相談窓口に寄せられた声から 人生の幅をせばめる欠格条項 グラフ(相談の内訳) 雇用 33% 運転免許 23% 教育 10% 福祉 10% その他 23% かつては、たとえば視覚や聴覚の障害があると「免許を与えない」とされていて、医師や薬剤師や看護師になることができませんでした。壁にぶつかった人が声をあげたことで、これらの欠格条項は「免許を与えないことがある」ものへ2001年に改正されました。 その後も、成年後見制度を使ったとたんに失職した人たちが裁判で訴えるなど、問題解決を求める取組が続けられてきました。ようやく2019年に、公務員法や警備業法など約180の法律から、成年被後見人等に対する欠格条項を削除する法律が成立し施行されました。しかし、大部分の法律が「心身の故障」欠格条項を新設し、具体的には政省令で「精神の機能の障害」がある人に「免許を与えないことがある」と定めました。 このような状況下で、初めての相談キャンペーンを開催し、相談窓口を設け、30名からご相談がありました。下記はごく一部で、最近に起きたことです。 ・これまで精神疾患について伝えて運転免許を更新できてきた。今回の更新手続きで初めて、お薬手帳のコピーをとられた。これから医師に診断書を書いてもらうが、更新がどうなるか不安。 ←運転免許など、残されている障害者にかかわる欠格条項は、661本(法令の実数、2020年調べ)を数えるまでになっています。そのうち「精神の機能の障害」は257本を占めています。いったん作られた欠格条項は、他の法令や新規の法令にもコピーされるため、増えるいっぽうです。 ・警備業に就職し、受けた研修で、教官が、成年被後見人・被保佐人は警備員になれないと、差別的な言葉も使って発言した。 ←警備業の研修が、2021年にまだ旧法の認識で実施されたことは、氷山の一角とみられます。 ・保育士養成短大で、発達障害を理由として実習を許可されず、保育士資格を得られないまま卒業した。 ←保育士にも介護福祉士にも、2019年まで「精神の機能の障害」の欠格条項はありませんでした。新しい欠格条項が影を落としています。 ・介護福祉士養成校に入学後に、教員から、合理的配慮のために同級生や実習先に精神障害を伝えるべきだと強要された。しかたなく受け入れたが、同級生の前で障害について告知され、苦痛と負担が大きく、退学することになった。 ←障害について周囲に伝えるかどうかは本人が決めることで、強要は間違いです。合理的配慮は、本人と対話しながら、社会で共に学ぶこと、働くことや、生活がしやすいようにしていくために、障害者差別解消法で定められています。公的機関をはじめとして、学校や民間事業所などでも、障害者差別解消法の周知徹底が必要です。 ・看護学校に通いながら病院で看護助手をしている。目の疾患を知られてからは、同僚から「出来ない人」扱いされたり嫌みを言われたりするようになっている。 ←今では、目の見えない医師や、耳が聞こえない看護師も、各地で働いています。精神障害、発達障害、知的障害などの「精神の機能の障害」のある人にも、免許や資格をもつ人は多いです。障害や疾患があるということと、それとは別のことであるはずの免許や資格をもつということとを、今なおリンクし続けている欠格条項について、根本からの見直しと法改正を求めています。 障害を理由とした欠格条項にかかわる相談キャンペーンと報告書 相談キャンペーンは、2021年9月28日を相談日として、午前10時から午後8時まで、電話とFAXの窓口を設置しました。並行して、メール相談窓口を9月27日から10月3日まで設けました。12団体が参加した実行委員会を土台に、専門分野や得意分野を持ち寄って、障害者関係者と弁護士による相談員チームを組んでご相談に応じました。 次のURL上に、相談キャンペーン結果報告書を公開しています。 https://www.dpi-japan.org/friend/restrict/shiryo/soudan/index.html お問合せ先:障害者欠格条項をなくす会 連絡先メールアドレス info_restrict@dpi-japan.org