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【報告】「アジア太平洋障害者の十年」最終評価ハイレベル政府間会合(HLIGM)のサイドイベントを開催しました

2022年10月25日 イベントバリアフリー国際協力/海外活動

地球のイメージ

光岡芳宏さん(ヒューマンケア協会/ILみなみTama)に報告を書いていただきました、是非ご覧ください。


2022年10月21日(金)、「アジア太平洋障害者の十年」最終評価ハイレベル政府間会合(HLIGM)のサイドイベントとして、公共交通でのアクセシビリティを取り上げ、障害者の自立生活を中心とする権利実現のための交通機関のアクセシビリティの進捗状況を展望することを目的として、日本を含む4か国からの発表が行われた。オンラインを用いての日英通訳を入れたイベントで約40名の参加者がありました。

パキスタンからはシャフィック氏がパキスタン国内で行っている車椅子事業(日本の団体との協働プロジェクト)と交通アクセスの状況が話され、まだ数は少ないものの市街地や観光用のバスサービスが導入されるようになり、車椅子ユーザにとってアクセシブルな車両(スロープ付き、ノンステップバス)を利用するよう働きかけを行っています。

また新たな鉄道交通システムとして地下鉄が開通されホームドアを設置されていることも紹介されました。シャフィック氏はちょうど車椅子のプロジェクトの関係で日本に来日をしており、日本とのつながりを活かしながら引き続き、パキスタンでのバリアフリー化の促進に期待したいです。

パキスタンのアクセシブルバス

(写真:パキスタンのアクセシブルバス)

 

次にタイのサワン氏から公共交通機関のアクセシブルの好事例が報告されました。20年前まではタイではほとんどアクセスな交通機関はなく、あらゆるところが不便でした。

それは障害者が移動する必要がない、アクセシブルにするためには費用がかかるという理由などで進められなかった背景があります。しかしその後、国際的なアクセシビリティの推進の流れから、障害者だけではなくすべての人にとって裨益するということ、そのためには法的な整備が必要であることも学ぶことで、アクセシビリティの整備が促進されることとなりました。

特にタイは観光国であり環境客が利用するタクシーや鉄道の改善が進み、政府への交渉の結果、エレベーター設置が進められました。今後、あらゆるところがアクセシビリティになるため、特定の障害者リーダーの活躍に依存することなく、システム主導のアクセシブル化を進めたいとの展望が話されました。

タイでの障害者によるアクセス運動

(写真:タイでの障害者によるアクセス運動)

 

DPI韓国のキム氏からは障害者運動を通じたアクセシビリティの実現について発表がありました。韓国での障害者のデモは地下鉄での障害者の事故を契機に行われ、非常にインパクトがありました。

そのような運動によってソウル市は法律を改正し、エレベーター、スロープを設置するという整備を進めることを決定したが、なかなか進まない現状もあり、引き続き、障害のある人、ない人、どうなるかは分からないですが、政府から適切な答え、対応を導き出すために障害者団体の働きかけがまだまだ必要であることが報告されました。

特に市民社会との連帯により強力な運動が韓国政府を動かすためには不可欠です。

韓国の地下鉄での移動権を求めたデモ

(写真:韓国の地下鉄での移動権を求めたデモ)

日本からは工藤氏が行政との協働や地方でのバリアフリー化の進め方などについて報告が行われました。日本のアクセス運動も韓国と同じような、社会的にインパクトを与える障害者運動を通じて進められてきた歴史がありました。

しかし現在では障害者運動の形態も変わりつつあり、建設的なコミュニケーションをベースとして、障害当事者が参画してのワーキンググループなどを通じて公共施設が建設されるようになっています。

課題としては人口が少ない地域にいてはバリアフリー化が遅れており、ニーズがあるにも関わらず、障害者、高齢者が移動できない状況があり、法整備も含めた取り組みが必要との提言がありました。

バリアフリーの整った国立競技場

(写真:バリアフリーの整った国立競技場)

 

最後に国連障害者権利委員会のサワラック氏より、アクセシビリティ権が侵害されることは人権上の差別であり、許されるものではない。今後は障害者権利条約の適切な実施とモニタリングシステムを活用することで、世界の障害者の移動権を保障すべきとのまとめがあり、イベントが締めくくられました。

サワラック氏からのまとめのスピーチ

(写真:サワラック氏からのまとめのスピーチ)

報告:光岡芳宏(ヒューマンケア協会/ILみなみTama)


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