2000年12月、医師法、薬剤師法などの障害者欠格条項の見直しについて、
各審議会が検討結果報告をまとめました。


1月末開会の通常国会に改正法案提出が予定されています。

まず、医師・歯科医師・看護婦・保健婦などの資格免許については、2000年 12月26日、厚生省医療関係者審議会が「障害者に係る欠格条項の見直しについて」を出しました。

現行の障害を特定した欠格条項「目が見えない者、耳が聞こえない者、口がきけない者には免許を与えない」「精神病者には免許を与えないことがある」は廃止し、「身体又は精神の障害により業務を適正に行うことが困難であると認められる者」といった相対的欠格を設ける内容です。

「障害を特定した欠格条項」の廃止は、明治時代から「障害者は無理・危険」と固く閉ざしてきた門を開いていくものです。医療関係の仕事で力を発揮していきたいと夢を持っている子どもや若者はもちろん、今は高齢になった人々の青年の時からの悲願でもあります。見直し作業が始まったころは、たとえば「目が見えない者、耳が聞こえない者には、免許を与えないことがある」のように、障害を特定したままの相対的欠格への書きかえ程度にとどまることも予想されていました。そのことと比べれば、障害を特定した欠格条項が廃止されることは、大きな一歩と評価できます。しかし、「身体又は精神の障害により業務を適正に行うことが困難であると認められる者」を改めて設けることは、法律によって排除する可能性を残します。「いつでも閉めることのできる門」なのです。「資格制限等による制度的な障壁の除去」や、すでに政府の方針として定められている「ノーマライゼーション」「社会参加の促進」とも矛盾します。

12月18日には、中央薬事審議会常任部会が、「薬事関係の障害者に係る欠格条項の見直しについて(報告書)」をまとめました。その中で、薬剤師関係については、「『目が見えない者』、『耳が聞こえない者』及び『口がきけない者』の欠格条項については、一律に絶対的欠格事由を存続させることは不適当であり、その障害の状況や代替手段の開発状況等を踏まえ、薬剤師の業務を行うことができるか否かについて個別に判断することが必要。なお、『耳が聞こえない者』及び『口がきけない者』については、代替手段の活用等により、薬剤師の業務を行うに当たって特段の支障はないと考えられる。」(引用元:医薬安全局文書)となっています。現行の一律の絶対的欠格は改めるものの、個別に判断するときの基準、制度運用などは省内で検討とされています。また資格によって結論はかなり異なっています。

自動車運転免許も、「現行の運転免許試験に合格すれば、すべて免許を与える」とする一方で、精神病とてんかんについては、試験に合格しても原則として免許を与えない方向です(道路交通法改正試案より)。1/24を期限に、警察庁が、パブリックコメントを募集中です。当『お知らせ』ページ上に補足を掲載しています。

障害者団体以外からも声があがっています。この『お知らせ』ページ上から日弁連の「障害者欠格条項の撤廃を求める意見書」にアクセスできます。

中途半端に欠格条項を残そうとせずに、「どうしたらできるか」へと180度、舵を切り換える時ではないでしょうか!そのことを、各政党・議員・省庁、世論にも強く訴えています。12月13日には、包括的な見直しのための基準となる法律制定が今必要だと、七つの政党に対して要望書・意見書を提出しました。『活動カレンダー』ページ上該当箇所に、本文掲載しています。

今年は21世紀幕開けの年。法令・制度・支援体制や支援技術開発などに、具体的に障害者の声を十分に反映することが求められています。


戻る