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【報告】優生裁判熊本地裁結審、2023年1月23日(月)に判決が出されます

2022年11月28日 権利擁護

希望に続く道

2022年10月31日(月)、4年間続いた旧優生保護法裁判がいよいよ結審の日を迎えました。審理の最終日は、東弁護士、三角弁護士、徳田弁護士の3名から意見陳述が行われました。それぞれの陳述内容を抜粋してお伝えします。

 ■東弁護士からは、旧優生保護法の強制不妊手術に関する意見が以下のような内容で述べられました。

「旧優生保護法は、結婚する自由や、家族を持つ権利を奪いました。また、性的犯罪を犯した人に対しても禁止されている強制不妊手術を、障害者に対しては実施し、障害者を犯罪者以下の存在として扱い、人としての価値を否定しました。優生手術は、障害者を生かしたまま人間としての誇りや自尊心、幸せを永遠に奪った卑劣な行為です。

優生手術の対象になった人は、なぜ自分だけが他の人と違う扱いを受けなければならないのか、と自問自答することになります。不良な子孫を産み出す劣った存在だから差別されているという理由を挙げられると、障害のある自分のせいでこんな目に遭うのだ、と考えるようになり、被害者にトラウマを植え付けることに繋がるのです。

被害者のお二人は共に、結婚、再婚の機会を優生手術を受けたことを理由に諦められました。この裁判は二人の原告にとって、国に奪われた人としての尊厳を回復し、生きた証を残せる唯一の機会です。裁判所は、旧優生保護法が引き起こした人権侵害の全貌と被害の甚大さに正面から向き合っていただきたいです」

■三角弁護士からは、除斥(時効のようなもの)の適用について、以下のような内容で述べられました。

「国は、最高裁判所が出した2つの判決を根拠に、除斥期間を延ばすことはおかしいと主張しています。しかし、その2つの判決は「裁判を起こすことが出来なかった状況の人に、20年経ったから訴えることは出来ない」ということは、正義、公平に反するとして除斥期間を延ばした判決です。

熊本の原告二名についても、優生保護法という法律の存在や、優生手術が憲法に違反するかどうか等の情報を全く持っていませんでした。裁判を起こせる状況だったのかを当然考えなければなりません。

原告は、優生保護法という憲法違反の法律によって行われた優生手術で、長い間被害を受け、裁判を起こす機会を奪われていました。この裁判は、被害者の人権回復の是非が問われています。人権擁護の最後の砦としての裁判所の公平な判断を切望します」

■徳田弁護士からは、ハンセン病の判例を交えながら優生保護法によって差別される地位に位置付けられた被害について以下のような内容で述べられました。

「ハンセン病患者が起こした訴訟では、隔離政策などで隔離されたという事実だけでなく、差別されるべき地位に置かれた被害という捉え方をし、被害が長期に渡り続いていることから除斥が適用されませんでした。

今回の優生保護法も、国家が障害のある人を『不良な子孫』と位置づけました。優生保護法を50年もの長きにわたって放置した国会。優生手術の普及定着のために麻酔薬の使用や、都道府県への指示を行なった厚生省。

教育の中で、中学生や高校生の教科書に優生政策の必要性を記載した文部省。国を挙げて推進された優生政策によって、私たちの社会には障害のある人たちは『不良な子孫』とする優生思想が蔓延し、定着しました。優生手術を受けた被害者は、こうした社会の差別 構造の中で、生きていくことを余儀なくされてきたのです。

原告のお二人は、この裁判に、自らの人生を奪った国に対する怒りをあらわすとともに、その責任の所在の解明を求めています。と同時に、この裁判に、自らの生きてきた過程に、どのような意味があったのかということを明らかにしたいと問いかけています。『国民の基本的人権を擁護するために柱となるべき立場』にある裁判所の存在意義をかけて、原告らの思いに正面から応える判決をくだされるよう、切に望んで私の意見陳述とします」

次回期日は1月23日(月)14時00分〜で、判決となります。

植田洋平(優生保護法被害者とともに歩む熊本の会、ヒューマンネットワーク熊本)


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