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2025年度の活動方針

START

1.障害者権利条約の完全実施

(1)国内法整備等
(2)権利条約の完全実施等

2.地域生活

(1)脱施設・地域移行の推進
①映画「大空へはばたこう 〜自立への挑戦〜」上映会&アフタートークの開催
②未来を描く、地域移行のロードマップ勉強会(地域移行勉強会)
③障害者の地域生活支援も踏まえた障害者支援施設の在り方に係る検討会
④拠点コーディネーターの養成に向けた取り組み
(2)継続的な取り組みが必要な課題について

3.交通・まちづくり

(1)小規模店舗のバリアフリー化
(2)高速バス・空港アクセスバスのバリアフリー車両の導入促進
(3)UDタクシーの乗車拒否の撲滅
(4)地方のバリアフリー整備の推進
(5)その他の課題

4. 権利擁護

(1)障害者基本法改正に向けて
(2)精神障害者の人権と地域生活の確立
(3)成年後見制度の見直し
(4)金融機関
(5)カスタマーハラスメント対策法へのはたらきかけ
(6)DPI障害者差別解消ピアサポートとの連携

5. 教育

(1)法令の改善等に向けた取り組み
(2)地域での取り組みと関係団体との連携

6. 雇用・労働・所得保障

(1)雇用・労働
(2)障害者の所得保障の確立

7. 障害女性

8. 国際協力

(1)世界とアジア太平洋での活動
(2)JICA事業への協力
(3)開発政策への提言

9. 尊厳生

10. 優生保護法と優生思想

11. 欠格条項の廃止

12. 文化芸術

13. 次世代育成

各事業、組織について

◯広報・啓発事業

◯普及・参画事業

(1)加盟団体への支援、ネットワーク強化に向けて
(2)講師派遣、点字印刷
(3)DPI 障害者政策討論集会

◯権利擁護に関する事業

◯組織体制整備

(1)会員および支援者の増大にむけて
(2)事務局の体制整備について
(3)財政および予算執行について

2025年度活動方針全文

Ⅰ.活動方針

1.障害者権利条約の完全実施

(1)国内法整備等

2024年度に引き続き、総括所見等を踏まえて作成したDPI行動計画に基づいて、ジェンダー視点を踏まえて障害者基本法の改正や差別解消法の課題、インクルーシブ教育の実現のための法整備、脱施設・地域生活の確立のための障害者総合支援法(以下、総合支援法)等の法制度や成年後見制度の見直しなど障害者関連法制度全般について、権利条約に則した見直しに向けた活動を継続しておこなう。

また、優生裁判に関連する政府の行動計画について教育をはじめとして、さらにバージョンアップさせなければならない点についての取り組みをおこなう。

政策委員会やJDF等の諸団体との協力を進め、動きが見えてきた障害者基本法の改正に全力を注ぐ。次の通常国会の改正案上程と審議、改正にむけて、議員学習会や国会ロビー活動、各種の集会などをおこなっていく。

差別解消法については、常設化された「つなぐ窓口」の「使ってみよう」といった利用促進の運動をおこないながらさらなる機能強化をすすめる。

障害者虐待止への取り組みについては、関係団体と協力しながら学校等教育の領域おける虐待防止のための法整備を進めていく。

精神科病院における虐待の防止については、引き続き改正精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下、精神保健福祉法)が機能しているかを監視し、多発している虐待の防止に全力を注ぐ。

また、強制医療にかかわる国家賠償請求訴訟への支援、虐待被害の回復に向けたサポートを行う。

その他の重要課題はDPI行動計画に則した形でそれぞれ取り組んでいく。2025年度は特に長年支援をいただいている公益財団法人キリン福祉財団の助成事業において、脱施設・脱病院・地域移行(以下、脱施設等)とインクルーシブ教育の2つの課題について三年間集中的に取り組む事業を展開する。

脱施設等については、2024年度から継続して映画「大空へはばたこう 〜自立への挑戦〜」上映会を呼び掛けていく。また、ピープルファーストジャパンなどと一緒に行っているプロジェクトも引き続き推進し、研究会開催などを行う。そして、これらの運動を総合支援法の改正など法制度に反映させ、脱施設等をさらに推し進める。

また、インクルーシブ教育の実現については、東京大学大学院教育学研究科との連携を引き続き強化し、自治体との連携、議員向けのガイドラインの作成、学習指導要領の見直しに関する活動など、インクルーシブ教育を進めるための法整備・仕組みづくり、既存の法律の点検の協働などの事業を展開する。

また、これらに関連して、東京大学以外の組織や団体とも協力しながら文科省との協議や交渉を進め、具体的な成果を勝ち取っていく。さらに法務省を中心に進められる成年後見制度の見直しについてもDPI日本会議として積極的に取り組んでいく。

(2)権利条約の完全実施等

2025年度も引き続き総括所見に基づいてバージョンアップした「DPIビジョン2030」や「DPI行動計画」を国や地域における運動の柱として、政策論も含め、全国的にさまざまな形で集会を開催する。これらの運動では国内の関係団体との連携をさらに深めていく。

国連障害者権利委員会(以下、権利委員会)では、DPI日本会議としてもなじみの深い韓国のキム・ミヨン氏が委員長に選ばれた。田門弁護士とともに、権利委員会と連携しながら様々な活動を展開する。

さらに国際シンポジウムの開催なども検討しながら諸外国の好事例や最新の動向を国内に紹介する活動も随時おこなう。権利委員会の一般的意見の策定などの活動にも積極的に関与していく。

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2.地域生活

2022年の総括所見に応えられるよう、難病(難治性疾患)を含む障害のあるあらゆる人が、障害の種別や程度の重軽を問わず、また、家族や同居人による介護を前提とせず、本人の意向が尊重された地域生活が実現できるような制度づくりを目指す。

そのためにも地域で支援を受けながらの自立生活が可能であることを、本人や家族、支援者、行政担当者等に伝え広めることで、施設・病院及び家族からの地域移行を推進し、脱施設に向けた取り組みを強化していく。

(1)脱施設・地域移行の推進

①映画「大空へはばたこう 〜自立への挑戦〜」上映会&アフタートークの開催

2024年度に4団体(ピープルファーストジャパン、DPI日本会議、JIL、育成会)が中心となり、取り組んできたドキュメンタリー映画「大空へはばたこう~自立への挑戦~」(パンジーメディア制作)の上映運動を引き続き展開していく。

この上映運動を通じて知的障害者の自立生活について、立場の違いを越えてみんなで一緒に考える機会をつくり、脱施設化を進め、二度と相模原障害者殺傷事件のような、優生思想にもとづく差別、偏見による残虐な事件、入所施設における虐待等が起きないような社会にしていきたい。

併せて、優生保護法裁判の勝訴を受け、未だ被害の声を上げづらく苦しい思いをしている方々に、声をあげ易い環境づくりとしても、この上映運動を活用していく。

②未来を描く、地域移行のロードマップ勉強会(地域移行勉強会)

総括所見で緊急の課題として指摘されている脱施設化に向けたロードマップづくりをおこなう。

ロードマップづくりの一環として、地域移行が進んでいない現状の課題整理や国内外の脱施設の実践に関する知見を深めるための勉強会をピープルファーストジャパンや関係団体と連携して実施する。

また、脱施設・地域移行に関する先駆的な取り組みを行っている自治体や施設、法人などを視察し、将来的なモデル事業の提案や実施につなげていくとともに、脱施設の政策づくりに取り組む団体のネットワークを広げていく。

また、これらの勉強会や視察を通じて蓄積された知見を広く共有・発信するための公開学習会を開催し、脱施設の機運を醸成していく。

③障害者の地域生活支援も踏まえた障害者支援施設の在り方に係る検討会

2024年度に行われた「障害者の地域支援も踏まえた障害者支援施設の在り方に関する調査研究」で収集されたアンケートやヒアリング結果をもとに2025年度は「今後の障害者支援施設が担う役割や機能等に関して整理しつつ、更なる地域移行を進めていくため」の検討会が設置される。

この検討会の設置にあたっては、厚労省に対し、知的障害のある本人を含む障害当事者や重症心身障害者を地域で支える支援者の参加を強くはたらきかけていく。

また、検討会では施設からの移行先である地域における支援体制、社会資源の整備を含めた議論を促し、地域移行の推進に資する政策づくりに取り組んでいく。

なお、一部報道機関で報じられている施設入所待機者問題については、地域生活の継続が困難な状態であるにもかかわらず支援が得られていない問題としてとらえ、新規入所を防ぐために施設入所を選択せずに済む地域づくりを進める視点で取り組んでいく。

④拠点コーディネーターの養成に向けた取り組み

2024年度より実施されている厚生労働科学研究「地域生活支援拠点等における地域移行を進めるための役割及び緊急時の対応における役割の明確化のための研究」に引き続き委員として今村事務局次長が参加し、拠点コーディネーターの養成に向けた研修カリキュラムづくりにかかわる。

カリキュラムづくりにあたっては、地域で重度障害者の地域移行支援をしてきた当事者としての視点を反映させ、きちんと地域移行に向けた支援ができる拠点コーディネーターが養成されるものとなるよう尽力する。

(2)継続的な取り組みが必要な課題について

長年の課題である「重度訪問介護の就労・就学等を含むシームレスな利用、対象拡大(児童、行動関連項目10点未満者等)」、「国庫負担基準の上限問題」、「難病など制度の谷間の解消」の他、「社会的障壁となるローカルルール、運用・支給決定の大きな地域間格差」、「障害のある親に対する子育て支援の拡充、運用格差の改善」、「医療的ケア研修の見直し」、「障害福祉計画におけるPDCAサイクルの形骸化」、「介助人材の確保、処遇改善」等の諸問題に対し、厚労省との意見交換を申し入れ、建設的対話の積み重ねによる法改正への意識づけ、自治体への通達等の発出による運用改善に取り組む。

また、支給決定時間数や運用の地域間格差が起きる原因の一つとして、市区町村の担当者が、介護保険の考え方に引きずられている可能性が高いと思われるため、この介護保険との違いについての理解の周知徹底を国や自治体にはたらきかける。

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3.交通まちづくり

2025年度も国に対して総括所見を踏まえた各種基準の見直しをはたらきかける。

(1)小規模店舗のバリアフリー化

2025年度は改めて小規模店舗のバリアフリー化に取り組みたい。2021年に小規模店舗のバリアフリーガイドラインを策定したが、義務基準ではないためバリアフリー化された店舗は増えていない。

床面積2000平米以上の特別特定建築物にはバリアフリー整備が義務付けられているが、店舗内のバリアフリー基準はない。そのため、建物の通路やトイレはバリアフリーだが、テナントの店舗内に段差があったり、椅子が全て固定椅子だったりして、車いすでは利用できない店舗がある。この基準を見直し、店舗内のバリアフリー整備基準を設けて義務化させたい。

さらに、特別特定建築物以外の小規模店舗においても、新築時は段差を設けない、椅子やテーブルは可動式のものにする等の最低限のバリアフリー整備基準を設け、義務化させたい。

(2)高速バス・空港アクセスバスのバリアフリー車両の導入促進

高速バスはバリアフリー車両の導入が進んでいない。2000年の交通・バリアフリー法制定時は、トランクがあるハイデッカー式のバリアフリー車両が開発されていなかったために、申請すればバリアフリー化が免除される基準適用除外という仕組みがあるためだ。

現在は、リフト式、エレベーター式の車両が開発されており、空港アクセスバスに導入されている。バスでしか行けない地域も増えており、高速バスのバリアフリー車両の導入促進を全力ではたらきかけていく。

また、空港アクセスバスについては、国交省は「令和7年度までに、指定空港へアクセスするバス路線の運行系統の総数の約50%について、バリアフリー化した車両を運行する。」としているが、1系統に1台でも導入されたらよしとする基準であり、導入の促進につながっていない。

台数で表記するように目標を改め、さらなる導入促進をはたらきかけていく。

(3)UDタクシーの乗車拒否の撲滅

2024年の一斉行動で、UDタクシーの乗車拒否は東京都では減っているが、東京都以外の地域では44%と増えている実態が明らかになった。

乗車拒否の撲滅を目指し、引き続き個別の乗車拒否への対応を実施するとともに、秋には全国のDPI加盟団体に呼びかけて一斉行動を実施し、さらなる取り組みを国交省や事業者にはたらきかける。

また、大型の車いすもスムーズに乗降できる新基準策定と新型車両開発を事業者にはたらきかける。

(4)地方のバリアフリー整備の推進

鉄道駅バリアフリー料金制度がはじまり、都市部の事業者に出していた国からの補助金が地方に手厚く配分されるようになった。

これを踏まえ、地方のバリアフリー整備がさらに推進されるようにはたらきかけて行く。また、乗務員による携帯スロープを活用した乗降介助も徐々に増えてきたが、さらに拡大をはたらきかける。

(5)その他の課題

駅の無人化は障害者にとって社会的障壁を増大させることになり決して認められない。社会的障壁を軽減するためにインターフォン、精算機、券売機等の機器が障害者も利用できるようにバリアフリー整備基準の見直しをはたらきかける。

国際線の航空機利用時に、障害を理由に診断書の提出を求められる事例が多発しており、改善をはたらきかける。

他にも船舶や搭乗ブリッジ等のバリアフリー整備の推進、当事者参画の推進と大規模開発時に当事者参画を入札の要件にすること、駅ホーム全体の段差と隙間の解消の推進、WEBでの車いす席と障害者割引乗車券の予約・決済、次世代電動車いすやハンドル型電動車いすを理由としたバスの乗車拒否の改善、バリアフリートイレの不適切利用の改善、情報コミュニケーションの推進、アクセシビリティを要件とした公共調達の仕組みの導入、視覚障害者が利用できないタッチパネルの改善のはたらきかけ、国立公園のバリアフリー化等に取り組んでいく。また、10月には名古屋市で第18期バリアフリー障害当事者リーダー養成研修を対面で実施する。

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4.権利擁護

総括所見を踏まえた障害者基本法改正に関する活動を中心に取り組む。

(1)障害者基本法改正に向けて

DPI日本会議では2015年から障害者基本法の改正を目指し、障害者基本法DPI改正試案を作成し、総会や政策討論集会、タウンミーティング等で議論を重ねてきた。また、「障害者基本法改正で解決したい!10の課題」を策定し、関係団体とともにロビー活動もおこなってきた。

総括所見で指摘された「全ての障害者関連の国内法及び政策を本条約と調和させること」を踏まえて、複合差別の解消や地域生活の権利の明確化、インクルーシブ教育等の我が国の様々な課題の改善を進めるためには、障害者基本法の改正は不可欠である。

さらに、政府が2024年末に発表した行動計画では、優生思想に基づく障害者差別を禁止することを法律に明記することは触れられていないが、国として優生思想を推し進めてきた反省を踏まえて、障害者基本法に優生思想に基づく障害者差別の禁止を明記することが不可欠である。

2025年度もDPI加盟団体とともにシンポジウムを開催し、改正の機運を高め、関係団体と連携して全力で法改正をはたらきかける。

(2)精神障害者の人権と地域生活の確立

総括所見では、本人の同意のない強制的な入院や強制的な治療、身体拘束や隔離、虐待的取り扱いなどが厳しく問われ、障害者に対する著しい人権侵害が追及された。しかし、この間、遅々として改善が進まず、病院での虐待事件もいまだに続々と発覚している。

精神医療を一般医療体系に組み込むこと、地域での生活を支えるための地域基盤整備、他の診療科での受診拒否の要因となっている法制度の改正等が必要である。精神障害者の人権確立をめざし、引き続き精神障害当事者の登壇によるシンポジウム等の開催をおこなう。

(3)成年後見制度の見直し

政府、法務省を中心に進められている成年後見制度の見直しについて、各関係者・団体と協力しながら総括所見を踏まえた改正を実現するためにDPI日本会議として積極的に取り組んでいく。

(4)金融機関

銀行等で、上肢障害がありATM操作ができない人が、行員に代理操作を依頼したが拒否されたという事例が起きている。

暗証番号を行員は知ってはいけないという内規を定めて、それにより従来は出来ていたことが出来なくなっている。

上肢障害がある人が利用できないATMに対して、合理的配慮の提供を求めているのに、過重な負担でないにも関わらず、一律に提供を受けられないのは、差別的取り扱いである。

視覚障害や他の障害も含めて全ての障害者が合理的配慮の提供を受けられるように、引き続き金融庁にはたらきかけをおこなう。

(5)カスタマーハラスメント対策法へのはたらきかけ

2025年の通常国会で、カスタマーハラスメント対策法が成立する見込みである。

改正旅館業法と同じように、障害者が合理的配慮の提供を求めることはカスタマーハラスメント行為に該当しないと明記させることが必要である。法制定後にガイドラインが策定されるが、ここにはたらきかけて、障害者団体へのヒアリングの実施と、障害者差別解消法の遵守を踏まえて具体的な合理的配慮の提供事例を盛り込ませたい。

(6)DPI障害者差別解消ピアサポートとの連携

DPI障害者差別解消ピアサポートと連携し支援に取り組むとともに、寄せられる相談、差別事例を共有し、事例の集積・分析をおこない、関係法令改正のための基礎データとして活用していく。

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5.教育

障害のある子どももない子どもも、地域の幼稚園や保育所等、小・中学校の通常学級・高校、大学・専門学校等で共に学び育つインクルーシブ教育の仕組みを作り、実践を推し進めるための活動をおこなう。

(1)法令の改善等に向けた取り組み

総括所見が出された後も、文科省はそれまでの方針を全く変えることなく、「多様な学びの場」と称して特別支援教育の下で分離・選別を続けている。

この現状の下で、障害のある児童生徒・保護者が希望する就学・就級ができるようにすること、在学時に必要な合理的配慮を得られるようにすること、学習指導要領改訂に関し、標準授業時間数や学習内容を見直し学校生活に余裕を持たせること、特別支援学級の担任配置に変わる新たな教員配置など、現制度において調整・変更の可能性があることを、追及していくことが必要である。

また現在の学校教育では、障害者の理解、とりわけ薬物・ゲーム依存や学齢期の自殺が増える中で必要な精神障害への理解が不足していること、包括的性教育が行われていないこと等、学びの内容を改善させることも急務である。同時に、障害者に対する教育は、学校教育法等によって障害の克服という医学モデルで定められている等、分離が続く本質的な原因に対して問題提起や働きかけが必要である。

学校バリアフリーについては、2025年度末までの数値目標達成に向け、各自治体等への働きかけを続けるとともに、文科省に対しては2026年度以降の計画・目標の立案と、その達成に向けた更なる補助等について求めていく。

また学習指導要領改訂について、優生保護法の被害・歴史についての学習の必修化、更にインクルーシブ教育を地域の学校で進めるための改善を求めていく。

これらの課題に対して、文科省への要望書の手交を通し、初等中等教育局と粘り強く意見交換を行っていくこと、東京大学大学院とのフルインクルーシブ事業など関係団体との協働を進めること、また世論全体にはたらきかけるために障害者自身の声を発信する等、具体的な方策をおこなっていく。

(2)地域での取り組みと関係団体との連携

各地の小・中学校における医療的ケア児の看護師配置、校外学習を含めた保護者付き添いや修学旅行等の費用負担問題、就学指導のあり方や合理的配慮の実態、差別発言等の差別的な対応、高校入学における定員内不合格問題、学校バリアフリーの整備などについて、DPI加盟団体等を通じて把握し、制度を変更する取り組みに結びつけていく。

また高校を含む小・中学校での通級指導教室について、本人・保護者が望まない通級への誘導がないかを把握し、必要に応じてはたらきかけをおこなう。

フルインクルーシブ事業の提携を結んだ東京大学大学院教育学研究科とは、学内集中講座の継続開催以外にも、教員免許取得の実習先に自立生活センターを加えることや、地域市民団体と連携した自治体へのはたらきかけ、インクルーシブ教育を進める教員配置などの法整備・仕組みづくり等について協働を進める。

また東京都立高校でおこなう、インクルーシブ体験プログラムについても、引き続き積極的に取り組んでいく。

学校バリアフリーについては、当初計画の最終年度となるが、次の計画も見据えながら、学識関係者とも連携し、自治体への計画策定の要望などを含め、有効な方策を地域団体と一緒に取り組むよう進める。また学校バリアフリーは、日常的に利用する児童生徒等だけでなく、保護者が障害者である場合や、防災拠点施設として地域住民の利用のために必要ということ、まして居住区ではない学校への就学を進めるというインクルーシブ教育と真逆な現象を進めるものになってはならないことを強く意識し、真にインクルーシブな社会を実現するための社会モデルを広げる方策として周知していく。

2016年度から始めた「インクルーシブ教育推進フォーラム」は、2024年度の反省を活かして、2025年度は多くの人に参加して頂けるよう開催し各地のインクルーシブ教育の拡充・啓発を進めていきたい。

また若い障害者がインクルーシブ教育への理解を深め、運動の主体となるための取り組みとしての教育研修は、2024年度は関係団体との協働であったが、2025年度は持ち方・内容も含めて検討していく。いずれにせよ参加者が教育課題に継続的な関わりを持ち、深めていけるよう内容を検討していきたい。

教職員への障害者の採用・人事配置については、引き続き「障害のある教職員ネットワーク」と連携をとりながら運動を展開していく。
また2023年度から始めた、AAR(難民を助ける会)等、NGO団体との勉強会・情報交換会は、インクルーシブ教育の実現に向け、国際的視点から日本の教育を捉え直していくものとして、継続していきたい。

(1)(2)を通じて、DPI日本会議内部の部会を超えた連携に加え、これまで以上に他団体との連携を強化していくことが必要になる。公教育計画学会等の教育関係団体、JILおよびJILの教育プロジェクト(JIEP)、地域でインクルーシブ教育の取り組みを進める団体(親の会等)との連携・交流を引き続き進めていく。

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6.雇用・労働・所得保障

(1)雇用・労働

DPI日本会議は、障害者雇用について、権利条約に基づく平等性と労働者性を確保し、障害の有無や種別及び程度等に関わりなく共働できる職場及び雇用・労働環境を実現する。

さらに総括所見で指摘された課題を改善するため、厚労省へのはたらきかけなどを関係団体と連携して取り組む。

一般就労、福祉的就労及び第三の働き方とされる社会的事業所等の課題については、「障害者の安定雇用・安心就労の促進をめざす議員連盟(インクルーシブ雇用議連)市民側」と連携して取り組む。

また、「障害者雇用代行ビジネス」についても連携して取り組むが、法定雇用率の引上げや除外率の引下げを「障害者雇用代行ビジネス」を促進することを理由に反対する意見には、DPI日本会議として容認しない。なお、一般就労については、日本労働組合総連合会(連合)、全日本自治団体労働組合(自治労)とも、引き続き連携して取り組む。

具体的な課題としては、障害者の一般就労について、あらゆる場面において障害のない人と同等の機会、処遇を確保するとともに、障害に基づく差別の禁止と合理的配慮を確保し、働き続けることができる職場及び雇用・労働環境を整備する。

そのために特に重訪の利用範囲の拡大など、必要な支援制度等の見直し、福祉と雇用施策の横断的利用、実効性ある相談体制の構築及び2019年の改正障害者雇用促進法の附帯決議の実現に取り組む。なお、除外率・除外職員制度の撤廃も引き続き取り組む。

就労継続支援A型等の福祉的就労については、一般就労への円滑な移行、利用者負担の撤廃及び賃金改善等を実現するために取り組む。さらに、新たな課題である「就労継続支援A型事業所の大量閉鎖問題」と社会的事業所等といった第三の働き方に関する議論を深める。

国際的には、国連が定めた「ビジネスと人権に関する指導原則」を受けて日本政府が策定した「行動計画(NAP)」の実施と充実を求める「ビジネスと人権NAP市民社会プラットフォーム幹事会(BHRC)」に、障害当事者で構成する唯一の幹事団体として参画する。そして、権利条約がめざすインクルーシブ社会の実現に向けて取り組む。

併せて、2025年は、NAPの改定作業が進められるため、障害分野への具体的な取り組みを強化し、実効性ある施策へ発展させるために取り組む。

DPI日本会議に寄せられている労働相談や訴訟等については、それぞれの状況に応じて対応する。なお、障害者雇用支援月間である9月には、「障害者雇用・労働フォーラム2025」の開催と厚労省との意見交換を実施する。

(2)障害者の所得保障の確立

権利条約第19条及び総括所見に基づき、障害者の地域生活を保障し、施設や病院での長期入所・入院を余儀なくされてきた障害者の地域移行を促進し、以下の取り組みを進めるために関係団体との連携を模索する。

  1. 障害基礎年金を障害者の生活維持が可能な水準に引き上げることを求める
  2. すべての無年金状態にある障害者の解消を実現するため、年金制度の改正を求める
  3. 特別障害者手当の支給要件等の見直しと「地域生活支援手当(仮称)」の創設を求める
  4. 生活保護基準引き下げ訴訟(いのちのとりで裁判)を注視する

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7.障害女性

優生保護法被害者に対しての補償法については、5年間の申請期間をしっかりと意識し、一人でも多くの被害者の掘り起こしと賠償につなぐ取り組みを、障害者団体としても引き続き行っていく必要がある。優生連とも連帯して取り組んでいく。

また、障害者運動の課題の中で、まだまだメインストリーム化されない複合差別について、障害のある女性のみならず、障害のある男性たちにも共有される課題も多いことから学ぶための学習会を開催していきたい。(2025年秋または2026年1月)

そして、2025年度は第5期障害福祉計画の基本指針の改定の年度である。したがって、総括所見や最高裁判決を受けて、障害者基本法の改定は必至である。

そこに、障害のある女性や複合差別が明記されるよう政策委員会や関係各方面への働きかけを、時機を逸することなくおこなっていく。

これまで、女性ネットと連携して障害者政策委員会の各委員へのはたらきかけをおこなってきたが、委員の一部が入れ変わっていることから、更に丁寧に提言をおこなっていく。

障害者虐待事例が後を絶たない。意思に反した異性介助を含む、障害のある女性への性被害防止への適切な対策、包括的性教育について、今後とも他の部会や関連団体と連携しながら国や自治体に求めていく。

いずれの取り組みも、今後ともDPI女性ネットと連携して進めていく。

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8.国際協力

(1)世界とアジア太平洋での活動

世界DPIの再組織化が終わったが、いまだに活動の体制が脆弱である。アジアを代表し財務担当役員となった韓国DPIイ・ヨンソク会長を支援すると同時に、会員団体として活動の活性化を促す。

世界レベルでのDPIの会議開催がなく、その他の主要国際会議の意義が伝わっていないため日本からの参加が激減している。世界の状況に触れるよう啓発し、かつ出席をはたらきかけていく。

DPIアジア太平洋ブロックはイ議長の下、順調に総会も開催されているので、副議長国として組織の活性化のため引き続き協力をしていく。

また、アジア太平洋障害者の十年推進ワーキンググループの一員として、国内でもジャカルタ宣言への理解を深めるよう機会をさがしていく。

(2)JICA事業への協力

南アフリカ共和国での草の根技術協力事業は、現地訪問等を通じてカウンターパートであるレメロス自立生活センターやハウテン州政府とスムーズなコミュニケーションを図りながら、現地での自立生活の理念とサービスの普及に向けた計画を進めていく。

また事業パートナーとして共に働く障害当事者の健康にも留意していく。

ブラジルの障害インクルーシブな保健事業の案件の受託をうながし、ドミニカでの障害主流化のための「政策討論」のフォローアップなど、中南米での活動にも取り組んでいく。

課題別研修「障害者権利条約の実践のための障害者リーダー能力強化」が過去2年間好評であったので、そのノウハウをJICA東京と共有するとともに、DPI北海道ブロック会議が実施するJICA北海道の就労に関する課題別研修においても活用してもらう。

コンサルタント会社のJICA障害主流化セクター別ガイドラインの作成に協力し、今後もコンサルタント会社とともにJICAの政策提言を行う機会を増やしていく。

(3)開発政策への提言

SDGsジャパンでは障害ユニットでの発言をとおして、引き続き障害問題への関心を高め、政府が発表するVNR(自発的国家レビュー)において障害に焦点が当たるように努めていく。

2030年までのロードマップにおいて、どれほど政府が関心をもっているか継続して注視する。

アフリカの障害者が開発から取り残されないように、TICAD9のサイドイベントを実施する。またG7、G20にあわせて行われる市民社会側の取り組みのなかで、障害の主流化に向けたはたらきかけをおこなう。

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9.尊厳生

2025年度は、全国集会分科会等において、知的・精神障害の臓器移植法ガイドライン改定を取り上げるほか、ウェビナー等を活用した勉強会を企画し、障害者権利条約第10条に基づく生存権の理解を深める。

さらに、障害者基本法改正の動向や関連法制度の見直しに注視し、必要に応じて意見書等を発表する。

また、尊厳死法制化と臓器移植法改正は表裏一体の問題であり、臓器移植法の改悪阻止に向けて関係団体と連携し、Q&Aを私たちの抵抗手段として活用する。臓器移植委員会の傍聴行動や委員へのはたらきかけを強化し、改悪への歯止めをかける。

政府は、高額療養費の負担上限額の引き上げを見送ったものの、終末期を理由とした尊厳死推進の流れが遠からず強まることが予想される。これに対し、団体の垣根を越えて結束し、「尊厳ある生」の法制化に向けた活動を展開していく。

尊厳生部会の活性化と世代交代を見据え、関係団体への声掛けをおこない、部会への参加者を広げるとともに、若い世代の参画を積極的に促す。また、他団体等との連携を強化し、分科会や政策討論集会、学習会を開催しながら、議論を深めていく。

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10. 優生保護法と優生思想

2024年の最高裁判決以降、原告への謝罪や被害者への補償は進みつつあるが、優生保護法が約半世紀に渡り存在し、障害者を不良な子孫と位置づけて、性と生殖の健康・権利を否定してきたため、優生思想は社会に根強く残っている。

違憲判決が出たからといって、すぐに解消するものではない。2025年度も優生連の活動に参画し、全国原告団や全国弁護団と連携して活動をおこなう。

2021年に発覚した北海道・江差町の「不妊措置」問題に象徴されるような、母体保護法下での不妊手術や中絶手術の強要がおこなわれることがないよう再発防止への取り組みに向け、事業所や地方自治体、国などに働きかける。

現在もなお、障害者の妊娠・出産・育児は、特に医療や福祉現場で肯定的に捉えられず、十分な育児支援が保障されていない。そのため、障害者の育児を更に困難なものとしている。

子を持つことを願う人に対して、障害があるなしに関わらず、適切な支援が権利として保障されるべきであり、福祉サービスの充実が急がれる。

一方、産むことだけではなく、産まない権利も保証されるべきで、包括的性教育の実施は、優生保護法問題解消のために必須である。この問題が終結していないことを国内外に発信し、国際的にも注目を集めるようにする。

その他、生殖医療に関する法律や検討会などの審議において、障害者が排除されるような動きがないかを注視していく。

  1. 優生連に、引き続き構成団体として参画する。
  2. 定例協議の傍聴や、集会等に積極的に参加するとともに、DPIメールマガジンやホームページ上で参加を呼びかける。
  3. 補償法が全ての被害者に届くよう地域での取り組みを支援する。
  4. 「母体保護法下での強制不妊・中絶の強要」に関する全国的な調査・検証をおこなうよう、国及び地方自治体にはたらきかけ、被害者の尊厳回復に向けて取り組む。
  5. 「障害者に対する偏見・差別のない共生社会の実現に向けた行動計画」へのフォローアップを求め、政策委員会等にはたらきかける。
  6. 障害者の育児支援をより充実させ、地域間格差の解消を図るため、国及び地方自治体にはたらきかける。
  7. 国連障害者権利条約締約国会議サイドイベント実行委員会に参加する。
  8. 出生前検査や着床前検査を含めた生殖医療において、優生思想を助長する動きがあった場合には、関係団体とともに広く連携をしながら取り組みを進めていく。

以上の活動を通じて、総括所見を実現し、優生思想に基づく障害者への差別・偏見をなくすよう取り組みを進める。

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11.欠格条項の廃止

2024年度に引き続き、障害のある人の人生を狭め、社会の差別・偏見を助長する欠格条項の完全撤廃に向けて、政府としての取り組みが進むように、情勢を注視し、はたらきかけをおこなう。

現状と課題について「なくす会」のメンバーとより一層緊密に連携を取り、情報や課題を共有していくとともに、「障害者差別解消ピアサポート」や各部会等、DPI日本会議に持ち込まれる様々な差別事例や相談の中に、欠格条項に基づく事例がある場合、関係者の了解を慎重に得た上で、「なくす会」とも共有していく。

2024年度、2016年から2023年度までに申請された免許は、全て付与されていることが明らかとなり、もはや欠格条項は実態としては形骸化している。しかし、法令に欠格条項が残されているかぎり、当事者は免許が交付されるか不安な状態が続き、また、欠格条項に該当するかどうか審査期間が設けられる場合は、免許交付されるまでの期間中、有資格者として就職活動ができない、働けないといった問題も大きい。

また、欠格条項は実態として残っているものもあり、引き続き改善をはたらきかける。

国会や各種委員会等の公的な政策検討の場での提言やヒアリング、パブリックコメント募集の機会における意見表明のはたらきかけなど、DPI日本会議の関連部会等やDPI加盟団体等とも協働し、活動をおこなっていく。

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12.文化芸術

「障害者の文化芸術活動を推進する全国ネットワーク」に引き続き参加するとともに、DPI加盟団体の協力も得て「日本博」等のプログラム実施に取り組む。

改正障害者差別解消法での合理的配慮提供の義務化を受けて、オリパラのレガシーを引き継ぎ「文化芸術分野における合理的配慮とそのための環境整備」が進むよう取り組みを進めていく。

「2025大阪・関西万博」に関して、ハード面はもちろん、展示・催事などコンテンツ、プログラムにおけるユニバーサルデザイン・バリアフリー化に関してチェック・監視し、検証していく。

そして、万博会場の内外で障害者文化芸術関係のイベント・プログラムが全国的に展開されるように取り組む。これらの取り組みを通じて、文化芸術分野における必要な環境整備や合理的配慮についてさらに深め、インクルーシブ社会の実現につなげていく。

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13.次世代育成

2023年度まで実施していた「差別解消法プロジェクト」に参加した全国のメンバーへのフォローアップを継続する。

今後は、若手メンバーを集め、少人数での勉強会や意見交換、各種検討の傍聴等に取り組んでいくとともに、次世代育成に向けてこれまで以上に取り組んでいく。

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Ⅱ 広報・啓発事業

引き続き、ホームページを中心に各媒体と連携させた広報・啓発活動を展開し、政策提言・権利擁護活動をはじめとするDPI日本会議の多岐にわたる取り組みを広く発信することで、支援者・賛助会員の増加を目指す。

活動案内や報告に加え、国内外の障害者関連法制や障害者問題について分かりやすく解説した記事を制作し、閲覧者にとってより有益な情報を提供できるよう努める。さらに、Google広告も適宜活用し、リーチしづらい層にも情報を届ける。

毎月初めに配信している「ここに注目!メールマガジン」については、団体の戦略に関わる各部会の情報発信機能を強化し、ほかのコンテンツも含め、より充実した内容を目指す。

また、既存コンテンツの定期的な見直しを進め、より分かりやすく見やすいホームページを実現するため、アクセシビリティの向上に取り組む。さらに、新たなバナー広告の獲得にも引き続き注力する。

紙媒体「DPI通信」は継続して発行し、ホームページの内容を凝縮するとともに、本媒体でしか読めない独自記事も掲載し、情報発信のさらなる強化を図る。

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Ⅲ 普及・参画事業

1. DPI加盟団体への支援、ネットワーク強化に向けて

全国各地で、脱施設・地域移行とインクルーシブ教育をテーマにタウンミーティングを実施する。また、各地のDPI加盟団体をDPI日本会議役員が訪問し、最新情報をお伝えするとともに、地域の課題を聞かせていただき、関係強化を図る取り組みを実施する。

さらに、総括所見を活用し、障害者基本法の改正をはじめとする法制度の拡充を目指し、DPI加盟団体と連携した運動も展開する。

また、各地で取り組まれている条例づくりへの支援、各分野に精通した講師の派遣も実施し、DPI加盟団体との関係をより一層強化し、さらなる運動の展開を図る。

2. 講師派遣、点字印刷

障害者権利条約、障害者差別解消法、障害者総合支援法、バリアフリー法などをテーマに、引き続き講師派遣を実施する。行政機関や一般事業者など、対象者に応じた資料を準備し、障害者関連施策の普及に努める。

また、DPI日本会議が主催するイベントや学習会に加え、各地の障害者団体が開催するイベントにも対応し、点字資料や点字データ、テキストデータを作成することで、視覚障害者等への情報保障を推進する。

さらに、新規顧客の獲得にも力を入れ、広報活動を積極的に行い、多くの場面でDPI日本会議の活動を周知していく。

3. DPI障害者政策討論集会

第14回DPI障害者政策討論集会は、11月29日(土)、30日(日)にコロナ禍以降初めて対面形式で開催する。本集会は、DPI日本会議としての政策方針や活動の検証を行う重要な機会となる。

また、今後予定されている障害者権利条約に基づく建設的対話を見据え、地域での自立生活、インクルーシブ教育、成年後見制度、精神医療のあり方など、現状の課題を検証し、さらなる取り組みの推進を図る。

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Ⅳ 権利擁護に関する事業

障害者差別解消法は2016年に施行され、障害差別に関する相談窓口は中央省庁にはそれぞれ設けられていたが、どこが担当省庁かわからず窓口にたどり着けないという問題が生じた。

それを改善するため、内閣府に「つなぐ窓口」が試行的に設置された。

自治体でのワンストップの相談窓口設置は進んでおらず、今後は市町村での相談窓口設置に向けたはたらきかけ、法や相談窓口のさらなる周知啓発が重要である。

DPI障害者差別解消ピアサポートでは2025年度も、難病・障害当事者6名の体制で、引き続き一部はテレワークによる電話相談、メール相談、面談の相談業務をおこなう。

同時に、毎月一回事例検討会議を開催し、対応した相談について差別分類作業をするとともに、相談員の意見交換や情報共有の機会を増やす。協力体制の充実等を図る。2025年度の方針として下記の諸点をあげる。

(1)DPI障害者差別解消ピアサポートの体制強化

障害者差別および虐待に関すること、及び、合理的配慮に関することに集中して対応する。相談員相互の情報共有を密に図るため、組織内研修を定期的におこなう。相談体制の安定化を図るために、総務、労務管理を可視化する。

(2)各部会との連携の強化

DPI日本会議理事で、雇用労働・所得保障部会長の西村正樹氏が所長であることから、常任委員会への報告等を充実するとともに、全国各地の障害当事者が運営する各種センターや運動団体との連携を深める。

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Ⅴ 組織体制整備

1.会員および支援者の増大にむけて

多くの方にDPI日本会議の活動について興味を持っていただけるよう、各情報発信媒体(Facebook、メールマガジン等)を使って具体的にわかりやすく発信を続け、徐々に定着してきたクレジットカード決済をさらに活用し、寄付のしやすい環境になるよう整備をすすめる。

2025年度も引き続き、DPI日本会議の活動への理解と周知を得て、DPI加盟団体のない地域における正会員、賛助会員、寄付や支援を獲得できるよう努める。

2024年度は役員が各地のDPI加盟団体を訪問し、地域の課題を聞き、情報提供をさせていただく機会を設けた。2025年度も継続して実施し、各地のDPI加盟団体との関係強化に努める。

2.事務局の体制整備について

コロナ禍を経てテレワークが普及したため、在宅勤務と事務所勤務を併用していく。

特に、事務局員内での情報共有やコミュニケーションをこれまで以上に丁寧に行うことが大切であると考えている。

DPI日本会議の役割、ならびに求められる業務内容の複雑・多岐化に対応すべく、事務局内の体制を見直し、引き続き事務局体制および環境整備等をおこなう。

3.財政および予算執行について

DPI日本会議の運動の周知および安定的な財源確保のため、DPI加盟団体や関係団体を中心に財政支援の呼びかけ、会員の確保を積極的におこなう。

また、各部会・プロジェクト内での予算執行状況の管理など、担当部会及び担当者と事務局との共有を図ることで、スムーズな運営に繋げていく。

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