聴覚障害者標識に関する基本的な考え方のパブリックコメント


2007年9月3日
障害者欠格条項をなくす会 (共同代表 福島智・大熊由紀子)

聴覚障害者標識に関する基本的な考え方のパブリックコメント

1.聴覚障害者が許容できるデザインを、聴覚障害者の団体および聴覚障害者個人の意見を十分に聞いて作成することが求められる。
 聴覚障害者マークは「罰則つき義務」とされ、つけるべき対象とされた人は、つけるかつけないかを選ぶ余地がないため、上のことはいっそう重要である。
2.聴覚障害がないドライバーをはじめ、社会の人々に対して、マークの意味をきちんと伝える啓発が不可欠である。
 2−2に述べるような、一般によくある聴覚障害者への誤解や先入観を払拭しながら、コミュニケーションの基本を、一般むけの教習・講習や広報を通じて伝える必要がある。
2−1.マークは「聴覚障害者全て」が対象ではないことを知らせること。
 初心者マークは「初心者全て」が義務づけられるのに対して、聴覚障害者マークは、「聴覚障害者全て」が対象ではない。だが、一般には、初心者マークと同じように「聴覚障害者全てがつけて運転しなければならない」という誤解が広まりやすい。誤解にもとづいて「聴覚障害者なのに、なぜマークをつけないのか」という対応がされたり、各地でトラブルが発生する懸念があるためである。
2−2.「手話ができなければ聴覚障害者と話せない」わけではないことを知らせること。
 「自分は手話ができないから、聴覚障害者と話せない」という思い込みから、コミュニケーションを回避してしまう人が多いことを、聴覚障害者はしばしば経験している。マークを見て、聴覚障害があるドライバーとわかった時にも、同じような反応が予想される。
 従って、聴覚障害者も一人一人異なること、音声に重点がある人もいれば筆談に重点がある人もいること、日常的に手話を使う人も、手話に限らずいろいろな方法を駆使して意思疎通していることを、具体的に知らせるとよい。一例として、紙やペンが手元になくても、携帯電話のメール入力画面で、文字入力して筆談できる。コミュニケーションのとりかた、可能性と併せて伝える必要がある。
3.上記の2に述べた、一般むけの教習・講習や広報において、運転経験がある聴覚障害者が講師として話す機会を設けることが重要である。テキストや資料にも、聴覚障害当事者の体験意見を掲載することが効果的である。
4.2007年6月に通常国会で採択された「道路交通法の一部を改正する法律案に対する附帯決議」に基づいて、上述の諸課題を含む法施行後の状況を具体的に把握し、聴覚障害者団体の意見を十分に聞き、その参画のもとで以後の法制度のありかたを検討することを求めるものである。
以上


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