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「公務員の採用選考過程における差別の禁止と合理的配慮の提供に関する要請書」を提出しました

2021年04月23日 要望・声明欠格条項をなくす

ダメのポーズを取っている人
埼玉県の職員募集や受験の案内に「身体検査の結果、心身の故障のため職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えないことが明らかになった場合には採用されません」等の記述がされており、応募を諦めたいう声が障害者欠格条項をなくす会に、障害のある人から寄せられました。

この問題を受け、DPI日本会議は障害者欠格条項をなくす会と連名で「公務員の採用選考過程における差別の禁止と合理的配慮の提供に関する要請書」を国及び埼玉県に提出しました。

以下、国宛に提出した要請書全文。


2021年4月21日

内閣総理大臣 菅義偉 様
人事院総裁 一宮なほみ 様
厚生労働大臣 田村憲久 様
総務大臣 武田良太 様
内閣府特命担当大臣 坂本哲志 様

障害者欠格条項をなくす会 共同代表 福島智、大熊由紀子
認定NPO法人 DPI日本会議 議長 平野みどり

公務員の採用選考過程における差別の禁止と合理的配慮の提供に関する要請書

誰もが障害の有無によって分け隔てられることなく、基本的人権を享有して生きていける施策の推進に、平素より御尽力賜り有難うございます。

私ども障害者欠格条項をなくす会は、障害別や障害の有無を超えて1999年に発足した市民団体で、障害者にかかわる欠格条項の撤廃を目標として、体験と意見の募集、調査、政策提言を行ってきています。また、DPI 日本会議は、DPI(障害者インターナショナル)の日本国内組織として、1986年以来、身体障害、知的障害、精神障害などの障害種別を超えて、地域の声を集め、国の施策へ反映させ、また国の施策を地域へ届けることを鍵に活動しています。

さて、本年1月、障害者欠格条項をなくす会に、埼玉県の保健師募集案内に「身体検査の結果、心身の故障のため職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えないことが明らかになった場合には採用されません」とあるのを見て応募を諦めたという声が、障害のある人から寄せられました。

埼玉県の保健師募集(令和2年度埼玉県職員採用選考・受付期間令和3年1月6日まで)は、一般募集で、障害の有無にかかわらず応募できるものでした。しかし、実務経験を積んできた障害のある有資格者でさえ、応募を諦めるような案内になっていました。また、同じく一般採用の「令和2年度埼玉県職員採用上級試験等」受験案内にも、類似の記述がありました。

私たちは、埼玉県と類似の記述をしている自治体が少なくないことを見聞しました。そのため、障害者差別の禁止と合理的配慮の提供を求める改正障害者雇用促進法及び、公務部門の合理的配慮を義務付けている障害者差別解消法の趣旨を踏まえ、こうした募集のあり方には問題があることを提起します。

そして、職場における合理的配慮の推進を含めた、障害のある人々を受け入れる職場環境への転換を求めて、この文書にて要請事項に関してお伝えします。なお、埼玉県にも、関連のある要望と質問を出しています。

障害者雇用「水増し」問題を機に、それまで大多数の受験資格に設けられていた「自力で通勤でき、介助なしに職務遂行できること」のような条件は、不適切と判断されるようになりました。そして後述のとおり障害者雇用促進法の差別禁止指針や障害者活躍推進計画の作成指針にも明記され、今では、埼玉県の障害者活躍推進計画にも、旧来の条件を見直したことが記述されています(別紙1-1)。

なお、保健師の場合は、法令に障害者にかかわる相対的欠格条項が未だ残されてはいますが、補助的手段(現在の合理的配慮概念と重なる)を考慮しなければならないということは、既に2001年から施行規則に記載されています(別紙1-2)。

障害者雇用促進法の「差別禁止指針」は、1「募集及び採用」で「募集又は採用に関し、(中略)障害者であることを理由として、その対象から障害者を排除することや、その条件を障害者に対してのみ不利なものとすることは、障害者であることを理由とする差別に該当する。」として、「イ 障害者であることを理由として、障害者を募集又は採用の対象から排除すること。ロ 募集又は採用に当たって、障害者に対してのみ不利な条件を付すこと。」等を記述しています(別紙1-3)。

これと重なることが「障害者活躍推進計画作成指針」(別紙1-4)にも記述され、「障害者雇用促進法に基づく障害者差別禁止・合理的配慮に関するQ&A 第二版」においても、「障害や難病のある方が一律に排除されているかのような印象を与えることのないよう配慮が必要」と解説されています(別紙1-5)。

そして、身体検査のありかたも、基本からの見直しが求められていることです。筆記や面接の選考に合格している人を、採用前の身体検査結果をもって不採用とすることがあるとすれば、障害や病を理由とした直接差別にあたるからです。

身体検査(診断書の提出を含む)の結果をもって採用されないことがあると募集案内に記載することは、現行の差別禁止指針、障害者活躍推進計画からも逸脱しています。

障害のある人を対象とした公務員採用試験においては、長い歴史のなかで、身体検査を設けないか又は廃止する自治体も増加してきています。障害のある人を対象として採用を促進することと矛盾するためです。そして、その矛盾は、一般試験においても、障害や病がある人も受験することがある以上、同じく存在する矛盾です。

従って、障害者対象の試験だけでなく、一般試験や各種の募集においても、不適切な条件を付さないようにしなければなりません。身体検査の結果を合否判定に用いるような従来の身体検査のありかたを改め、もし身体検査を行うならばその趣旨目的を明確にする必要があります。

障害者対象の試験における、合理的配慮の申請と提供のシステムは、徐々に進んできました。障害者にかかわる欠格条項の見直しに伴い、「資格取得試験等における障害の態様に応じた共通的な配慮について」も定められました(別紙1-6)。

障害の有無にかかわらず誰もが受験できる一般試験においても、障害のある人の応募を想定して案内し、合理的配慮の申請を受け、建設的対話の下で合理的配慮を提供するようにしなければなりません。

しかし、各指針に、募集及び採用面の具体的な記述が乏しく、「合理的配慮指針事例集(第三版)」 には募集及び採用時の事例も記載されていますが、事例紹介だけでは共通的な実施にはつながりません。

上述の「資格試験における共通的な配慮」の「申請書等における配慮のイメージ」(別紙2)のような、チェックリストやフォーマットを整備して、共通的に用いられるようにする必要があります。また、採用前身体検査については、現行の指針や事例集には記述が見られないので、この点も改善の必要があります。

なお、言うまでもないことですが、採用は「入り口」にすぎず、障害のある人も共に安心して力を発揮して働いていくには、採用後の合理的配慮の提供と環境調整が不可欠です。

上述のことと、2019年障害者雇用促進法改正の趣旨も踏まえ、国と地方公共団体の、全ての公務採用選考の原則にかかわることを、雇用促進法の差別禁止指針、合理的配慮指針、障害者活躍推進計画作成指針、人事院の合理的配慮指針に追加することについて、下記を要請いたします。

要請事項

1、障害者差別の禁止と合理的配慮の提供を求める改正障害者雇用促進法及び、公務部門の合理的配慮を義務付けている障害者差別解消法の趣旨を踏まえ、「身体検査の結果、心身の故障のため職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えないことが明らかになった場合には採用されません」といった、障害や難病のある人を一律に排除するように受け取れる文言は廃止することを、各指針に明記して下さい。

2、 障害者対象試験において実施されるようになってきた、合理的配慮にかかわる本人申請の把握および合理的配慮の提供は、一般試験においては見られないか極めて不十分です。そこで、「資格取得試験等における障害の態様に応じた共通的な配慮について」(平成17年11月9日 障害者施策推進課長会議決定)を参考として、一般試験においても障害者対象試験と同様に実施することを、各指針に明記して下さい。

3、身体検査(診断書の提出を含む)を実施する場合は、採用した際の配置や合理的配慮の検討に資することを主眼とし、身体検査の結果のみで合否や採否を決定しない旨を各指針に明記して下さい。

4、回答書ご送付に関するお願い
本件はさまざまな府省横断的な案件であると考え、複数の府省宛にも要請をお伝えするものです。現在、すでに来年度(令和4年度)に向けての各種の募集が、国、地方自治体で準備されているところかと存じます。このまま放置すれば、埼玉県の事例のように不適切な募集がなされ、有為の障害者が応募を断念してしまうというケースが各地で発生する懸念があります。従いまして、本件は待ったなしの案件だと思われますので、2021年(令和3年)5月末日までに、国としての本件への取り組みの姿勢につきまして、上述の要請事項に沿って、文書にて当方(連絡先は送り状に記載)にお送りくださいますようお願い致します。

上記どうぞよろしくお願い申し上げます。

以上

▽埼玉県知事宛に出した要望および質問書はこちら(PDF)
▽別紙1別紙2はこちら(PDF)

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