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暮らせる社会へ

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雇用労働・所得保障

障害者も共に働き、ともに暮らすことのできる社会をめざして

労働フォーラムの写真

障害の種別や程度に関わりなく、希望するすべての障害者に働く機会を確保すること、働くことが困難な状況であっても尊厳ある生活が保障されることは、重要な課題です。

雇用・労働分野において、2016年4月から施行されている改正障害者雇用促進法では、障害に基づく差別の禁止と合理的配慮の提供が官民ともに義務化されました。

就労等の収入だけでは生活が困難な人々の暮らしを守るための社会保障制度としては、従来の年金・手当等の所得保障と生活保護制度に加え、新たに生活困窮者自立支援制度が2015年4月から始まりました。

反面、劣悪な労働環境で働く労働者の問題が指摘されるとともに、文化的な最低限の生活を守るための生活保護制度は、毎年のように基準が引き下げられています。

DPI日本会議は、障害の有無に関わりなく、誰もが安全・安心な働く場と暮らしを確保するために、現場実態を踏まえた制度・政策の推進・検証と見直しを求めています。

DPI雇用労働部会ビジョン

「あらゆる差別とハラスメントを解消し、合理的配慮を得て、障害者も共にいきいきと働くことができる労働環境を実現する」

2030 年までに実現したいビジョン

2019年6月に改正された障害者雇用促進法の附帯決議である「障害者雇用率の対象となる障害者の範囲」、「働くために必要とする支援(合理的配慮)の見直しと拡充及び労働・福祉施策の連携」、「持続可能な新たな財源と予算の確保」等と「職場・雇用現場における差別の禁止」と「合理的配慮の確保」及び「実効性ある紛争解決の仕組み」を実現する。

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DPI所得保障部会ビジョン

「『働くことが困難な状況であるとされている障害者』が、地域で暮らせるための所得保障制度を確立する」

2030 年までに実現したいビジョン

無年金障害者(1型糖尿病等を含む)の解消、特別障害者給付金を障害者基礎年金へ統合、特別障害者手当の見直しと新たな「(仮称)地域生活手当」の創設により所得保障を充実する。また、生活保護基準の引き下げ撤廃と「健康で文化的な生活」を実現できるための水準及び障害者の現状を踏まえた基準の見直しを実現する。

所得保障関係の取り組み

【東京:1型糖尿病訴訟】

障害年金を初めて申請するにあたり、1型糖尿病の症状による障害が適切に審査されず、障害基礎年金が支給されないことは不当であるとして、2018年7月に東京地方裁判所に提訴した【東京:1型糖尿病訴訟】は、2022年7月26日に東京地方裁判所から勝訴判決が下され確定しました。難病の症状による障害に鑑み、原告が障害基礎年金を受給することに合理性があることを認めた判決で、原告が勝訴した意義は大きい。ただし、年金の支給要件や支給範囲を社会モデルに基づく基準に変更するところまでは至らなかった。
なお、本会での取り組みとは別に、1型糖尿病訴訟として、別の訴訟が大阪でも行われている。20歳からずっと受給していた年金を一律に打ち切られたことが発端で、2021年5月に出された判決では原告9人のうち1人だけ勝訴し、8人は大阪高裁へ上告し、2023年6月現在も係争中である。

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障害があっても一般雇用の場で活躍するために

障害者の就労の様子1

2016年4月から施行されている改正障害者雇用促進法とこの法律に基づき2015年3月に策定された「障害者差別禁止指針」および「合理的配慮指針」の実効性(当事者の視点に立ちチェックする機能)を確保するための取り組みを進めます。

また、障害者雇用率を達成していない企業が納める納付金を財源としている障害者雇用に対する支援メニューについては、新たな財源の確保と横断的な制度利用等を求ます。

シームレスな生活・雇用(就業)支援制度を目指して

DPI日本会議は通勤・通学や勤労中に介助支援サービスを利用できるよう、政策提言等の働きかけを行ってきました。2020年10月から”重度障害者の通勤・職場支援の施策”として市町村事業に加わった厚生労働省の「雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業」については、真の雇用政策と福祉施策の連携による重度障害者雇用支援の制度を目指して、実際にこの制度を利用している障害のある労働者と実施している市町村などから話をきいたり、実施状況を調査したりしながら、DPIとしての検討を続けています。

2021年5月30日におこなわれた第36回DPI日本会議全国集会in東京では地域生活、雇用労働合同分科会において、上記制度ができる前から独自の施策を行ってきた埼玉県さいたま市(ただし対象は在宅勤務者に限られる)の制度利用者に体験を聴きました。

▽さいたま市独自の介助者付き勤務支援制度を使って働く(ワード)

資料)雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業の実施状況:

56市町村が実施を予定。うち29市町村で108名が利用(2023年1月1日時点、出典:雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業内示自治体(令和4年度)厚生労働省「障害保健福祉関係主管課長会議資料令和5年3月」110頁)。
参考:ネットなどの情報によると、以下の市町村で取組みがある模様です(2023/02/01時点):千歳市、さいたま市、我孫子市、長野市・南箕輪村、豊橋市・豊川市、四日市市、松江市、備前市、宇部市、三木町、札幌市、北見市、仙台市、川崎市、浦安市、宇都宮市、つくば市、新潟市、名古屋市、四日市市、桶川市、草津市、京都市、長岡京市、亀岡市、大阪市、堺市、豊中市、伊丹市、池田市、高槻市、枚方市、泉大津市、神戸市、奈良市、姫路市、岡山市、境港市、福岡市、北九州市、大分市、箕面市。東京都:江東区、世田谷区、江戸川区、港区、葛飾区。

ちなみに、2021年11月末の時点では、同事業を地域生活支援促進事業で実施しているのは29町村、実際に実施している自治体は以下の9か所(7市・1区・1村)でした(厚生労働省資料より):東京都江東区、長野県南箕輪村、静岡県伊豆市、三重県四日市市、滋賀県草津市、兵庫県伊丹市、香川県観音寺市、埼玉県さいたま市、栃木県宇都宮市。

雇用・労働の課題をめぐるこれまでの経緯と取り組み

マイクを持つ岡本さん
★は DPI 日本会議が主催・共催した集会・学習会等

  • ★2023年9月24日「障害者と障害のない人がともに働くためのフォーラム2023」を開催。
  • ★2023年5月28日 第38回DPI全国集会で雇用労働・所得保障分科会「障害者雇用と合理的配慮の確保~労働組合運動と訴訟を通して、働く障害者の権利と合理的配慮を考える~」開催。
  • 2022年12月5日 インクルーシブ雇用議連(「障害者の安定雇用・安心就労の促進をめざす議員連盟」)勉強会で市民側団体からの報告として「通勤及び職場での介助について」、岡本直樹常任委員が報告。
  • 2022年11月9日 公務非正規女性全国ネットワーク主催「11.9 はむねっと・緊急院内対話集会にて、会計年度任用職員”3年目公募問題”(2022年度末問題)と障害者雇用に関して、岡本直樹常任委員が発言。
  • ★2022年7月30日 「障害者と障害のない人がともに働くためのフォーラム2022 ~改正障害者雇用促進法成立後の動向から障害者の一般就労の現状と課題を考える~」を開催。
  • ★2022年5月29日 第37回DPI全国集会「雇用労働分科会:法定雇用率達成代行ビジネスの現状から障害者雇用の意義と課題を考える」を実施。
  • ★2021年5月30日 第36回DPI全国集会in東京「地域生活、雇用労働合同分科会:重度障害者の雇用に必要な通勤及び勤務中の支援制度を考える」を実施。
  • ★2021年05月25日 インクルーシブ雇用議連(「障害者の安定雇用・安心就労の促進をめざす議員連盟」)勉強会で市民側団体からの報告として「重度訪問介護制度 重度障害者の就労利用にかかる問題点」について今村登常任委員が報告。
  • ★2019年3月15日 「障害のある人もない人もともに働くためのフォーラム2019」を開催。
  • 2019年5月7日 中央省庁で3,460人分の障害者雇用が水増しされていた2018年の問題を受け、再発防止策を盛り込んだ障害者雇用促進法改正案をめぐる国会審議にあたり、衆議院厚生労働委員会で西村正樹副議長が参考人発言。

福祉的就労の改善と所得保障を拡大するために

障害者の就労の様子2

福祉的就労とされている就労移行支援A型については、制度の趣旨に反して事業を運営している問題(障害者への就労支援ではなく、劣悪な労働環境と人件費を含めた必要経費を抑制して給付金・補助金を儲けている事業所「悪しきA型」)の改善等を求めます。

また、就労移行支援B型等の低工賃を改善するために、競争原理に基づく生産性や収益の向上ではなく、所得保障制度等の見直しを中心とした対策を求めます。

社会的事業所(企業)・雇用を進めるために

一般就労でも福祉的就労でもない第三の働き方とされている社会的事業所(企業)および社会的雇用等では、労働市場において不利な立場や社会的に孤立・排除されている人々(職に就けない若者から高齢者、ニート、ひきこもり、薬物やアルコール依存症者、刑余者など)の雇用を創出するものであり、障害者の新たな働く場ともされていることから、この分野の課題の検証と制度としての整備等を求めます。

参考書籍

今年度の活動方針

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