(2015年9月23日集会むけメッセージ) 塩田さんの復職を求め公務員法の違憲性を問う裁判に寄せて       障害者欠格条項をなくす会(共同代表 福島智 大熊由紀子)  「障害者欠格条項をなくす会」は、障害者を、その障害を理由に平等な権利を持つ人として扱わないと法律で決めている数々の欠格条項に対して、その撤廃をめざし、障害種別をこえて取り組んできました。  成年被後見人・被保佐人は、公務員法の欠格条項により、公務員試験を受験することさえできません。さらに、塩田さんのように、それまで問題なく働いてきた人が、成年後見制度を利用したとたんに失職してしまうことはきわめて理不尽な事態といわざるをえません。なぜなら、塩田さんが成年後見制度を利用するにいたった直接的理由はお父さんが亡くなられたという家族に係る個人的な状況の変化にすぎず、それ自体は塩田さんの職務遂行能力になんら支障を及ぼすものでないことは明白だからです。  現行の第三次障害者基本計画は「障害者本人に対する意思決定支援を踏まえた自己決定を尊重する観点」が明記されています。また、昨年に日本も批准した障害者権利条約に照らして、成年後見制度自体の見直しも求められてきています。同時に、公務員法の成年後見制度と連動した欠格条項の削除が課題となっています。  成年後見選挙権裁判は、2013年に公職選挙法から成年被後見人の欠格条項を削除するという大きな前進をもたらしました。次の一歩を踏み出しているのが塩田さんの裁判です。この裁判は、塩田さんの復職をめざし、公務員法の成年後見欠格条項の違憲性を問い、障害がある人の雇用について問いかけています。  現在、知的障害者に限っても、国・地方公共団体あわせて約千人が働いています。お金の管理について、塩田さんと似たニーズをもち、似た問題に直面している人が各地にいると見られ、差し迫った問題でもあります。  そして、知的障害者の場合、ほとんどの人が非常勤や臨時雇用であることも、見過ごせないことです。公務員の3人に1人が非正規と言われる今、障害の有無をこえて共通の問題と言えます。  公務や公的な役割から障害のある人が締め出されていたり、力を発揮できない状態で、共生社会づくりが進むでしょうか?  誰であっても、自分では困難なことについては必要かつ適切な支援を得て、権利の制限なく社会生活を送っていくことができる。そういう社会にしたいものです。  地域で共に学び働き暮らすことを長年取り組んできた大阪の運動をはじめ、障害者運動が培ってきたものを、この裁判に集めていきましょう。