に改正されても、「人口政策や女性の権利、健康は障害の有無に関わらず無視されている現状の問題と課題」について、背景にある刑法堕胎罪という視点からお話しいただきました。

中絶に対する考え方は様々ですが、中絶は法によって禁止すべきなのか、現在も刑法堕胎罪によって罰せられる事実が存在し、その罪は施術の医師、女性のみが対象とされ男性は罰せられません。これは、堕胎罪の背景にある家父長制という考え方や不良な子孫は増やしたくないという人口政策は優生保護法の根幹を成しています。

1996年に優生保護法から母体保護法に変わって、堕胎罪の例外として中絶を女性の健康、権利としてではなく、医療行為として医師に認めるとなったことは、リプロダクティブヘルス・ライツが理解されていない状況の中、母体保護法の存在は産む産まないという権利が女性自身にはないことを意味します。

現在においても、援助が必要な女性へのサポートがない中で、0歳児死体遺棄事件のように女性が加害者として罰せられています。 これでは戦前の人口政策が今現在も生きていて、母体保護法になっても優生思想はなくなっていないことの現れであり、女性が人口政策の道具として存在しているのではと捉えられます。

堕胎罪から男性は免除され、中絶には男性の同意が必要であるにも関わらず、今もなお、女性を尊重せず軽視している法律として母体保護法が存在し、それは女性差別であり優生思想そのものです。 このようにリプロダクティブヘルス・ライツが実現されていない現状について、これからも共に考えていきたいと思います。

②「母体保護法のもとで-生まれることをめぐる選別と商業化について」(利光惠子さん)

利光さん

利光惠子さんから、現在急速に進められようとしている出生前検査・着床前検査から、社会的な背景と、その実態と影響が及ぼす問題について、お話しいただきました。

現在、出生前検査、着床前診断を拡大する背景にあるものは、妊婦のニーズ、自己決定権を全面に掲げることで倫理的、社会的問題を不問に付そうという意図があります。

これは検査を受けるかどうか、胎児に障害があるとした場合に妊娠を継続するか否かの意思決定は、社会が障害者をどう受け入れているかに大きく影響されて、未だに障害のある子供を産み育てる支援体制が不十分な状況です。

障害をめぐる差別や社会的障壁も存在する一方で、障害のある方たちが様々な場面で社会的活動を担っているにもかかわらず、社会に認識されず理解が進まない現状がある中で、出生前検査や着床前診断の周知だけが広まることで妊娠すれば出生前検査を受けることがスタンダードとなり、結果として障害胎児の排除に繋がるのではないかとの危惧を抱かざるを得ません。

出生前検査のビジネス化、商業化が急速に進んで、海外企業の参入、国内での実施が増えて、医療サービスとして出生前検査、着床前診断が進めば商業ベースでの命の選別が拡大につながります。

障害を理由とした強制不妊手術が著しい人権侵害を起こしたことが問題となって国賠訴訟が起こされていますが、優生思想と医療が組み合わされて強制不妊手術に繋がっていったことを考えると、今一度、出生前検査、着床前診断という技術の孕む差別性、優生社会を消滅させるどころか維持・存続させてしてしまう可能性について広く社会的に議論喚起していくべきであり、社会全体の問題として捉えて取り組むことが必要です。

その後、参加者・講師・ファシリテーターで30分間グループワークを行い、話を聞いての感想や抱えている想いなどを共有しました。

今後の取り組み

「障害者とリプロ」については、まだまだ障害者の中でも理解が深まっていません。

性と生殖にかかわる課題も多く、0歳児遺棄事件は後を絶たたないことから、このような事件が起こる背景に目を向けて、社会に潜む優生思想が障害者に、どのような影響を及ぼすのか、これからも継続したテーマとして、障害のない人も更に障害のない女性も男性も一緒に社会に問いかけ、取り組んでいきたいと思います。

 (報告:DPI日本会議 常任委員 村田惠子)


▽参考「優生保護法裁判と障害者運動」(第5回オンラインミニ講座、2021年1月25日掲載)


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