自動車運転免許 視覚の欠格条項について(2021年3月)


 遠藤と申します。
 表題の欠格条項につきまして、お話を聞いていただきたくご連絡させていただきました。
 2007年に回答のあった、国家公安委員会からの文書を拝見いたしました。
 私は、1980年代に、普通自動車運転免許を取得していますので、8t車までは運転することが可能です。免許取得時には、すでに片眼は失明しておりました。
 近年、自動車の技術開発により、視覚を補う自動運転の技術が急速に発展しており、視覚・視野を補うことが可能だと思われる時代になってきております。
 また、視野に関して言えば、360度カメラの発展、センサーによる距離の測定、音や光による危険の認知など、様々な技術革新があり、現在の技術をもってすれば、かなりの範囲で欠格条項を見直せるのではないかと感じております。
 道路標識の視認距離が短くなるとの説明もありましたが、道路標識の座標データを、全て衛星通信において、カーナビで受信できる環境があれば、必ずしも視認しなければ認知できないという状態でもなくなっており、むしろ、視覚で得られる情報以上に正確な認知が可能になると考えます。
 安全な運行を最も大切な条件とするならば、道路を管理する者に対して、常に最新の情報を発信できるシステムの開発を求めるなど、できることは、沢山あると思います。
 現在の最新型自動車に使用されている危険を察知するセンサー・カメラ等においても同じことがいえると思います。
 人間の目では、認知できないものまで察知して知らせることが可能だと思います。
 人間に対する欠格条項ではなく、「車検」において、例えば、視覚・視野に障がいのある方が車を運転する場合、安全に走行させるための技術的な装備を義務化するなどの条件を与えれば、問題は解消する時代になっているのではないでしょうか。
 緊急自動車には、なんらかの信号を発するようにし、その存在を知るための受信機を設置するなど、考えられることは、とても多くあると思います。(緊急車両に衛星に位置情報を伝える装置を設置し、カーナビにそれを表示するシステムを作れば、リアルタイムにカーナビに位置を表示する事すら技術的には可能だと思います)
 障害者差別解消法が制定された現在では、一方的に、代替措置を障害者側に求めることは不条理であり、代替措置が考えられないという回答も、努力義務の放棄であると感じます。
 最後に、色々と調べても分からなかったので、ご存じでしたらお伺いしたいのですが、私は片眼なのですが、何故、片眼では、普通乗用車の二種免許の取得ができないのでしょうか?
 普通乗用車を運転するという条件では、個人の自動車であれ、タクシーであれ、安全に運用できることに関しては、何ら変わるところはないと考えます。
 身体に障害があり、健常者に比べて一定の機能が欠如していることは事実ですが、自動車を運転するにあたり、それを補っても余りあるのが、運転者の安全運転に対する意識だと私は考えていましたので、「片眼である」ということが、安全運転に対して、決定的に健常者と比べ信用ならないという理由が、何かあるのだろうかと思って質問させていただきました。
 危険回避のための特別な教習をクリアする、一定年数無事故無違反であるなどの実績では信用を得られないのだろうかと考えます。
 実際にこういうことができないから、免許は与えられないと言われれば、誰しもが納得できるのではないかと考えております。
 判断基準を複雑にすれば、免許を与える側、管理する側の仕事は増えるとは思いますが、普通乗用車に限り二種免許を与えるなど、もっと細かい条件をつけることで、免許の取得が可能にならないものかなど、ずっと考えていました。
 今後、様々な資格要件につきまして、具体的な根拠を持たない欠格条項は全て無くなってもらいたいと切に願っております。
 本人ができないと思うことであれば、その資格を取得したいという意思にはつながらないと思いますので、それを望む人に対して、子どもが駄々をこねるのと同様の扱いでは、人権を尊重されているとは誰も感じないでしょう。
 皆様のような活動をされている方々がいることは、本当にありがたいと思っております。
 長文、読んでいただきましてありがとうございました。
-------
初出 「障害者欠格条項をなくす会ニュースレター」81号 2021年3月発行


戻る