【報告】「障害者と障害のない方々が共に働くためのフォーラム2026(2025年度事業)」

△写真:ZOOM画面、上段左に手話通訳、中央にPC要約筆記)、右にフォーラムに登壇した厚生労働省職業安定局障害者雇用対策課課長補佐 原田自由(はらだ よりゆき)氏、下段左に進行役の岡本直樹(おかもと なおき)常任委員・雇用労働副部会長、右に厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課 課長補佐 遠藤径至(えんどう けいじ)氏。
2026年2月7日(土)に「障害者と障害のない方々が共に働くためのフォーラム2026(2025年度事業)〜インクルーシブ雇用の実現に向けた取り組みと今後の課題〜」(略称:雇用労働フォーラム)をオンラインで開催しました。全国各地から約60アクセスがあり、沢山の皆さんにご参加いただきました。
以下、全体の報告(前半の基本報告および後半のパネルディスカッション)の様子および参加者から寄せられた感想を共有します。
報告「障害者雇用における合理的配慮の確保に向けた現状と課題~重度障害者等就労支援特別事業の実施と制度化に向けた課題~」
まず、厚生労働省のお二人から現状報告を聞きました。
厚生労働省職業安定局障害者雇用対策課からは、障害者雇用促進法(1960(昭和35)年制定)の変遷、法定雇用率の上昇(2024年4月より2.5%)、2025年で実雇用率2.41%(法廷雇用率達成企業46.0%)と数の上では増加している一方、雇用の「質」については、さまざまな次元で重要な課題があることが指摘されました。
さらに、近年いわゆる「障害者雇用ビジネス」が拡大している背景に企業側の自信のなさや経験不足という側面があることなどが、前日発表されたばかりの報告書に基づき示され、これらを踏まえたガイドライン整備を進めていることが説明されました。
▽2026(令和8)年2月6日「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会報告書」(外部リンク)
続いて厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課からは、「重度障害者等就労支援特別事業」の現状が報告されました。同事業は2020年から行われている障害者雇用支援施策で、重度訪問介護等(障害者総合支援法の事業)を利用する人が通勤や職場内で介助利用ができるよう市町村支援事業として提供するもので、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(略称:JEED(ジード))助成金を利用する形になっています。
同省は、就労支援と生活支援を一体的に行うことが、安定した雇用と定着につながるとの考えに基づき、同事業を進めています。2023(令和5)年度には183人であった利用者数は2024(令和6)年度は226人(1.23倍)と増加し、引き続き利用者数を伸ばすべく、関係諸機関の連携を強めていく姿勢が報告されました。
パネルディスカッション「障害者が働くために必要な合理的配慮の確保に向けた取組みと制度化」~重度障害者等就労支援特別事業の実施と雇用現場での取り組みから~
後半は「重度障害者等就労支援特別事業」(以下、特別事業)をめぐるパネルディスカッションで、地方自治体、企業(雇用主)、同事業の利用者などさまざまな立場から現状報告がありました。

△写真:ZOOM画面、京都市保健福祉局障害保健福祉推進室 緒方俊樹(おがた としき)氏。

△写真:ZOOM画面、下段左にコーディネーターの熊谷氏、右に株式会社障碍社副本部長 三井智哉(みつい ともや)氏。

△写真:ZOOM画面、上段右にNPO法人自立生活センターSTEPえどがわ 工藤登志子(くどう としこ)氏、下段左にコーディネーターの熊谷氏、右に日本会議事務局次長 今村登(いまむら のぼる)。

△写真:ZOOM画面、下段左にコーディネーターの熊谷氏、右に厚生労働省の遠藤径至氏。
主な論点として、特別事業制度が複雑で雇用主らに手続き上多くの負担がかかり使いづらいこと、就労時等における重度訪問介護における利用が「平成18年厚生労働省告示第523号」により制限されていること、自治体間格差と単価・加算、通勤支援の問題などがあがり、問題解決に向けた提案や、好事例などの情報共有(※)も行われました。
▽PwC コンサルティング合同会社(2025年3月)「令和5年度障害者総合福祉推進事業 重度障害者の就労中の支援の推進方策の検討に関する調査研究」(外部リンク)※送迎についての事例:4ページに”松江市の就労支援特別事業では、ヘルパー事業所の車両による送迎も、支援対象として認められています”とあります。
意見交換
最後に、コーディネーターの熊谷晋一郎(くまがや しんいちろう)東京大学先端科学技術研究センター教授がぞれぞれの発表に見いだされる課題をふまえて、以下の10テーマが提示され、それぞれの立場から今考えられるアクションプランについての意見交換を行いました。
「みんなで考えるべきテーマ」
1.支援者が行えるサポートの範囲をガイドライン等で示す予定はあるのか?
2.なぜ、自治体に広がらないのか
3.重度訪問介護一本化を阻害する要因は?
4.市町村地域生活支援促進事業:国の1/2負担は、加算が付いた実勢単価になっても「全体の1/2」を負担してくれるのか?
5.財源が分かれることで二重負担が生じない仕組みが必要では?
6.市町村事業の低単価で担い手不足があるので、報酬・単価の見直しと全国展開が必要では?
7.JEEDの通勤支援が「最初の3か月のみ」なのはなぜか?
8.議員、公務員も使えるようにするには?
9.雇用主・自治体・事業所の負担を減らすべく、事務の簡素化はできないか?(ワンストップ/標準化)
10.職務関連活動への合理的配慮に雇用保険財源は活用できないか?
本フォーラムを通じ、現行制度を踏まえつつさらに「働き続けることを当たり前に支える制度」へと発展させていく必要性が改めて確認されました。
報告:DPI日本会議雇用労働部会
参加者の感想
現在の制度が、重度障害者の「働くこと」を支えるどころか、時にそれを阻む構造になっているという深刻な現実。重度訪問介護と就労支援特別事業を併用すると、自治体によっては月額74,800円、年額約90万円もの自己負担が生じる一方、別の自治体では月額3,000円にとどまるという格差がある。同じ支援内容であっても居住地によって負担が大きく異なることは、「どこに住んでいるか」で権利の重さが変わることを意味している。
また、働けば負担が増えるという仕組みは、社会保障として逆進的であり、障害者が労働や修学を選択すること自体にブレーキをかけている。さらに、報酬単価の低さや事業所選択の制限により、制度があっても実際には利用できない地域もある。
これらの課題は個別の運用問題ではなく、告示523号による外出制限と制度の分断に起因する構造的問題であると感じた。
真に自立と社会参加を保障するためには、シームレスな重度訪問介護への一本化と国の責任による全国共通の制度設計が不可欠であると強く思う。
特定非営利活動法人自立生活センター・リアライズ理事長 三井孝夫
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